正直、実感湧かないです。そもそもほとんど月一投稿ですし、作中時間も二日しか経過していないんです。しかもそれによって前回はあんなことに……。
しかし、それでも一年やってこれたのは、皆さんの応援があったからこそ。お気に入り登録者数690人。UA40000越え。正直、ここまでやれるとは思ってなかったです。
本当に、ありがとうございます。これからも戦姫絶唱シンフォギアDALをよろしくお願いします。
という訳で、一周年記念の短編詰め、ギャグ盛りテイストでどうぞ。サブタイトルはデート風に。
―――声繋ウィークポイント―――
S.O.N.G史上、最も濃密な二日間が過ぎようとしていた時だった。
シンフォギア装者全員との確執が解けた声繋は、一旦S.O.N.Gで保護扱いとなり、これから司令の弦十郎と話し合う為、本部である潜水艦に乗り込もうとしていた。
だが、そこで誰もが予測し得なかった事態が発生した。
「声繋、本当にダメなの?」
「……ダメだ」
「みんな待ってるんだよ。声繋を受け入れてくれる人達が……」
「それでも、ダメなものはダメなんだ!」
本部潜水艦が停泊する港。
そこで潜水艦を目にした声繋は、あろうことか乗艦を拒否しだした。
凄まじい気迫で、響の言葉に一切頷こうともしない。その目に確かな決意の炎を灯して、断固として拒否し続けていた。
「そんな……。せっかく仲間になれたのに……」
「…………」
目に見えて悲しそうに呟く響。健全な男子であれば絶対に放っては置けない。それが少し気になる相手であれば尚更。だが、この時ばかりは声繋も心を鬼にし、絶対に振り向くまいと強く唇を噛んで堪えていた。
そんな、内容はともかく、端から見れば交際していた男女の別れ際のようなシーンを眺めていたクリスは。
「良いから乗れ」
微塵も情を向けることなく、声繋の首根っこを掴んで潜水艦へと引きずり出した。
「い、嫌だ! 嫌だッ! 嫌だッ!! 乗り物はイヤだぁぁああああーーーッッ!!!!」
極めて奇声に近い悲鳴を上げながら、暴れてクリスの手を振りほどこうとする声繋。
声繋がこれほどまでに乗艦を拒む理由。
それは、声繋が極度の乗り物恐怖症だからであった。
「コラ暴れんな! つーか、あんだけヤバい力持ってて乗り物恐怖症って何だよ!? あのバカ連れて一回来たことあるんじゃねぇのか!?」
「あの時は座標だけで調べたから潜水艦だって知らなかったし、さっさと出てったから! こんなことならもっと調べとけば良かった畜生!」
「なら気の持ち様でどうにかなるんじゃねぇか! 乗れ! お前の身柄はS.O.N.Gで預かるって決定したんだよ! お前の為に!」
「どこがですか! こんなの拷問ですよ!」
「あッ、コラ!」
クリスの腕から逃れた声繋は、港から逃げ出さん勢いで駆け出した。
しかし。
「大人しくしろ! マリア、月読、暁! 決して離すな!」
「分かってる!」
「凄い力……! 早く連れ込まないと!」
「絶対に連れてくデース!」
「あ、あんたら! そうまでして俺を苦しめたいのか!?」
シンフォギア装者達に手足を拘束され、逃走は阻まれた。
「ええそうよ! 言っとくけど、私はあんたに恥をかかされたことは許してない! こうでもしないと気が済まないのよ!」
「人を洗脳したんデス。これくらいやらないと罪滅ぼしにはならないデスよ!」
「観念して!」
比較的最初から声繋に好意的だった切歌と調も、声繋に容赦をするつもりはない。受け入れたとは言え、彼がやった洗脳行為を無条件で許すという思考は、彼女達にはないようだ。
手足を拘束され、一切の抵抗もできなくなった声繋は、最後の望みに懸ける。
「響! 助け―――」
「離れて!」
言い切る前に、助け舟がやってきた。
響が声繋の手足を拘束する皆の腕から、声繋を引っ張り出した。
「立花?」
「響先輩、何するデスか!?」
「た、助かった……」
響も艦に乗ってほしいと思っていたはずだ。
突然の裏切り行為に、皆が訝しげに響を見ていると……。
「声繋は、わたしが連れて行きます! みんなは手を出さないでください!」
「……え?」
言うや否や、響は声繋の腕をがっちりと抱きしめ、虚を突かれて呆然としていた声繋を潜水艦の乗艦口へと連れて行った。
「……え? 響さんは何がしたかったの?」
「知るかよ……」
調とクリスは訳が分からず、ただ首を傾げるのみ。それに対して、他の三人は妙ににやけた表情を浮かべていた。
「マリア、分かるか?」
「薄々気付いてはいたけど、ね。けど、まだ会って二日目じゃない。早すぎない?」
「目と目が会った瞬間から惹かれ合うっていうデス。きっと一目惚れってやつデスよ!」
「これからは、なるべく彼との接触は程度をわきまえるべきだな」
装者達(クリス、調を除く)の間で、声繋との距離感というものが決まった。
尚、艦内へと連行された声繋は、全く生気を感じられないほどに弱ったらしい。余談だが、声繋の住居が決まったのは翌日で、朝にはゾンビ状態になっていたという。
―――装者ネーミング―――
「……皆さん、揃いましたね?」
本部会議室内に、少女達が集っていた。彼女達が座るテーブルの上には、小型のホワイトボードとサインペンが人数分用意されている。
シリアスな雰囲気を漂わせ、真面目な議題であることは明白であった。
尚、この場に集まったのは響を除く装者一同と進行を勤める未来のみ。響は召集されなかった。理由としては、響がいては意味がないからである。
さて、彼女達の議題とは。
「これより、声繋君の名字を決める会議を執り行いたいと思います!」
「「「異議なし!」」」
声繋の名字を考えるという、妙に必要となることについてであった。
尚、進行を勤めるのは未来であるが、事の発起人は翼であった。
「皆、すまないな。私の個人的な問題に付き合わせてしまって……」
「良いってことよ。人を名前で呼ぶことの難しさは、あたしも良く分かるからな」
申し訳なさそうにする翼を、クリスがフォローする。
そう。シンフォギア
「いつまでも『お前』などと呼んではいられないからな。雪音のように愛称で呼ぶこともできない以上、早急に名字を決めたい」
「それに、もし彼がこれから普通に生きていくつもりなら、絶対に名字は必要になるわ」
「せっかく仲間になるんデス! アタシ達からのプレゼントにするデース!」
とまぁ、つまりは皆が声繋を思っての会議である。
「それじゃ、まずは皆さんそれぞれで考えてみましょう。いくつか良いものを選んで、最終的に一つに選ぶか、組み合わせたりということで」
「「「了解!」」」
こうして、彼女達による声繋の名字決定戦が始まった。
そして、各々がホワイトボードとにらめっこを開始してから十分後。
最初に名乗りを上げたのは、切歌だった。
「アタシの考えた名字はこれデース!」
元気の良い声と共に、切歌はホワイトボードを皆に見せる。
『声繋・シルバーブルー』
「「「却下!!」」」
「えぇっ!?」
切歌の案は、満場一致で却下された。
「そんな恥ずかしい名前でこれから生きていける訳ないでしょ!」
「大体何で混血みてーな名前なんだよ! あいつ一応日本人だぞ!」
「だって! 髪の毛シルバーブルーだからクリス先輩と同じハーフなんじゃないかって!」
「だからあいつは日本人なんだよ! 父親も母親もちゃんと日本人だ! ……多分」
ギャーギャーと喚いた後、切歌の案は正式に却下された。その直後に、クリスが名乗り出る。
「後輩には任せておけねぇ。あたしの考えた名前で決めてやる!」
『
「天十? どういう意味なの?」
「ほら、アイツの武器は天使っていうだろ? それを十個持ってるから……」
「……自分で言ってみて」
「あ? 天十声繋…………悪い、忘れてくれ」
どうやら、発音が微妙だと気付いたらしい。
「では、次は私の案を聞いてもらおう」
自信ありげな物言いに、皆の期待が高まる。
翼は世界に名を轟かせるトップアーティストだ。自分で作詞を手掛ける彼女の詩的センスならば、良い名前ができると期待できるのだ。
「これが私の考えた姓だ! 刮目して見よ!」
『士道声繋』
「「「……………………」」」
沈黙する一同。
「どうだろう? 彼には戦士としての覚悟がないらしいからな。哲学で戦士を意味する士道を名乗ることで、彼にもその心を―――」
「わ、分かった! 分かりましたから先輩!」
「と、取り敢えず! 今は候補に入れるということで! 他の人のアイディアも残ってますから!」
「そうか? ならば、私の案を越える姓があるか、見物するとしよう」
「「「あ、あはは……」」」
既に勝った気で、しかし全く悪意のない純粋な翼に対し、皆はそれが採用されない理由を語ることができなかった。
「……そ、それじゃあ、マリアさんどうぞ!」
未来は焦るように次を促す。その瞳に「翼さんを納得させるものをお願いします!」という願いを籠めて。
その願いが伝わったのか、マリアは自信たっぷりにホワイトボードをひっくり返した。
『立花声繋』
瞬間、マリアに向かって四方からマジックペンが飛来し、彼女の頭に直撃した。
「イッタ! ちょっと! 皆して酷いじゃない!」
「……いや、あのよ、真面目に何でそんな名前になったんだ?」
「何でって、声繋の名付け親は響でしょ? だったら、いっそのこと名字をあげても良いんじゃないかって」
「それはマリアさんが決めて良いことじゃないでしょ!?」
「全くだ! マリアにその権限はない!」
「え? ダメなんですか?」
「調もデスか!?」
マリアの案と、ついでに同じことを考えていた調の案は没となった。
という訳で、残すは未来の考えた名字のみ。
「……んじゃ、見せてもらおうか」
「今のところ、まともなのは私の考えた姓のみだな」
「え、えぇ……」
「未来先輩! 期待してるデス!」
「お願いします!」
「う、うん!」
皆の期待(と懇願)を一身に受けながら、未来は自分の考えた姓を発表した。
『
「えっと……どうかな?」
未来が不安げに問うと、皆はしばらく顔を合わせた後。
「……良い。良いデスよ!」
「うん。なんだかしっくり来る」
「男にしては綺麗過ぎるけど、不思議と違和感はないわね」
「悔しいが、私の負けだ。紙一重だったが、小日向が考えた姓の方が彼には相応しい」
「そ、そうだな。……まぁ、これにするか決めるのはあいつ自身だけどな」
「うん。声繋君、気に入ってくれると良いなぁ……」
色々とあったが、声繋の名字候補は『園咲』に落ち着いた。何より、翼の考えた名字が採用されなかったことが、一番安心だったが。
「それで、どんな意味があるんデスか?」
「こんなロマンチックな名字だもの。何かあるんでしょ?」
「うん。響と声繋君がずっと一緒にいられるように、花が咲く園って意味を籠めたの」
「花が咲く園……か。良いフレーズだな」
「きっと、二人を繋げ続けてくれる。そんな気がする」
「よし、そうと決まったらバカツナの所に行くぞ!」
「うん!」
こうして、声繋の姓を決める会議は終息した。
その後、この名字を声繋に見せたところ、大喜びで受け取ったという。
余談だが、翼の考えた姓も見せたところ、父親と同じ名前だから止めてくれと、至極真っ当な理由で断られたとか。
――― IFストーリー 響ウィッシュ―――
わたしは立花響。今日から来禅高校一年生になる、ピッチピチの女子高生!
わたしも遂に高校生かー。今日が楽しみ過ぎて、昨日は中々寝付けなかったんだよね。隈ができなくて本当に良かったよ。入学早々に酷い顔を晒すなんて拷問だから。
「おっはよー!」
「あ、響おねーちゃん! おはよーなのだ!」
朝の挨拶と一緒にリビングに入ると、わたしより元気な挨拶が返ってきた。
この元気一杯な中学生の女の子は五河琴里ちゃん。わたしのことをおねーちゃんって呼んでるけど、姉妹じゃないよ。わたしは昨日、この家に泊まったの。ちょっとやりたいことがあったから。
「昨日はちゃんと眠れた? おにーちゃんに襲われたりしなかった?」
「そ、そんなことないって! 琴里ちゃんおませだな~!」
「二人って分かんないんだよねー。やってることは付き合ってるようにしか見えないのに、何で付き合ってないの?」
「それは……まぁ、ね」
五河士道。わたしの恩人で、大切な人。
中学の頃、何もかも捨てようとしたわたしを救ってくれた。わたしと同じ痛みを知っていて、わたしが誰よりも心を開ける男の子なんだ。
そんな男の子だけど、わたし達は付き合ってる訳じゃない。デートなら何回もしてるけど。
「…………まぁ、今の関係でいてくれた方が……」
「え? 琴里ちゃん、何か言った?」
「ううん。それより、早く着替えた方が良いんじゃない? おにーちゃんも起こさないとだし」
「あ、そうだった!」
琴里ちゃんに言われて、わたしは急いで支度を始めた。
顔を洗って、部屋に戻って、荷物の中からYシャツ、黒いブレザー、紺色のスカートを取り出した。これが来禅高校の、わたしの新しい制服。
「リボンはこうしてこう! できた!」
着替え終わって早速、士道の部屋に向かう。
部屋に入ると、やっぱり士道は寝てる。士道って朝弱いからなー。……まぁ、普段はわたしの方が遅いんだけど。
「さてと、どうやって起こそうかなー」
普通に起こせば良いのに。なんていうのはナンセンスだよ。わたしと士道くらいの仲になると、普通って概念はないんだよ。
「…………仲、か」
士道の寝顔を見てると、改めて考える。
わたしと士道の付き合いは、今年で二年目になる。最初の頃は、嫌われ者同士でお似合いだー、なんて言われてたっけ。
そう言えば、士道が中学を卒業した直後は……もう、心細かったな……。でも、そのおかげで士道に頼りきりにならないようになれたんだよね。
そんな日々も終わって、また士道と同じ学校に通える日々が始まる。同じ授業は受けられないけど、二人で並んで登校して、昼休みは一緒にご飯を食べて、放課後はどこかに寄り道して……。
士道とやりたいこと、一杯ある。士道以外の誰でもない、士道と……。
「……ホント、好きだなー」
士道と一緒にいるだけで、世界が輝いて見える。
士道と一緒に食べるご飯は、とても美味しくなる。
士道と一緒に何かをするだけで、何でもできる気がする。
……それでも。
「んん……響?」
「あ、士道……」
わたしが悶々と考えている間に、士道が一人で起きた。
「……あぁ、昨日家に泊まったんだっけ」
「ふふっ。忘れてたの? 今までも泊まることはあったのに」
「寝起きだからだよ……。って、朝飯の用意しないと……」
まだ眠気が覚めきってない士道は、ベッドから降りて着替え始め……って!
「ちょちょちょっ! 士道! まだわたしいるって!」
「ぅおわ! そうだった!」
上をほとんど脱ぎかけてようやく、士道は気付いたみたい。ちょっと! わたしの存在を忘れないでよ! 親友なのに!
「おねーちゃーん! まだおにーちゃん起きない……の……」
そんな時、琴里ちゃんが部屋に入ってきた。痺れを切らしたって感じで。て言うか……。
「こ、琴里ちゃん……」
「こ、琴里。これは……」
わたしが部屋にいるのに、士道はパジャマを脱ぎかけてる。こんな状況、おませな琴里ちゃんが見たら……。
「こ、高校生になったからってぇぇーーーッ!!」
「こ、琴里ちゃぁぁああああんッ!!」
心の奥底からの叫びを上げながら、琴里ちゃんはツインテールを揺らしてドタドタと走り去って行った。
「ど、どうしよう……?」
「まぁ、ちゃんと説明してやれば分かってくれるだろ。ああ見えて頭良いし」
「……そうだね」
琴里ちゃんにちゃんと説明することを決めて、わたしも部屋を出ようとする。
「響」
その時、士道がわたしを呼び止めた。
振り返ると、士道は微笑みながら、
「制服、似合ってるな」
「……ッ」
何を言うのかと思ったら……。
「制服で褒められてもなぁ……」
「あ、それもそうか」
士道って、こういうところがちょっと残念なんだよね。年の近い女の子と長い間一緒にいるんだから、少しは成長しても良いはずなのに。
でも……。
「ありがと、士道」
「何だよ? 言った側から喜んでるじゃねぇか」
「制服を褒められたことじゃないよ」
わたしがこの制服を着ていられるのは、あの日、士道がわたしを助けてくれたから。今のわたしがあるのも、士道のおかげ。昨日泊まったのだって、士道に一番にわたしの制服姿を見せたかったから。
士道は本当に凄い人だ。人一人の人生を大きく変えることができるんだから。
だからこそ、わたしは士道と付き合えない。
「士道」
「何だよ? そろそろ着替えたいんだが……」
大丈夫。時間は取らせないから。
わたしは士道の手を両手で包み込んで、願うように言った。
「これからも、誰かに手を差し伸べられる、誰かの為に頑張れる士道でいてね」
「……おう」
士道は訳が分からないって顔をしてたけど、頷いてくれた。
言いたいことを言ったわたしは、部屋を出ていく。いくら付き合いが長くて、好きな男の子でも、やっぱりそういうのは恥ずかしいよ。
(……大丈夫。士道なら、きっと)
士道は、困っている人なら誰でも助けようとする。これから先も、きっと無条件で助けようとするんだと思う。
その優しさを、わたしが独り占めすることなんてできない。だから、この気持ちは伝えない。
(……でも、もし、わたしを見てくれるなら……その時は……)
ちょっとくらい、わがままになっても良いよね?
読了ありがとうございました。
ちょっと質問させてください。
自分は最近、バンドリのオリジナルバンドSSを書こうとしていて、実はプロットもほぼ出来上がってる状態です。
そこで皆さんに質問があるのですが、作中に登場させるオリジナルバンドのオリジナル楽曲に、実在する楽曲を使っても良いのでしょうか? 他のSSにそういった設定があり、バンド名すら名乗っているのですが、そのバンドは十年以上前に解散していて、僕がやろうとしているのは現在活動中のアーティストさんの楽曲です。
状況の違いもありますから、少し分からないんです。ハーメルンの説明を読んでもいまいち分からず、こうして読者の皆さんに頼らせていただきました。どうか、教えていただきたく。
尚、そのバンドリSSは今すぐにやろうとは思っていません。今はシンフォギアDALを優先し、余裕ができたらやるつもりです。……後、読んでみたいって人が多ければ、少し頑張ろうかなと思っています。
長々とすみません。次回からの第二章をお楽しみに。少しシンプルな内容になる予定ですが。
感想、評価、指摘、待ってます。