英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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巨人機

7月12日

 

試験結果の発表が行われた。

 

結果が貼り出された廊下に多種多様のリアクションが飛び交う。

 

「あーもう、マジかよ~!?」シドニー 88位

 

「フム、いいじゃないか!」フレディ 80位

 

「ま、こんなモンかね」レオノーラ 74位

 

「やっぱ文系がネックやなぁ……」パブロ 72位

 

「う、うん、頑張った、あたし!」サンディ 66位

 

「くっ、ちょうど平均とは……」ウェイン 60位

 

「よ、よかったぁ~……」カイリ 52位

 

「い、一応平均以上よねっ!?」ユウナ 45位

 

「いい感じだな」グスタフ 39位

 

「まあ、こんなものですか」マヤ 33位

 

「もっと上を狙いたかったわね……」ゼシカ 29位

 

「……ほっ………」タチアナ 26位

 

「あ、結構いい順位です~」ルイゼ 24位

 

「ハッ、こんなもんか」アッシュ 20位

 

「えへへ、良かった♪」ティータ 16位

 

「……まあまあ、かしら?」ヴァレリー 14位

 

「想定範囲内ですね」アルティナ 12位

 

「さすが帝国の名門、層が厚いな」スターク 10位

 

「ふふっ、頑張りました」ミュゼ 9位

 

「………………」キリコ 7位

 

(1位と2位は……) クルト 3位

 

それぞれの順位を確認した分校生徒たちは1位のセドリック・ライゼ・アルノールの名前を見た。

 

「やはり皇太子がトップか」

 

「アッシュさんの言う出来レース、というわけではないみたいですね」

 

「あのエイダとか言うメガネが2位か」

 

「でもクルトさんとは僅差ですね」

 

「ミュゼもすごいな。10位以内に入るなんて」

 

「わざと順位落としたんじゃねぇのか?」

 

「ふふ。それよりも」

 

「はい」

 

ミュゼとアルティナはキリコを見た。

 

「キリコさんも7位に入るなんてすごいですね!」

 

「分校長もかなり機嫌がよろしかったです」

 

「……………………」

 

「アッシュもアッシュでしれっと20位だしな」

 

「まーな。つーか、なかなかやるじゃねぇか」

 

「……全力を出しきったからね………?」

 

クルトが振り返ると、ユウナが三角座りで分かりやすく落ち込んでいた。

 

「……………………………………………………」

 

「あーーー、その………」

 

「フン。慰めはいらないわよ……どうせあたしはⅦ組でビリなんだから……」

 

「ビリと言っても全体の中では真ん中より上だと思いますが」

 

「順位そのものは悪くないですよ」

 

「それなりに頑張ったんじゃねえか?」

 

「帝国人でないことを考慮しても平均より上だ」

 

「う~~~~~」

 

ユウナは憤懣やるせないといった表情を浮かべる。

 

「それより、こちらは何でしょう?」

 

アルティナは試験結果の隣に貼られた紙を指さす。

 

「これは、本校と分校のクラス順位だね」

 

(そういえばそんなものもあったな)

 

「ええっと……」

 

ユウナは覗きこむ。

 

紙には本校Ⅰ組と分校Ⅶ組が同点1位がとあった。また、Ⅸ組が4位、Ⅷ組が7位と記されていた。

 

「やった!ウチが同点1位よ!」

 

「上位にはⅦ組が多く名を連ねています。人数の差はそれでカバーされたのでしょう」

 

「向こうのエリートさんも今頃悔しがってんだろうな♪」

 

「少なくとも、第Ⅱの面目は立ちましたね♪」

 

「……そうだな」

 

「浮かれるのもそれくらいにしておけ。この後は機甲兵教練だ」

 

緩んだ空気を察したキリコが締める。

 

「そういやそうだな」

 

「なんか、すごいのが搬入されたって言うけど……」

 

「キリコ、それにティータ。何か知っているかい?」

 

「ええっと……」

 

「……自分で確かめてみろ。行くぞ」

 

「は、はいっ!」

 

キリコとティータは格納庫へ向かった。

 

「なんなのかしら?やけにもったいぶって」

 

「とにかく、そろそろ気を引き締めよう」

 

「………………」

 

「? どうかしましたか?」

 

「いえ、なんでも(キリコさんがいるなら大丈夫でしょうか……)」

 

ミュゼは少し先の未来を視た。

 

 

 

一方、その頃

 

「くっ……!なんということだ。分校の寄せ集めどもに……!」

 

「皇太子殿下が1位であるのは当然として、エイダも2位というのも頷ける。だが、なぜヴァンダール家の者が」

 

「皇族守護の任から解かれているにもかかわらず、我々を出し抜くとは……」

 

「それはまだいい。問題はこいつだ!」

 

本校生徒の一人がキリコの名前を指さす。

 

「こいつは皇太子殿下に恥をかかせたというじゃないか!」

 

「なんでも卑劣な手段を用いたそうだぞ!」

 

「そんなやつを在籍させるなんて分校はいったい何を考えているんだ!」

 

「分を弁えない不敬者は追い出すべきよ!」

 

「………いい加減にしないか」

 

熱くなる本校生徒たちの背後からセドリックが睨む。

 

「こ、皇太子殿下!?」

 

「彼、キリコとの模擬戦の結果については納得している。あれは卑劣でも何でもなく立派な戦術だよ。実力でも上回っていたしね」

 

「し、しかし!」

 

「……さっきから聞いていたが、君たちの物言いがすでにトールズの品位を下げていることに気づいているかい?これ以上恥を上塗りするつもりなのか?」

 

「う………」

 

セドリックの言葉に本校生徒たちは詰まる。

 

「君たちの僕を想う気持ちは十分に伝わった。だが、それを振りかざして他を誹謗中傷することは断じて許さない。肝に命じておくように」

 

『イ、イエス・ユア・ハイネス!』

 

本校生徒たちは敬礼した。

 

(クルトにミュゼ──ミルディーヌさん。アルティナさんにアッシュにユウナさん。そしてキリコ。なかなかやるじゃないか。だが試験だけで勝ったとは思わないよ。今度こそ君たちⅦ組に、キリコに勝ってみせる!)

 

セドリックは決意をかためた。

 

 

 

機甲兵教練

 

格納庫から顕れた巨大な機体に誰もが茫然としていた。

 

 

 

[キリコ side]

 

「あ、あははは…………」

 

ティータも乾いた笑いを浮かべている。

 

(よくこんなものを持ってこられたな)

 

俺たちの目の前には巨大な機体──ゴライアス・ノアが鎮座していた。

 

巨人機の別名どおり、全長は12アージュに達するという規格外の大きさを誇る。

 

機動力は現行の機甲兵の中で最も低いが、その代わりヘクトル弐型でさえ圧倒するパワーを持っている。

 

またキャノン砲が標準装備されており、近、中、遠距離全てカバーできる。

 

最大の欠点は操縦が困難であることだ。

 

搬入以前にシミュレーターで動かしたことはあったが、てこずらされた。

 

またコストもドラッケンⅡの20倍と最悪であり、量産などされていない。

 

この機体は前線に赴くというより、拠点防衛に向いていると思われる。

 

少なくとも俺は好んでは使わない。

 

いったい何人が扱えると思っているんだろうか。

 

 

 

その後、俺はゴライアス・ノアを操縦し、グラウンドに出た。

 

分校生徒全員が茫然自失しており、教官陣もため息をついている。

 

【どうやら、知っているのは俺たちを含めてごく一部か】

 

ゴライアス・ノアを所定の位置に停め、ユウナたちのところに集まった。

 

「キリコ君………夢だよね………」

 

「現実だ」

 

「あ、あれを今から動かせってかい!?」

 

「ああ」

 

「ふざけてんだろ……」

 

「文句は分校長と博士に言え」

 

できるなら俺が文句を言いたい。

 

「…………………」

 

アルティナはゴライアス・ノアを見つめている。

 

何かを感じているかのようだな。

 

 

 

予想通り、ゴライアス・ノアをまともに動かせたやつは一人もいなかった。

 

ヘクトル弐型に慣れているアッシュでさえ四苦八苦しており、ユウナやミュゼに至っては操縦桿すら動かせないというありさまだ。

 

だがここで予想外の出来事が起きた。

 

分校で唯一淀みなく動かしたのはアルティナだった。

 

本人によるとクラウ=ソラスの操作の感覚で上手くいったらしい。

 

周りは称賛と羨望を浮かべているが、俺はいいしれぬ不安を感じていた。

 

(準備だけでもしておくか)

 

[キリコ side out]

 

 

 

「よしアルティナ、そろそろ降りてくれ」

 

【はい、わかりまし………!?】

 

突然、ゴライアス・ノアから黒いもやのようなものが吹き出る。

 

(なんだ?)

 

「!? アルティナ!すぐに脱出しろ!」

 

【………………】

 

アルティナには何も聞こえていなかった。

 

ゴライアス・ノアは両腕を回転させ、ドラッケンⅡとケストレルβを薙ぎ払う。

 

「きゃあああああっ!?」

 

「うわあああああっ!」

 

グラウンドは混沌と化した。

 

「まずい!来い、ヴァリマール!」

 

「応!」

 

リィンの呼びかけに応じたヴァリマールはリィンの目の前に転移してきた。

 

「教官!?」

 

【君たちは一旦避難しろ!ランディさん!援護を頼みます!】

 

【おおよ!】

 

ヴァリマールとヘクトル弐型がゴライアス・ノアの両側から得物を叩きつける。

 

【………………】

 

だがゴライアス・ノアは二機の攻撃をものともせず、肩のキャノン砲を展開した。

 

【ヤバい!】

 

【くっ、よせっ!】

 

アルティナは虚ろな目でシュピーゲルSに狙いを定め、引き金を引こうとした。

 

【!?】

 

突然、ゴライアス・ノアのヘッドの周りが煙に包まれる。ゴライアス・ノアは目標を見失い、沈黙した。

 

「煙!?」

 

「皆さん、あれを!」

 

ミュゼの指さす方向にはフルメタルドッグが立っていた。

 

左肩に三つに連なった煙筒が装備されており、その煙筒から煙が出ていた。

 

【キリコ!】

 

【無事のようですね】

 

【キリコ、ありゃお前が?】

 

【ええ】

 

キリコはランディの問いかけに肯定した。

 

【あれは新しい武装か?】

 

【撹乱用の三連装スモークディスチャージャーです。チャフを含み、僅かな間ですがカメラを無効化させます】

 

【なるほどな】

 

【手を貸しましょうか?】

 

【ダメだ、と言いたいが手を貸してくれ。だがわかっているな?】

 

【背部エンジンを叩き行動不可にします。教官はコックピットを、ですね?】

 

【ああ。任せる!】

 

【キリコ、フォローはしてやるぜ。さっさとアルきちを助けるぞ】

 

【了解】

 

ヴァリマールとヘクトル弐型、そしてフルメタルドッグはセーフティが解除されたゴライアス・ノアと対峙した。

 

 

 

【目を覚ませ!アルティナ!】

 

リィンは必死に呼びかけながらゴライアス・ノアの右腕を斬りつける。

 

【キリコ、ここは押さえる!後ろに回れ!】

 

【了解】

 

ヘクトル弐型がゴライアス・ノアの左腕をスタンハルバードで弾き、その隙にフルメタルドッグが背中に回る。

 

【……………】

 

フルメタルドッグはエンジン部周りにソリッドシューターの砲弾を撃ち込む。

 

【!】

 

ゴライアス・ノアは機体は回転させ、フルメタルドッグを殴りつけようと狙いを定める。

 

【ハァッ!】

 

ヴァリマールはその隙を突いて居合い斬りでエンジン部にダメージを与える。

 

【ちっとだけ我慢しろよ、サラマンダー!】

 

ヘクトル弐型のクラフト技が炸裂し、ゴライアス・ノアの体勢が崩れた。

 

本来ならば連携を仕掛けるのが定石だが、リィンたちは攻撃に移行せずに得物を構えたまま待機していた。

 

【!】

 

ゴライアス・ノアから黒いオーラが吹き出し、傷ついた部分が完全ではないものの回復した。

 

【なっ!?】

 

【チッ!どうなってやがる!?】

 

【……………】

 

リィンとランディが戸惑う中、キリコはスコープを通してゴライアス・ノアの弱点を探る。

 

【ランディ教官】

 

【どうした、キリコ】

 

【……もう一度体勢を崩せますか?】

 

【そいつはなんとかなるが……】

 

【どうするつもりだ?】

 

【エンジン部に加えて腕の関節部を狙います。リィン教官はその隙にアルティナを】

 

【簡単に言うがそれに賭けるしかねぇか……】

 

【………わかった。だがキリコ、失敗してすみませんじゃ済まないからな】

 

【わかってます】

 

【そんじゃ、一丁やるか!】

 

【待ってろ、アルティナ!】

 

リィンたちは再びゴライアス・ノアに挑む。

 

 

 

【サラマンダー!】

 

【閃光斬!】

 

ヴァリマールとヘクトル弐型がゴライアス・ノアの装甲に確実にダメージを与える。

 

【そこだ】

 

フルメタルドッグはソリッドシューターの連続発射でエンジン部とその周りにダメージを与えていく。

 

【……………】

 

ゴライアス・ノアから火花が散り、煙が吹き出す。

 

だがそれでもゴライアス・ノアは止まらなかった。動きが鈍くなってもお構い無しに攻撃を仕掛ける。

 

【一気に決めるしかねぇっ!】

 

ヘクトル弐型は右腕を弾き、ゴライアス・ノアに隙ができる。

 

【今だ!】

 

ランディの合図にフルメタルドッグが動く。

 

ゴライアス・ノアの左腕の関節部に二連装対戦車ミサイルを直撃させる。

 

両腕が封じられたゴライアス・ノアは最後の悪あがきと黒いオーラを噴出させる。

 

【教官!】

 

【ウオオオオッ!!】

 

ヴァリマールはゴライアス・ノアのコックピット周りを斬りつけ、こじ開ける。

 

【アルティナァァァッ!!】

 

ヴァリマールは気絶したアルティナを救出した。

 

【良かった……あの時の事を繰り返さなくて……!】

 

リィンは内戦での苦い記憶を甦らせた。

 

搭乗者を失ったゴライアス・ノアから黒いオーラが霧散し、完全に機能を停止した。

 

 

 

「やった……!」

 

「アルティナも無事のようだ……!」

 

「よっしゃ!」

 

(良かった……本当に………)

 

仲間の危機が去り、ユウナたちは安堵した。

 

「医療班、すぐに準備して!」

 

トワは主計科生徒に指示を飛ばす。

 

(なんだったのだ、今のは……)

 

ミハイルは先ほどの事を思い返す。

 

「……………」

 

「……何を知っている、将軍?」

 

「いえ………」

 

オーレリアはシュミット博士の問いかけをはぐらかした。

 

「まあよい。小娘や貴様らが何を企もうと知ったことではない」

 

シュミット博士は格納庫へと向かった。

 

(完全ではないものの、我らについても気づいておられるか。今夜あたり、相談してみるか)

 

オーレリアはグラウンドを見つめた。

 

 

 

「……ん………」

 

「アル!」

 

「ユウナ……さん……?……ここ……は……?」

 

「医務室だよ」

 

「アルティナさん、かなり消耗してらっしゃったんですよ」

 

「もう夕方だぜ」

 

「……?………」

 

アルティナは医務室のベッドから身体を起こし、自分の手を見つめる。

 

「わたしは……なにを………?」

 

「アル?」

 

「機甲兵に乗って……それから………思い出せません……。どうしてここにいるのかも……」

 

「覚えて……いないのか……?」

 

「一時的な記憶喪失でしょうか……」

 

(やはりアルティナの意志ではないということか)

 

「………………」

 

アッシュは左目が疼くのを感じた。

 

 

 

「アルティナ、目が覚めたのか」

 

医務室にリィンが入って来た。

 

「教官………」

 

「リンデによると、一晩安静にしていれば問題ないそうだ」

 

「良かった~~~!」

 

「ユウナ、医務室なんだから静かにね」

 

クルトがユウナを窘める。

 

「それより教官、行き先は決まりましたか?」

 

「それがありましたね」

 

「え?」

 

キリコとミュゼの言葉にアルティナは意外そうな顔をした。

 

「ふふ、特別にアルティナさんの方を優先させてもらったんです」

 

「とりあえず発表しろや 、シュバルツァー」

 

「待ってください」

 

アルティナが待ったをかける。

 

「皆さんが付き合うことはないはずです。ここで寝ているのはわたしのミスです。そんな非効率的な……」

 

「仲間だからよ」

 

ユウナはアルティナを抱き締める。

 

「ユウナ……さん……」

 

「君抜きというのはさすがに気が引けてね」

 

「効率がどうとか知ったことかよ」

 

「私たちがそうしたいからですよ」

 

「そういうことだ」

 

「…………………」

 

Ⅶ組メンバーの言葉にアルティナはどう表現していいか分からなかった。

 

「アルティナ」

 

リィンはアルティナに語りかける。

 

「確かに君の言うとおり、後で誰かから聞いた方が効率は良いのかもしれない。わざわざ時間を割くことは無益かもしれない。でも、仲間というのは効率とかで語れるようなものだろうか」

 

「それは……」

 

「そうそう、アルは堅すぎるのよ」

 

「てめえはユルすぎんだよ。ギャーギャーうるせーったらありゃしねぇ」

 

「なんですってぇぇぇっ!?」

 

「ユウナ、静かに」

 

「乙女たるもの、慎ましさがないといけませんよ」

 

「何よ、もう」

 

「喧しくないユウナというのもなんだがな」

 

「ちょっ!?キリコ君まで!?」

 

「うーん、それもそうですね」

 

「もーーーーっ!」

 

「……ふふ………」

 

アルティナがクスリと笑った。

 

「アルも笑うことないじゃない……」

 

「すみません。でも、なんだか、少し可笑しくて、暖かくて。これが、心地いいというものなんですね」

 

「アルティナさん……」

 

「そうだね」

 

「ヘッ」

 

「…………」

 

(それが仲間というやつだ、アルティナ)

 

リィンは満足そうに微笑む。

 

 

 

「そろそろ発表するぞ。アルティナはそのままでいいから聞いてくれ」

 

リィンの言葉に全員がリィンの方を向く。

 

「今回我々が行くのは帝都ヘイムダルだ」

 

『!』

 

Ⅶ組メンバー全員が大きく反応した。

 

「帝都か」

 

「また微妙な時期ですね」

 

「え?なんで?」

 

「この時期は帝都夏至祭がありますからね」

 

「おそらく、わたしたちはその夏至祭の哨戒任務を務めることになるかと」

 

「そう思ってくれていい。俺も旧Ⅶ組の時に夏至祭の見回りをしたことがあるんだ。当時と状況は異なるが、頭に入れておいてくれ」

 

(確か帝国解放戦線とか言うテロ組織が暗躍していたらしいが)

 

「ったく、めんどくせーな。記念レースにも行けやしねぇ」

 

「アンタ、クロスベルやラマール州でも似たようなこと言ってなかった?」

 

「アッシュ。未成年の賭博は厳禁だぞ」

 

ユウナとクルトはアッシュを窘める。

 

「……続けるぞ。期間は全体でおよそ3日間。なお、帝都ということから出発は早朝となる。各自、準備しておくようにな」

 

『イエス・サー』

 

「質問がないならこれで終わりにする。今日は色々あったから早めに休むようにな」

 

リィンはそれだけ言って医務室を出ていった。

 

「行くか」

 

「そうね。アル、大丈夫?」

 

「はい、今日は早めに休みます」

 

「それがいいな。それにしても、あれはなんだったんだろう」

 

「あの機甲兵から何かが吹き出ていたような感じでしたが」

 

「キュービィーはなんか知らねぇか?」

 

「さすがにわからないな(あるいはアルティナ自身が原因かもしれないな)」

 

「とにかく、それは後で考えようよ。今日はみんな疲れてるんだから休まなくちゃ」

 

「そうですね。あら?なんだかふらつくような。キリコさん、寄りかかってもいいですか♥️」

 

「それはいいからさっさと行くわよ」

 

医務室を出たⅦ組メンバーは横に並びながら真っ直ぐ寮へと帰って行った。

 

 

 

(ええ。そう決まりました)

 

(……………………………)

 

(わかっています。あれの実験も併せて)

 

(……………………………)

 

(わかりました。必ずやあの男を………)

 




次回、帝都ヘイムダルに向かいます。
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