英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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こういうテイストもアリかなと思って書きました。


仲間①

【オラオラ!どうした!こんなモンか?】

 

【クソがっ!】

 

ランディの乗るヘクトル弐型にユウナたちは苦戦を強いられていた。

 

「さすがに強いですね」

 

ミュゼがEXアーツで援護しながら言った。

 

「…………」

 

「キリコさん?どうしましたか?」

 

「このままでは何度やっても勝てないな」

 

「えっ!?」

 

「それはどういう……」

 

「見てみろ」

 

キリコは三機を指さした。

 

 

 

【はあああっ!】

 

【おっと!】

 

ランディ機はドラッケンⅡの打撃をかわした。

 

【ユウ坊、もう少し周りを見ろ!】

 

【わかってますよ!】

 

【ここだっ!】

 

【遅えっ!】

 

シュピーゲルSの斬撃を防いだ。

 

【クルト!遠慮すんな!ガンガン来い!】

 

【クッ……!】

 

クルトが唇を噛む。

 

【そこだっ!】

 

ドラッケンⅡの合間を縫ってアッシュ機が奇襲をかける。

 

【なめんな!】

 

ランディ機がスタンハルバードで弾く。

 

【アッシュ、奇襲をかけるなら手順ってモンを考えろ。キリコにボロクソにされたことを忘れたのか?】

 

【うるせーな!!】

 

ランディの言葉にアッシュが吠えた。

 

【二人とも落ち着け!一度体勢を整えて……】

 

【テメーらとお手て繋げってか?ゴメンだな!】

 

【何だと!】

 

【つーかじゃじゃ馬。もっと頭使え!】

 

【何ですって!アンタこそ……】

 

【吠える暇があんなら来い!鍛え直してやるからよ】

 

 

 

「これは……」

 

「……最悪ですね」

 

アルティナとミュゼは目の前の出来事に唖然とする。

 

「やはりな」

 

「キリコさんはわかっていたんですか?」

 

「いずれこうなることは予想していた。俺たちは先月、先々月に死地を乗り越えた。自信がついたのも事実だろう」

 

「ではなぜ……?」

 

「半端な自信は増長につながる。その結果だ」

 

「確かに、ユウナさんたちは自信に溢れていました」

 

「でもこれでは……」

 

「勝てるものも勝てないだろうな」

 

「わかっているようだな」

 

振り返るとリィンが立っていた。

 

「教官……」

 

「出るんですね」

 

「ああ。出ないと決めていたが、仕方ない」

 

リィンは格納庫の方を向いた。

 

「ヴァリマール、来てくれ!」

 

ヴァリマールが格納庫から姿を現した。

 

【何だ?出ないんじゃなかったのか?】

 

【ええ。ですが、あまりにも不甲斐ないので】

 

リィンの言葉にユウナたちはカチンときた。

 

【んだと!】

 

【上等じゃない!】

 

【それなら、相手をしてもらおうじゃないですか!】

 

【自惚れるな!!】

 

リィンが怒鳴る。

 

【二度も死地を乗り越えて自信がついた?笑わせるな!君たちは確かに死地を乗り越えただろう。だがそれは力を合わせて初めてなしえたことだろう。その結果がこれか?】

 

【だとしたらふざけてんな。正直、今のお前らなんざ物の数にも入らねぇよ】

 

【んだと!】

 

【アッシュ。君やミュゼは新参だから足並みを揃えろというのは無茶かもしれない。だが君はなぜここに来た?断るなり退学するなり選択肢はあったはずだ】

 

【ユウナ。君はもう少し周りを見ろ。君の持ち味は積極さだが、一人で突っ込んでどうする】

 

【……あ………】

 

【クルト。君の双剣術の強みは手数と攻防一体の技だろう。君の剣術はそんなに軽かったのか?】

 

【……………】

 

【悔しいか?ならクルト、かかって来い!】

 

【ユウ坊にアッシュ。お前らにお灸を据えてやるよ】

 

ヴァリマールは太刀を、ランディ機はスタンハルバードを構えた。

 

 

 

【そこっ!】

 

ドラッケンⅡが銃撃を放つ。

 

【ふん!】

 

ランディ機は耐えた。

 

【そうだ、ユウ坊!お前の武器は打撃と銃撃を切り換えられる。上手く使ってけ!】

 

【はい!】

 

【オラァ!】

 

ランディ機の後ろからアッシュ機が横薙ぎに斬りかかる。

 

【おっと!】

 

それをランディ機がスタンハルバードで防ぐ。

 

【チィッ!】

 

【悪くねぇが、もう少しだな……】

 

「シャドウライズ」

 

「アクアマター」

 

【うおっ!?】

 

アルティナとミュゼがランディ機めがけてEXアーツを放った。

 

「ユウナさんは撹乱を!わたしたちが援護します!アッシュさんは隙を見て攻撃してください!」

 

【アル……ミュゼ……】

 

「私たちは仲間じゃないですか」

 

【二人とも……うん!】

 

【ヘッ……ならとっととブッ倒すぞ!】

 

【ハハ、やっと火がつきやがったか。おっしゃあ!かかって来い!】

 

 

 

一方、シュピーゲルSはヴァリマールに追い詰められていた。

 

【どうした?もう終わりか?】

 

【はぁ…はぁ…はぁ…】

 

「…………」

 

キリコはじっと見ていた。

 

【こんな……ものじゃない……。まだ……やれる……】

 

【そうか。ならかかって来い。一人でも勝てるということを証明して見せろ】

 

【言われなくても………グハッ!?】

 

「…………」

 

突然、キリコがシュピーゲルSを攻撃した。

 

 

【何をするんだ!キリコ!】

 

「……ロードフレア」

 

キリコは再び、EXアーツを放つ。

 

【グッ……。キリコ!いい加減にしろ!】

 

「その言葉、そのまま返す」

 

【何だと!】

 

「お前は何のために戦っている?」

 

【決まっている!それは……】

 

「一人で戦うためか?それともⅦ組として戦うためか?」

 

【………!】

 

シュピーゲルSは動きを止めた。

 

「お前が皇太子に対して何らかの思うところがあるのは知っている。だがお前の相手は皇太子ではない。リィン教官だ」

 

【それは……】

 

「サザーラントでの言葉は嘘だったのか?」

 

【…………!】

 

クルトはハッとなった。

 

「迷いがあるなら代われ。邪魔なだけだ」

 

【……………】

 

キリコは厳しく問いかける。

 

「クルト」

 

【……いや、大丈夫だ】

 

シュピーゲルSは立ち上がった。

 

【……僕は、乗り越えたつもりでいました。セドリック殿下のことも、剣術のことも……】

 

【…………】

 

「…………」

 

リィンとキリコは黙って聞いていた。

 

【でも……何一つ乗り越えていませんでした】

 

【…………】

 

「…………」

 

【でも……もう迷いません!僕が戦う理由。それは、僕だけのヴァンダール流を極めること。そして──】

 

 

 

【Ⅶ組の仲間として、強くなることです!!】

 

 

 

【クルト……】

 

リィンは微笑んだ。

 

【キリコ……すまなかった!】

 

「いい。もう心配はないな?」

 

【ああ!】

 

シュピーゲルSはユウナたちの方を向いた。

 

【ユウナ、アッシュ、来てくれ!キリコ、アルティナ、ミュゼは援護を頼む!僕たち全員で勝とう!】

 

【もちろん!】

 

【しゃーねぇな!】

 

「わかった」

 

「了解しました」

 

「お任せください!」

 

新Ⅶ組の士気が上がる。

 

【これで良いんだな?】

 

【ええ。いいだろう!全員でかかって来い!】

 

『おおっ!!』

 

 

 

【クロスブレイク!】

 

【ランブルスマッシュ!】

 

ドラッケンⅡがガンブレイカーの打撃を当て、アッシュ機がヴァリアブルアクスを叩きつける。

 

「アクアマター」

 

【クッ……】

 

ミュゼのEXアーツを受け、ヴァリマールが少しさがった。

 

【レインスラッシュ!】

 

「ロードフレア」

 

シュピーゲルSの斬撃とキリコのEXアーツがランディ機に襲いかかる。

 

【グッ!やるじゃねぇか!でもな!】

 

ランディ機がクラフト技サラマンダーを使う。炎を纏ったスタンハルバードの一撃がシュピーゲルSに命中した……かに見えた。

 

【なにぃ!?】

 

スタンハルバードが弾かれ、衝撃がランディ機に走る。

 

「間一髪でした」

 

アルティナがすんでのところで、EXアーツ『ノワールバリア』を張っていた。

 

【助かった!】

 

「いえ。それより、来ます!」

 

【わかってる!】

 

シュピーゲルSはヴァリマールの一太刀をかわし、斬りつける。

 

【やるな】

 

【こっちも忘れないでください!】

 

「回復します!サフィールレイン!」

 

ミュゼがEXアーツで回復を行い、ドラッケンⅡが攻撃をしかける。

 

【そうだ。仲間と力を合わせるんだ。君たちには君たちなりのⅦ組を作ってほしいと言った。だが、仲間との絆に新しいも旧いもない。それを忘れるな】

 

【はい!】

 

【オラァ!】

 

【!?】

 

ヴァリマールの頭上に大鎌が振り下ろされる。ヴァリマールはすんでのところでかわした。

 

【これもかわすかよ】

 

【いや、ギリギリだった。それにしても抜け目ないな。ヴァリマールの動きが止まる瞬間を狙うとは】

 

【てめえも卑怯だなんだとぬかすか?】

 

【いや。間違っていないな。奇襲や不意討ちは戦略や戦術の一つだからな。それだけでは勝てないのも事実なんだが】

 

【チッ】

 

「ロードフレア」

 

すかさずキリコがEXアーツを放つ。

 

【クッ……!】

 

【余計なことすんな!】

 

「………………」

 

キリコは無言のまま、ドラッケンⅡのフォローに回る。

 

【一番抜け目ないのはキリコだな……】

 

リィンはその背中を見つめた。

 

 

 

【はぁ…はぁ…はぁ…】

 

【もう少しだ!】

 

【おおよ!】

 

シュピーゲルSは斬撃でランディ機の体勢を崩す。

 

【ユウナ!アッシュ!合わせてくれ!】

 

 

 

『ミストラルブレード!!』

 

 

 

ドラッケンⅡの銃撃とアッシュ機の大鎌の一撃がヴァリマールとランディ機を襲う。

 

止めにシュピーゲルSの斬撃が竜巻となり、二機に襲いかかる。

 

増長を乗り越え、さらに強固になった新Ⅶ組の絆が勝利した瞬間だった。

 

 

 

【やったあああっ!】

 

【勝った、勝ったぞ!】

 

【ハッ!】

 

「やりましたね」

 

「完全勝利……とまではいきませんでしたが」

 

「そうだな」

 

【え?】

 

【まっ、及第点だろ】

 

【ええ。理想とは程遠いですが】

 

ヴァリマールとランディ機が立ち上がる。その様子にキリコとミュゼ以外がポカンとする。

 

【………………】

 

【いや~、昔親父や叔父貴から見切りのシゴキを受けさせられたのが役に立ったぜ】

 

【俺も老師から手ほどきを受けました。さすがにアーツは無理ですが】

 

ランディとリィンはそれぞれの修行時代を思い出しあっていた。

 

【てめえら……ハメやがったな……!】

 

【人聞きの悪いこと言ってんじゃねぇよ。元々お前らのためを思ってのことだぞ?】

 

【僕たちの?】

 

【ああ。君たちはサザーラント、クロスベルと大きな戦いを経験した。それが自信につながったのは収穫だっただろう。だが、自信は時に増長となる。そして増長はチームワークに大きく支障をきたす。それはわかるな?】

 

【……はい】

 

【今回、ランディさんに代わってもらったのはそこを見るためだったんだ。アッシュは多少仕方ないとしても、惨憺たるものだった。だが、最後は良かった】

 

【おお。連携も上手く取れてたし、いい感じじゃね?】

 

【ランディ先輩……】

 

【とりあえず、訓練はここまでだ。機甲兵を戻して格納庫前に集まってくれ】

 

『はい!』

 

 

 

機甲兵をハンガーに戻し、新Ⅶ組はリィンの指示通り格納庫の前に集まっていた。

 

「お疲れ。さて、訓練を通して何か掴めたものはあるか?」

 

「はい。あたしも教官の言うとおり、増長してました。でも、あたしもⅦです。みんなと一緒ならどんな危機だろうと乗り越えてみせます!」

 

「そうか、わかった。クルトは?」

 

「僕はチームワークどうこうというより、迷いを抱えたまま戦っていました。キリコの叱咤がなければまた同じ過ちを繰り返すところでした」

 

「まあ、やり方は褒められたものではないからな。キリコ、後で教官室に来るようにな」

 

「はい」

 

「アルティナは?」

 

「わたしもチームワークとか絆とかの意味はまだわかりません。ですが、皆さんとともに勝利した瞬間、ここが熱くなりました」

 

アルティナは胸に手をあてる。

 

「それでいい。それを忘れないでくれ。ミュゼ。君はどう思った?」

 

「私も皆さんと一緒なら、いかなる壁も乗り越えられると思います。教官、皆さん改めてよろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

「それにキリコさんとなら、たとえ火の中水の中ですわ♥️」

 

「はい、ストップー」

 

ユウナがミュゼを取り押さえる。

 

「やれやれ。最後にアッシュ、何かあるか?」

 

「別に」

 

「アッシュ」

 

「いや、いい。ただアッシュ、一つだけ覚えておいてくれ。チームワークはただの馴れ合いなんかじゃないぞ。時にはぶつかるのも良し。まあ、俺が旧Ⅶ組で学んだことなんだが」

 

「……………」

 

アッシュはそっぽを向いた。

 

「俺らだってそうだったぜ。ロイドにお嬢にティオすけ。初めから息がピッタシだったわけじゃねぇ。いろんな事件を通して特務支援課が出来上がっていったんだ」

 

「先輩……」

 

……ピリリリリッ……ピリリリリッ……

 

突然、リィンのARCUSⅡに通信が入った。

 

「もしもし。はい。こちらは終わりました。はい。ではこれから」

 

「?」

 

「さて、君たちはチームワークを理解してもらったわけだが」

 

(あっ、この流れは)

 

ミュゼはこれから起きる出来事を察知した。

 

「理解した後は実践だ」

 

「実践?」

 

「いやな予感が……」

 

「これより、Ⅶ組特務科はアインヘル小要塞攻略に向かう。十分後、出発する。それまで各自、準備をしておいてくれ」

 

リィンは準備のため、校舎へと戻る。

 

「んじゃっ、頑張れよ~」

 

ランディも手を振りながら校舎の中へ消えて行った。

 

「あ、あ、あ……」

 

ユウナの体が小刻みに震える。

 

「予想通り、ですね♪」

 

「………………」

 

「あんの野郎……」

 

「仕方ありませんね……」

 

「まあ、不甲斐なかったのは事実だからね。キリコ、ARCUSⅡの調整を、ってユウナ?」

 

ユウナの耳にクルトの声は届いていなかった。

 

 

 

「あんの、スパルタ鬼教官ーーーー!!!」

 

 

 

ユウナの叫びが分校は勿論、リーヴスにまで鳴り響いた。

 

 

 

少し前 リーヴス駅前

 

「それにしても久しぶりだね。やっぱりリィン君に会いに?」

 

「はい。ジョルジュさんはシュミット博士にですか?」

 

「うん……。ちょっと憂鬱だけどね」

 

ジョルジュと呼ばれた恰幅の良い男は頬をかく。

 

(まあ、本命はあの人の命令の方だけどね。それにしてもいったい何なんだ?触れ得ざる者とは……)

 

「……ジョルジュさん?どうされました?」

 

「いや、何でもないよ。それよりエリゼ君はどうするんだい?リィン君たち新しいⅦ組は博士の実験に参加するらしいけど」

 

「でしたら、私もそちらに向かいます」

 

「わかったよ。それじゃ行こうか」

 

ジョルジュとエリゼは分校校舎へと向かった。

 




次回、七人体制での小要塞攻略になります。
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