英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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前々からやってみたかったクロスオーバーです。
拙い文章ですがそれでも良ければどうぞ。


前日譚
転生


アストラギウス銀河の星のひとつ、惑星メルキア。

 

その北のとある集落に一人の老人がいた。

 

名をキリコ・キュービィー。

 

かつてこのアストラギウス銀河最大のタブーと言われた男である。

 

今、彼が待ち望んだ瞬間がようやく訪れようとしていた。

 

 

[キリコ side]

 

「これで、やっと死ねる…」

 

俺は思わずそう呟いた。どれほど待ち望んだことだろう。あまりにも長かった。

 

俺の体にはある秘密が隠されている。

 

異能生存体

 

確率250億分の1で誕生する特殊な遺伝子である。

 

平たく言えば、どんな危機的状況でも必ず生き残ってしまうというもので、俺が死ねない理由でもある。

 

コイツを宿しているせいで俺は様々な干渉を受けるハメになった。

 

ギルガメス、バララント、マーティアル教団。

 

果てはアストラギウス銀河を裏で支配していた神《ワイズマン》とその手足たる秘密結社。

 

そして、これらの組織を渡り歩き俺を追っていたロッチナ。

 

しかし、俺に関わった奴らは全て衰退するか破滅するかのどちらかだった。

 

もっとも、俺にとっては遠い過去にしか過ぎないが。

 

ふと、枕元を見ると一人の男が立っていた。

 

この男はかつて、ヌルゲラントで神の子として生まれながらも、神の子を敵視する者たちに命を狙われているところを俺が保護して、ワイズマンから養育を託された赤ん坊が成長した姿であり、名をルーという。

 

当初は呼び捨てだったが後に俺を父と呼び、共に機械いじりの仕事をしていた。

 

ただ、俺に似たのか寡黙な性格になってしまった。

 

それでも、言いたいことは分かるので日常生活には支障はない。

 

ルーは俺の手を握りながら一言、「ありがとう」と言った。俺が何かを言おうとしたとき、ドタドタと何人が入って来た。

 

入って来たのは、かつての仲間であるバニラとココナの子どもたちだった。

 

どうやら俺の死期が迫っていることを知って来てくれたようだ。

 

その内の一人である女性、ステビアが駆け寄って来た。「キリコさん」と耳元で話しかけてきた。

 

……どうやら時間がきたようだ。

 

俺が人間という生物である以上、寿命が存在する。だからこそ、これに賭けていた。

 

やっと死ねる、俺の心は安らいでいた。もうすぐあいつらに会える。ゴウト、バニラ、ココナ。そして、フィアナ。

 

ウドの街で出会った闇の付く武器商人だったゴウトとバニラと戦災孤児のココナ。

 

最初は互いに利用し合うだけだったが、ウドの治安警察との抗争を経て腐れ縁とも言うべき仲間になった。

 

戦うことしか能のなかった兵士である俺が初めて誰かを愛することを教えてくれた女性にして、俺の生きる意味であり、唯一の願い。

 

だが彼女は人間ではなく戦うための完全な兵士《パーフェクト・ソルジャー》だった。

 

その寿命故、彼女と過ごせたのはたった二年しかなかった。

 

だから彼女が死んでしまってからはあまりに空虚だったがそれも今日までだ。

 

因みにもう一人の戦友、ル・シャッコはクエント人たちの指導者になったらしい。

 

だんだん意識が薄れてきた。だが、俺の心に恐怖はない。

 

「これで、やっ…と…死…ね…る…」

 

[キリコ side out]

 

 

PM 14:48 キリコ・キュービィー死去。享年77歳

 

このニュースはたちまちアストラギウス銀河に広まった。

 

ある者は狂喜し、ある者は嘆き、またある者は安堵した。

 

これで、触れ得ざる者の支配は終わったと誰もが思った。

 

だがこれは、新たな物語の始まりに過ぎなかったことには誰一人気づかなかった。

 

 

[キリコ side]

 

暗い…。これが死か…。俺はそう感じていた。

 

……いや待て。なぜ俺は死んだことを認識している?生きてさえいなけれb……。

 

嘘だ。そんなことが起きてたまるか。誰か、誰か嘘だと言ってくれ!!

 

だが、現実は無慈悲だった。それどころか、キリコの体に異変が起きていた。

 

起き上がろうとしても上がらない。

 

足を動かしてもバタバタとしかできない。

 

手を伸ばしても届かない。そのとき俺は気づいた。

 

(俺の手足はこんなに短いはずがない、これではまるで赤ん坊の……赤ん坊?)

 

そう俺の目に映る手足は短く、白く、柔らかいまごうことなき赤ん坊のそれだ。

 

また、叫ぼうとしても言葉がでてこない。

 

俺は赤ん坊の姿になっていたのだ。

 

俺は生まれ変わっていたのだ。前世の記憶を残したまま。

 

(まさか、俺の中の異能が…)

 

俺は何十年かぶりに絶望した。

 

赤ん坊の姿になっていたことではなく、愛する女性の、フィアナの元へといけなくなってしまったことに。

 

俺の中のこの忌まわしい異能の力により俺のたった一つの望みをコナゴナに砕かれたことに。

 

思わず顔を背けたとき、俺の目には見慣れた光景が広がっていた。

 

[キリコ side out]

 




とりあえず今日はここまでにしときます。

ここでいくつか捕捉します。

キリコの死んだ時間は完全にテキトーです。また、享年については原作のキリコの誕生日に由来します。

本作ではゴウト、バニラ、ココナは既に亡くなっている設定です。そのためキリコはフィアナだけでなく彼らの元へ逝こうとしてました。後、シャッコに関してはクエントの長になっています。いずれは何らかの形でキリコに関わってきます(多分)
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