英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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取引②

リィンたちが馬に乗ってセントアークを出発した直後。

 

「ハハッ……せいぜいガンバレよー」

 

「──ハッ、もうトンボ帰りかよ?」

 

帰ろうとするレクター少佐をアッシュが引き留める。

 

「朝っぱらから使いっ走りとはご苦労なこった」

 

「ま、これも宮仕えの辛いところってヤツでね。で、そっちの方はどうよ?」

 

「ハン、まだ何とも言えねぇな。……言えねぇが……」

 

「──どうやら色々と"重なる"のは確かみてぇだ」

 

アッシュは周りを見渡してから答える。

 

「……なるほどね。いや~、紹介した甲斐があったぜ。ま、演習が終わるまでに手がかりが掴めるのを祈ってるぜ?」

 

そう言ってレクター少佐は帰って行った。

 

「……チッ、カカシ野郎が」

 

 

 

(ふふ……幾つもの"縁"が絡まり合っているみたいですね)

 

(サザーラントでの盤面もどうやら後半戦みたいです。少しばかり"指し手"として介入させて頂きましょうか──)

 

そしてミュゼはキリコがいるであろう車両を見つめる。

 

(キリコさん……相変わらず貴方のことが見えませんが……今回はゆっくり休んでください。そしてもう一度元気なお姿を見せてください)

 

 

 

一方、セントアークについたリィンたちは住宅街のアパルトメント《ルナクレスト》の2階の一室にいた。

 

そして彼らは遊撃士協会の通信機器でとある人物と通信していた。

 

『よっ、久しぶりだなリィン。元気してたか?』

 

「トヴァルさん……!お久しぶりです」

 

『ハハ、卒業前に再スカウトに行って以来か?顔が見られてよかった。教官の方、頑張ってるみたいだな?』

 

「……ええ、おかげさまで。それと再三のお誘い、断ってしまってすみません」

 

『なあに、気にするなって。去年フィーが入ってくれただけでも十分すぎるってくらいだからな』

 

『もし分校をクビになったらいつでも言ってくれ。大歓迎だからな』

 

「はは……」

 

トヴァルの誘いにリィンは苦笑いを浮かべる。

 

「フフ、それにしてもフィーが遊撃士になるとは分からぬものだ」

 

「ま、サラやトヴァルには相当サポートしてもらったけど。それに今回、わたしたちの合流にも色々と力を貸してもらったし」

 

「そうそう、トヴァルさん発案の"Ⅶ組の輪"がなかったらそもそもが難しかっただろうしねぇ」

 

「じゃああれはトヴァルさんが作ってくれたアプリなんですか!?」

 

『いやいや、アプリ開発そのものはエプスタイン財団で俺はARCUSⅡの機能を利用した裏技を提案させてもらっただけさ。オリヴァルト殿下が隠し持っている"あらゆる場所と通信できる古代遺物(アーティファクト)"──』

 

『そいつの力を使わせてもらうことで中継器を介さない通信が可能になるような、そんな裏技さ』

 

トヴァルの話を聞いたリィンたちは唖然とするしかなかった。

 

「何だかとんでもないことを聞いた気がするんだが……」

 

「うん、技術的なことはサッパリだが相当な裏技であることは理解できる」

 

「まあ古代遺物頼りだからさすがに汎用性はないんだけど」

 

「それでもどんな場所でもⅦ組のみんなと通信が繋がるっていうのは奇蹟だよねぇ」

 

「ああ……本当に色々な人に助けてもらってるんだな、俺たちは。トヴァルさん改めて、本当にありがとうございます」

 

『ハハ、いいってことさ。こっちも好きでやってるんでな』

 

 

 

『で、本題だが……結社がチョッカイをかけてきたんだって?』

 

「ええ……半年ぶりに」

 

「いや、帝国本土に限定すればあの内戦以来になりますね」

 

リィンはトヴァルの目を見据える。

 

「数種類の人形兵器群──鉄機隊の神速に加えて、新たな執行者まで現れました。そこまでの戦力をこの地に投入する目的に何か心当たりはありませんか?」

 

『……結社については各国のギルドでも警戒を強めてはいる。だが、詳しい動きは何も分かっていないのが現状だ。各地で暗躍しているいくつかの猟兵団も含めてな』

 

「そうですか……」

 

「ま、赤い星座の本隊がいないって分かっただけども収穫だけど」

 

『ああ、その辺はかかし男に感謝するとして。結社については、現時点で一つだけ確実に言えることがある。"例の計画"ってのをなんとしても奪い返そうとしてるってことだろう』

 

「そ、それって確か、クロチルダさんが城で言っていた」

 

「"幻焔計画"。たしかそんな名前でしたか。一昨年の内戦の裏で進められ、最後には"彼"に奪われたという」

 

『ああ、計画の内容も目的も一切不明だがリベールやクロスベルでの前例もある。奴らの行動の全てが、何かしらの形でそれに繋がってるのは間違いないだろう。おそらく、お前さんたちの前に現れた人形兵器ってのもそのために用意された駒の一つだ』

 

「ありそうな話だね。問題は人形兵器を持ち出して連中が何を狙っているかだけど」

 

「昨日の様子を見る限り、セントアークを攻撃しようとしている感じじゃないよね」

 

「うん、そうであろうな。そんな事をしでかせばさすがの正規軍とて動かぬわけにはいくまい」

 

「そもそも第Ⅱに釘を刺している時点で彼らは見極めているのであろ。政府と貴族勢力の微妙な力関係と正規軍が介入するギリギリの一線を」

 

「……そうだな」

 

「いずれにせよ、最大の手がかりはあの大量の人形兵器になるんだが……」

 

ここでリィンはある疑問を口にする。

 

「そもそも彼らは、あれだけの数をどこから持ってきたんだろうか?」

 

「……確かに」

 

「まさか全然別の場所から転位させたとか……?」

 

『いや、さすがに結社とはいえそこまでの技術はないはずだ』

 

エリオットの予想をトヴァルは否定し、続ける。

 

『かといって、奴らが持っている方舟が動いている気配もない』

 

「ならばどこかに何らかの、彼らの陣があるのではないか?」

 

「人形兵器という戦力を忍ばせ、必要に応じて繰り出せる拠点が」

 

「拠点か……」

 

「──いい目のつけ所じゃねえか」

 

 

 

突如、聞こえた精悍な声にリィンたちは振り返る。

 

「え……」

 

「あ、貴方は……!」

 

『よう、お疲れさん』

 

「遅かったね──アガット」

 

「へっ、ちょいと寄り道しちまってな」

 

「邪魔するぜ、灰色の騎士──いや、リィン・シュバルツァー。まさかこんな形で再会するとは思わなかったがな」

 

「ハハ……俺の方こそ。入学式の日に会った時もただ者ではないと思っていましたが……なるほど、遊撃士だったんですね」

 

『そいつは《重剣》のアガット。リベール王国のA級遊撃士さ』

 

「え、A級って、サラ教官と同じ!?」

 

「ああ」

 

赤毛の遊撃士はリィンたちに向き直る。

 

「アガット・クロスナー。リベールの遊撃士協会に所属してる。よろしくな、トールズのⅦ組」

 

「ど、どうも。エリオット・クレイグです」

 

「お初にお目にかかる、ラウラ・S・アルゼイドだ。父上から聞いている。大剣を振るう凄腕の遊撃士がいると」

 

「ああ、こっちもよろしく頼むぜ、《光の剣匠》のお嬢さん。それにクレイグってたしか……」

 

「あはは……想像通りかと」

 

「まあ、結びつかないよね。それより遅かったね?」

 

「悪ぃな。ちと野暮用でな」

 

『おーおー、噂の彼女か?』

 

「ああ、金髪の。結構可愛いかった」

 

(金髪……もしかして………)

 

(リ・ィ・ン)

 

(言わぬが花だよ?)

 

「おい、何こそこそしてやがる」

 

アガットはジト目でリィンたちを睨んだ後、すぐに真顔に戻る。

 

「話を戻すぞ。お嬢さんが言ったとおり連中がこのサザーラントのどっかに拠点をもっているのは間違いねぇ。それも人目につかない場所にな」

 

「ただ、どこにあるかはまだ調査中だがな」

 

『ただでさえ、このサザーラント州ってのは自然豊かだからな。隠れるにはもってこいのロケーションだからなぁ』

 

「ん、たしかに」

 

「そこでシュバルツァーに聞きてぇんだが、お前さん昨日の演習とやらで色々回ったそうじゃねえか。お前さんなら見当はつくんじゃねえか?」

 

「そうですね………」

 

リィンは顎に手をやり、昨日の記憶を辿る。

 

「それらしい場所が多すぎて絞り込めませんがいくつか候補はあります」

 

『なるほどな』

 

「だが問題はまだある。今の帝国はただでさえ遊撃士が動きづれぇ。かといってお前らが動き回ることに他の貴族がいい顔はしねぇはずだ。いくらハイアームズ候が穏健派ったって面子の問題だからな」

 

「ハイアームズ候か……。二年前の実習ではそれほど干渉はなかったが」

 

「たしかに。むしろあの二人がうるさかった」

 

(レポートでしか知らないけど、相当だったんだな……)

 

リィンは大貴族の御曹司とⅦ組の副委員長を思い浮かべた。

 

「それに正規軍だってどう出てくるか分からねぇ。そもそも第Ⅱは政府主導が方針だろ?下手したら衝突するなんてこともありうる」

 

「それは………」

 

アガットの指摘に一同は黙りこむ。

 

「……………ねぇ、みんな」

 

黙っていたエリオットが口を開く。

 

「思いきってさ、ドレックノール要塞に行ってみない?」

 

「おいおい、何言ってんだ。帝国正規軍は静観を決め込んでんだぞ?第一行った所で門前払い食らうのがオチじゃねえか……」

 

『──いや、そうとも言えないな。エリオット、確かにお前さんなら問題ない』

 

「何?」

 

「あ、そっか。今ドレックノール要塞に詰めているのは……」

 

『そう。第四機甲師団だ。そしてそのトップは?』

 

「オーラフ・クレイグ将軍。エリオットのお父さんか!」

 

「なるほど、あの御仁ならば我等の話に耳を傾けてくれるはずだ」

 

降ってわいた好機にリィンたちは活気づく。

 

(ったく、とんでもねぇやつらだ。あのスチャラカ皇子……)

 

「わかった。ならそっちはお前らに任せる」

 

「アガットはどうするの?」

 

「俺はこのまま足で探す。そうだ、もし暇があればやってみるか?」

 

アガットは封筒から一枚の書類を取り出した。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

イストミア大森林の手配魔獣 [任意]

 

北サザーラント街道の手配魔獣 [任意]

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「これは……手配魔獣ですか?」

 

「ああ、あちこち回っている時にな。別に必須じゃないから無理してやらなくてもいい。頭にいれといてくれ」

 

「ん、ラジャ」

 

「そんじゃ俺は行くぜ。交渉は簡単じゃねえだろうが、上手くいくことを願ってるぜ」

 

アガットはそう言って出ていった。

 

「フー、なかなかの凄腕ですね」

 

『ああ、4年前リベールで起きた異変を解決したメンバーの一人だからな」

 

「しかし、彼以外の遊撃士は来ていないようだが?」

 

『ああ………ちょっと理由があってな。帝国入りが認められなかったんだ』

 

「ある理由?」

 

『リィン、お前さんなら知ってるだろう?カシウス・ブライトを』

 

「っ!はい!」

 

「リベールの《剣聖》……!」

 

『今でこそリベールの将軍だが、あの人はかつて大陸に4人しかいないS級遊撃士の一人だったんだ。そしてカシウス・ブライトには二人のお子さんがいる。本当はその二人が帝国入りするはずだったんだが……許可が下りなかったんだ』

 

「なぜだ?」

 

「そうか、《百日戦役》ですね?」

 

『その通り。当時の帝国軍はカシウス・ブライトが編み出した反攻作戦で見事にひっくり返されたからな。そのせいでカシウスさんは最重要警戒人物とされているからな。その子どもたちも警戒されてんのさ』

 

「そ、そうなんだ」

 

「フィーは知っているのか?」

 

「ううん、わたしは会ったことない。でも相当の凄腕だって聞いてる。何でもA級間近って」

 

「へぇ、凄いなそれは」

 

「私も会ってみたいな」

 

『ハハッ、まあそれは置いといて。お前さんたちも行くんだな?』

 

「ええ、勿論です」

 

「帝国の危機なのに放ってはおけませんから」

 

「ここで背を向ければ、末代までの恥になりましょう」

 

「遊撃士の努め」

 

『わかった。気をつけろよ。女神の加護をな』

 

トヴァルは通信を切った。

 

「さて、どういったルートで行こうか」

 

「「「…………」」」

 

「? どうした?」

 

「いや………」

 

リィンの疑問にラウラたちは笑みを浮かべる。

 

「またこうして、4人で行動できる日がくるとはな」

 

「2年前に戻ったみたいだね」

 

「だったら、お約束がいる」

 

フィーの言葉にラウラとエリオットがリィンの方を向く。

 

「ああ………わかった」

 

 

 

「トールズ旧Ⅶ組、これよりサザーラント州の危機を取り除く。久しぶりの戦術リンクだが、俺たちなら問題はないだろう。サザーラントのためにも、分校のためにもみんな、力を貸してくれ!」

 

『オォー!』

 

 

 

Ⅶ組発足時から続く《重心》による号令。かつて帝国の壁に立ち向かった者たちの復活の狼煙があがった。

 

 

 

「エリオット side]「イストミア大森林の手配魔獣]

 

リィンによる号令の後、僕たちはアガットさんが持ってきた手配魔獣の討伐に向かった。

 

リィン率いる新Ⅶ組のみんなは僕と会う前に大森林に行っていて、その最奥で大きな魔獣に遭遇したんだって。

 

おそらくそこに手配魔獣がいると踏んだ僕たちはイストミア大森林に足を踏み入れた。

 

当然魔獣がいるけど、僕たちは戦術リンクを活用してあっという間に戦闘を終わらせた。

 

「鬱蒼としてるねぇ。おまけにこの感じ……」

 

「うむ、上位属性が働いているな。レグラムの古城を思い出すな」

 

「そう言えばリィンとラウラはそこで魔物を見たんだよね?」

 

「ああ、初めて見た時は面食らったな。ミリアムなんかずっとユーシスにしがみついてたしたな」

 

「フフ、懐かしいな」

 

「そう言えば、俺とフィーがバリアハートに行っている時ラウラとエリオットはセントアークに来てたんだよな?その時は来なかったのか?」

 

「いや、来たことはある。だが、こんな感じではなかったが」

 

「うん、少なくとも上位属性なんてなかったけど」

 

「そうなんだ」

 

 

 

「そう言えば、ラウラとフィーが仲違いするようになったのは2回目の実習の後なんだよな」

 

「リ、リィン!?」

 

「まだ覚えてたの?」

 

「うんうん、そして4回目の実習で仲直りしたんだよね?僕抜きで」

 

「エ、エリオットもか!?」

 

「まだ根にもってたの?」

 

僕抜きでそんなことやってたらね。

 

まあ、帝都憲兵隊の人たちに散々絞られてたらしいけど。

 

「だが結果としてⅦ組最強のコンビが誕生したわけだしな」

 

「あはは、武術教練の時なんて手がつけられなかったもんね」

 

「むう………」

 

「二人とも……ちょっと恥ずかしい」

 

「あはは、ゴメンゴメン」

 

「悪かったな。………本当に懐かしいな」

 

「ああ……」

 

「そだね」

 

うん、本当にね。

 

 

 

昔話に花を咲かせていると、最奥までやって来た。そこにはドローメがなん十体も合体したような魔獣がいた。

 

「ナニあれ」

 

「悪趣味だな」

 

「あの手の魔獣は物理的攻撃は効きづらい。ここはエリオットを軸にして攻めよう」

 

「うん、任せて」

 

「メインがエリオットでリィンとラウラがサブ、わたしが撹乱役でいいね」

 

「うむ、それでいこう」

 

作戦と役割を決めた僕たちは戦闘を開始した。

 

 

 

さっそく魔導杖で目標を解析。

 

リィンの見立て通り、この手配魔獣はアーツが有効だった。

 

フィーがスピードで撹乱し、リィンとラウラがクラフト技である程度削った所で弱点の空属性のアーツを放つ。

 

相手は自己回復しながらアーツを詠唱するけど、すかさずフィーが駆動を解除。

 

時間はかかったけどなんとか倒すことができた。

 

「はあはあ……な、なんとか倒せた」

 

「なかなかの強敵だったな」

 

「ぶい、だね」

 

「みんな、お疲れ様。さて、依頼達成の報告はアガットさんに直接でいいんだな?」

 

「あ、それならわたしがするからいいよ」

 

最後にフィーがアガットさんに報告して依頼達成!

 

みんな、やっぱり強いなぁ。

 

[イストミア大森林の手配魔獣] 達成

 

[エリオット side out]

 

 

 

[ラウラ side] [北サザーラント街道の手配魔獣]

 

休息を挟んだ後、次に我等は北サザーラント街道に出た。

 

「エリオットの父君か……。久方ぶりだな」

 

「ああ、内戦の後、大将に昇進して名実共に帝国正規軍のNo.2だからな」

 

「トップは学院長?」

 

「ああ、ヴァンダイク学院長は名誉元帥として復帰なさっている」

 

「うん、この間父さんの所に来てたよ」

 

「そう言えば、クレイグ将軍は学院長の部下だったらしいからな」

 

「なるほど、第四機甲師団が正規軍最強と謂われるわけか」

 

その御仁の子息がかつて我等と机を並べて学んでいた。縁とはわからんものだな。

 

 

 

トールズに入学した頃の私は正道だけが正しいと信じきっていた。

 

故に本気を出さない、否、出せなかったリィンや元猟兵のフィーとはわだかまりがあった。

 

だが腹を割って語り合い、いくつもの危機を乗り越えた今、かけがえのない友となった。

 

第Ⅱのクルトもかつての私と同じような壁を感じているのだろう。

 

どうやらキリコに対する劣等感を抱えているようだ。

 

だがクルトならば必ずや乗り越えられると信じている。

 

一度周りを見渡すだけで世界は変わる。それだけのことなのだ。

 

そこに至れるかどうかは彼次第だが、心配は無用だろう。

 

「どうしたの? ラウラ」

 

「心配事?」

 

「いや、なんでもない。リィン、クルトのことだが……」

 

「ああ。彼は間違いなく天才だ。だからこそ考え過ぎる傾向がある」

 

「たしかに、そんな感じがする」

 

「やっぱりキリコが気になるのかな?」

 

「おそらくな。幼少の頃から剣術の英才教育を受けているであろうクルトと内戦時に機甲兵を乗りこなし実戦慣れしているキリコ。当然価値観は違ってくる」

 

「うん、そうであろうな」

 

「やっぱり……ほっとけない?」

 

「昔の二人にそっくりだからだろう」

 

「フフ、その通りだな。こうしてフィーと心を通わせるなど考えられなかった」

 

「ちょ!?ラウラ……ちょっとクサすぎ」

 

フィーの顔が真っ赤になった。我ながら台詞がクサすぎたな。

 

 

 

歩き続けてようやくドレックノール要塞が見えてきた。

 

「あれだね」

 

「手配魔獣は要塞の手前らしいな」

 

「………………」

 

「リィン?」

 

何やらリィンの顔が暗い。何か後悔しているような。

 

「もしかして………後悔してる?」

 

「新Ⅶ組連れて来なかったこと」

 

「少しな……」

 

まったく……後悔するぐらいならあのような態度をとらなくてもよかろう。

 

「リィン……」

 

「わかってる……。だが演習地で言ったとおり、半端な者を連れて行くわけにはいかない。技術云々じゃなく、覚悟の問題だ。初日と比べものにならない死地に連れて行くには早すぎる」

 

「うーん、確かにそうかもしれないけど」

 

「リィン、頑固すぎ」

 

「まあ、それだけ心配なのだろう」

 

「確かに彼らは未熟かも知れん。だが……我等もそうだったであろ」

 

「ラウラ……」

 

「さて、リィン。そろそろ手配魔獣のいる場所ではないか?」

 

「っと、そうだな。みんな、警戒してくれ」

 

 

 

要塞からそれた一本道の奥に巨大な蜂型の魔獣を発見した。

 

「あれは……マズイね」

 

どうやらフィーは知っているようだ。

 

「知ってるの?」

 

「ああいうのはだいたい猛毒を持ってる。下手したら即死」

 

「厄介だな。さて、どうするか……」

 

ふむ、何かないか…………ん?これは……。

 

「どうしたの?」

 

「いや、父上からの餞別の中にこんな物が」

 

「これって………」

 

「ホーリーチェーン?」

 

「確か、即死耐性のアクセサリだ」

 

父上……わざわざこんな物を………。それも二つも。

 

私は父上からの贈り物を迷わず身に着けた。

 

「ラウラ……」

 

「ここは我等が引き受けよう。フィー、私と戦術リンクを。エリオットとリィンは援護を頼む」

 

「了解。旧Ⅶ組最強コンビを見せつけよう」

 

「はは、決まったな……」

 

「僕たちの出番無かったりして……」

 

 

 

蜂型の魔獣は確かに厄介だった。

 

単体でも強いが、卷属のような魔獣を呼び寄せる。

 

力はあるのは認めよう。数の差も認めよう。

 

だがまだ足りない。あのお方を──オーレリア・ルグィンを超えるには!

 

 

 

「決めるぞ、フィー!」

「ラジャー」

 

 

 

私とフィーのリンクアタックで敵を一掃する。

 

「我らを阻めるものなど」

「やっぱり、いるわけないね」

 

「「あ、あははは…………」」

 

リィンとエリオットは何やら苦笑いを浮かべている。

 

何はともあれ、依頼は達成だな。

 

[北サザーラント街道の手配魔獣] 達成

 

[ラウラ side out]

 

 

 

「これで全部終わったね」

 

「よし、いい時間だしそろそろ……」

 

「オーイ、君たち~」

 

リィンたちが振り返ると軍人らしき男たちがやって来た。

 

「貴方がたは……第四機甲師団ですね?」

 

「ああ、いかにも俺たちは第四機甲師団だ。それで君たちはここで何を?って!貴方は灰色の騎士殿!?」

 

「はは……どうも……」

 

「このような場所でお会いできるとは光栄です。して、こちらで何を?」

 

「ええ、実は……」

 

隊長らしき男の質問にリィンはこれまでの事を話した。

 

「なるほど、手配魔獣の討伐を。ご苦労様でした。ですが、ここは要塞近辺ですので早く立ち去られた方が良いですよ。灰色の騎士殿と言えど、しょっぴかれても文句は言えませんよ」

 

「それなら問題はないですよ」

 

「えっ?」

 

エリオットが隊長らしき男に話しかける。

 

「あっ!エリオットさん。いらしてたんですか!?」

 

隊長らしき男はエリオットを見て驚く。

 

「ん?エリオットさん?」

 

「第四機甲師団の人なら大抵エリオット坊っちゃんって呼ぶはず……」

 

「フィー、言わないでよ」

 

エリオットは肩を落とす。

 

「この人たちは第九機甲師団から編入したから、呼び方が違うんだよ」

 

エリオットの説明にリィンは「ん?」と疑問を抱く。

 

「第九……?キリコがいたという?」

 

『えっ!?』

 

軍人たちは驚く。

 

「は、灰色の騎士殿!キリコを知ってるんですか!?」

 

「えっ……じゃあ……」

 

「はいっ!」

 

隊長らしき男は姿勢を正し、リィンたちに敬礼する。

 

「改めまして、第九機甲師団に所属しておりました。フラット中隊中隊長のライル・フラット大尉であります」

 

「そしてキリコ・キュービィーはかつて我等第九の一員でした」

 




久々のライルさん。
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