新連載です。
完全に筆者の趣味で書かれた私小説ですので、趣味が合わないと感じた方は読まない事をお薦めします。
───我は無敵なり。
アイズ・ヴァレンシュタインは取り逃がしたミノタウロスを追っていた。
遠征からの帰還中、突如発生したミノタウロスの群れをファミリアの仲間達と退治していると、ミノタウロスが上層へ逃亡するという信じられない事態が発生。慌ててアイズ以下速さに自信のある者達が追撃したのだ。
この階層にいるのは大抵がレベル1の新人冒険者。レベル2相当のモンスターであるミノタウロス相手では簡単に殺されてしまう。
───我が「影技」に敵う者なし。
自分達の失態で被害が出るは何としても避けたい。残るミノタウロスは後一頭。次の角を曲がった先にいる筈だ。
アイズは角を曲がり、そして、信じられないものを目撃した。
───我が一撃は無敵なり!!
一人の少年がミノタウロスを素手で打ち倒す場面を。
「クルダ流交殺法、影技【
少年の声が響く。
背中を向けていて顔は見えないが、恐らくは自分と同年代の黒髪に褐色の肌をした少年。その少年が素手でミノタウロスを撃破した。
その光景はミノタウロスの血が飛び散り、凄惨である筈なのにアイズには何故か美しく見えた。
ふと少年が振り向く。その瞬間、アイズの金色の瞳と少年の碧い瞳が交錯した。
「やべっ!」
途端に少年は逃走した。
「え? あの、ちょっと・・・・?」
アイズの声を無視して逃げる途中、褐色の少年はその場にいたミノタウロスの血を浴びて真っ赤になった少年の襟首を掴むと、
「逃げるぞ、ベル!」
「ちょ、ちょっと待ってジンさん! 首、絞まってるから! グエェェェーーーッ!!」
もの凄い速さで逃走した。
「あ・・・・・・」
思わず手を伸ばしたが、少年達はあっという間に見えなくなった。
今見た事を報告しても信じて貰えるだろうか? 少年が放った凄まじい蹴り技。彼女の身近では仲間のベートが蹴りを主体とした戦闘をするが、少年の技はベートよりも武術として洗練されているようにアイズには見えた。
恐らくはレベル4以上と思われるが、格闘主体で戦う冒険者の数は少ない。ましてやミノタウロスを一撃で倒せる者などそれこそベート位しかの聞いた事がない。モンスターとは武器を持ってようやく立ち向かえる、それ程に恐ろしい存在なのだ。
「貴方は誰・・・・?」
少年達が消えた方へ、ポツリと呟く。
そう言えばもう一人の血塗れの少年が名前を呼んでいた。確か───
「ジン・・・・・・」
アイズは大切そうに、その名を呟いた。
『
『
後に迷宮都市オラリオ最強の「剣」と「盾」と呼ばれる二人はこうして出会った。
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