英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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今回、遂にキリコがアレを使います。


仲間②

リィンは生徒たちを連れてアインヘル小要塞へと向う前にユウナに説教をしていた。

 

「次からは慎むようにな?」

 

「……はい」

 

ユウナはやや不貞腐れたように返事した。

 

「長いな……」

 

「無理もないかと。町長さんが駆け込んで来たそうですから」

 

「魔獣か何かだと思ったんだろ」

 

「ミハイル教官も見たことないほど怒ってましたね」

 

「当然だろうな」

 

クルトたちはユウナの様子を見ながら話していた。

 

「ふう。それじゃ、行くとしようか」

 

リィンの言葉で新Ⅶ組は歩き出した。

 

 

 

「兄様!」

 

「エリゼ!?」

 

「エリゼさん!?」

 

アインヘル小要塞で待っていたのはエリゼだった。

 

「どうしてこちらに?」

 

「はい。姫様の代理で参りました」

 

「そうだったのか。でもよく来れたな」

 

「もう。もう子どもではありませんよ。それに偶然この方にお会いしたので」

 

「やあ、リィン君。久しぶりだね」

 

奥から恰幅の良い男がやって来た。

 

「ジョルジュ先輩!」

 

「お知り合いですか?」

 

「ああ、トールズ時代の先輩だ。トワ先輩の同級生でもあるんだ」

 

「へえ、そうなんですか」

 

「君たちが新しいⅦ組だね。僕はジョルジュ・ノーム。トワと同期でリィン君の一つ上だったんだ。よろしくね」

 

「はじめまして、ユウナ・クロフォードです」

 

「クルト・ヴァンダールです。お見知りおきを」

 

「アッシュ・カーバイドだ」

 

「ミュゼ・イーグレットです。よろしくお願いします」

 

「キリコ・キュービィーです」

 

新Ⅶ組は自己紹介をした。

 

「よろしくね。アルティナさんは内戦以来かな?」

 

「はい。お久しぶりです」

 

アルティナは頭を下げた。

 

「それにしてもどうされたんですか?もしかして博士に?」

 

「あはは、正解だよ。手伝いに来いって言われてね」

 

「フン。弟子が手伝いに来るのは当たり前だろう」

 

シュミット博士がやって来た。

 

「弟子?ジョルジュさんが?」

 

「うん。弟子3号なんて呼ばれてるよ」

 

「ではティータさんの先輩に当たるんですね」

 

「そういうことだね」

 

「そろそろ始めるぞ。それとシュバルツァーの妹には弟子候補とオペレーターをやってもらう」

 

「エリゼにですか?」

 

「簡単なテストをやらせてみたが、素質はある」

 

「そうなんですか?」

 

「エリゼさんすごいですね♪」

 

「そんな。職務上、端末に触れる機会が多かっただけです」

 

「そういえば、女学院の生徒会長だったな」

 

「なるほど……」

 

「いい加減始めたいのだが?」

 

「あっ、はい。では兄様、失礼します」

 

「わかった。よろしく頼むぞ」

 

エリゼはシュミット博士らとともに奥の部屋に行った。

 

 

 

数分後。

 

『兄様、皆さん。聞こえますか?』

 

「ああ、聞こえるぞ」

 

『感度良好。それではLV3へとお進みください』

 

「わかった」

 

『LV3は前回より難関です。頑張ってください』

 

「ハッ、任せとけってんだ」

 

「このメンバーならば達成できるかと」

 

「そうね。Ⅶ組ならね」

 

「ああ。僕たちは仲間だからな」

 

「そうだな」

 

「では参りましょう」

 

「気合いは十分みたいだな。これよりⅦ組特務科は小要塞LV3攻略を開始する」

 

『イエス・サー!』

 

 

 

[キリコ side]

 

LV3というのは伊達ではなかった。前回よりも複雑な造りになっており、放たれている魔獣も強い。

 

俺たちは入って早々、魔獣と戦闘になった。

 

「オラァ!」

 

魔獣の群れにアッシュが切り込む。

 

アッシュは近~中距離での戦いを得意としていて、以前に見せた奇襲用ギミックも相成って、なかなか強い。

 

「オワゾーブルー!」

 

ミュゼがクラフト技で追撃した。

 

ミュゼの戦闘スタイルは遠距離からの攻撃とアーツによる補助で、威力云々よりも敵にいれば厄介なタイプだ。

 

だがユウナもクルトもアルティナも決して劣ってはいない。

 

ユウナは先月での一件で迷いを振り切ったのか、思い切りが増したように思える。突っ込み過ぎているとも言えるが。

 

クルトも迷いはなさそうだ。俺は剣術はわからないが、余裕すら伺える。

 

アルティナは最初に会った時より感情が出ているように見える。

 

前回つくられたと言っていたが、こいつやミリアムとやらはPSなのだろうか。

 

だがこの世界にジジリウムは存在しない。

 

まあ、こちらに害をもたらすわけではないので警戒する必要はない。

 

「キリコ!来ているぞ!」

 

「……………」

 

問題ない。

 

横から来た魔獣をアーマーマグナムで撃ち落とすと、魔獣は息絶えた。

 

「やっぱりすごいわね。もしかして見えていたとか?」

 

「あれに気を配りつつ戦っていた。それだけだ」

 

「簡単に言いますけど、それって難しいのでは?」

 

「まあ、キリコだからな」

 

「キリコさんですから♪」

 

「もう何でもいいや……」

 

ユウナは呆れたようだ。

 

まあ、一学生のスキルではないし、どちらかと言えば経験則だからな。

 

「クク、内戦でルグィンや黒旋風と殺し合ってただけはあるようだな」

 

「………………」

 

「ちょっと!」

 

「別に気にしてない」

 

あれは戦争だからな。

 

「ゴホン。そろそろ探索に入るぞ。さっきのことを生かしながら、迅速かつ確実に行こう。このチームならいけるはずだ」

 

「わかりました」

 

「了解です」

 

「はいよ」

 

「了解しました」

 

「了解」

 

俺たちは改めて、探索を開始した。

 

[キリコ side out]

 

 

 

「ここを切り替えれば進めるんじゃないか?」

 

「ええ?向こうが先じゃない?」

 

「あほか。あの宝箱が取れねぇだろ」

 

「でしたらあちらはどうでしょう」

 

「……決まりませんね」

 

「そうだな」

 

LV3は端末で床を切り替えるものだった。新Ⅶ組はああでもない、こうでもないと議論していた。

 

『皆さん。そのルートですと、右から回り込んでください。その先に端末があります』

 

エリゼが助け船を出した。

 

「ああ、すまない。それじゃ、行こうか」

 

一行が進んだ先は行き止まりだった。

 

調べてみると、ダクトの入り口が見つかった。それを見たユウナの機嫌は露骨に悪くなった。

 

『そのダクトの先に端末があります。その……頑張ってください!』

 

ユウナに気づいたエリゼが言葉を絞り出す。

 

「あ、ああ。じゃあ、俺が先頭でアッシュ、クルト、キリコの順番で行くから女子は相談してからついて来てくれ」

 

「チッ」

 

「アッシュ。その舌打ちは何なんだ?」

 

「……気にすんなよ」

 

アッシュはリィンの後を渋々といった感じでついて行く。それにクルトとキリコも倣う。

 

女子は相談の結果、ユウナ、ミュゼ、アルティナの順番でダクトに入った。

 

「これじゃこそどろだな」

 

「うるっさいわねぇ!早く行きなさいよ!」

 

「ユウナさん。こういう時こそ女を磨くスパイスになるかと」

 

「知らないわよ!」

 

「ユウナさん、早く進んでください」

 

「はあ。キリコさんの後ろが良かったのですが」

 

「アンタ、いい加減にしなさいよ?」

 

「………………」

 

「………ケッ」

 

(キリコも大変だな……)

 

「後ろ。無駄話が多いぞ。これが本物の作戦だったら失敗だぞ」

 

リィンが生徒たちを咎めた。

 

 

 

ダクトを出た後も、一行は魔獣と何度も戦闘になった。

 

「はあああっ!」

 

ユウナは微塵も臆せず、魔獣を撃破していく。

 

「……ユウナさんが燃えています」

 

「鬱憤晴らしのつもりか……?」

 

「違うわよ」

 

ユウナはアッシュの言葉を否定した。

 

「とっとと終わらせてあのマッド博士にガツンと文句言ってやりたいのよ!」

 

「……そうか」

 

「ていうかキリコ君も助手なら止めることできるでしょ!?」

 

「ついにキリコさんに当たり始めましたね」

 

「触らぬなんとやら……だな」

 

アルティナとクルトはユウナの様子を遠くから見つめる。

 

「気持ちはわかるが、そのくらいにしておけ」

 

リィンはユウナをやんわりと止める。

 

「ううう………」

 

「もう少しで最奥だから頑張ってくれ。なんなら文句はそこで聞くから」

 

「……大丈夫です。今はみんなでゴールすることが優先ですから」

 

ユウナは真っ直ぐ前を見た。

 

「ユウナ……」

 

「そうですね」

 

「その通りです」

 

「ならとっとと行こうぜ」

 

「うん。後、ごめんね。当たっちゃって」

 

「気にするな。愚痴ぐらい聞く」

 

「え?」

 

「仲間、だからな」

 

「キリコさん……」

 

「はは、その意気だ。それじゃ、進むぞ」

 

「探索を再開します」

 

 

 

『後は道なりに進んでください。後少しですよ』

 

「わかった」

 

リィンたちは全ての仕掛けを解除し、ゴールへ向かって歩いていた。

 

「やっと終わりが見えてきたな」

 

「結構頭を使いましたね」

 

「っあ~、だりぃな」

 

「ふう……。それにしてもキリコさんがいてくれて良かったですね」

 

「ああ。まさか端末にあんな仕掛けが施されていたなんてな」

 

「正直、予想外でした」

 

ユウナたちは先ほどのことを振り返った。

 

 

 

[アルティナ side]

 

最後の端末でユウナさんがセキュリティ解除を試みたところ、不意にブザーが鳴り響き、その瞬間、魔獣が集まって来ました。

 

魔獣を殲滅させても集まって来ることから、魔獣を呼び寄せる仕掛けであると確信。

 

そこでキリコさんが解除に専念し、わたしたちはその間戦闘を行うことを決めました。

 

驚くべきことにキリコさんは2分足らずで解除。

 

これにより魔獣が集まって来ることはなくなり、残りの魔獣も殲滅完了。

 

戦闘後、ユウナさんの怒りは頂点に達し、通信を入れてきたシュミット博士に思いつくままの罵詈雑言を浴びせました。

 

でもシュミット博士の『うかつに触れる方が悪い』『想定しえる事態にどう対応できるかのテスト』という正論(?)の前に折れるしかありませんでした。

 

うなだれるユウナさんを慰める間、わたしはキリコさんの目が気になりました。

 

先月の演習でわたしは造られたといいました。

 

ユウナさんやクルトさんは半信半疑にもなっていないようでしたが、キリコさんは何やら確信めいた感じがします。

 

キリコさんは気づいているのでしょうか。わたしが人間ではなく、ホムンクルスであることに。

 

[アルティナ side out]

 

 

 

「っとにろくなことしないわね!」

 

「まあまあ。不測の事態だったけど、次に同じ事が起きてもどう対応すれば良いかが分かっただけでも収穫だっただろう」

 

憤慨するユウナをクルトが諌める。

 

「高い授業料だったけどな」

 

「でも見返りは大きいかと。キリコさんもありがとうございました」

 

「ああ」

 

「……………」

 

クルトは顎に手をあてる。

 

「どうしたの?クルト君」

 

「ああ。僕ももう少し導力ネットを扱えるくらいになりたいなって思っただけさ」

 

「導力ネットを?」

 

「確かに、キリコさんに頼りきりでは支障が出ますね」

 

「それなら今度の授業で似たプログラムをやってみるか?」

 

「ぜひお願いします」

 

リィンの提案にクルトは首を縦に振る。

 

「真面目か、てめえは」

 

「アルティナの言う通り、キリコ任せじゃ支障が出る。それにキリコは実験用機甲兵の運用で抜けることもあるかもしれない。その場合、泣きを見るのは僕たちだ」

 

「はい。それに覚えておいて損はないと思います」

 

「へいへい」

 

「何よその返事」

 

「まあまあ」

 

「そろそろ終点だ。全員、切り替えてくれ」

 

リィンがパンと手を叩き、ユウナたちは頭を切り替える。

 

「とりあえず、回復装置で小休止してから最奥に入る。何が出てきてもいいように備えておいてくれ」

 

『はいっ!』

 

 

 

終点に到達し、準備を済ませた新Ⅶ組は最奥の部屋に入った。

 

そこには、鬼のような大型魔獣が待ち構えていた。

 

「いきなりか!」

 

「ハッ、上等だ!」

 

「ええ、あたしたちならやれるはずよ!」

 

「はい。Ⅶ組ですから♪」

 

「気合いは十分だな。総員、これより戦闘を開始する!」

 

『イエス・サー!』

 

 

 

[キリコ side]

 

鬼のような大型魔獣──マスラオは硬い体表と似つかわしくない俊敏さが特徴のようだ。

 

幸いアーツが効くようなので、アルティナとミュゼがアーツを担当することに。

 

「弧月一刀!」

 

「双剋刃!」

 

「ブレイブスマッシュ!」

 

「デッドリーサイズ!」

 

俺を含めた残りはクラフト技主体で攻める。

 

クラフト技ハンタースローを皮切りに各自のクラフト技、二人のアーツを叩き込む。ぐらついたところをアーマーブレイクで一気に崩す。

 

戦いは数、という言葉を使う者は多いが、それはよほどの実力差がない限り当てはまると思う。

 

現在相対しているマスラオの実力は俺たちより少し上だろう。

 

その場合は数の差が有利に働くが、先月戦った道化師や火焔魔人などはそれがあってないようなものだ。

 

とはいえ、教官たちの荒療治で一つにまとまった俺たちならそれなりに食い下がれるかもしれない。

 

ならば、この相手は練習台としてうってつけだ。

 

 

 

すると、マスラオの体表が輝いた。

 

「こいつは……!」

 

「高揚ですか」

 

「総員、気を抜くな!」

 

「オラァ!」

 

アッシュが切り込むが、マスラオの体表に弾かれた。

 

「マジかよ……」

 

「ならば!」

 

ミュゼがアーツを放つが、先ほどよりダメージが通らないようだ。

 

「厄介ですね……」

 

「でも倒せないわけじゃないわ!みんなで一斉にかかればなんとかなるわ」

 

「……いや!」

 

マスラオはそれを察知したのか、力任せに殴りかかってきた。

 

「くっ……!」

 

「さすがに厳しいな」

 

リィン教官からそんな言葉が出た。

 

「試してみるか」

 

「え?」

 

「キリコ?」

 

周りが不思議そうな目で見てくる。俺はそれに構わず前に出る。

 

(仲間か。いざ意識してみるとやはり照れくさい。だが、悪くもないな)

 

 

 

『始めるか。ふんっ!仕留める……!』

 

 

 

ピンを抜いたグレネードの投入を皮切りに制服に隠し持っていたサブマシンガンの連射、撃ち終わるや否やリミッターを外したアーマーマグナムの一撃と同時にグレネードの爆撃が相手を包み込み止めをさす。

 

Sクラフト『フレア・デスペラード』

 

俺が所持している銃火器による連続攻撃。

 

猛攻を受けたマスラオは吹き飛ばされ、消滅した。

 

『…………………』

 

リィン教官を始め、ユウナたちは唖然としていた。

 

 

 

「…………」

 

「やるじゃねぇか」

 

アッシュが笑いながら肩を掴んできた。

 

「スッゴいわね~………」

 

「銃火器による連続攻撃ですか……」

 

「さすがに予想外だったな……」

 

「ふふ、さすがキリコさんですね♪」

 

「アンタは離れなさい」

 

ユウナがミュゼをひっぺがした。

 

「キリコ。それはどうしたんだ?」

 

「制服に仕舞っていた」

 

「制服に?」

 

「クク、改造してたのかぁ?」

 

「改造って……。でも本当にキリコ君って器用よね」

 

「………………」

 

百年戦争時代、レッドショルダー以前に参加していた作戦で同じ部隊に手先が器用なやつがいた。

 

そいつは耐圧服が破れた際、ワイヤーか何かで縫っていた。耐圧服は破れればその都度軍から支給されるのだが、そいつはもったいないと言っていた。

 

そいつの顔と名前は忘れてしまったが、そいつの手先と言葉は覚えていた。

 

(誰も彼もがただ今日を生きるために戦っていた時代。そんな時代に似つかわしくない振る舞い。もしかすると俺は「人間」に会っていたのかもしれないな)

 

「キリコ?」

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、なんでもない」

 

柄にもなく感傷的になってしまったな。

 

[キリコ side out]

 

 

 

「まあ、なんにせよ、これで小要塞攻略はクリアだな」

 

リィンの言葉にユウナたちはハッとした。すると、天井から声が響く。

 

『お疲れ様でした。これにより、LV3は終了です』

 

『フン、それなりにやるようだな』

 

『博士!』

 

『やれやれ。相変わらずだな』

 

シュミット博士の憎まれ口にティータとジョルジュがげんなりした。

 

「へっ……」

 

「あれがG・シュミット博士ですか……」

 

「言いたいことは痛いほど分かる。でも現実だ」

 

「………そうですね」

 

「ただのマッドサイエンティストよ!」

 

(ユウナは特に厳しいな……)

 

「……………」

 

『さっさと戻って来るがいい。時間の無駄だ』

 

『え?え?あの、どちらに?』

 

『は、博士~~!?』

 

『やれやれ!本当に変わらないなぁ』

 

天井からため息と戸惑いが聞こえてきた。

 

リィンたちは苦笑いを浮かべながら、アインへル小要塞入り口に戻って行った。

 

 

 

その後、新Ⅶ組はそれぞれの部活動に向かった。

 

キリコは教官室でリィンから軽い説教を受けた後、格納庫でティータとジョルジュの3人で作業をしていた。

 

「しかしすごいな。機甲兵の行動パターンをここまで鮮明にデータ化するなんて」

 

「ええ。本当にすごい人です」

 

「…………」

 

「もしかして、どこかで修行したとか?」

 

「あっ、私も気になってました」

 

「ただひたすら、導力ネットについて学習した。俺は糞真面目な男だからな」

 

「うーん。答えになってないような……」

 

「でも分かる気がするな。技術者やメカニックって同じ事を何度もできる人のことを指すんじゃないかって」

 

「同じ事を?」

 

「例えば機甲兵のメンテをやるとしよう。毎回同じ項目のチェックをするわけだけど、一切の手を抜かず、かつ真剣にやるのは当たり前のようで難しい。それこそ糞真面目に向き合わなきゃダメなんだと思う。キリコ君はそれを心得ているんだ」

 

「なるほど……」

 

「何が言いたいかっていうと、同じ事を真剣にこなせる人だからここまでのレベルで扱えるんだと思うってことさ」

 

「買いかぶりです」

 

キリコはコーヒーを啜りながら答えた。

 

「そんなことはないさ。それより君たちに聞きたいことがあるんだ」

 

「?」

 

「何でしょう」

 

「ズバリ、博士のことさ」

 

「帝国における導力革命の火付け役と言われるだけはある。あの性格を除けば、技術者としては超一流だろう」

 

「そうですね。本当にすごい人です」

 

「なるほどね」

 

ジョルジュは腕を組み、頷いた。

 

「ジョルジュさんも博士のお弟子さんなんですよね」

 

「うん。といっても、ついて行けなくて逃げ出したんだけどね」

 

「逃げ出した?」

 

(……容易に想像できるな)

 

「お前たち、いつまで喋っている」

 

シュミット博士が背後から声をかける。

 

「あっ、すみません!」

 

「……レポートです」

 

キリコはレポートを博士に渡した。

 

「うむ。それで弟子3号、貴様のレポートも読ませてもらった。ラインフォルトだけでなく、ZCFにヴェルヌ社にも行っていたそうだな」

 

「さすが地獄耳ですね」

 

「ヴェルヌ社……共和国の?」

 

「うん。武者修行の一環でね。大陸各地の企業や研究所を回っていたんだ」

 

「そうだったんですね」

 

「まあよい。お前たちは帰れ。気が散るのでな」

 

そう言ってシュミット博士は二階へと上がって行った。

 

「あっ………」

 

「ふう」

 

「……………」

 

キリコたちは呆れながら、格納庫から出ていった。

 

 

 

(ここまで見た限り、確かにすごい。だが、あの人が警戒するほどの相手とは思えない。いや、これも仕事だ。ジョルジュ・ノームではなく、地精の一人『銅のゲオルグ』としての……)

 

(トワ、アン、そしてクロウ。すまない。これが僕だ)




フレア・デスペラード

所持している銃火器による連続攻撃。

元ネタはF○Ⅷの主要人物の必殺技です。


次回、ミュゼ目線であのイベント+オリジナルイベントを書きます。
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