英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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フルメタルドッグの初陣です。

誤字修正しました


絆①

『キリコ!!』

 

クルトたちはキリコの声を聞くまでは信じられなかった。

 

重傷を負い、下手をすれば寝たきりになってもおかしくない。

 

「まさか……本当に……」

 

【キ、キリコ君……なの……?】

 

【ああ】

 

「ど、どうしてここに……。あの傷なら動けるはずが……」

 

「たしかに……だが君は演習を離脱しているはずだ!これはただの独断専行とはわけが違うんだぞ!」

 

「死に損ないが……。病人に助けられるほど落ちちゃいねえぞ!」

 

【ちょっと!そこまで言わなくてもいいでしょ!でも、ホントに大丈夫なの?】

 

【問題ない。それより………】

 

キリコはリィンに向き直る。

 

【教官、実験用機甲兵の運用実験を開始したことを報告します】

 

【な……何!?】

 

「実験用機甲兵の運用実験?」

 

「もしかして、今キリコが乗っている?」

 

【ああ、実験用機甲兵フルメタルドッグだ】

 

【何を言っている。ダメに決まっているだろう。君はクルトの言う通り、演習から離脱していて君もそれに納得しているだろう】

 

【ええ。ですから演習には参加しません】

 

【な………!?】

 

「あっ………そうか」

 

フィーはキリコの考えに気づく。

 

「どういうこった?」

 

「キリコがやっているのはあくまで実験用機甲兵の運用実験だから。演習内容にそれは含まれていないはず」

 

【ええっ!?】

 

「な………」

 

「こじつけもいいとこですね……」

 

「ククク……、なかなか悪知恵が働くじゃねぇか?」

 

「ふふふ、知能犯ですね」

 

【だとしてもだ!重傷を負った生徒を戦わせるわけにはいかない!今すぐ演習地に……】

 

【戻ればこちらが不利になるだけですが?】

 

【グッ……だが……】

 

リィンはキリコの正論の前に詰まる。

 

「リィン、お主の負けだ」

 

【ヴァリマール!?】

 

「そうだな。たしかにそいつの言うとおり、今一人減ればこちらが不利になっちまう。気持ちは分かるが、ここはのみ込むのが適切だと思うぜ?もちろん無理はさせねぇ程度にはな」

 

【アガットさんまで。……………わかった。キリコ、君にも手伝ってもらう。ユウナと共に援護してくれ。後、さっきの奇襲だが………

 

 

 

ナイスタイミングだった】

 

 

 

【いえ……】

 

キリコは淡々と答える。

 

「フフ、素直になればよかろうに」

 

「リィンにツンデレは似合わない」

 

「まあまあ、それがリィンだしね」

 

ラウラたちが茶化す。

 

「これが旧Ⅶ組か………」

 

「やっぱりよくわかりません……」

 

「ハッ、なかなかおもしれぇ」

 

(やっぱり……Ⅶ組のみなさんが関わってくるのははっきりと見える。でも、キリコさんが関わると暗闇のように見えない。キリコさん、貴方は何者なんですか?)

 

【ミュゼ?どうかしたの?】

 

「いえ、何でもありません。それより、あちらが気になりますね」

 

ミュゼの言う方向を見ると、なぜかシャーリィがキリコの方を向いて顔を赤らめていた。

 

「うふふふ、ホントに生きてたんだ?しかもわざわざこんな所まで来て。あっ、もしかしてあたしを追って?」

 

【違う】

 

「ンもう~、焦らせるね。でも悪くないかな♪」

 

【…………………】

 

【は、話が全然噛み合ってないんですけど……】

 

「ええと………」

 

「どうやらキリコさんに好意を抱いているようですが」

 

「………………」

 

「おい?何かオーラ出てねえか?」

 

「うふふふ。アッシュさんたら、何をおっしゃっているんですか?」

 

ミュゼは笑顔で答える。もっとも、目は笑っていなかったが。

 

(もしかして……)

 

(うむ、相違あるまい)

 

【二人とも?どうしたんだ?】

 

「リィン?よそ見する暇はないと思うよ?」

 

【あ、ああ、そうだな】

 

「ったく……どうすんだ?この空気」

 

アガットがツッコむほど、戦場の空気は緩んでいた。

 

 

 

「いい加減になさい!!」

 

 

 

突如響いた怒号に全員がぎょっとする。

 

声のする方を見ると、デュバリィが立ち上がっていた。

 

「さっきからなんですの、この空気は。貴女も貴女です。何敵と馴れ合っているんですの!」

 

「だってさ、退屈なんだもん」

 

「それにシュバルツァー!人を吹き飛ばしておいて謝罪もないとか貴方いったいどんな教育をしてやがるんですの!」

 

【えっと……】

 

「べらべら喋ってるのが悪ぃんだろ?」

 

【ちょ……!アッシュ!?】

 

「まぁ、間違いではありませんね」

 

【アルも黙ってて!】

 

【…………………】

 

【キリコ君は何か言って!】

 

「まっ、戦場でペラペラ喋るのは早死にの元だしね」

 

「ぐぐぐ………。いいでしょう、こうなれば全員まとめて始末すればいいだけのこと。勇気と無謀を勘違いした雛鳥が増えたに過ぎません。神機が出るまでもありません!」

 

デュバリィは剣を掲げる。

 

「さっきのは何かの間違いです!人形兵器で一掃するまでです!」

 

【止めておけ】

 

キリコが止める。

 

【もうあの人形はない。時間の無駄だ】

 

「な、何を言って……。はっ、ま、まさか……人形兵器は……」

 

【ここに来る途中、人形どもの基地があった。基本的に自動操縦ならば、そうプログラミングされているんだろう】

 

「だから何だと言うのです!」

 

【だからプログラミングを変えた。起動と同時に自爆するようにな】

 

「なっ………!?」

 

「キリコさんが!?」

 

「マジかよ……!」

 

「なるほどな……。ってことはさっきの自爆は不良品じゃなかったってことか」

 

【えっと……ごめんなさい?】

 

【教官!何謝っているんですか!】

 

突然謝罪するリィンにユウナがツッコむ。

 

「えーと、それは……」

 

「うむ、申し訳ないことをしたな」

 

「ごめん」

 

「あなた方は謝る気があるんですか!それはともかく、だからどうだって言うんです?ならば自爆を利用して………」

 

【それも不可能だ】

 

「は!?」

 

「キリコさん?」

 

「何やったんだ、あいつ」

 

「プログラミング……もしかして……」

 

【そろそろか……】

 

キリコがいい終えた瞬間、リィンたちのはるか後方で火柱が上がる。

 

「なっ………!?」

 

「あれ?あそこって人形兵器が置いてなかった?」

 

【キリコ君!?一体何をやったの!?】

 

「なるほど、まとめて自爆させたのですね」

 

「何だって?」

 

「お前の差し金か?」

 

「まさか……。そもそもキリコさんのことは予想外です。プログラミングと言っていたのでもしやと思ったんです」

 

「へぇー、やるねぇ♪」

 

「な、なんということを……」

 

デュバリィは2、3歩後ずさる。

 

【放置しておくほど俺はお人好しではない】

 

「ぐぐぐ………。よくも……よくも我々の計画を潰してくれましたね。骨も残らないほどに叩きのめして差し上げます。神機の恐ろしさ、とくと味わいなさい!!」

 

遂にアイオーンtype-γⅡが動き出した。

 

「ならこいつらの相手もしてもらってもいいよね?」

 

シャーリィが犬笛を吹くと、どこからか大きな刃を咥え、武装した猫型魔獣の群れが駆けてきた。

 

「なっ……!?」

 

「あれは……」

 

「飼い慣らされた魔獣か」

 

「猟兵ならではだね」

 

「ハッ、せいぜい躾てやるよ!」

 

機甲兵に乗らない者たちも武器を構える。

 

「遂に来やがるか!」

 

「…………………」

 

すると、クルトが前に出る。

 

「ユウナ、僕と交代してくれないか?」

 

【えっ?】

 

「我が儘を言っているのは承知だ。だがそろそろ僕も覚悟を決めなくちゃいけない。いつまでも中途半端じゃいられないんだ!」

 

【クルト君……。うん、わかった!】

 

ユウナはドラッケンⅡから降りてクルトと交代する。クルトが騎乗したことにより、ガンブレイカーから一対の双剣に変える。

 

【クルト、いいんだな?】

 

【はい、覚悟は決まりました!】

 

【わかった。みんな、ここからが本番だ!死力を尽くせ!ここを突破して、明日に繋げるぞ!】

 

『おおっ!』

 

『イエス・サー!』

 

 

 

ヴァリマールはゼムリアストーン製の太刀を、ドラッケンⅡは双剣を抜き、アイオーンtype-γⅡに斬りつけるが硬い装甲に弾かれる。

 

【クッ、硬いな】

 

【こちらの攻撃が通らない……!】

 

【……………】

 

キリコの乗るフルメタルドッグはローラーダッシュを利用して、アイオーンtype-γⅡの腕にソリッドシューターを撃ち込む。

 

【クルト、腕を狙え。ある程度ぐらつけば隙ができる。教官はそこを】

 

【わかった!】

 

【了解だ】

 

キリコの冷静な対応でクルトとリィンは突破の糸口を見つける。

 

 

 

「ありえませんわ……!」

 

デュバリィはキリコの対応力に剣を握り締める。

 

「なぜなんですの!?なぜ恐れないんですの!?たかが雛鳥のくせにどうして……!」

 

「あのさぁ……」

 

シャーリィが口をはさむ。

 

「いい加減認めなよ。彼は、キリコは雛鳥なんかじゃないよ。むしろ凶暴な猛禽類だってば。ま、信じたくないかもだけどさ」

 

「黙りなさい!あんな、あんなのは機甲兵頼みに過ぎません!」

 

「本当にキリコが機甲兵に頼りきりだったらあたしはやられてないって。ていうかさ……ホント考えが狭いよね。前から言おうと思ってたけど」

 

シャーリィの表情は一転して険しくなる。

 

「なっ!?」

 

「自分の目で見た物よりマスターとやらからの話しか信じないってホントあまちゃんだよね。現にこうなっているのに何も見ようともしない。その挙げ句、想定外の事態に弱すぎ。はっきり言うけど……死んでてもおかしくないよ?」

 

「……ッ!」

 

「戦場じゃ誰だって一人なんだよ。生き残るために考えて、行動する。それがルールなんだよ。キリコや妖精にお兄さんたちはただそれを実行してるだけ。それに比べて、あんたはどうなの?ここにいない誰かにすがってわめいているだけじゃん?」

 

「ち、違………」

 

「違わないよ。自分でどうしたいか考えないから追い詰められるんだよ。ほら、見てみなよ」

 

シャーリィはキリコたちを指さす。

 

 

 

【なんとか削れたな】

 

【ああ、だが……】

 

【油断するな!何か来る】

 

「うむ、何か仕掛けてくるようだ。備えよ」

 

リィンとヴァリマールが何かを察知した。

 

アイオーンtype-γⅡは両腕を引き、何かを打ち出すような構えをとる。

 

【まずいな、二人とも防御体勢をとれ!】

 

【は、はい!】

 

ドラッケンⅡは防御体勢をとるが、フルメタルドッグはアイオーンtype-γⅡの両腕に攻撃を続ける。

 

【キリコ!防御をとるんだ!】

 

【無理だ】

 

【なっ、なぜだ!?】

 

【この機体はドラッケンがベースだが旋回性、機体速度を上げる反面、防御力はケストレル並みしかない】

 

【ケ、ケストレル並み!?それは……】

 

【下手に防御は出来ないということか……!】

 

【俺は撹乱に回ります】

 

フルメタルドッグは再びアイオーンtype-γⅡの周りを回りながら攻撃を続ける。

 

だが、アイオーンtype-γⅡの視線を変えるまでには至らなかった。

 

アイオーンtype-γⅡは両腕から光線を前に打ち出す技──滅界ジクロプスを放つ。

 

フルメタルドッグはバックしてギリギリ回避するが、爆風からは逃れられなかった。なんとかブレーキをかけるが爆風で膝をつく。

 

【くっ!やはりターンピックがないと無理か】

 

アイオーンtype-γⅡはキリコの乗るフルメタルドッグを叩き潰そうと両腕を振り上げ狙いを定める。

 

「キリコ!」

 

「解析完了、機体ダメージは40%を超えました!」

 

「チィ!」

 

「キリコさん!」

 

【させるか!】

 

ヴァリマールが飛び上がり、アイオーンtype-γⅡのボディに太刀で横凪ぎに斬る。

 

続けてドラッケンⅡがクラフト技─双剋刃でボディを攻撃。アイオーンtype-γⅡは構えを解く。

 

【大丈夫か?】

 

【問題ない】

 

【一度引いて体勢を整える】

 

リィンの指揮でキリコとクルトは一度下がる。

 

 

 

一方のユウナたちはアガットの指揮の下、猫型魔獣と戦闘していた。

 

「ラウラお嬢さんとフィーとそこの金髪と俺が前衛。ピンク色のお前はそのサポート。エリオットはアーツで回復。黒兎と緑髪の二人は後衛に徹しろ。以上だ」

 

『了解!』

 

アガットの立てた戦術は基本的なものだった。

 

4人の前衛が攻撃を仕掛け、ユウナがそれをカバー、そして後衛の2人がクラフト技で追撃する。

 

前衛が手傷を負えばすかさずエリオットの回復アーツがかかる。

 

だがユウナたちには戦術リンクという大きなアドバンテージがあった。

 

その結果、猫型魔獣の群れを全滅させることに成功した。

 

ユウナたちはエリオットの回復を受けている間、アイオーンtype-γⅡに挑むリィンたちを見つめていた。

 

 

 

すると、アイオーンtype-γⅡのボディが金色のオーラに包まれる。

 

【何っ!?】

 

「ええっ!?」

 

「これは、魔煌兵の時と同じ……」

 

「高揚による強化ですか……」

 

「クソッ、きりがねぇ」

 

ユウナたちは呆然とする。だが……

 

【狼狽えるな!】

 

リィンから激が飛ぶ。

 

「強化されたと言ってもほんの少しだよ」

 

「あきらめるにはまだ早い」

 

「我らと共に力を合わせよう。さすれば、どんな難敵も恐れるに足らずだ」

 

エリオットたち旧Ⅶ組が鼓舞する。

 

「みなさん……」

 

「すごい……!」

 

「ったく、あきらめが悪すぎるだろ」

 

「これが、旧Ⅶ組……」

 

【敵わないな……この人たちには……】

 

(本当にとんでもないクラスを作りやがったな、オリビエの奴)

 

アガットは大剣を構え直した。

 

すると、リィンたち新Ⅶ組とエリオットたち旧Ⅶ組を青い光が包む。

 

「これって……」

 

「ARCUSの戦術リンク?」

 

【それだけじゃない。ヴァリマールの力も感じる】

 

「皆と繋がる感覚、そうなのだろうな」

 

「話ししてもないのに考えてることがわかるっていうか……」

 

「今ならわかります。みなさんの絆……」

 

「俺もかよ」

 

「ふふふ、不思議ですね」

 

【ここにいる全員の意思が伝わる……】

 

【戦術リンク、か】

 

【勝機は見えた。みんな、行くぞ!】

 

『おおっ!』

 

 

 

「こ、こんなはずでは……あの力はいったい……」

 

息を吹き返したリィンたちの反撃にデュバリィは呆然とするしかなかった。

 

「ね?言ったでしょ。キリコも妖精もお兄さんたちもおそれている暇なんてないって。ああ~、あたしもキリコと殺り合いたいなぁ。まっ、こうなったのは自業自得なんだけどね♪」

 

シャーリィは腹部の包帯を撫でながらおどけたように言う。

 

「何でです……」

 

「えっ?」

 

「何でどいつもこいつもそうなんですの!わたくしはただ、マスターの命じる通りに……」

 

「だから考えが狭いんだってば。自分がどうしたいのか、それすら考えないんだから。それじゃあたしもお手上げだよ」

 

「し、しかし……わたくしは……マスターの……」

 

「あ~あ、こりゃダメか(それにしても、キリコってすごいな……。あれっ?さっきから妖精じゃなくてキリコばっかり見てる……これってもしかして……そういうこと?)」

 

シャーリィは何かが芽生えたのを自覚した。

 

 

 

[キリコ side]

 

戦術リンクを発現させてから連携がスムーズになった。

 

それだけでなく、機甲兵に乗らない者たちから援護を受けるようになった。

 

これは灰の騎神が関係しているらしいが、今はどうでもいい。

 

機体のダメージは決して軽くない。

 

おそらく後一発でも喰らったら大破するだろう。

 

最悪運用データだけでも届けられればそれでいい。

 

だが、俺はまだ死ねない。

 

[キリコ side out]

 

 

 

リィンたちは戦術リンクの連携を用いて、アイオーンtype-γⅡをあと一歩のところまで追いつめた。

 

【なんとか追いつめましたね】

 

【ああ。キリコ、機体の調子はどうだ?】

 

【ギリギリですね。決めるならさっさと済ませるべきかと】

 

【わかった。クルト、キリコ。協力して決めるぞ!】

 

【了解!】

 

【了解】

 

ヴァリマールの斬撃がアイオーンtype-γⅡをぐらつかせる。

 

【今だ!!】

 

 

 

『連ノ太刀 箒星!』

 

 

 

ぐらついたところに、ドラッケンⅡの双剣の斬撃、フルメタルドッグのソリッドシューターの連射。

 

とどめにヴァリマールの流星を思わせる斬撃。

 

アイオーンtype-γⅡは火花が散り、機能を停止した。

 

かつてクロスベルを震撼させたアイオーンの後継機は新旧Ⅶ組の絆の前に敗れた。

 

 

 

「ははっ、スゲェもんだな」

 

ハーメル村前の広場の高台から戦闘の様子を見ていた者たちがいた。

 

「あのデカブツを倒しちまうたぁ、大したもんだ。リィン・シュバルツァー、噂以上だな」

 

「それに他の連中も悪くねぇ。アルゼイドのお嬢ちゃんに猛将の息子。トールズ第Ⅱのヒヨコども。ただ……」

 

男は機甲兵から降りてきたキリコを見つめる。

 

「あの青髪の坊主は別格だな。帝国西部で黄金の羅刹や黒旋風と殺り合ったらしいが。なるほど、大したタマだ」

 

「いやいや、褒めとる場合やないで」

 

「ここからは見えないが、星座が来ているようだ。それに結社の連中もいる」

 

「まあ、いいじゃねぇか。それはそれでおもしれぇ。にしても、大きくなったなぁ、フィーのやつは」

 

男は感慨深く腕を組む。

 

「せやな」

 

「今では遊撃士らしいな」

 

「そうか。あの血なまぐさいとこから足を洗えたんだ。バレスタインの嬢ちゃんには感謝しねぇとな」

 

「で、どないするんや?あちらさん動くみたいやで」

 

「我らもいくか?」

 

「待て待て。それこそ面白くねぇだろ。こういうのは最後にどーんと出るもんだぜ?」

 

男は葉巻に火をつける。

 

「このオヤジは………」

 

「相変わらずだな……」

 

「ククク……お前もそう思うだろ?なぁ………

 

 

 

ゼクトール」

 

 

 

葉巻を燻らせる男の背後には、紫色の影が浮かび上がっていた。

 




次回、サザーラント篇最終回です。
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