戦姫絶唱シンフォギアDAL   作:援道未知

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 どうも、援道未知です。UAとお気に入り登録の数にびっくりしてます。前と何が違うんだ……?

 今回は前回より短めです。

 ほうれん草(暇人)さん、蝙蝠男さん。高評価、感想ありがとうございます。
 終わりなき夜空さん、感想ありがとうございます。

 それでは、本編どうぞ。
 後書きの方がちょっと面白いことになっていますので、読んでくれたら嬉しいです。


天使

「来る!」

 

 マリアの声で、装者達が身構える。

 ミサイルの雨を凌ぎ、身の丈ほどもある剣を握った少年が、翼達に向かって飛んでくる。最初の狙いは、クリスだった。

 

「あたしに正面から突っ込んでくるたァ、良い度胸してんじゃねぇかァ!」

 

 自分に向かって真っ直ぐ突き進んで来る少年は、クリスにとってこちらに近付いてくる的も同然であった。

 クリスのシンフォギア『イチイバル』は、射撃性能に特化したシンフォギア。こちらに真っ直ぐ突っ込んでくる相手など、格好の的。

 クリスは両腕の籠手を変形させ、携行型の二連装ガトリングガンを形成。二丁四門による一斉掃射を開始した。

 

『BILLION MAIDEN』

 

 先程のミサイルよりも更に大量の弾丸が、少年に向かって飛んで行く。しかし、少年は避けるどころか、更にスピードを増して突き進む。

 

「ハッ! 蜂の巣になりやがれ!」

 

 少年の末路を確信したクリスは、乱暴にもそう叫ぶ。

 全ての弾丸がターゲットに着弾、かと思いきや。

 

「……フゥッ!」

 

 少年が右手に持った剣を振り抜く。その光る刃から剣閃が放たれ、クリスの放った弾丸を全て切り裂き、更にはそのままクリスの元まで飛んでいき、彼女が構える二丁のガトリングガンを切り裂いた。

 

「んなッ!?」

 

 クリスが驚いているのも気にせず、少年は空中で方向転換し、今度はマリアの元に向かう。

 

「な、飛べるの!?」

 

 自分達の殆どが条件付きでやっと行える飛行移動を目の当たりにして、マリアは驚きの声を上げた。

 しかし、相手は待ってくれない。マリアが驚いている一瞬の間に距離を詰め、彼女のアームドギアである短剣を切り裂き、更にはアガートラームの代名詞とも言える籠手を切り、機能不全へと追いやった。

 

「ウソ!?」

 

「「マリア!」」

 

 マリアが戦闘続行不可能になり、調と切歌が加勢に入る。跳躍した二人は、上空からそれぞれの技を繰り出す。

 調はアームドギアのツインテール型コンテナを展開し、中から高速回転するいくつもの小型円鋸を飛ばした。

 

『α式 百輪廻』

 

 続いて、切歌はアームドギアの刃を三枚に分裂させ、ブーメランのように飛ばした。

 

『切・呪リeッTぉ』

 

「……!」

 

 少年は振り返り、彼女達が放った技を見定める。が、二人は攻撃が命中することを確信していた。

 前方からは複数の鋸。左右からは回転する刃。逃げ場を与えない見事な狙いだった。如何に少年が巨大な剣を振るおうとも、流石にこの数を全て斬り堕とすことは簡単ではないであろう。

 ―――だが。

 それは、少年に防御の手段がなければの話である。

 少年は剣を地面に突き立て、そっと目を閉じる。

 討ち取った。二人がそう思ったのも束の間。少年は両手で地面を叩き、呼ぶ。

 二つ目の―――天使の名を。

 

「―――〈氷結傀儡(ザドキエル)〉!」

 

 その名が呼ばれた直後、少年の足元の地面から、何かが飛び出した。

 それは、巨大な兎の人形だった。だが、それはシルエットだけを見た印象。その口は大きく裂けており、少しだけ開いた隙間から怪獣のような獰猛な牙が見える。

 

『ウォォオオオオオオーーーーーッッッッ!!』

 

 まるで、凶悪な怪獣のような雄叫びを上げる兎。その雄叫びと共に放たれた冷気の嵐が二人の技を包み込み、それらを完全に凍りつかせ、力なく落下させた。

 

「な……!?」

 

「デ、デース!?」

 

 思いもよらぬ伏兵の登場に、二人は驚きを隠せなかった。そして、それは大きな隙となる。

 

「―――フッ!」

 

 兎の人形が溶け消えると同時、少年は再び剣を握って地面を蹴り、地面に着地した二人に向かって飛んで行く。

 武器を構える二人。しかし、少年の飛行速度は二人が防御態勢を取るほんの僅かな時間よりも速く、二人が武器を振りかぶった時には、少年は二人の間をすり抜けていた。

 

「「⋯⋯⋯⋯え?」」

 

 二人が呆けた声を発したのは、少年の目にも止まらぬ速さに圧巻したから、というのは、二秒前の話。

 二人のアームドギアが破壊されたことに、気付いたからであった。

 

「そ、そんな……!?」

 

「速すぎるデース! というか、さっきより速くなってるデス!」

 

「ならば、同じ速さで推し通る!」

 

 ここで、装者の中でも屈指の機動力を誇る翼が、その剣を少年に振りかざす。

 両脚部のブレードに備えられたバーニアを駆使し、相手を翻弄する不規則な機動で少年に接近。その手に握る刀で、少年の大剣と対峙する。

 

「フッ、イヤァァッ!」

 

「………………」

 

 火花を散らし、幾度となく斬り結ぶ刃と刃。

 翼は剣を交えながら、少年の表情に注視していた。

 

(何だ? この違和感は、一体……?)

 

 翼は疑問を抱いていた。

 自分と刃を交え戦う、自分よりも少し年下に見える少年。しかし、その力は絶大で、現に自分の仲間達は彼の力の前に為す術なく武器を破壊されてしまった。

 なのに。

 この少年からは、感じないのだ。

 

 戦う者、戦士ならばあって当たり前のものが。

 

 その疑問は、やがて翼に隙を生じさせた。

 

「―――ハァッ……!」

 

「……!? ぐぁ……ッ!」

 

 繰り返される打ち合いは、少年が制した。違和感に気を取られた翼が刀を出し遅れた一瞬の合間に、少年のフルスイングによって振るわれた大剣の腹が刀を捕らえ、翼ごと吹き飛ばしたのだ。

 宙を舞いながらも、翼は何とか体勢を整え、無難に着地する。再び少年に接近しようと、バーニアを起動させようとした。

 

 その時。

 三つ目の天使が、顕現した。

 

「―――〈刻々帝(ザフキエル)〉!」

 

 その名が呼ばれると、少年の足元の影が蠢き、その中から古式の歩兵銃と短銃が現れ、少年の両手に収まった後、影から一際大きなエネルギーが少年の背後に蟠り、針無しの巨大な時計盤を形作った。

 それだけではない。少年の左目の色が金色に変わったかと思いきや、外側にⅠ~Ⅻの文字が刻まれ、長針と短針が現れ、少年の左目は時計と化した。

 

「なに!? 手で持てる武器は剣だけではないのか!?」

 

 驚愕に目を剥く翼を気にせず、右手に歩兵銃、左手に短銃を握った少年は、時計の文字盤に刻まれたⅦの文字から溢れた影を吸い込んだ銃口を翼に向け、両の引き金を引いた。

 

七の弾(ザイン)

 

 銃口から発射された二つの弾丸。だが、この程度であれば、翼が回避するのは簡単だった。伊達に、ガトリング砲を武器とする後輩を持っていない。翼は一発目を回避し、二発目を刀で斬り裂こうと刀身をぶつけた―――刹那。

 

 翼の動きが、完全に止まった。

 

「翼さん!?」

 

 突然の出来事に、響が叫ぶ。少年の銃弾を見事に防ぎきったかに見えた翼が、突然動かなくなったのだ。今の響の叫び声にも、一切反応しなかった。

 少年は動かない翼に、ゆっくりと近づいていく。そして、右手に持った歩兵銃を、翼の武器全てに向けて発砲した。武器は破壊されていない。代わりに、弾痕とひび割れだけが残っている。撃ち終えたのか少年は銃を降ろし、翼から響の方へ向けて歩み出した。

 少年と翼の距離が離れていく。響との距離が最初の半分に縮まった頃、動きが止まっていた翼がようやく動き出した。そして、少年に撃たれた武器の根元が、全て砕かれた。

 

「……え? 何が……?」

 

 翼は酷く混乱していた。無理もない。彼女からすれば、銃弾を斬った次の瞬間、武器が全て破壊されていたのだから。

 そんな彼女には目もくれず、少年は響と対峙していた。

 少年は再び巨大な剣を構え、その切っ先を響に向けた。

 

「次は君か……?」

 

 酷く疲れたような、何かうんざりしているかのような口調で、少年は問う。あれだけ余裕を保って戦っていたというのに、あれだけ圧倒的な力を持っているというのに、何をそんなに気だるげになることがあるのか。

 

「どうして……」

 

「……?」

 

 響は問わずにはいられなかった。

 

「どうして、翼さん達と戦ったの……?」

 

 響には、少年の考えていることがわからなかった。

 巨大な爆発を伴って現れた、圧倒的な力を持つ少年。その身に纏う鎧を除けば、どこにでもいる響と同年代の子供にしか見えない彼が、何を思って翼達と戦ったのか。

 

「何故って……」

 

 答えは、少年の口から、まるで常識を唄うように発せられた。

 

 

「君達は、俺を殺しに来たんだろ?」

 

 ―――だから、殺されないように戦った。

 

 

 そう答えた時の、少年の瞳は。

 酷く、悲しげだった。

 

「…………ッ!」

 

 その瞳を、響は知っていた。

 いや、身に覚えがある。と言った方が正しいだろうか。

 何故ならそれは―――、

 

 人に否定され続け、目に映るもの全てに絶望を抱いた者だけが持つ瞳だったのだから。

 

「……違う」

 

 響の意思とは関係なく、その言葉は出ていた。

 

「そんなわけ、ない……ッ!」

 

「…………え?」

 

 響の口から放たれた、少年の言葉を真っ向から否定する言葉に、少年は虚を突かれたような声を発した。

 

 この時、二人は気付かなかった。

 響を呼ぶ、クリスの声に。

 クリスに残されていたミサイルが、自分達に接近していたことに。

 ほんの、ほんの一瞬早く、少年はそれらに気付いた。

 それは、ミサイルが二人に着弾する、本当に一瞬前のことであった。

 

 

 

 もうもうと立ち上る煙を前に、雪音クリスは膝を付いた。

 身体的大ダメージを受けたからではない。自分の犯した過ちを、受け止めきれなかったからだ。

 

「あ……あ……」

 

 仲間が剣の切っ先を向けられているのを見て、クリスは自分に残されていた武器であるミサイルを、数十発放った。無論、響が巻き込まれる可能性はあった。だから、クリスは響に「避けろ」と叫んだ。一度しか言わなかったのは、少年に気付かれるリスクを考慮してのことだった。最初のように調の協力を扇がなかったのも、二度も同じ手が通用するとは思えなかったからだ。

 今思えば、別に気付かれても良かったのではないか。ほんの一瞬、響から注意を逸らせれば、響は脱出できたかもしれないのに。

 たった一度の呼びかけでは、響の耳には届かなかった。響は少年と共にミサイルの嵐に飲み込まれた。少年は着弾の寸前に気付いたようだが、とても回避できたとは思えない。

 

「…………あ」

 

 呆然と、声が漏れる。

 煙が晴れ、丁度人一人分の影が現れる。一瞬、響かと思ったが、その期待はすぐに裏切られた。

 立っていたのは少年だった。あれだけのミサイルをその身に受けて尚、少年は立っていた。

 仲間を巻き込んでまでしても、あの少年を倒すことは不可能だというのか。これでは、クリスはただ仲間を攻撃しただけも同然である。

 

「……あ、あたしは…………」

 

「雪音! 見ろ!」

 

 呆然と呟くクリスに、翼が驚いたように叫ぶ。

 何に驚いたというのだろうか。気になったクリスは翼が向いている方、少年が立っている方を見る。

 そこには、先程は煙のせいでよく見えなかったが、左手を大きく広げた少年が立っていた。

 その格好が何を意味しているのか、クリス達はわからなかった。少年は広げていた腕を力なく降ろすと、地面に片膝を付いた。

 そして、その後ろが目に映る。

 そこには、ほんの僅かに煤けたギアを纏った立花響が、目立った外傷もなく立っていた。

 

「ひ、響!!」

 

 巻き込まれたはずの仲間が無事だったことへの安堵からか、クリスは普段、滅多に呼ばない彼女の名前を叫んだ。

 

 

 

「……あ、あれ? 私、何で……」

 

 ミサイルを撃ち込まれ、それでも自分が無事だったことに、響は少し遅れて疑問を抱いた。

 一体、何が起きたというのか。何故、自分は無傷なのか。クリスが放つミサイルの破壊力は響も知っている。それを大量に食らったのだから、無事では済まないはずだ。

 なのに、どうして―――。

 

「……あッ!」

 

 そこで響は、目の前であの少年が膝を付いている姿を見つける。

 あれだけの力を持つ彼が、どうして? その疑問を抱くよりも早く、響は彼に駆け寄った。

 

「君、大丈夫!?」

 

 少年の前に立ち、彼と同じ目線になるようしゃがみ、彼の容体を確認する。一見、目立った外傷は見受けられなかったが、一瞬にして響の意識は彼の左手に集中させられた。

 少年の手を覆っているグローブはボロボロに破れ、その下の肌は、まるで高熱の鉄球を一分以上鷲掴みにしたかのように焼け爛れていた。

 

「酷い……早く手当てを……!」

 

 彼の手を取ろうとする響。だが、少年はその手を払いのけ、何事もなかったかのように立ち上がった。

 

「…………随分短気な女の子がいたもんだな」

 

 その冷たい声は、膝を付いたままこちらを見つめるクリスに向けられていた。

 

「俺が怖いのはわかるけど、ちょっとは頭使えよ。俺が庇っていなかったら、今頃この子は俺の左手と同じことになってたぜ」

 

「……くッ」

 

 クリスは自分に向けられた言葉だとわかると、苦々しげに歯を食い縛った。

 それを見た少年は、それで満足したのか、左手を見て何かを呟いていたが、あまりに小さすぎて、すぐ側にいる響にも聞こえなかった。

 だが、これだけは聞こえた。

 

「……引き止めて悪かったな―――〈灼爛殲鬼(カマエル)〉」

 

 四つ目の天使が、顕現された。

 その名が呼ばれた瞬間、少年の左手の傷に青白い炎が灯った。

 

「わ、わぁぁああーーーッッ!! 何やってんの!? 更に火傷しちゃうよ!」

 

 当然、この異様な光景を目の当たりにして、響が冷静でいられるはずがない。傷口に塩を塗るような少年の奇行に驚き、その炎をマフラーをはためかせて消そうとする。

 

「ちょっ、止めろ! 確かに熱いけど、別に火傷しないから!」

 

「傷ごと抉るのはクリスちゃんの歌で聞き慣れてるつもりだったけど、傷口を焼くなんて初めて聞いたよ! 早まらないで!」

 

「俺の話を聞け! ってか傷ごと抉るってなんだそれ怖いなっ! 俺は大丈夫だから! もうすぐで……」

 

 ―――と、緊迫していたはずの空気の中で、何故かコントのようなことをしだした二人。これでも本人達は真面目なのだから、余計に質が悪い。

 

「……よし」

 

 炎を消そうとしてくる響を抑えること数分。少年の額と左手に燻っていた炎が消え、元の何の外傷もない肌が現れた。

 

「……え? どういうこと?」

 

「治癒能力だよ。さっき俺が見せた力の一種だ。これがある限り、俺はそう簡単に死なない。痛みは普通に感じるのと、治すときは普通に熱いってのが、欠点だけどな」

 

「へぇー……って、何でそんなに詳しく教えてくれるの?」

 

 妙に親切に自分の能力を開示してくる少年に、響が問うと、少年は後頭部をかきながら答えた。

 

「……さっき、君が言ったんだろ。俺を殺しに来たわけじゃないって」

 

「う、うん……それが?」

 

「俺は、人を信じるのは嫌だけど、あれだけ真剣な顔してたヤツの言葉を、その……頭ごなしに否定したくないんだよ」

 

「…………」

 

 少し、顔を赤くしながら言う少年の言葉を聞いて、響は悟った。

 

(この人、お人好しなんだ……!)

 

 人を信じられないと言っておきながら、真剣な人の言葉は真摯に受け止めようとする。相手が真剣かどうかを見極められるのかどうかに限らず、百パーセント相手の態度を読み取れるわけがない。

 更に、さっきクリスに向けて放った言葉、あれは響とクリスのことを思って言ったように取れる。そういうことに関する響の勘は甘い方向に捉えがちだが、さっき治癒能力を抑えこむようなことを呟いていたことから、敢えて傷を回復させていなかったように思える。すぐに治せるのであれば、態々クリスに傷を見せつける必要などない。

 極めつけに、彼の怪我だ。

 響はその目で見たわけではない。だが、これしか思いつかない。

 彼の左手の怪我は、クリスが放ったミサイルを剣で斬り防いだ後、斬り損ねた残りのミサイルを左手で払いのけてできたものだった。

 これだけの要素が結集すれば、この少年の人物像を割り出すことは簡単である。

 

 この少年は、決して悪人などではない。

 人を思いやれる心を持った、心優しい少年である。

 

 そうとわかれば、響がやることは一つ。

 

「あの!」

 

「……ん?」

 

 響の呼びかけに少年は反応する。

 

「私とお話しませんか?」

 

『……………………』

 

 響が笑顔で放った言葉に。

 二人の動向を伺っていた翼達が、言葉を失った。

 

「お話……交渉しようってことか?」

 

「それでもいいけど、私は、ただの私として、あなたと話したいの」

 

「……良いのか? 俺は君の仲間から敵だと思われてるみたいだけど」

 

「翼さん達は関係ないよ。私の個人的な思いつきなんだから。……それに」

 

 そこからは、響も無意識に発していた。

 それが、翼達を我に返すには、十分に過ぎていたとも知らず。

 

「君に……興味があるから」

 

『なぁっ!?』

 

 投下される爆弾発言。しかも、照れ隠しの赤面頬ポリポリのおまけ付き。響本人には一切自覚がないが、そこそこ容姿の整った彼女がするその仕草は、年頃の男子をときめかせるのに十二分の破壊力を有していた。

 そして、それを向けられた恐らく響と同い年の少年、つまり年頃の男子は、断るという選択肢を持たなかった。

 

「……わかった。今すぐには無理だけど、時間ができたらこっちから迎えに行く。それで良いか?」

 

「大丈夫! 私、この格好する時以外は基本暇だから!」

 

「ハハッ……。じゃあ、また今度な」

 

「うん! またね!」

 

 そんなやり取りの後。

 少年は、まるでこの世界から離れて行くかのようにして、光となって消えた。

 だが、響には、会えなくなるかもしれないという不安はなかった。

 何故なら、別れ際の少年の顔は、友達と約束をした幼子のように、晴れやかだったから。




響「第二話、終わったね」

十香「終わったな」

響「いやー、あの人強かったなー! 私は直接戦ってないけど、もう別次元って感じがしたね」

十香「そうだろうそうだろう!? やはり〈鏖殺公〉は最強の天使だな!」

主人公「おいお前ら! もう後書き始まってるぞ! 自己紹介自己紹介!」

響「わわっ! 本当だ! ……コホンッ。戦姫絶唱シンフォギアD、第二話、読了ありがとうございました! 原作主人公の立花響です!」

響「今回から、後書きでシンフォギアサイドのキャラクターとデートサイドのキャラクターによるトークをやっていきたいと思います! 今回は私と……」

十香「デート・ア・ライブ、メインヒロイン兼もう一人の主人公の夜刀神十香だ! よろしく頼む!」

響「はじめまして十香ちゃん! いやー、こうやって私達が話せる日が来るなんて、夢みたいだよー!」

十香「私もだ! 響は食べることが好きなのだろう? きっと私達は気が合うと思っていたのだ!」

響「本当!? じゃあじゃあ、これ終わった後、私のオススメのお好み焼き屋さんがあるんだけど、一緒に行く?」

十香「勿論だ! その後は、私オススメのきなこパンをご馳走するぞ!」

響「きなこパン!? 何それ美味しそう! どんな味なの!?」

十香「ふっふっふーん。それはだな……」

 ―――一時間経過。

十香「という訳で、きなこパンは至高の美味なのだ!」

響「至高の美味……美味しそう……ジュルリッ」

十香「気になるか!? ならば早速食べに行くのだ!」

響「おー!」

『…………………………………………』

主人公「……え? ……は?」

主人公「マジで食いに行ったのかあいつら!?」

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