《不定期更新》男性アイドルは超満員の中音楽なしで一人歌うことができるだろうか 作:星燕
星燕です。
前回はすみません。焦りすぎて短かったかと思われます。
今回は!頑張りました(褒めてほしいといっている)
ちなみに前回一万字書くといったが…
あれは嘘だ。(ごめんなさい
あれ、まだ、日常回に、届かない…(白目
「それでは歌ってもらいましょう!青い太陽です!!」
パーソナリティが声を張り上げる。そんな大声に隠れながら小声で自分のお願いを伝えてみる。
「あの、音ないなら曲変えてもいいですかね?」
「ん、あぁ、多分大丈夫だけど。」
「じゃあ、幻の命にしてください。」
「失礼しましたぁ。曲目変わります。それではお願いしちゃいましょう!幻の命!」
再びパーソナリティの大きな声が響き渡る。観覧席のお客さん達が示し合わせたように黄色い声援を送ってくる。いや、あれはヤラセか。
ともかく、機材トラブルとかで音楽は流れない。しかし、一番から最後まで歌うとしたら周りは冷めてしまうかもしれないし。
だが、ここで思い至る。そう言えば、今日ここにはバンドが居るなぁ、と。あんな酷いことをされた後だ。多少のわがままや横暴や急な変更くらい対応してもらわないと困る。
「すみません、ついでに音楽ないなら知り合いに演奏頼んでいいですか?」
またも流れを切られたパーソナリティが軽くずっこける。
また、会場に笑いが起こる。
「ん?今日来てるの?」
「はい、そこにいます。」
「んー…ん!あれか!ん!?あれは!?パスパレの皆さんだぁっ!!」
「「「「「ふぇっ!?」」」」」
「いやぁ、今日のこの番組のことをしっかり
「ソウデスネ!!」
「これは面白い展開ですね!プロデューサーさん、大丈夫ですか?大丈夫?おっしゃ!と言うわけで、急遽変更で、演奏はパステルパレッツのみなさんです!」
キャー!キャー!
あいも変わらず凄まじいまでの棒読みの奴がいる。流石ヤラセだ。抜かりない。
っと、大和さんがこちらに向かってきた。
「ちょ、ちょっと!私たちあの曲出来ませんよ!?」
「譜面は送るよ、ホイ。」
「あ、ありがとうございます…じゃなくて!分かっててやってますよね!?」
「一番は俺がアカペラで歌う。二番から頼めないか?」
わざとらしく傷ついたような、信頼しているような、期待しているような…そんな声音で頼んでみる。
「うぅ…その言い方は卑怯ですよぉ…」
やはり、大和さんは真面目だ。これが白鷺さんならこうはいかなかった。
丸山さん?余裕だろ。
「んじゃ、まぁ行ってくるから。」
ここからは俺の時間だ。
ステージの中央に配置されたマイクの前に立つ。
ガチッ
3色ほどのライトがむせ返るほどに俺の事を照らし出す。
カラカラカラ
何事も平凡な…何かを失ったような……
ギシギシ…
そんな少年の時間が、その歯車が動き出す音がした。
「それでは聞いてください。幻の命。」
伴奏も何もないから速攻で歌い出す。冒頭の不思議な世界観とどこか悲しげな雰囲気を前面に押し出して。
言葉一つ一つに力を、命を吹き込むように。丁寧に丁寧に紡いでいく。
それはまるで、生まれた時から決められた仕事のようにぴったりと俺の中にはまった。
何かを忘れたような、後少しで完成しない失くしてしまった最後のピースが、この瞬間にはまった。
そう言えば最近そんな話を聞いた気がする。確か…そうだ、こころさんだ。
もしかしたら彼女はとてもすごい占い師か霊能力者かもしれない。いや、あるいは魔女などの類かもしれない。
そう思えるほどにあのシーンはこの瞬間とカブる。
あれは予言なのだろうか。だとしたら俺がするべきことは二つだ。ここからの人生…もとい全ての歌に魂を込めること。そしてその歌によって生まれた縁を大切に育てること。
難しい注文だ。だが、やり甲斐がある。悪くないチョイスだ。
そんな無為な事を考えている間に一番のサビに入る。
『幻に夢で会えたらそれは幻じゃない』
『僕もいつの日か星になる。
自由が僕を見て笑う。』
その言葉は、なんだか自分の未来のことのようで。儚く消える星の光ではなく、みんなを優しく照らす夜空の灯火になれるように。
要するに、散々周りのやつの中に残ってお前らを最後まで笑わせて…もとい困らせてやるということで。
自分はどうも性格が悪いようだ、と自重的に嗤う。
それを気づかせてくれた沢山の人達に感謝しながら。
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正直、なんだろうこの男は、なんて思っていた。他の四人が盛り上がる中で私はどうにもついていけなかった。理由は自分でもなんとなく分かっている。
みんなが見ていたあの動画だろう。
私はあれを見ていない。ただそれだけの違いだが、なぜあんな違いが出たのか今はっきりとわかった。
彼の声は鈴のようで、小鳥のようで、風のようで、獣のようだった。彼は感情を歌っていた。
素直に、この人の歌をずっと聞いていたいと思った。生まれて初めて、何かの概念で涙を流した。
もちろん、痛くて涙を流したことはある。苦しくて、辛くて、そんな自分が嫌で…。
でもこの歌はその心を溶かしていった。私の生まれて初めての感動だった。
その衝撃たるや、ふと見た審査員席の人達が揃って涙をたたえていた。
どこまでも素直で、透き通っていて、甘い。果てしなく厳しくて、何よりも濃くて、そして苦い。
相容れないはずの二つの世界が混ざり合う。
彼の口から出てくる言葉によってそんな矛盾は消し飛んだ。
彼は紛れもなく天才だった。
もしくは、神に愛され祝福を受けた天使、といってもいい。
とにかく、恐らく人が生涯触れることのないその衝撃に触れたこの日は、この場にいる全ての人の中で彼のの人生のスタートを高々と告げていた。
『幻に夢で会えたらそれは幻じゃない』
『僕もいつの日か星になる。
自由が僕を見て笑う。』
彼の歌声に気を取られすぎた。もう始めなければいけない。
この時ばかりは、なぜこんな役を与えたのか、と神を呪った。
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最初は、また新しいアイドルか、適当に流そう。そう、思っていた。
作曲家として成功して以来、このような席に座ることも少なくなかった。しかし、本当にその才能を感じたものなど一握りの中のさらに1割ほどだ。
だが、そこに確かに、その才能があった。
彼の歌声が、それと重なる表情が、仕草が。ほの一挙手一投足までもが歌だった。
感情を歌う。時に風のようにしなやかに。時に太陽のように穏やかに海のように優しく。嵐のように怒りながら獣のように空に吠え。それは感情だった。それは歌だった。
気づけば私は泣いていた。しかしそれに気づいてもなお、拭うことなど出来なかった。彼の歌に余計なものを混ぜたくなかった。
この空間の中では、衣擦れすらも圧倒的に異物だ。
彼に歌ってほしい歌がある。彼のためだけに詩を書きたい。曲を作りたい。
彼に歌ってもらえるならばこんな下らない地位などいくらでも捨てられる。そう思えるほどに彼は眩しかった。
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二番になってパスパレのみんなが入ってきてくれた。
さすが、いい腕をしている。
そう思ったから、気持ちが良かったから、高揚していたから。
俺はギアを入れた。
今までは言うならば正確で透明な音。ここからは俺の音だ。
ピアノのソロは今回は抜かせてもらった。これは俺の歌を魅せる場所だ。誰にも譲る気は無い。
感情を全てぶつけて最後の言葉を紡ぐ。
『君のパパとママの歌』
歌い終わって数秒。誰も動かない。何も喋らない。何かミスか不具合でもあっただろうかと後ろを振り向くと、涙を流した審査員の方々が目に入った。
「あの…」
居た堪れずにパーソナリティに話しかける。
「あっ、あっ!はいっ!素晴らしい歌でしたね!審査員の方々、ひとまずご好評頂けますか?右から順に、お願いします。」
名指しされた右端の男の人がゆっくりと語り出す。
「僕ね、最初はチャラチャラしたアイドルが来たから適当に流そうかなって、思ってたんですよ。」
なんと衝撃の事実。
会場がざわつく。ついでに俺の心もざわついている。小心者のチキンなんだ。悪いか?
「でもね、思い知らされましたよ。君は天才だと。君の感じてきた人生の全てを曲を通して感じられる…あんな歌声があるんだなって思いましたよ。もし良ければ僕の書いた詞を歌ってほしい。他の人もそう思っているはずですよ。」
並ぶ審査員(特に左から二番目)が大きく頷く。どうやら作詞家・作曲家の心配はなくなったようだ。
その後も、なにやら過大評価をされ続けた気がする。
久し振りに全力で歌ったせいか記憶がおぼろげだ。だけど、達成感は過去最高だし、人の心を動かせたのならこれは俺の天職かもしれない。
「ハルトくん。これから頑張っていきましょう。」
瀧本さんの声が、不思議と鮮明に耳に残っていた。
あれ、瀧本さんがフラグたててますかねこれ。
何はともあれ第三話…四話?を、読んでいただきありがとうございます!
評価感想アドバイス、読みたい話やアンケートなどなど。
沢山くれるとモチベが上がります(クレクレの儀式)
追加
予約投稿機能なんてもう信じない。
半日一回投稿をしてきました…が!
なんか無理そうな気がしてます。行けるところまではいきますが。
それではまた次回。恐らく今夜9時に。
ヒロイン総選挙in令和元年・夏
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その他(感想欄にて受け付けます。)