英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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イースⅨが面白くて作業ペースが若干ダウンしてますが、じっくりやっていこうと思います。


けじめ②

リィンたちはオーバルストア《ゲンテン》でARCUSⅡの調整等を終え、活動を開始した。

 

 

 

[アリサ side] [ジオフロントF区域の手配魔獣]

 

私たちはジオフロントF区域の手配魔獣を討伐することになった。

 

マキアスの情報によると、手配魔獣は廃棄された人形兵器みたい。

 

これは私の地元ルーレでも言えることなんだけど、廃棄された人形兵器が暴走気味に活動を続けているというの。

 

その度にTMPや統合地方軍が討伐に駆り出されることも少なくない。

 

アンゼリカさんの叔父にして、元取締役のハイデル・ログナー氏はそこら辺がいい加減だったみたいで街道に投棄してたみたいなの。

 

内戦後の裁判でその事も発覚して重い罰金刑を受けたんだけど、どうもそれを恨んだ挙げ句、件の公文書偽造事件を起こした。

 

ただ、一つだけ引っかかるのが、ハイデル・ログナー氏はそこまで考えていたわけではないらしいの。

 

本人曰く、「なんでここまで憎んでたのかがわからない。まるで魔が差したかのようだ」と。

 

言い訳がましいけど、取締役としては優秀の部類に入る。

 

第一研究所職員への聞き取り調査でも、取締役の態度は異常だったとか。

 

本当にわけがわからないわ。

 

 

 

私たちはオリビエさんとともにジオフロントF区域の探索を開始。

 

久しぶりの戦術リンクだったけど、ブランクは微塵も感じなかった。リィン、マキアス、エマ。みんな変わってなかった。

 

オリビエさんの銃とアーツの腕前は想像以上だった。

 

リベールの異変を乗り越えた話は聞いていたけど、凄いの一言。

 

そんな中、私は今ピンチだった。

 

「うう……見えないわよね?」

 

私は今、ダクトを潜り抜けている。

 

当たり前だけどリィンとマキアスとオリビエさんは先に行ってて、私の後ろにはエマとセリーヌがいる。

 

同性だけどなんか落ち着かない。

 

「アリサさん、大丈夫ですよ」

 

「さっさと行きなさいよ」

 

はぁ、猫はいいわね……。

 

 

 

「そういえば、シャロンさんはどうしてるんだ?」

 

一息ついた時、リィンがシャロンについて聞いてきた。

 

「今日一日休むように言ってあるわ。最初はごねてたけど、母様の命令には逆らえなかったから」

 

「そうか。大事に至らなかったならいいんだが」

 

「そうだね。彼女の淹れた紅茶が飲めなくなるのは大きな損失だからね」

 

「オリビエさん……」

 

「ありがとうございます。シャロンもきっと喜びます」

 

「礼には及ばないさ」

 

オリビエさんは微笑みながらそう答えた。本当に素晴らしい人だと思う。

 

 

 

そして私たちは指定の場所にやって来た。

 

そこにはボロボロだけどなんだか見覚えのある人形兵器がおかれていた。

 

「これって……」

 

「知っているのかい?」

 

「ええ。ルーレのラインフォルト本社で」

 

「な、なにか…嫌な予感が……」

 

マキアスの予感は的中した。

 

人形兵器は私たちのことを感知したらしく、火花を散らせながら動き出した。

 

「完全に壊れているわけではなさそうだね」

 

「気をつけてください!こいつには風の剣聖の戦闘データが組み込まれています!」

 

「リィンたちがルーレ突入の時に遭遇したという……」

 

「色々と気になるが、まずは制圧してしまった方がよさそうだね」

 

そのまま私たちは人形兵器──レジェネンコフ零式との戦闘に入った。

 

 

 

レジェネンコフ零式は風の剣聖の戦闘データが組み込まれているとはいえ、スクラップ寸前という有り様だった。

 

ただ、兵器としては完全に死んでいるわけではないので、油断は禁物ね。

 

「動作はともかく、型は合っているな」

 

「褒めてる場合か!」

 

「いや、少しオリジナルが入っているな。本人の剣技を見た事はあるが、似て非なるものだ」

 

「殿下もそんな事を言っている場合ではありません!」

 

マキアスのツッコミも健在ね……。

 

すると、レジェネンコフ零式の機体性能が上がった。

 

「これって……!」

 

「リミッターを解除したみたいね」

 

「だが所詮はコピーだ!押しきるぞ!」

 

リィンの掛け声に私たちの士気も上がる。

 

(リィン、貴方はいつも勇気をくれる。だから……今度は、私も!)

 

 

 

「とっておきを見せてあげるわ。気高き光よ、我が下に集え。くらいなさい、ジブリール・アロー!己の罪を悔いなさい………」

 

 

 

Sクラフトを受けたレジェネンコフ零式は電流が走り、爆発した。

 

「なんとか勝ったな……」

 

「お疲れ様。しかし……風の剣聖のデータとはね。リィン君とアリサ君は知っているようだが……」

 

「あ、はい」

 

私はオリビエさんにルーレ突入の時のことを説明した。

 

「なるほど、報告は聞いていたが。内戦もクロスベル事変も結社が動かしていた事を考えると、ハイデル・ログナー氏が戦闘データを手に入れたことも説明はつくかな?」

 

「本社としてもそう捉えています」

 

「おそらく、リィンさんたちが遭遇した人形兵器と同型でしょう」

 

「多分な。ハイデル氏が流したんだろう」

 

「本当にろくな事しないわ……」

 

「まあ、何はともあれ、これで依頼達成なのかな?」

 

「そうですね。ではあっちから地上に戻りましょう」

 

「賛成だ。そろそろ太陽が恋しくなってきたしね」

 

その後、地上に戻って報告して依頼達成ね。

 

[ジオフロントF区域の手配魔獣] 達成

 

[アリサ side out]

 

 

 

[オリビエ side]

 

ジオフロントから地上に出た我々は街道に出る前に情報収集を行うことにした。

 

久々のクロスベルはどことなく雰囲気が変わった。

 

昨夜の結社による襲撃の余波は確実に影響している。

 

人の口は戸に立てられず。

 

そんなことを思いながら、各区域で情報を集めた。

 

港湾区の広場で2年前の出来事を思い出した。

 

あの頃のクロスベルは平和だった。

 

だが通商会議を起点に変わってしまった。いや、僕が口にする資格はないな。

 

東通りでトールズ卒業生のベッキー君とリンデ君に再会した。

 

二人とも僕だとわかった瞬間、腰を抜かしていたよ。騒ぎになる前に袖の下を握らせた方が良かったかな?

 

中央通りで特務支援課ビルにやって来た。

 

以前よりも寂れて見える。あの黒猫君も見当たらない。

 

リィン君も表情が暗い。でも目を逸らしてはいない。

 

こんなことしか出来ない自分が本当に無様だと思う。

 

裏通りを抜けて、歓楽街にやって来た。

 

アルカンシェルはやってはいるけど、お客さんは少ないように見える。

 

ランディ君によると、紅の戦鬼による襲撃で炎の舞姫イリア・プラティエが重傷を負った。もう一人の看板女優のリーシャ・マオも鳥籠の中にいるらしい。

 

西通りでユウナ君の実家に行ってみたが、あいにく留守だった。結果的にはこれで良かったのかもしれない。

 

僕はいずれ、償いをしなければならない。

 

[オリビエ side]

 

 

 

[マキアス side] [東クロスベル街道の手配魔獣]

 

情報収集を終えた僕らは導力バイクに乗って街道に出た。

 

「いや~、最高だね。この爽快感は他に例えようもないね」

 

「ええ、それはそうですが……」

 

現在殿下はサイドカーに乗られている。正直、気が気でない。

 

「ハハハ、マキアス君。もう少しリラックスしたらどうかな?」

 

「したいのはやまやまなんですが………。リィン、絶対に事故るんじゃないぞ」

 

この時僕は凄い顔をしてたと思う。なぜならリィンやエマ君が苦笑いをしてたからだ。

 

「そういえばマキアス。導力バイクや導力車についてなんだが、色々変わるって聞いたんだが」

 

「ああ、免許制度の事だろう?政府指定の機関で筆記と実地の試験を行い、合格して発行された免許証がなければ運転ができなくなるというものなんだ。当然ながら、免許証なしの運転は重罰が課せられる。もっとも、本格的に導入されるのはもう少し先のことだろうけどね」

 

「確かにそういったものは必要かもしれないわね」

 

「導力車による事故もあるそうですが」

 

「ああ。10年くらい前に猛スピードで突っ込んできた導力車に子どもがはねられる事故が帝都で起きたんだが、子どもは奇跡的に無傷だったそうだ」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

エマ君は驚きを隠せないようだ。

 

僕もこの話は政治学院の講義で知った。

 

また、その子どもというのは孤児だったらしく、身元は分からずじまいだったそうだ。

 

だがこの事故をきっかけに帝国各地で帝国交通法改正を叫ぶ声が大きくなった。

 

貴族院でも反対する声もほとんどなかったことから、滞りなく改正された。

 

この導力バイクも例外じゃないだろう。

 

最近では人通りの少ない街道での暴走行為も報告されているというしな。

 

もし集団化したら手におえなくなるだろう。

 

「導入されたら俺も免許証というのを取らなきゃいけないんだな?」

 

「そういうことだな」

 

「ではマキアス君。エマ君のような魔女が乗る箒はどうなんだい?」

 

「ほ、箒ですか!?ええっと……」

 

「マキアスさん……本気にしないでください……」

 

「あれは人間がつけた勝手なイメージよ」

 

伝承もへったくれもないな。

 

まあ、エマ君やクロチルダさんは転移の術を使うからいちいち箒に乗らなくてもいいのか。

 

先ほどよりも和やかになった気がした。もしかしたら殿下はこれを狙ってたのだろうか?

 

 

 

その後、僕たちは魔獣が目撃された場所へとやって来た。

 

そこには、蟹型の魔獣がいた。

 

「あれか……」

 

「ふむ、ずいぶん堅そうだね」

 

「マキアスさん、お願いできますか?」

 

「ああ。僕のショットガンなら硬い殻も貫けるはずだ」

 

「メインをマキアス、リィンがサブ、私とエマとオリビエさんがアーツで援護。そんな所かしら?」

 

「わかった、それでいこう。オリビエさんもよろしくお願いします」

 

「任せたまえ!」

 

 

 

蟹型の魔獣──ギガマーダークラブは見た目どおり硬い殻だったが、僕のブレイクショットとエマ君たちのアーツで確実に削れていった。

 

「グオォォォッ!」

 

ギガマーダークラブが丸まったような構えをとる。どうやら防御体勢らしい。

 

「対アーツ防御も上がったようです!」

 

「やれやれ、これは骨が折れそうだね」

 

「ですが、先ほどより余裕がなさそうです。このまま押しきりましょう」

 

確かにギガマーダークラブの動きに焦りのようなものが感じられる。リィンの言うとおり、このまま押しきれそうだ。

 

(リィン。君は覚悟を持って理不尽な要請をこなしていたんだろう?だったら僕も覚悟を見せなきゃな!)

 

 

 

「そこまでだ!強制監察を開始する!もう一丁!これで止めだ。ジャスティスバレット!」

 

 

 

Sクラフトでガードをこじ開けられたギガマーダークラブは、唸り声をあげながら消滅した。

 

「やったな、マキアス」

 

「ああ。なんとかなったな」

 

「お疲れ様でした」

 

「これでマキアスが持ってきた手配魔獣は全部倒したわね」

 

「そうだな。とりあえずクロスベル市に戻ろう」

 

僕たちは導力バイクに乗ってクロスベル市に戻った。これで依頼達成だな。

 

[東クロスベル街道の手配魔獣] 達成

 

[マキアス side out]

 

 

 

クロスベル市に戻ったリィンたちはティオ主任から連絡を受け、ジオフロントB区域が西通りにある建物から入れることを突き止め、その建物の前にやって来た。

 

「ここですね」

 

「何かの事務所跡みたいね」

 

「ここはかつてイアン・グリムウッドという弁護士の事務所だったそうだ」

 

「僕も聞いたことがある。熊ヒゲ先生の愛称で親しまれた敏腕弁護士らしいね」

 

「その方はおられないようですが……」

 

「…………」

 

マキアスは重い口を開いた。

 

「……そのイアン・グリムウッド氏はクロスベル事変の黒幕の一人だったらしいんだ」

 

「何だって!?」

 

リィンたちは驚きを隠せなかった。

 

「現在はアルモリカ村の保養所にいるらしいが、そこまではわからない。そしてここは総督府の一時預りになっているんだ」

 

「……………」

 

「色々とあるみたいだが、とりあえず中に入ってみよう」

 

鍵を開け、中に入った。中は清潔に保たれていた。そして事務所内の奥に似つかわしくない扉があった。

 

開けると、地下に通ずる階段があった。

 

「ここか」

 

「とにかく降りてみよう」

 

リィンたちは階段を降りた。

 

 

 

階段を降りると、巨大な空間が現れた。

 

「ここがジオフロントB区域か……」

 

「魔獣の気配もしますね」

 

「ここの奥に魔煌機兵がいるんだね?」

 

「はい。ティオ主任からの情報だとそうなっています」

 

「いまさらですが、本当に行くんですか?」

 

「もちろん♪」

 

アリサからの問いかけにオリビエは笑顔で返す。

 

「はぁ……。仕方ありませんね。引き続きよろしくお願いします」

 

「モチのロンだ」

 

「……何ですか?それは?」

 

「戦友の言葉だよ」

 

リィンたちは首をかしげながら、探索を開始した。

 

 

 

ジオフロントB区域はF区域よりも堅牢な造りであり、リィンたちは安定した立ち回りで探索していた。

 

「思っていたよりしっかりしているんですね」

 

「元々は脱出用に設計されているらしいな。そこに後付けでインフラ整備していったようだが」

 

「よく崩れないねぇ」

 

オリビエはノックするように柱を叩く。

 

「そうですね───って、来たわよ、リィン」

 

アリサが指さす方向から6体の狼型魔獣がかけてきた。

 

「総員、戦闘準備」

 

『おう!』

 

 

 

「終わったぞ」

 

「すまんな、キリコ。わざわざ見てもらって」

 

一方演習地では、生徒たちはそれぞれのカリキュラムを終えつつあった。キリコは格納庫でグスタフの導力砲のメンテを行っていた。

 

「内部機構が劣化している。パブロに頼んで新しいのに交換しろ」

 

「そうだな。何かあってからじゃ遅いからな」

 

グスタフは早速パブロの所へ向かった。

 

「……………」

 

キリコは一息つくと、クロスベル州の地図を眺めた。

 

(昨夜神機は南西の方角に飛びさって行った。オルキスタワーを中心として……怪しいのはこの"星見の塔"とやらか)

 

キリコはウルスラ間道の外れにある建物──星見の塔に当たりをつけた。

 

(塔まではほぼ一本道。大猿型魔獣はあしらいながら進めば問題はなさそうだな。問題は塔の内部だが、これは仕方ない)

 

キリコは地図を畳み、ホルスターにしまう。

 

(武装はへヴィマシンガン改。ガトリング砲に二連装対戦車ミサイル。対空戦では心許ないが、そこはどうとでもなる。後はユウナだが………当てにできそうもないか)

 

キリコはユウナがいるであろう隣の車両を見つめる。

 

(そういえばこちらに来て初めてかもしれないな。誰かのために戦うというのは。そもそもジギストムンドの件は俺自身のことだったし、第九機甲師団も成り行きに過ぎないからな)

 

キリコは整備を終えたフルメタルドッグを見上げた。

 

「ん?」

 

キリコはフルメタルドッグの肩に何かを見つけた。

 

「なんだこれは?」

 

肩には図形のようなものが彫られていた。

 

「ッ!」

 

何かの気配を感じ振り向くが誰もいなかった。ただ、机に封筒が置かれていた。

 

キリコは慎重に封筒を開くと、1枚のカードが入っていた。

 

カードにはフルメタルドッグの肩に彫られていた図形と同じものが描かれており、右下に『ただ、念じるのみ』と書かれていた。

 

(この感覚は………!?)

 

再び気配がしたため、外へ出るがそこで気配は消えていた。

 

キリコは無言でカードを見つめる。

 

(昨日沼地でミルスティンが行った魔術と同じような、いやそれ以上の何かを感じる。一体何者だ?)

 

キリコの様子を列車の影から蒼いドレスを着た美女が微笑んでいた。

 

 

 

「そろそろかな?」

 

「ええ。気配を感じます」

 

魔獣を倒したリィンたちはB区域の最奥に到達した。

 

中は今までで一番広かった。

 

「これは何が出てきても不思議ではないね」

 

「気をつけなさい!来るわよ!」

 

セリーヌの声が響いた直後、前方の空間が歪み、トマホークを携えた魔煌兵が顕れた。

 

「出たわね…!」

 

「ずんぐりとした魔煌兵。内戦で見た事あるな」

 

「防御力が高いタイプですね。ですが!」

 

「ああ、俺たちなら乗り越えられる。総員、戦闘を開始する!」

 

『おお!』

 

 

 

へヴィルヴィは見た目どおりの防御力で、リィンたちを大いに手こずらせた。

 

「さすがにしぶといね!」

 

「ええ、しかも回復機能もあるようです」

 

オリビエが銃弾を撃ち込むもの装甲を崩すには至らず、エマのアーツも回復力で相殺される。

 

だが、リィンたちは決して諦めなかった。

 

全員で乗り越える。その決意がリィンたちを支えていた。

 

(そうとも。リィン君たちもキリコ君たちも頑張っているんだ。ここで私が諦めたら彼らにもアルフィンにも会わせる顔がない!)

 

オリビエは詠唱を開始した。

 

 

 

「エクスクルセイド!」

 

 

 

オリビエの空属性アーツを受けたへヴィルヴィは体勢を大きく崩したが、仕留めるまでには至らなかった。だがこれで十分だった。

 

「今だよ、リィン君たち!」

 

『はい!』

 

リィンはリンクバーストを発動する。

 

「行くぞ!全員で仕留める!」

 

『おお!』

 

リィンの斬撃、エマの魔弾、マキアスの銃撃、アリサの一矢がへヴィルヴィに炸裂する。

 

へヴィルヴィは断末魔の叫びをあげながら消滅した。

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……や、やった……!」

 

「ふう…ふう……なんとかやりましたね……」

 

「お疲れ。みんな、よく頑張ってくれたね」

 

「い、いえ。オリビエさんこそお疲れ様でした」

 

「本当に助かりました」

 

リィンたちは息を整え、オリビエにお礼を言った。

 

「礼には及ばないさ。とりあえずティオ君の依頼は完了したことで良いのかな?」

 

「あっ、そういえばそうですね」

 

「忘れていたな……」

 

「ふふ、それだけ集中していたってことですね」

 

「とにかく、出ましょう。連絡は私がしますね」

 

リィンたちはジオフロントB区域から脱出した。

 

 

 

その後、リィンたちはティオ主任から労いの言葉と、結社の隠れ家はウルスラ間道外れの星見の塔が有力であると情報を受け取り、ランディたちと相談すべく、演習地に向かうため導力バイクに乗った。

 

「ちょっと待ってくれませんかね?」

 

振り向くと、レクター少佐がやって来た。

 

「レクターさん……」

 

「出たわね、カカシ男(スケアクロウ)……」

 

セリーヌはレクター少佐の異名を口にする。

 

「殿下、ご自分の立場はお分かりのはずですが?」

 

「だからこそだよ。けじめをつけるには身軽な方がいいからね」

 

「ふう、何を言っても無駄のようですね」

 

レクター少佐は肩を竦める。

 

「伊達に放蕩皇子とは呼ばれていないよ。それとレクター君、彼に伝えてほしいことがあるんだが」

 

「何なりと」

 

 

 

「たとえ翼を失っても、心の銃までは失ってはいない。そう伝えてくれたまえ」

 

 

 

「殿下……」

 

「かしこまりました。一言一句違わずお伝えします」

 

レクター少佐は恭しく了承する。

 

「ありがとう」

 

「礼には及びません。どうかお気をつけて」

 

レクター少佐はクロスベル市内に戻って行った。

 

「さあ、僕たちもやるべきことをやろうじゃないか」

 

オリビエはパンッと手を鳴らし、切り替えた。

 

「そうですね。では参りましょう」

 

リィンたちは導力バイクを走らせた。

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