戦姫絶唱シンフォギアDAL   作:援道未知

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 またまたお待たせしました。響の服装を考えてたらこんなことに……。自分の知識不足が怨めしい。そして、劇場版デアラの限定版BDを買って良かった……。

 多分、これからもこれくらいの投稿ペースになると思います。亀更新で稚拙な作品ですが、これからも宜しくお願いします。

 令和ライダー一号、仮面ライダーゼロワンが始まりましたね。ようやく、僕らの令和がスタートしました。


過ぎ行く時間は、新たな自分を生む

 風鳴翼は、妙に新鮮な気持ちで街中を歩いていた。

 彼女がこの街のアスファルトに足を付ける時というのは、大きく分けて二つの状況がある。

 一つは、プライベートでの外出。リディアンを卒業してからも、仲間達と食事をしたり、ショッピングに出かけることがある。その一時は、翼に防人としての自分を忘れさせ、一人の年頃の少女と化させる。

 もう一つは、防人として戦場を駆ける時。この街とて、万年平和という訳ではない。S.O.N.Gが対処するような災害が発生することも少なくなく、響や翼が命を賭して駆ける場所とも成り得るのだ。

 今、翼はここへ、私服姿で来ている。彼女のもう一つの顔を考え、周囲に風鳴翼と知られないよう、帽子とサングラスで素顔を隠していること以外は、普段の彼女の出で立ちのまま。

 すなわち、今はプライベートでの外出である。という訳ではない。格好はプライベート用だが、彼女がここに来たのは、防人として戦う為である。

 

 つい十分前、昨日翼達が戦った謎の少年、『アーリーデウス』が扱う力の反応が、今翼がいるこの街の中で探知された。

 絶大な力を誇る彼が、この街でその力を使った。彼の力をその身で体感した翼にとって、それがどれだけ危うい事態であるかは明白である。

 これに際し、弦十朗は響を除く装者全員に出動を命じた。現状、街に被害が出ていないことを考え、『アーリーデウス』を発見次第、殲滅ではなく監視を行うように、という趣旨の指示を出して。

 

(些か納得はいかないが、街中で事を構えては、市民を捲き込み兼ねない……)

 

 翼としては、『アーリーデウス』を発見次第、即時殲滅という考えだが、状況はそれを許さない。防人とは、一般市民を捲き込んでまで敵と戦う存在ではないのだ。

 

「……しかし、本当に『アーリーデウス』の反応があったのか?」

 

 翼は、先程から抱いていた疑問を口にする。

 彼の力は、草原に巨大なクレーターを作り出すだけの力を持っている。翼の想像でしかないが、軽く手を振るだけでビルの一つや二つは切断してしまいそうだ。

 そんな力を使ったにしては……、

 

「平和過ぎる……」

 

 街には、一切の危機らしきものが見当たらなかった。

 人々がそれぞれの目的地へと闊歩し、建ち並ぶ店は普通に営業し、ビルの壁面に備え付けられたモニターには派手な広告映像が流れていた。

 翼自身、響やクリス達のように、頻繁に街に出かけることはないが、これが至って普通で、平和そのものの光景であることは、重々理解していた。

 

「こちら翼。そちらはどうだ? 雪音」

 

 翼は自分と別れて行動するクリスに通信を繋げる。広い街中ということもあって、装者達は各々別れて街を徘徊しており、『アーリーデウス』を発見次第、全員が集合して監視を続けることとなっている。これは、昨日の戦闘から装者一人ではまず勝てないことを確信した弦十朗から、幾重にも厳しく言い含められている。

 

『どうもこうも、至っていつもの光景だぜ。バカ共に連れ回されて来る時と変わんねぇよ』

 

 どうやら、クリスの方も同じようだ。

 

「私の方も同じだ。いつもと変わらない、平和な街そのものだ」

 

『こっちも変わりなし。同じく平和よ』

 

 割って入ってきたマリアからの報告も、収穫を得られるものではなかった。

 残っているのは、元々街に出ていた調と切歌。二人には、先んじて弦十朗が彼女達に何か見たかと尋ねたが、調が代表して見ていないと答えていた。念のためと、二人にも街を徘徊してもらっているが、最初から街にいた二人が何も見ていないとなれば、望みは薄い。

 などと考えていたら、噂をすればなんとやら、調から通信が入ってきた。

 

『『アーリーデウス』を発見しました!』

 

「何!? 本当か!?」

 

 まさかの報告に、翼は人の目も気にせず声を上げてしまった。

 場所を聞いた翼は、早速その場所へ向かう。聞けば、翼がいる地点からかなり近い所だった。

 

「月読! 『アーリーデウス』は!?」

 

 調と切歌がいる路地裏に一分もかからず到着した翼は、早速調に問う。

 

「あそこです! あの灰色のパーカーの人!」

 

 調が指差す先。何てことのない、両脇に店が建ち並ぶ通り。そこを、一人の少年が歩いていた。その少年が辺りを見回そうとして、顔を振った時、その横顔が伺えた。

 青銀の髪に、琥珀色の瞳。

 間違いなく、翼達が追い求めていた少年、『アーリーデウス』だ。

 

「『アーリーデウス』……っ!」

 

 彼の姿を確信した瞬間、翼の中で闘志が沸々と湧き上がる。

 昨日の戦いで、彼は翼達に手加減をしていた。身体には一切触れず、武装だけを狙う甘い戦い方。しかも、それで翼達を圧倒して見せた。

 まるで、自分達などただの女であるかのように。

 翼はそれが許せない。これまで、数々の脅威から世界を守ってきた自分達の力を侮辱されたことが。

 

「センパイ!」

 

 翼が闘志を滾らせていた時、クリスとマリアが合流した。

 

「クリス先輩! マリア!」

 

「遅れてごめんなさい。それで、『アーリーデウス』はどこ?」

 

「あそこ。さっきからずっとキョロキョロしてる」

 

「なんだァ? 何か探してるってのか?」

 

「奴が何を探していようと関係ない。監視を続けるぞ」

 

 翼にとって、『アーリーデウス』の目的はさほど重要ではなかった。

 今重要なのは、彼がその力を奮った時、自分達がその対処をするということ。余計なことは全て無視し、『アーリーデウス』の監視だけに集中する。

 

「奴が少しでも怪しい動きを見せ次第、我々は攻撃を仕掛ける。各員、絶対に奴から目を離すな」

 

「「「了解」」」

 

 翼の一言で、全員が身を引き締める。

 相手は、昨日の戦いで自分達を圧倒した未知の存在。その目的は不明だが、殲滅命令が出ている以上、翼達は何があろうと、彼と戦わなければならない。

 かなり厳しい戦いになるだろうが、人類を守護する者として、人類に害をもたらす災厄を駆逐する。

 それが、シンフォギア装者の在り方なのだ。

 

 

 この時、調と切歌が、悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべていたことに、誰も気付かなかった。

 

 

 

 時は、数分前に遡る。

 創世、詩織、弓美の三人に連れられる響と声繋を、店から少し離れたカフェにあるテラスから見守っていた調と切歌。

 二人のデートを陰ながらサポートすることを決意し、自分達の策略の通りに事が運んでいることで勢い付いていた二人だったが、そこへ弦十郎から『アーリーデウス』の捜索命令が下り、どうすべきか頭を悩ませていた。

 そんな時。

 

「そこの黒髪の娘と金髪の娘!」

 

 このタイミングで、聞こえるはずのない声が聞こえてきた。

 声のした方向を向くと、そこにはパーカーとチノパンに身を包んだ少年、『アーリーデウス』が急いだ様子で二人のいる席に向かって来ていた。

 

「デデデデース!? な、何デスか!? 何でここに『アーリーデウス』がいるデスか!?」

 

「『アーリーデウス』!? 俺そんな風に呼ばれてんの!?」

 

 二人がいる席に着くなり、『アーリーデウス』はやけにショックを受けたように驚いていた。どうやら、S.O.N.Gが考えた名前はお気に召さなかったようだ。

 

「って違う! きみ達、俺と響のデートをサポートしてくれてるんだよな!? だったら頼みがあるんだ!」

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「良いか? 良く聞いてくれ。もうすぐここに、きみ達の仲間がやって来る。彼女達の目を欺くために、俺は自分の力で作った分身を街中で歩かせる。それをきみ達が追って、他の仲間達を俺達から遠ざけてほしいんだ!」

 

「だから待って! どうして私に協力を求めるんですか!?」

 

 いきなり訳の分からない作戦内容を伝えられ、調は思わず叫ぶ。

 響と違い、調と切歌は『アーリーデウス』と直接交戦をしている。自分達がサポートをしていることをどうやって知ったのかはともかく、それを彼が受け入れ、自分達に協力を求めてくるのは余りにも常識外れだ。正直、神経を疑うレベルである。

 

「ごめん、今は詳しく話せない。ただ、俺は元々きみ達に敵意は無いし、仮に裏切られて攻撃されても俺がやられることなんてまずないから」

 

「あなた完全にアタシ達を格下だと思ってるデスね!」

 

「ってそんなことどうでも良い! とにかく、何も言わず俺の言うことに従ってくれ! 響とのデートをこんなところで終わらせたくないんだ!」

 

「…………っ!」

 

 必死に訴える彼を見て、調は悟った。

 彼は、何かを求めている。

 このデートを終えた先にあるもの、彼はそれを得ることで、何かを為し遂げようとしているのだ。

 それが何なのかが分からない以上、無闇に承ることはできない。彼との対話に協力してきた調だが、今はまだ、彼を信用できる段階ではない。調と切歌が助けようと思ったのは、あくまでも響の方なのだ。

 だから、調は先に問うた。

 

「貴方は、響先輩とのデートが終わった後、何をするつもりなの?」

 

「…………ッ!?」

 

『アーリーデウス』は、何故? とでも言いたげな表情を浮かべた。

 調の予想は当たっていた。やはり、『アーリーデウス』は何かを求めている。

 

「私達は、あくまでも響さんの味方であって、貴方の味方じゃない。貴方が何かを企んでいて、その為に響さんを利用しているのなら、貴方に協力はできない」

 

「…………」

 

『アーリーデウス』は何も言わない。調が予想を当てた時から、どこか動揺した表情を浮かべ続けていた。

 それにしても、妙なものだと、調はふと思う。

 昨日、自分達と戦った時は、どこか淡々と、一切の感情を捨てているような印象が見受けられたが、今目の前にいる彼は、まるでどこにでもいる普通の少年のような、自分達シンフォギア装者とは違う、戦いとは無縁の中で生きてきたような雰囲気を漂わせている。

 幼い頃から、戦う為の訓練を受けさせられてきた調には、彼が力を持つ覚悟のある者には、若輩者の目からでも見えなかった。

 そんなことを考えていた時。

『アーリーデウス』は、その表情を僅かに笑みを浮かべたものに変えた。

 

「……やっぱり、違うんだな」

 

「え……?」

 

「こうやって、俺が何を考えているのか、それを知ろうと話し掛けてくれるんだから、少しは希望を持てそうだ」

 

「な、何を……」

 

 突然勝手に独り言を漏らし始めた彼に、調は困惑する。

 次の瞬間、彼は妙にすっきりしたような表情を浮かべていた。

 

「確かに、俺は響とのデートで、何かを得ようとしていた」

 

「やっぱり……。響さんをどうするつもりなの? 内容次第では……」

 

「まぁ、今気付かされたんだけどな」

 

「えっ!?」

 

「デスッ!?」

 

 まさかの発言に、二人揃って驚きの声を上げる。

 彼の言っていることが本当なら、この少年は目的も不明瞭なまま、敵対関係になり得る相手とデートをしていた間抜けということになる。

 

「本当、自分でも驚くよ。人を信じることができないはずなのに、気付いた時には女の子とデートしてた。自分でも自分を間抜けなやつだと思ってたけど、心に刻まれた恐怖も忘れていたなんてな……」

 

「え……?」

 

 恐怖。その言葉に、調は意外な気持ちでいっぱいになった。

 シンフォギアを圧倒する力を持っておきながら、何かを怖いと思うことがあるというのか。

 

「けど、さっききみが言ってくれたおかげで、自分がどうしたいのか分かった。だから、ありがとな」

 

「ど、どういたしまして……?」

 

 何故だか分からないが、お礼を言われたので思わず返してしまう調。その間、切歌は何がどうなっているのか分からず、デスデス言いながら首を左右に振っていることしかできなかった。

 

「……って、ヤッバ! 長話してる場合じゃなかった! とにかく、きみ達はどこか適当な所で待機しててくれ! 分身はちゃんと向かわせるから!」

 

「ちょ、ちょっと待って! まだ、貴方の目的を……!」

 

「それから、俺の名前は声繋だ! 声を繋ぐと書いて声繋! さっき響に貰って気に入ってるんだ! 『アーリーデウス』なんて恥ずかしい呼び方は勘弁してくれよ! じゃあな!」

 

 最後にそれだけを残すと、『アーリーデウス』―――声繋は走り去って行った。残された二人は、声繋の背中を見送ることしかできなかった。

 

「い、行っちゃったデス……」

 

「うん……」

 

 結局、声繋が何を求めているのかは聞けず終い。勝手に作戦を与え、勝手に一人で何かを納得して、勝手に助言を受けたことにして、勝手に名前を名乗っていくという、勝手尽くしな会話をしただけだった。

 

「……で、どうするデス?」

 

「……色々納得できないところはあるけど、あの人の作戦なら、翼さん達を遠ざけることができる。けど……」

 

 正直なところ、不安である。

 彼には不可解な点が多すぎる。何故彼が翼達が来ると知っている? 自分の力で作った分身? それを追って遠ざけろ? 常識外れな事件ばかり解決してきたとは言え、少しは常識に沿った言葉を選んでほしい。異質な存在だからといって、見た目人間なのだから人間の常識に理解を深めるべきだろう。

 第一、何が目的なのか本当に不明だ。本人曰く、自分でも分かっていなかったとのことだし、それも本当なのかすら疑わしい。

 だが。

 

「あの人の、響さんとデートしたいって思いには、多分、そういう思いしか籠っていないと思う」

 

「……デスね!」

 

 彼は、声繋は本気だった。本気で、響とのデートに励みたいと思っていた。恋愛とは無縁の人生を歩んできた二人だが、一年に満たない女子高生生活で培った二人の女の勘は、確かにそう感じていた。

 彼の目的がどうあれ、このデートを成功させなければ、何も始まらない。ならば、とことん付き合ってやろうではないか。

 彼の非常識に。

 

 

 

 調と切歌が、翼達を連れて声繋の分身を追いかけ始めた頃。

 ブティックに戻った声繋を、響達が迎えていた。

 

「……ど、どうかな?」

 

「……………………」

 

 声繋は何も答えない。店に入ってすぐ、三人娘に試着室の前まで連行され、カーテンが開くと共に現れた響に向け、永遠に変わらない困惑顔を浮かべているのみだった。

 

「ど、どうしたの? もしかして、似合ってない?」

 

「……………………」

 

「……ねぇ。何か言ってほしいな~……なんて」

 

「……………………」

 

「…………お願いだから、何か喋ってよ……」

 

「……………………はっ!」

 

 何度目かの呼び掛けで、声繋はようやく表情を動かした。

 

「大丈夫……?」

 

「ご、ごめん……。何か、太陽を零距離で見たような気分になった……」

 

「それってどんな気分……?」

 

「眩しさと、熱さと、ドキドキが襲いかかって来るんだ……」

 

「……えぇっと、つまりどういうこと?」

 

「この作戦を実行した数分前の俺に、ありがとうの言葉を贈りたい」

 

「もっと具体的にお願いします!」

 

「俺が今まで見てきたどの女の子よりも可愛い」

 

「ふあっ!?」

 

 長い長いやり取りを終えて、ようやく声繋の口から感想を貰えた響は、あまりにもオーバーな反応に頭部がヒートさせられた。

 しかし、声繋の反応は間違いではない。

 現在の響の装いは、薄水色のショートデニムジャケットの下に、淡い黄色で縁取られたワンピースタイプのフリルスカートという、涼しくなり出した今の時期に合わせた服装となっていた。

 三人娘によってコーディネートされた今の響は、好きな物はご飯&ご飯で全力全快一直線な戦乙女から、男子とのデートに全力を注ぐ麗しの乙女へと大変身していた。

 

「いやー……。自分たちでやっておいてあれだけど、凄いことしちゃったね……」

 

「いつもは動きやすい服装ばかりを選ぶ立花さんですが、オシャレを優先させるだけでこんなにも印象が変わるなんて……」

 

「常々アニメみたいな娘だとは思ってたけど、こんな変身までしたら完全にアニメだわ……」

 

 三人も、まさかここまでの大変身が起きるとは思っていなかったらしい。

 しかし、一番驚いていたのは、他でもない響本人だった。言われるがままにあらゆる服に着替えさせられ、いざ終わって姿見を見れば、そこには自分の知らない美少女が。まさかそれが自分だとは欠片程も思わず、しばらく他人だと思って見とれていた程だった。

 普段、自分に女性的魅力を感じない響からすれば、この変身は、初めてガングニールを纏った時に近い衝撃を感じさせられるものだった。

 

「………………」

 

「………………」

 

 二人の間に、形容し難い沈黙が訪れる。

 片や、今の自分の格好に戸惑いを覚えている者。

 片や、目の前の相手の美しさに対して心の整理が出来ないでいる者。

 何を話して良いのか分からない二人を置いて、時間だけが過ぎて行った。

 そんな二人に、弓美が時間を思い出させる一言を放った。

 

「そう言えば、あんた達この後どうするの?」

 

 その言葉で、二人は時間というものの残酷さを思い知らされた。

 

「そうだ! 映画!」

 

「おいマズイぞ! このままじゃポップコーンとジュースが買えなくなる! 俺、ポップコーン食べたことないから楽しみにしてたのに!」

 

「とにかく急ごう! 皆、ありがとう! このお礼はいつかするから!」

 

「あ、ビッキー! このカバン持ってって! その格好で学生鞄は女子高生的にマズイって!」

 

 慌ただしく騒いだ後、響と声繋は店を後にした。

 店を出た後も、二人は走る。映画の上映時間までそう長くはない。予告時間を引けば何とか間に合うかも知れないが、かなり厳しい状況だった。

 

「ごめん! 俺が変に回り道したから!」

 

「ううん! 声繋が作戦を立てなかったら、翼さん達が来てたかも知れないから! そう言えば、作戦って何だったの?」

 

「ツインテールの娘と金髪の娘に、俺の分身を使って仲間を撹乱してくれって頼んだんだ! 今頃、俺達とは反対方向に向かってるはずだ!」

 

「分身!? 声繋って忍者なの!?」

 

「いいや、俺の分身は忍者より凄いぞ! 何しろ実体がある上に自我を持ってるからな!」

 

「実体!? 自我!? 何かわたしの知ってる分身と違う! そんなのどうやって生み出すの!?」

 

「細かいことは話せる時に話す! 今はとにかく走れーー!!」

 

「そうだったーー!!」

 

 この時、靴だけは前のままにしたことを、響は心の底から良かったと思った。




マリア「ハァ……ハァ……ハァ……」

美九「戦姫絶唱シンフォギアD、読了ありがとうございますー! デアラでアイドルをやってる誘宵美九ですー!」

マリア「ハァ……ハァ……ハァ……」

美九「今回のあとがきトークは、私こと美九と、シンフォギアのアイドル大統領、マリア・カデンツァヴナ・イヴさんの、ダブルアイドルでお届けしますー!」

マリア「ハァ……ハァ……ハァ……」

美九「マリアさん、もうあとがきトーク始まってますよー?」

マリア「ハァ……ハァ……ちょっと……休ませて……」

美九「何言ってるんですかマリアさん! 前回の感想で、私達のあとがきトークを楽しみにしていると言って下さった方の為にも、私達はあつーいあとがきトークをする義務があるんですよ!」

マリア「貴女が出会い頭に私を追いかけるから疲れたのよ! 何故、躊躇いなく女同士でキスしようとか宣えるのだ!?」

美九「だってー、マリアさんの大人の魅力に吊られてー」

マリア「腹立つ! 貴女みたいなぶりっ子口調な娘を見てると腹立つ! カリオストロを思い出すわ!」

美九「カリオストロさんってあれですよねー! 元々男の人だったのに、錬金術で女の人になった人ですよねー!」

マリア「そ、それがどうかしたの?」

美九「どうか詳しく! その錬金術を使えば、だーりんを女の子にできるじゃないですかー!」

マリア「あ、貴女、自分の登場作品の主人公に対して何てことを考えるのよ!? 仮にも恋愛対象でしょ!? 彼だけは特別なんでしょ!?」

美九「勿論! 男の子としてのだーりんもとても、とっても、とおおぉぉぉぉっっても素敵です! けど、やっぱり士織さんともお付き合いしたいんですー!」

マリア「何という筋金入りの百合! 私達の方に貴女みたいな人がいなくて本当に良かった……」

美九「あれ? 確か、そちらにいる私と同じ名前の人が……」

マリア「本編では一切言及されていないからセーフよ! ウェルだって愛と言っただけで、恋愛とは一言も言っていない! 」

美九「あらそうだったんですかー。私と話が合うと思ったのにー」

マリア「ややこしいことになるから止めなさい。というか、それを言ったら『「みく」という名前の女の子全員百合っ子説』が確立されてしまう!」

美九「いやですよーマリアさん。たった二人だけでそんな説が出来上がる訳ないじゃないですかー」

マリア「この期に及んで正論!?」

美九「それで、性転換の錬金術ってどうやるんですかー?」

マリア「まだそれ引きずるの!?」

美九「私は諦めません! 世界中の士織さんファンの為、私の野望の為、必ず錬金術をマスターしてみます!」

マリア「そんな野望、私が食い止めてみせる!
 Seilien coffin airget-lamh tron」

美九「きゃー! それがマリアさんのシンフォギアですかー!? 素敵ですー! 生で見られて感激ですー!」

マリア「怪我をしたくなかったら、今すぐその野望を捨てなさい!」

美九「きゃー! 格好いいですー! 痺れますー! では私も! ―――〈神威霊装・九番(シャダイ・エル・カイ)〉!」

マリア「それが貴女の霊装……って、何涎垂らしてるのよ!?」

美九「さぁー! 私達の熱い熱い戦いを始めますよー! ……ジュルリ」

マリア「い、嫌! こっちに来ないで! そんな邪な笑みでこっちに来ないでー!」

美九「マリアさーん! 待ってくださーい!」

声繋「……〈贋造魔女(ハニエル)〉使えば一発なんだけどなー」
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