英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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色々と忙しくて終わるのに時間かかりました。

短めです。


星見の塔②

キリコたちの尽力で結界は破壊された。

 

「まったく……強引過ぎるだろう……」

 

「ホントよ!」

 

「まあまあ。他に手段もなかったし良いじゃないか。しかし、スゴいもんだねぇ」

 

憤慨するセリーヌを諌めながらオリビエはフルメタルドッグを見つめる。

 

【教官】

 

「あ、ああわかった!」

 

 

 

「来い、灰の騎神 ヴァリマール!」

 

「応!」

 

 

 

リィンの呼び掛けに応えたヴァリマールは演習地から飛翔して来た。リィンはヴァリマールのコックピットに乗り込む。

 

【教官!】

 

【クルト、アルティナはよく来てくれた。ミュゼにアッシュも。そして………】

 

リィンはドラッケンⅡを見る。

 

【ユウナ、大丈夫なんだな?】

 

【はい。あなたにはまだまだ言いたいことはありますが、それはいいです。今あたしにできることはこのクロスベルを結社から守ることですから。そ、それと勘違いしないでください!これはあたしが決めたことなんで、別にあなたに言われたから来たわけじゃありませんから!】

 

【ユウナ……】

 

「ユウナさんらしいですね」

 

【…………………】

 

【そうか。よく立ち直ってくれた】

 

ユウナの言葉を聞いたリィンは微笑んだ。

 

 

 

「フフ、美しい師弟愛だね。でもそろそろこっちを向いた方が良いんじゃない?」

 

【い、言われなくても!】

 

【あれが神機か……】

 

「アイオーンtype-βⅡ。飛行形態を持つタイプですね。空中戦では騎神以上かと」

 

「なら飛ぶ前に叩っ壊すまでだ」

 

「さすがに生身では困難でしょうけど……」

 

「ハハッ、やる気は十分みたいだね。じゃあ……」

 

カンパネルラはミュゼたちのすぐ隣に来た。

 

「あっ!」

 

「他は僕たちが相手してあげるよ」

 

「上等じゃない!」

 

「リィンたちは神機を頼む!こいつらは僕たちが引き受けた!」

 

「新Ⅶ組の皆さん、よろしくお願いします!」

 

アリサ、マキアス、エマが得物を構える。

 

「ふふ、僕ももう一踏ん張りしますかね!」

 

オリビエは銃口をカンパネルラに向ける。

 

「ではアッシュさん、ミュゼさん。お願いします」

 

「俺はⅦ組じゃねぇっつの」

 

「ここまで来たら良いじゃないですか」

 

アルティナの言葉にアッシュとミュゼは不敵な笑みを浮かべる。

 

【皆さん……!】

 

【殿下まで……!】

 

【教官】

 

【ああ!新旧Ⅶ組!全員、死力を尽くしてくれ!】

 

『おおっ!』

 

 

 

「おらぁ!」

 

アッシュがカンパネルラに襲いかかる。

 

「おっと!なかなかやるね♪」

 

「チッ!なめてんじゃねぇ!」

 

「アッシュさん!伏せてください!」

 

ミュゼの魔導騎銃から蒼い鳥が放たれる。

 

「おっとっと。へぇ、面白いね」

 

「よそ見は厳禁よ!」

 

「そこだ!」

 

アリサとマキアスのクラフト技がカンパネルラを撃ち抜いた。

 

「やったか!?」

 

「いや?こっちだよ♪」

 

「なっ!?」

 

カンパネルラは後ろにいた。

 

「幻影ですか」

 

「相変わらずいやらしい手を使うね」

 

「フフ。それはともかく……」

 

カンパネルラはマクバーンの方を見た。

 

「少しは手伝ってよ」

 

「なんか冷めちまった。灰の小僧も青髪の小僧もあっちにいるしよ。つまんねーから見てるわ」

 

マクバーンは面倒くさそうに髪を弄る。その仕草はアッシュの逆鱗に触れた。

 

「なめてんじゃねぇっ!」

 

アッシュは接近し、ヴァリアブルアクスの刃をマクバーンに飛ばす。

 

「フンッ」

 

「グッ…ハァッ…!?」

 

マクバーンは超スピードで懐に飛び込み、アッシュの腹部に蹴りを入れる。アッシュは後ろの壁際まで飛ばされた。

 

「この程度だもんなぁ~……!?」

 

「ヘッ、なめんじゃねぇよ……!」

 

アッシュは立っていた。

 

「やるね。ヒットする瞬間、重心を後ろに入れてダメージを最小限に留めた。でも効いてはいるみたいだね?」

 

 カンパネルラの指摘通り、アッシュの四肢は小刻みに震えていた。

 

「やせ我慢でしたか……」

 

「まったく、無理するんじゃないぞ」

 

「ったく、少し待ってなさい」

 

アルティナとマキアスはアッシュのタフネスに呆れ、セリーヌが回復の術を展開する。

 

ズズゥゥゥン……!

 

「!?」

 

「教官!」

 

「キリコさんたちも!」

 

隣ではヴァリマールたちがアイオーンtype-βⅡに懸命に抗っていた。

 

 

 

【はぁ…はぁ…はぁ…!】

 

【タイプが違うだけでこうも苦戦するのか……!】

 

ドラッケンⅡとシュピーゲルSは時折変形するアイオーンtype-βⅡについて行けず、振り回されていた。

 

【さすがに対空戦闘は無理か】

 

フルメタルドッグはへヴィマシンガン改とガトリング砲を駆使してアイオーンtype-βⅡの装甲に傷をつけてゆく。

 

ヴァリマールも八葉一刀流で応戦するも、相手を崩すには至らず、決め手に欠けていた。

 

すると、アイオーンtype-βⅡはチャージ体勢を取った。

 

「リィン。何か来るぞ」

 

【わかってる!各機、備えろ!】

 

【【了解!】】

 

【……了解】

 

リィンからの指示でドラッケンⅡとシュピーゲルSは防御体勢を取るが、フルメタルドッグはギリギリまで攻撃を続ける。

 

「なぜ防御しないんだ!?」

 

「出来ないのよ……!」

 

マキアスの疑問にアリサは苦々しい表情を浮かべた。

 

「出来ない、とは?」

 

「あのフルメタルドッグは地上戦闘における機動性は確かに高いわ。でも、防御力はケストレル以下なのよ!」

 

「ケストレル以下!?」

 

「それはつまり………」

 

「はい、まともに攻撃を受ければ一発で大破します!」

 

「何だって!?」

 

「なるほど。あの実験用機甲兵は回避行動が前提。相当腕に自信がなけりゃただの自殺マシーンってわけか」

 

いつの間にか隣にいたカンパネルラがフルメタルドッグの特性を推測する。

 

「そう言えば、帝国西部で黄金の羅刹や黒旋風と殺し合いを演じた名もない少年兵がいたって言うけど、もしかしなくてもキリコなのかな?」

 

「はぁ?」

 

マクバーンは目を見開く。

 

「聞いたことはある。だが、ただの噂ではなかったのか……」

 

オリビエは愕然とした。

 

「エリオットさんにラウラさんやフィーちゃんから聞きましたが……」

 

「……正直、突拍子も無さすぎたが……」

 

「とんでもないわね……」

 

エマたちはただ驚くことしかできなかった。

 

 

 

チャージを終えたアイオーンtype-βⅡの翼から無数のレーザー攻撃──滅天アウナロクが放たれた。

 

ヴァリマールとドラッケンⅡとシュピーゲルSは防御に徹していたが、フルメタルドッグは高速移動とスピンによる回避を行っていたが全てをかわすことはできず、左腕を吹き飛ばされた。

 

【キリコ君!】

 

【左腕が……!】

 

【まだ動ける。それより攻撃に集中しろ!】

 

そう言ってフルメタルドッグはアイオーンtype-βⅡに銃撃を加える。

 

【……二人とも、キリコの覚悟を無駄にするな!まだフルメタルドッグは動ける。俺たちも行くぞ!】

 

【は、はい!】

 

【イエス・サー!】

 

リィンの激にドラッケンⅡとシュピーゲルSも迷いを振り切り、アイオーンtype-βⅡに攻撃を続ける。

 

【まったく、俺もまだまだだな】

 

(お主はお主らしくすれば良い。そうやって死地を幾度となく乗り越えて来ただろう)

 

【そうだな。俺も迷ってはいられないな。行こう、ヴァリマール!】

 

「応!」

 

すると、ヴァリマールと機甲兵、アリサたちの体が青く輝く。

 

「これは……」

 

「戦術リンク……!」

 

「リィンさんの力を感じます」

 

「これは先月と同じ……」

 

「ったく、またかよ」

 

「ふふ、もう良いじゃありませんか」

 

【みんなの思いが解る……】

 

【ヴァリマールの力……】

 

【やはりそこまで強化されたわけではない、だがこれなら】

 

「ふふ、それでこそⅦ組だ」

 

オリビエは満足そうに見つめる。

 

「楽しそうね?」

 

「そりゃね。彼らを見ていると本気で思うよ。他の誰でもない、自分たちの選んだ道を進んでくれると。そこには山があるかもしれない。谷があるのかもしれない。だがそれでも折れることなく、乗り越えて行く。この帝国においてしがらみに囚われない第三の光。彼らがそうだってね」

 

『殿下……』

 

リィンたちの胸にオリビエの言葉が刻まれた。

 

【……さあ!ここが正念場だ!全員でこの死地を乗り越えよう!】

 

『おおっ!!』

 

 

 

【はあああっ!】

 

ドラッケンⅡがアイオーンtype-βⅡに銃撃を仕掛ける。

 

「ユウナさん!」

 

アルティナのEXアーツが追撃する。

 

【喰らえっ!】

 

続けざまにシュピーゲルSのレインスラッシュがアイオーンtype-βⅡを斬り刻む。

 

すると、アイオーンtype-βⅡが金色のオーラを纏う。

 

「高揚ですか……」

 

【問題ない】

 

フルメタルドッグは意に介さないとばかりに集中砲火を浴びせる。

 

「僕も忘れてもらっては困るよ!」

 

さらにオリビエのアーツの援護により、アイオーンtype-βⅡは大きくぐらついた。

 

【行くぞ!】

 

 

 

【この手で道を切り拓く!はあああっ!夢想覇斬!】

 

 

 

ヴァリマールは八葉一刀流・七の型夢想覇斬をくり出した。

 

【ユウナ!】

 

【はい!】

 

ユウナはアイオーンtype-βⅡを見据えた。

 

【あたしはずっとすがっていただけだった。先輩たちに甘えてただけだった。でももう迷わない!Ⅶ組のみんなと戦いぬいてみせる!それがあたしの選んだ道だから!】

 

【みんな!力を貸して!】

 

 

 

『エクセルバースト!』

 

 

 

シュピーゲルSの斬撃とフルメタルドッグの集中砲火。止めにドラッケンⅡの渾身の一撃が炸裂する。

 

アイオーンtype-βⅡは全身に電流が走り、行動を停止した。

 

迷いと悲しみを乗り越えた少女と仲間たちの意志が神機を打ち砕いた。

 

 

 

「運命は彼らを選んだか……」

 

柱の陰から戦いの一部始終を見届けていた者がいた。

 

「実力ではあの神機が完全に上のはず。数の差があったとはいえ、理解し難い」

 

「意志……とでもいうのか?」

 

仮面の男は奇妙な既視感を覚えた。

 

「懐かしい?この感じは一体……?」

 

 

 

「フフフ、お見事」

 

戦いを見届けていた者はもう一人いた。

 

「転移術も成功。神機も撃破。文句無しね。それにしても──」

 

蒼いドレスの女はエマとセリーヌを見つめる。

 

「あの甘えん坊も少しは成長してるみたいね?」

 

次に蒼いドレスの女はリィンを見た。

 

「リィン君は大人っぽくなっちゃって。今度の放送が楽しみね♪」

 

最後にミュゼを見た。

 

「彼らが仕掛けるのは2ヶ月後。あの子の力には脱帽ね。でもそれより──」

 

 

 

「ミルディーヌ公女サマがキリコ君にアタックを仕掛けるのはいつのことかしら?」

 

 

 

蒼いドレスの女は嬉しそうに扇で顔を覆った。




次回、クロスベル篇最終回です。
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