「なんだって、たかだか不良の退治をあたいたちが。」
「葛城さん、文句ばかり言わないでください。」
「だって、大使館に潜入とか、極秘裏にVIPを護衛とかだと思うじゃねぇーかよぉ」
「その様な任務は、学校を卒業して立派な忍になってからです。」
文句ばかり垂れていた葛城を斑鳩がさとす。
「しかし、不良を探すのには、商店街も広いので手分けして探しましょうか。」
「そうですね。自分は裏路地とか探してみます。」
「じゃあ、飛鳥さんと四条さん、柳生さんと雲雀さん、私と葛城さんの二人一組で探しましょう。」
*******
飛鳥、四条ペア
「いないね、不良」
「うん。あれから1時間近く探してるのに〜」
商店街は、思った以上にに広く人通りが激しいため不良退治は難航していた。すると、どん、という鈍い音がする。
周りを見渡しながら歩いていたため、通行人とぶつかってしまう。
「あっ、すいませんでした。」
「いや、こちらも余所見をしてたからな。すまないな。」
四条は、ぶつかった相手の身長の高さに驚きを隠せなかった。180cmをゆうに超えているであろうガタイの良さは、いるだけで威圧感がある。
「すまないが君たちは、ここら辺りに住んでいるのか?」
「はい。そうですけど。」
「この場所まで案内してもらえないか?情けないがあまりこっちには来なくてな、道がわからんのだ。」
その場所を見ると他の半蔵学院のメンバーとの集合場所の近くだった。
「構いませんよ。ちょうど向かう方向ですから。」
と言って四条と飛鳥は歩を進める。
「そういえばお名前聞いてませんでしたね。」
「あぁ、すまないな。俺は黒城 城後だ。」
「黒城さん、短い間でさがよろしくお願いします。」
「こちらこそだ。」
「っ、四条君!」
飛鳥が慌てた様子で呼んでくる。
「どうした、飛鳥!」
振り返ると空の上に今から向かうであろう場所から忍び浪煙が上がっていた。不良と接触したのだろうか。考えが巡るがすぐさま飛鳥は駆け出していた。
「四条君、黒城さんの事お願い!」
「わかった、気をつけて」
「すいません飛鳥ちょっと用事が出来たみたいなんで僕だけで送りますよ。」
「あぁ、構わない」
黒城は少し遅れて返事をした。
(釣れたのは一枚か。まぁこいつは俺が相手してやるか。)
半蔵学院は危険な罠に足を踏み入れていた。
〜少し戻って集合場所〜
「柳生に雲雀じゃねーか」
「あっ、かつ姐に斑鳩さん。不良さんはいたんですか?」
「いえ、こちらには。」
「見た感じだとそっちも外れぽいな」
「あぁ、不良どころかそれらしい気配も感じなかった。まるでもう居ないみたいに静かだった。」
「飛鳥たちの方か、心配だな」
「あら、他人の心配なんて優しい忍なのね、貴方達。」
突然何も無かった所から殺気が放たれる。
「誰だ!」
血気盛んな葛城が声の主を探す。
「ここよ。」
と屋根の上から見下ろす人影が4つある。
「貴方達は何者ですか。」
「あら、名前を聞く時はまず自分からじゃなくて?」
「これだからお金持ちは嫌いなのですわ。」
(雲雀さん、浪煙を)
(うん!)
「なぁ、とっとと片付けて帰ろや。」
「まぁまぁ、そんなに慌てないで。今から貴方達、半蔵学院には、死んでもらうわよ。」
4人がそれぞれに襲いかかる。
その頃飛鳥
「早く集合場所に行かなきゃ。」
浪煙の上がった所へ全力疾走で向かう。一見落ち着いているようだったが内心はかなり焦っていた。たかが不良相手にしては、殺気が多いという事が引っかかっていた。
「一体どうなってるの?」
集合場所まであと少しといったところで正面に立ち塞がる女性が一人。
「ごめんなさい。今急いでるので。」
「お前が、あの半蔵の孫か。」
飛鳥はその言葉を聞いてとっさに距離を取る。
「なんで、そのことを。貴方は誰?」
「今から死ぬ奴に名乗る名などない!」
女は、鞘から6本の刀を引き抜いて切りかかってくる。
「っ!」
飛鳥も腰の二本の刀をとっさに引き抜いて応戦する。しかし、打ち合いを重ねるたびに飛鳥は、今目の前にいる相手との実力の差が歴然であると認識してしまう。
「その程度か!半蔵の孫ォ!」
飛鳥は気迫とその剣撃の威力に押し負け、集合場所の方に吹き飛ばされる。
「きゃぁぁぁぁ!」
痛む身体を無理矢理起こすと、周りには同じように倒れ伏している仲間達の姿だった。
「みんな!大丈夫!」
「はい、なんとか、、、」
「あぁ、ギリギリな」
「こいつら強いぞ。」
「うぅ、痛いよ〜。」
ボロボロの半蔵学院のメンバーを見て飛鳥の相手をしていた女が
「黒城はどこに行ったんだ。」
「確か半蔵学院の男子と一緒のはずよ」
「そうか、なら早く済まそう。春花、例のを頼んだ。」
「わかったわ。焔ちゃん。」
会話が終わると春花と名乗る女の後ろの傀儡が変形して筒状になった。
「この矢を打ち込んで任務終了よ。」
と言ってた飛鳥目掛けて矢を打ち込んでくる。
「っ!!!」
なすすべなく矢が刺さると思って来たる痛みをこらえようと目を瞑る。
、、、が予想していた痛みはいつまでも来ない。恐る恐る目を開けてみるとそこには、飛鳥を庇うように立っている矢を胸に受けた四条の姿だった。
「よかった、、間に合って。」
か細い声と共に四条はそのまま倒れた。
(あぁ、身体に力が、、、はいら、、ない)
そのまま四条の意識は、闇に沈んだ。目を開けない四条に対して、飛鳥はどうする事も出来ず
「いっ、、いやぁぁぁぁぁ」
と叫ぶ事しか出来なかった。