《不定期更新》男性アイドルは超満員の中音楽なしで一人歌うことができるだろうか 作:星燕
あれは嘘だ。
というか無理でした。作者に一万文字とかまだ早いというか。
投稿ペースを落として分量を上げるか、このまま続けるか。
どっちがいいのだろうか。
テレビを垂れ流しながらなにを思うでもなく昼食をとる。
誰もいない休日の過ごし方としては三十点と言うところだろうか。
いや、普通に友達と過ごしてないので十点あるか無いかぐらいです。盛ってすいませんでした。
しかし、一人で家に引きこもっているのも理由があるのだ。
その理由というのが先日のバラエティー番組である。
全部あれが悪い。つまり丸山さんが悪い。
あれ以来アホみたいに音楽番組と楽曲のオファーが来て事務所…特に瀧本さんはてんてこ舞い、らしい。
その影響力は絶大で、街角で大声でフルネームを叫ばれるならまだいい方で。
この前は黒服サングラスの集団と金髪少女、紫髪少女、オレンジ髪少女に追い回されるという下手なホラーよりも怖い体験をした。
そこまでなら、まぁいいよ。
けどそこから猫耳少女やピンクのクマやら総勢二十名プラス黒服サングラスの集団というリアル鬼ごっこもどきにまで昇華したなら話ば別だ。俺だって人並みに恐怖はある。
いや、あの威圧感はやばかった。捕まったら殺される。主に赤メッシュと水色の双子らしき奴と髪飾りをつけてる奴。
あとなんか一人で歯ギターやってるやつもいたなぁ…あれは怖かった。あの子歯が丈夫なんだなぁ…(現実逃避
と、つまり外に出ると追い回されるしほぼ毎日学校の後に事務所に呼ばれる。
休みの静かな日は貴重なのだ。
「なんでこんなことになったんだ?」
「私が色んなところに動画を送ったからかしら?」
「そうそう、こころさんが色んな方面に…んんん?」
そっと、後ろを振り向く。
いやいや、あるはずがない。鍵は閉めていたし家の住所を知ってる人はいないはずだし、そもそも俺に用事は…追い回してきたくらいだしあるのかもしれないが。
果たして、そこにはこころさんがいた。
紫とオレンジもいた。
赤メッシュも水色の双子も髪飾りもいた。
もちろん、二十人…いや、二十五?あれ?水色の片方見たこと…あるぇ?
「東郷啓斗さん!はじめまして、戸山香澄です!突然なんですけど、CiRCLEの合同ライブに出てもらえませんか!」
なるほど、猫耳少女は戸山さん…と。
さて、ではとりあえずあれ言っとくか。
「CiRCLEってどこで、合同ライブってどういうことで、なんで俺の家に入ってるんですか?あと、全員自己紹介もらえます?」
この二十五人とは…なんだかひどく複雑でそれなのに大したつながりのない糸のような関係になりそうだと、そう感じた。
お母さん、今日も僕は巻き込まれトラブル体質みたいです。
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「えっと、香澄が所属するバンドがポピパ。メンバーは有咲、たえ、沙綾、りみ…であってる?」
「「「「あってまーす」」」」
「あぁ、うん。で、次が水色の片割れの紗夜さん所属のロゼリアで、メンバーは友希那さん、リサさん、あこちゃん、燐子さん。」
「そうね。」
「片割れという言い方はなんとかならなかったのですか!?」
「よろしく〜!」
「我が漆黒の翼に触れ…触れて……よろしくね、啓斗おにーちゃん!」
「よろしく…おねがいします…。」
はい。ここまででまだ二組。もうお腹いっぱいです。
あと三組あんだぜ?嘘みたいだろ?恐怖なんかじゃ形容できない…そんなナニカを見ちまった気分だぜ…!!
「はい、そんなわけで次いきまーす。」
こんなところで時間を使っていられない。何せ俺だって聞きたいことが山ほどあるのだ。
「どんなわけ?」
「うるさいぞ、反骨の赤メッシュ。反骨するところ間違えるな。」
「なっ!?」
先ほど自己紹介された美竹蘭。ー良いお家の出身なのに赤メッシュ。赤メッシュ(強調)
なにかとアウトローなこいつの第一印象はなんとなくだが反骨の赤メッシュだ。ーが、拳を握った。その拳を俺の腹に向かって…振り抜いた。
「おい殴るな…ちょ、みぞおち!?狙ってくんな!入れてくんな!ちょま、痛い!痛いってば!ごめんって、お淑やかな美人なのわかってるから!許して!」
「〜〜!!?」
「なんで!?なんで加速すんの!やめてってば!」
「蘭に皮肉と褒め言葉は逆効果なのだよ〜」
「先言えよ!蘭の入ってる幼馴染五人組バンドがアフグロ、メンバーは巴、モカ、ひまりとつぐみ、合ってるよね!?」
「おう、全員あってるぞ!」
「はい、じゃあ次いきます!蘭、止まれ、止まれぇぇぇぇぇ!!」
〜20分後〜
「その…ごめん。」
「うん、もういいから。頼むから殴らないでくれ、な?」
今のところ一番関わるのが大変そうなのはアフグロ(というより蘭)だ。しかし、見方によってはあれは究極のツンデレでありデレたところはとてつもない破壊力を持っているのでは?
そんなことを考えていると青葉モカと目が合う。ニヤリとして深く頷く。
…え?見抜かれてる?嘘でしょ?エスパーかな?なんなのかな?怖い(怖い)
「…気をつける。」
「はい、じゃあ次は…お、最後じゃん。」
「え、まだ3個しかグループ確認してないんじゃ…」
彩さんなに言ってんだよ、ちょっとよくワカンねぇな。お話しするか?オン?
「こころさんのところね、うん。メンバーは薫さん、はぐみ、花音さん、美咲。美咲さー、あとで連絡先くれない?」
「別にいいけど…なにするの?」
「振り回される苦労を語らいたい。」
「あー…もう既に被害者だったかー。」
「何に振り回されるの!?はぐみも振り回してくれるかな!」
「儚い…」
「ふぇぇ、、」
「キャラ濃いね、疲れそう。頑張ってね。」
「やっと普通な人に出会えた…幸せを感じるよ。」
なるほど、このグループでは美咲が苦労人なのか。ポピパの有咲といい美咲といい、可哀想で仕方ないよ。なにが楽しくてあんなことやってんのかな。
「啓斗くん?」
「なんだろう千聖さん。」
「私たちは?」
「え、いる?」
「要らないの…?」
おぉっとここで涙目上目遣い。あざと可愛いな。これが小悪魔か。
「なんか千聖さんのキャラ崩壊も見られたしやろうか。」
「やったー!」
「彩サン、ちょっと静かにね?」
「ごめんなさい…」
((((飼いならされてる!!?))))
「それじゃあパスパレね。千聖さん、麻弥、彩さん、イヴさん、日菜さん。」
「下の名前、るんっ!って来た!」
「フヘヘ、くすぐったいです!」
「大和魂ですね!」
「もうこのぐらいの濃さならなんも感じないぜ。慣れって怖い。」
「それでだ、俺の家に何の用だ。つかなんで普通に入ってんだよ。」
「黒服の人が開けてくれたわ!」
「美咲、通訳。」
「黒服の人が開けてくれました。」
「おい、目をそらすな。」
それが意味するところはつまり、ピッキングで不法侵入、尾行をして家を特定、他人にそれを助長させるという犯罪三段構えということで、俺が刑事告訴したら確実に勝てる。
いや、そんなことしないけど。
「で、来た理由は?」
「東郷さんにCiRCLEのライブに出演して欲しいんです!」
なるほどなるほど、ライブに参加してほしい、と。なんかさっきから言ってるけどさーくるってどこだろ。生まれも育ちもこの街なのにそんな場所知らない。
「まぁ、それはスケジュールと相談…らしいんだよね。なんか瀧本さん…マネージャーさんが言うにはオファーがたくさん来てるんだって。半分が声優だって。あり得ないね。」
「まだデビューしたばっかりなのにそのセリフ…クッ!!」
「彩さん…心中お察しします。」
「まやちゃぁん…」
なんか寸劇が始まったけどスルーしよう。うん、そうしよう。
「スケジュールの心配はないよ!」
この声は…まさかっ!?
「た、瀧本さん…!?」
「やぁ!その日は予定をぶち開けたから安心してライブしてね!」
なるほど、空いてるのか。なんか今の言い方だとそこそこ重要な仕事はねのけた感じするけど。若干瀧本さんの声が震えてる気がするけど。ほおが引きつってる気がするけど。涙目だけど。気のせいだよね、うん!
「ということなので、出ます。」
「やったわね!」
「儚い…」
なんか、ハロハピってこころと薫さんのキャラががっつり強いな。
「まさか…黒服さん?でも、いや、まさか…どうしよう…。」
「ん?美咲?」
「いや、なんでもないよ!…私はなにも知らない、気づいてない…」
なにか美咲がブツブツと言っている。なんだろう、この一連の流れの裏に巨大な権力の動きを感じてしまう。なんだろう。なんなんだろう。
「じゃあ、まずは演奏の順番を決めなきゃだね!」
「ちょ、おい香澄ッ!」
瞬間、空気が凍る。ピリピリとした空気で部屋の中が支配される。
え?なにごと?そんな殺しの犯人見つける空間みたいな雰囲気になる?
「俺は、よくわかんないし適当なところに入れてくれて良いよ。」
「最後はやはり私達ね。ロゼリアこそが相応しいわ。」
「「「「「………」」」」」
「…もう、じゃんけんしたら?」
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「それでは…厳正なるじゃんけんの結果、一番手がポピパ、二番手がアフグロ、三番手がハロハピ、四番目が俺、五番目がロゼリアで六番目がパスパレです。」
「あの時…私がチョキを出していればっ!」
「紗夜、過ぎたことを言っても仕方ないわ。どんな状況だろうと私達は最高の演奏をする。ただそれだけよ。」
後悔をする紗夜さんに優しく労わるように、しかし確かな信念を持って友希那さんが話しかける。
だからこそ言っておこう。おそらく一番悔しがってるのは友希那さんだ。
「それじゃあ、来週の週末にCiRCLEで!皆さんよろしくお願いします!」
あ、そういえば。
俺は肝心なことを知らない。
「あの…このタイミングで申し訳ないんですけど。」
全員の視線が俺に注がれる。
「CiRCLEって、どこですか?」
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「ここが沙綾の家のパン屋さんで、ここがはぐみの家の精肉店、もう少し行くと私がバイトしてるコンビニだよ〜!」
CiRCLEとはどうやら俺の住んでいる場所とは正反対にあるらしく、ついでにとこの辺りを案内してもらっていた。
「いや、リサさん本当ありがとうございます。」
「いーよいーよ!そんなことよりずっと思ってたんだけどさ…」
前を歩いていたリサさんが振り返る。その瞳に悪戯っ子のような輝きを秘めて。
「さん付けじゃなくて、リサって呼んでよ、ね?」
「それは…年上ですし。」
「じゃあ先輩命令。」
「それは…」
ふむ…これはなんというか、発言を逆手に取られた感じだろうか。どこに行っても詰む気がする。きっとリサさんはいい指し手になるだろう。将来が楽しみだ((
「じゃあ…リサ、ありがとう。」
「うん、どういたしまして!」
あ、ときめいた。今俺きゅんってした。きゅんってした!
落ち着けよ。しょうがない、きゅんってしたのを隠すために精一杯の仕返しをしてやろうじゃないか。性格悪い?うるさい、いいんだよ、このぐらいならいいんだよ。
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「うん、どういたしまして!」
言葉と一緒に下から見上げるように彼を見つめる。彼ならきっと最高の反応をしてくれるだろうと期待して。
しかし、彼から帰ってきた反応は予想よりはるかに…
「ふふ、リサは綺麗だね。」
はるかに手馴れていて。当たり前のように頭に乗せられた手の大きさに心が温かくなってきて。
あぁ、彼のことはまだわからないけれど…
これは、一目惚れというそれとよく似ている。そう思う。
そう思い至ると、じわじわと顔が熱くなるのがわかる。彼の顔を見られない。
「さぁ、CiRCLEに連れてって。俺早く帰んないといけないんだ。」
「う、うん。じゃあ行こっ!」
春の夕方の穏やかな風が頬を撫でる。その冷たさが、頬の熱を際立たせているようだった。
山田治郎さん
スマイル一号さん
高評価ありがとうございます!
途中で気づいた人もいるかもしれない。二十五人とか手に余る()
今度からは自重して出す人数はとりあえず五人ずつくらいにしようと思います。
書いてる途中で誰が話してんのか分からなくなる…
薫さんは別です。
多分次の投稿は明日夜9時になります。
ヒロイン総選挙in令和元年・夏
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千聖こそ正妻
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リサ姉まじ天使・RMT
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蘭のツンデレ最高
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紗夜さん愛してます
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その他(感想欄にて受け付けます。)