英雄伝説 異能の軌跡   作:ボルトメン

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金髪の魔(幼)女と出会います。


集結

7月16日 早朝

 

リィンたちⅦ組特務科はランディ、トワとブリーフィングルームに集められていた。

 

ブリーフィングルームにはレクター少佐とクレア少佐が来ていた。

 

「共和国軍特殊部隊の掃討、ですか」

 

「はい。昨日、皇太子殿下とリィンさんたちが拘束したハーキュリーズの隊員から話を聞くことができました」

 

「そいつによると、帝都地下道に入りこんだのはだいたい100人ぐらい。侵入ルートは不明なんだが、どうも手引きしたやつがいるみてぇなんだ」

 

「スパイの手引きですか……」

 

「同じ帝国人として、考えたくないですが……」

 

(ロッチナ………)

 

キリコは昨夜のロッチナの言葉を思い返す。

 

「とにかく、そいつらを捕まえりゃいいんだろ?」

 

「ですが、どのように?」

 

「それなんだが……」

 

「本校と合同で、でしょうか?」

 

レクター少佐の言いかけた言葉をミュゼが継ぐ。

 

「本当ですか、レクター少佐」

 

「まあな。ちなみに殿下からの申し出だ」

 

「殿下から?」

 

「ああ。今こそ本校と分校の垣根を越えて力を合わせる時だってね。いや~、あのお坊っちゃんも逞しくなったもんだよなぁ~」

 

「レ、レクターさん!」

 

クレア少佐は大きく狼狽えた。

 

「そんで、殿下を変えた張本人がお前さんってわけだ」

 

「………………」

 

「キリコさん……」

 

「まあ、いいや。それよりここからが重要なんだが、今日の午後4時の時点で戒厳令の発令、並びに正規軍の投入もやむ無しってのが政府の結論だ」

 

「な……!?」

 

「そんなことになりゃあ……」

 

「工作員の生死を問わない掃討戦か」

 

「国際世論もありますし、夏至祭を前にパニックになります……」

 

「だろ?俺らとしてもそれは避けたい。そこでだが──」

 

「要するに共和国の間者どもを狩るわけだな?」

 

不穏な言葉が聞こえた方を見ると、オーレリアが立っていた。

 

「分校長!?」

 

「いつの間に……!」

 

「ハハハ……狩るじゃなくて逮捕って言おうとしたんですがね……」

 

「ま、待ってください!分校長も参加なさるおつもりですか!?」

 

「当然だ。私とオルランドで陣頭指揮を取る。ハーシェルはバックアップを任せる」

 

「いやぁ、そいつはありがたいッスけど……」

 

「ですが、広範囲の、それも地下道の捜索となると通信に支障が……」

 

「問題ない」

 

遅れてシュミット博士が入って来た。

 

「博士……」

 

「通信波増幅装置を手配しておいた。上手く使えば、本来通信の届かない地下でも通信網が構築できる。ギルドの小娘二人に配置させておいた」

 

「フィーとサラ教官にですか?」

 

「確かそれはジョルジュ君が2年前の実習で用意してくれた……」

 

「元々は私の発明だ。あやつが独自に改良したようだがな。何かに使えると思って持ってきたが、妙な偶然もあったものだな」

 

「そ、そんな物があるならもっと早く仰っていただきたい!」

 

ミハイルはシュミット博士に食ってかかった。

 

「とりあえず、役者は揃ったってわけだな」

 

「ミハイル少佐、我々も任務に向かいましょう」

 

「クッ………とにかく、Ⅷ組戦術科、Ⅸ組主計科は混合チームに編成し、特殊部隊掃討の任務に参加してもらう。これは第Ⅱ分校にとって名誉なことだ。心してあたってもらう」

 

「了解!」

 

「了解しました」

 

「では、自分とⅦ組特務科も──」

 

「いや、Ⅶ組特務科は昨日に引き続き帝都市内や周辺を回るがよい。遊撃活動でこそ見えてくるものもあろう」

 

「わかりました、ですが、頃合いを見て参加させていただきます」

 

「よろしい」

 

オーレリアは満足気に微笑む。

 

「ではリィンさん、こちらをお受け取りください」

 

クレア少佐はリィンに封筒を渡した。

 

「確かに」

 

「ではⅧ組戦術科は帝都競馬場、Ⅸ組主計科はヒンメル霊園から地下道に突入できるよう待機。Ⅶ組特務科は頃合いを見て作戦に参加するように。何か質問は?」

 

『………………』

 

リィンたちⅦ組とランディとトワは大きく頷く。

 

「よろしい。では、解散!」

 

ミハイルはブリーフィングルームを出ていった。

 

 

 

「とりあえず、帝都に向かいますか?」

 

「その前にサンディからの依頼を終えようか」

 

「それがありましたね」

 

リィンたちは食堂車にいたサンディにムーントリュフを渡した。そして、料理が運ばれてきた。

 

「お待たせ!レンハイムリゾットでーす!」

 

「美味しそう!」

 

「では、いただきます」

 

リィンたちはリゾットを口にする。

 

「美味い」

 

「優しい味ですね」

 

「悪くないな」

 

「えへへ、気にいってもらえてよかった」

 

「それはそうとサンディ、レンハイムというのは……」

 

「確か、オリヴァルト殿下が名乗っていた……」

 

「あーー、やっぱり気になっちゃうか……」

 

サンディは頬をかき、リィンたちをまっすぐ見る。

 

「実はあたしの故郷、アルスターはオリヴァルト殿下の実のお母様の故郷で、つまりは殿下にとっての故郷でもあるの」

 

『!?』

 

サンディの告白にリィンたちは驚きを隠せなかった。

 

「殿下のお母さんのアリエルさんはよく実家の宿酒場を手伝いに来てて、このリゾットは得意料理だったの。その時にレンハイム家に伝わるレシピをアレンジしつつ残してくれたみたいなの」

 

「そうだったんだ……」

 

「僕も初めて聞いたな。兄上なら当然知っていただろうが」

 

「あはは。でもあたしの地元のアルスターではすごい人気で、あたしもオリヴァルト殿下のファンなんです」

 

「そういえば、アルスターに行った時、町の人たちはみんなオリヴァルト殿下のことを話していたな」

 

「うーん。教官、せっかくですからこのリゾットを届けてあげたいんですけど」

 

「なるほど、それはいいかもな。サンディ、すまないが……」

 

「ふふ、そう言うと思って」

 

サンディは水筒にリゾットを入れ、木のスプーンを水筒に取り付ける。

 

「リィン教官、オリヴァルト殿下によろしく伝えてくださいね。Ⅶ組のみんな、頑張ってね」

 

サンディは炊事場に戻って行った。

 

 

 

「それじゃ、行きましょ!」

 

「その前に色々やることがある」

 

「そうですね。特に今日は念入りに行うべきですね」

 

「よし、まずは準備をしよう」

 

「決まりですね」

 

リィンたちは主計科の元で薬品などを購入し、いくつかクォーツを手に入れた。

 

「準備はできたぜ」

 

「なら、今ここで依頼を確認した方が良いかもしれませんね。教官、封筒の中身を見せてください」

 

「そうだな。ここで確認してから出発しよう」

 

アルティナに促され、リィンは封筒から書類を取り出した。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

女学院からの依頼 [任意]

 

帝都地下道の手配魔獣 [任意]

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「全部任意か」

 

「あら?女学院からもきていますね。しかも依頼主はエリゼ先輩ですか……」

 

「とにかく、行ってみましょう!」

 

「その前に言っておきたいことがある」

 

「なんでしょう?」

 

「昨夜、旧Ⅶ組のみんなで集まって決めたことがあるんだ」

 

「皆さんが、ですか?」

 

「ああ。エマから聞いたことなんだが、どうも帝都地下道の霊脈がかつてないほど荒々しくなっているそうだ」

 

「そう言えば、エマさんは帝都で調べることがあるって……」

 

「正にそれだ。それに加えて、特殊工作員のこともある。そこで、旧Ⅶ組全員でこの一件に関わることを決めたんだ」

 

「ええっ!?」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「勿論理由はある。先ほど話に出た霊脈などの裏と、内戦以降帝国の政策や特殊工作員などの表。これらは連動しているというのが俺たちの結論だ」

 

「連動……」

 

「仮に霊脈の働きが内戦以降の拡大政策に関係があるというならば辻褄は合いますね」

 

「教官たちはそれを止めるために……?」

 

「そうだ。これはあくまで推測だが、このままだと共和国との全面戦争以上の事が起きるかもしれない」

 

『……………………』

 

ユウナたちは息をのんだ。

 

「そのために今、それぞれが情報収集を行っている頃だ。頼む、君たちの力を貸してほしい」

 

リィンはユウナたちをまっすぐ見つめる。

 

「教官…………もちろんです!絶対に阻止しましょう!」

 

「ヴァンダールの名にかけて……!」

 

「わかりました。お手伝いさせてください」

 

「しゃーねーな。やってやんよ」

 

「全力であたらせていただきます」

 

「了解した」

 

ユウナたちは力強く頷いた。

 

「ありがとう」

 

「それでは教官、いつものをお願いいたします」

 

「とっとと始めろや」

 

「ああ」

 

リィンは毅然とした表情に切り替える。

 

「トールズ第Ⅱ分校Ⅶ組特務科。これより特務活動を開始する。午後には本校との合同任務もある。心して挑んでくれ!」

 

『イエス・サー!』

 

気合いを入れたⅦ組特務科は導力バイクに乗り、帝都へと向かった。

 

 

 

「な、なんだか物々しいような感じね……」

 

帝都に着いたⅦ組は昨日とは明らかに異なる空気を感じ取っていた。

 

「いつもより帝都憲兵隊の数が多いな」

 

「やはり特殊工作員対策でしょうか」

 

「明日は夏至祭ですから、警備も厳重になっているのかもしれません」

 

「息苦しいったらありゃしねぇ」

 

「あまり余裕はなさそうだな」

 

「そろそろ行こう。まずは情報収集だ」

 

「旧Ⅶ組の皆さんにお会いするのですね?」

 

「ああ。それと、依頼にもある帝都空港にも足を運んでみよう」

 

「帝都空港。リベール王国やレミフェリア公国を結んでいるんでしたね」

 

「共和国とは内戦以降、縮小しているらしいな」

 

「なんか、貴族連合軍と裏で繋がっていたんだろ?」

 

「実際、ノルド高原であったそうです。そう言えば、旧Ⅶ組の皆さんと戦ったのもノルド高原でした」

 

「そうだったんだ……」

 

「叔父上も言っていたような気がするな……」

 

「まあその話は後でするとして、みんな、心して挑んでくれ」

 

「もちろんです!」

 

「では参りましょう」

 

 

 

[アルティナ side]

 

特務活動に入る前に各地区を回って情報収集をすることになりました。

 

前までは最低限で良いと考えていましたが、今では意味があるものだと感じています。

 

最初はヴァンクール大通りを抜けてドライケルス広場に決めました。

 

ドライケルス広場でエマさんとラウラさんに会いました。

 

エマさんによると、かつて煌魔城が帝都に顕れた時のように霊脈がかつてないほど乱れているそうです。

 

また、"夜の卷族"という言葉を教えてくれました。これは吸血鬼などを指すそうです。

 

その際に、エマさんとセリーヌさんが赤い月のロゼという言葉に反応したように見えました。

 

次にヴェスタ通りの遊撃士協会帝都西支部でフィーさんとサラさんで会いました。

 

お二人は導力ネットを用いて帝国各地の遊撃士の人たちやクロスベルのプラトー主任と連絡を取り合っていました。

 

次にサンクト地区の大聖堂でミリアムさんに会いました。

 

ミリアムさんはたとえ鉄血の子供たちの一人だとしても、Ⅶ組の仲間だと宣言しました。一緒にいたリーヴェルト少佐も微笑んでいるようでした。

 

次に帝都競馬場内でユーシスさんとマキアスさんに会いました。

 

マキアスさんは鉄道省と帝都銀行、ユーシスさんはリベールとレミフェリア大使館を調べていました。そちらにも盗聴器が仕掛けられていたそうです。

 

ミュゼさんは国家的判断の真偽と時期について探ろうとしていると読みました。

 

「じゃあ、次は帝都空港ね!」

 

「ちょうど導力トラムも来たから乗ろうか」

 

導力トラムに乗り込み、帝都空港を目指します。

 

 

 

「ここが帝都空港……」

 

「初めて来たが、大きいな」

 

「あまりうろうろしないようにな。それに、ちょうどおられたようだな」

 

リィン教官の視線の先にはアリサさんと見覚えのある方がおられました。

 

「あら、リィンに新Ⅶ組のみんな」

 

「久しぶりじゃの、リィン。そして君たちがアリサの言っていた新しいⅦ組じゃな?」

 

「お久しぶりです、グエンさん」

 

「あたしたちのことを……」

 

「グエン………もしかして、グエン・ラインフォルト会長ですか?」

 

「ラインフォルト社を帝国最大の重工業メーカーの地位に押し上げた一流の経営者とお聞きします」

 

「そして私の祖父になるわね」

 

アリサさんは誇らしげに言いました。

 

「それにしても、リィンも立派になったの」

 

「ありがとうございます。まだまだ若輩者ですが」

 

「聞けばトールズ第Ⅱ分校とやらで教鞭を振るっているとか?」

 

「ええ。毎日忙しいですが、充実しています」

 

「その様子ではアリサともデートしとらんな?いかんぞ、恋人をなおざりにするようでは」

 

「お祖父様!!」

 

アリサさんの顔は真っ赤になりました。

 

(え!?もしかして教官とアリサさんって公認!?)

 

(みたいだな……)

 

(フフフ、お似合いですね)

 

「コラ、何をコソコソ話しているんだ?」

 

「なんでもねーよ」

 

なぜ胸がモヤモヤするのでしょう?

 

「それより教官、来たようです」

 

キリコさんの言うとおり、奥からオリヴァルト殿下が来られました。

 

「やあ、リィン君に新Ⅶ組の諸君」

 

「オリヴァルト殿下!」

 

「お久しぶりです、殿下」

 

「久しぶりだね。昨日のことはセドリックから聞いたよ。そして作戦のこともね。君たちに重荷を背負わせてしまって本当に申し訳ない」

 

オリヴァルト殿下はわたしたちに頭を下げました。

 

「いえいえ!そんなことないですよ!」

 

「トールズの名を冠する者として、帝都の危機は見過ごせません」

 

「その通りです」

 

「喧嘩売られりゃ倍返しっスから」

 

「面倒事は片付けるに限るので」

 

「あなたたち……」

 

「ありがとう。Ⅶ組の産みの親として報われる思いだよ」

 

オリヴァルト殿下はもう一度頭を下げました。

 

 

 

「あっ、そうだ。オリヴァルト皇子にお届けものです」

 

「私に?」

 

「はい、サンディからです。お受け取りください」

 

ユウナさんがサンディさんから預かった水筒をオリヴァルト殿下に渡しました。オリヴァルト殿下は水筒の蓋を開け、匂いを嗅ぎました。

 

「これは……!リィン君、もしや……」

 

「はい、サンディからの差し入れです」

 

「そうか、わざわざありがとう。懐かしい香りだ」

 

「サンディから聞きました。オリヴァルト皇子とお知り合いだとか」

 

「うん。彼女から聞いただろうが、私の母上はサンディ君のご実家をよく手伝っていてね。ミュラーと二人でで食事したものだよ。このリゾットは大切に頂くよ。みんな、本当にありがとう。サンディ君にもありがとうと伝えてくれないか?」

 

『イエス・ユア・ハイネス』

 

わたしたちは揃って礼をしました。

 

 

 

その後、アリサさんたちからセキュリティ体制のチェックの際、盗聴器や小型カメラが発見されたことと、オリヴァルト殿下から帝都上空の警戒の際に所属不明の飛行艇が出没しているという話を聞き、空港を後にしようとしました。

 

「あ、そうだわ。リィン、エリオットとガイウスなんだけど」

 

そう言えばそのお二人は見かけませんでしたね。

 

「二人は確かカレル離宮に行っているはずよ」

 

「カレル離宮に?」

 

「ええ。野外ライブをするって言ってたわ」

 

「そうか、わかった。さっそく向かってみるよ」

 

「ならリィン君。列車ではなくあの導力バイクで向かうといい。今、乗客の検査なんかを行っていたはずだから時間がかかるだろうしね」

 

「そうでしたか。ありがとうございます」

 

わたしたちはオリヴァルト殿下の助言に従って導力バイクでカレル離宮に向かうことにしました。

 

なお、グエンさんがキリコさんを熱烈に勧誘してましたが、キリコさんが頑として首を縦に振りませんでした。

 

 

 

カレル離宮に着くと、遠くからバイオリンの音色が聞こえてきました。

 

「あ、このバイオリンって!」

 

「素晴らしい音色ですね」

 

「あそこだな」

 

リィン教官はカレル離宮の離れを指さしました。

 

「とにかく、行ってみよう」

 

離宮内を抜けて離れに来ると、たくさんの人が集まっていました。

 

皆さんはエリオットさんの演奏を聞き入ってました。

 

本当に心地よい音色です。

 

演奏が終わり、エリオットさんとガイウスさんに話を聞こうとしました。

 

「キー!」

 

すると空から一羽の鷹が降りてきました。

 

この鷹はゼオさんと言って、ガイウスさんと同じノルド高原の出身だそうです。

 

改めてお二人に話を聞くことに。

 

ここ、カレル離宮には盗聴器の類いはなかったそうです。ここは普段は閉鎖されているので工作員も手の打ちようもなかったのでしょう。

 

また、ガイウスさんから興味深い話を聞きました。

 

ノルドの人々は風の流れから吉凶を読み取る術を持っているのですが、このところ帝国には凶事を報せる"滅びの風"という風が吹いているそうです。

 

抽象的なので理解は難しいですが、わたしも何かを感じています。

 

 

 

「これで全体は回れましたね」

 

「そうだな」

 

「そろそろ依頼に着手しましょうか」

 

「では一旦、ヴァンクール大通りに戻ろう。そこからサンクト地区に行くぞ」

 

「サンクト地区?」

 

「何か……妙な予感がするんだ」

 

「教官……」

 

わたしたちは呆れるしかありませんでした。

 

[アルティナ side out]

 

 

 

[ミュゼ side] [女学院からの依頼]

 

私たちはサンクト地区の聖アストライア女学院にやって来ました。やはり警備のレベルは下がっているようです。

 

生徒会室に通され、エリゼ先輩に話を聞くことができました。

 

エリゼ先輩によると、最近女学院近辺で風体の悪い方に絡まれたとの相談が多く受けているとか。

 

中には強引に連れて行かれそうになったと恐怖を覚える方もいるそうです。

 

また、エリゼ先輩も何度も声をかけられたばかりか、頭や頬に触れられることもあったそうです。

 

これを聞いたリィン教官はヴァリマールで拘束して空中散歩するという物騒な発言をなさいました。

 

現行犯で取り押さえるため、私たちはある作戦をたてました。

 

 

 

久しぶりに女学院の制服を着た私と囮役を志願したユウナさんが噴水の前で話をしていると、黒塗りの高級導力車が目の前に停まりました。

 

中から出てきた金髪の方の取り巻きの方に抵抗しつつも押しきられ、車内に連れ込まれそうになると、クルトさんとアッシュさんが止めに入ります。

 

クルトさんが相手の方を翻弄するように避け続けて転倒させ、アッシュさんが刃止めをかけたヴァリアブルアクスでもう一方のナイフを打ち落とします。

 

それに合わせてに私たちは車内を制圧。ユウナさんの言うように乙女の敵には容赦いたしません。

 

もちろん、音声データや証拠画像もバッチリです。

 

その隙をついて金髪の方が導力車を走らせて逃走を試みました。あちらではキリコさんが待っているはずです。

 

すると、なぜかリィン教官が出てきて導力車のタイヤを八葉一刀流の技で斬りつけて走行不能に。

 

よろよろと出てきた所をアルティナさんがクラウ=ソラスで逃げ道を塞ぎます。

 

ですがまだ何かあるのか金髪の方はニヤニヤしています。

 

「ガハッ!?」

 

『!?』

 

突然近くの路地からうめき声がしました。

 

そこにはキリコさんが風体の悪い方々を倒していました。

 

「お、お前あの時の!?」

 

「?」

 

「シカトしてんじゃ……」

 

「忘れたな」

 

「テメェ………イッ!」

 

黒髪の方が拳銃を取り出そうとしたその瞬間、キリコさんは落ちていた小石を相手の方の右手に当てました。

 

「ちょ……待っ……!」

 

相手の方が拳銃を落として動きが止まったところをキリコさんの飛び膝蹴りが決まり、相手の方はひっくり返り失神したようです。

 

金髪の方が呆然としているのを見るところ、お仲間のようです。

 

「やっぱり強いわね~~。全員素手で倒しちゃったんだもの」

 

「倒れているのは全部で8。それにしてもよく相手の動きに合わせられましたね」

 

「キリコの高い反応速度があればこそだな」

 

「チッ、美味しいとこ取りが……」

 

キリコさん、カッコよ過ぎです♥️

 

 

 

拘束した金髪の方はダリオさんと言って帝都銀行の頭取の息子さんでした。

 

ダリオさんは父親に頼んで女学院への寄付を打ち切ると脅しをかけました。

 

女学院の運営は各方面の多額の寄付金に頼っている面があるので帝都銀行からの寄付金が無くなるとなれば打撃になります。

 

おそらく、これまでも寄付金をちらつかせて女学院生たちを脅していたのでしょう。ユウナさんも怒りに震えています。

 

「ずいぶんと身勝手な発言ですわね」

 

「そんな権限が君にあるのかな?」

 

そこに姫様とレーグニッツ知事閣下が颯爽と現れました。

 

姫様に「恥を知りなさい!」と一喝され意気消沈し、さらに父親である頭取から勘当するという旨をレーグニッツ知事閣下の口から告げられたことでダリオさんは泣きわめきながら帝都憲兵隊に連れていかれました。

 

当分は牢屋暮らしでしょう。

 

ただその後、姫様が口を滑らせて以前にエリゼ先輩が絡まれたこと、キリコさんに助けられたことを話してしまい、一悶着起こりましたが、キリコさんとアッシュさんがリィン教官をなんとか沈めました。

 

アッシュさんが嬉しそうなのはおそらく気のせいでしょう。

 

何はともあれ、依頼達成ですね。

 

[女学院からの依頼] 達成

 

[ミュゼ side out]

 

 

 

「残りは手配魔獣だけか」

 

「現在10時半を回ったあたりですね」

 

「そうだな。……おっと、通信みたいだ」

 

リィンは自分のARCUSⅡを取り出す。

 

「もしもし?」

 

『あっ、リィンさん。セドリックです』

 

「セドリック殿下!お疲れ様です」

 

『はい、お疲れ様です。今は大丈夫ですか?』

 

「ええ。こちらも一段落したので。もしや、特殊部隊を?」

 

『はい。ようやく尻尾を掴むことができました。つきましては、11時をもって作戦を開始したいと考えています』

 

「わかりました。分校の方にも伝えておきます」

 

『よろしくお願いします。正規軍の方々には申し訳ないですが、帝都近郊に待機したままでいてもらいましょう。リィンさんたちはこのまま向かわれますか?』

 

「自分たちも手配魔獣の討伐と平行しますので先に帝国博物館から地下道へ降ります」

 

『了解しました。リィンさん、そしてⅦ組に女神の加護を』

 

「殿下たちも、御武運を」

 

リィンはそう言って通信を切る。

 

「遂に始まるんですね」

 

「望むところさ」

 

「では、帝国博物館へ行きましょう」

 

「メシはどうすんだよ?」

 

「これがある」

 

キリコはパック詰めされた干し肉を取り出す。

 

「ちなみにそれ以外は?」

 

「ない」

 

「調理実習の時も思ったんですけど、帝国軍のレーションとかってなんだか質素ですよね」

 

「帝国軍は質実剛健、常在戦場をモットーとしているからね。限りある資源としてかつ早めに摂取できるよう質素なものが多いんだ。それこそフレディ特製の干し肉みたいにね」

 

「だからといって水と干し肉だけってのはどうなんだよ……」

 

「ないよりマシだ」

 

「そう言えばティータさんから聞きましたけど、キリコさんは普段こういった昼食が多いとか?」

 

「あまり時間をかけていないだけだ」

 

「ある意味一番偏っていますね」

 

「まあ、あの博士の下にいれば………」

 

「それはいけません。キリコさん、かくなるうえは私が愛情こもった手作りランチを……♥️」

 

「手作りランチ?」

 

「嫌な予感しかしないんだけど」

 

「コホン、そろそろ出発する。ちょうど導力トラムも来たしな」

 

「了解」

 

リィンたちはライカ地区へ向かった。

 

 

 

ライカ地区は帝国博物館に来たⅦ組は受付のドロテに事情を話し、奥の扉へ行こうとした。

 

すると、展示してあった鐘が不気味に光だした。

 

「なっ、何よこれ!?」

 

「これは……!」

 

「リィン教官?」

 

「煌魔城と同じような感じがする……」

 

「そいつは……」

 

「内戦時に帝都に顕れたという……」

 

「ドロテ先輩、至急TMPに連絡を。それと、鐘が元通りになるまで誰も博物館に入らせないようにしてください」

 

「わかりました!お気をつけて!」

 

ドロテはリィンに言われた通りに動き始めた。

 

「現在、10:45です」

 

「出発する。ここから先は未知数だ。くれぐれも油断はしないでくれ」

 

リィンたちは奥の扉から地下道へと降りた。

 

 

 

地下道へ降りたリィンたちⅦ組は昨日とは異なる空気に警戒心を露にした。

 

「な、なんか重くない?」

 

「先月の精霊窟に似てますね」

 

「いや、この気配は……」

 

(普通の人間にさえ感じ取れる異様な空気。何が起きるかわからない状況。久しぶりだな、この感じは)

 

「では参りましょう」

 

「いや、来たみたいだぜ?」

 

アッシュの視線の先から3人ほどが走って来た。

 

「ハーキュリーズか」

 

「総員、迎撃体勢」

 

リィンたちは得物を構えて待ち受ける。

 

「ど、退いてくれ!」

 

「は、早く逃げないと……」

 

「闇が、闇が来る!」

 

「は?」

 

「何を言っているんだ?」

 

「待て!この感じは……!」

 

リィンが生徒たちを制すやいなや、ハーキュリーズ隊員たちは闇に包まれる。

 

「た、助け…………」

 

「なんだありゃ!?」

 

「霊的な流れ!?」

 

「………………」

 

ハーキュリーズ隊員は虚ろな目を向け、リィンたちに斬りかかる。

 

「避けろ!」

 

リィンたちはすんでのところでかわす。

 

「何よ今の!」

 

「パワーもスピードも桁違いだ!」

 

「あの闇に包まれているからでしょうか」

 

(今の一撃、普通の人間ならあり得ない。まさか連中は……)

 

「総員、戦闘開始!全力で食い止めるぞ!」

 

 

 

「レインスラッシュ!」

 

「起動、フラガラッハ」

 

「ムーランルージュ!」

 

「ジェミニブラスト!」

 

クルトたちがそれぞれのクラフト技を叩き込む。

 

「フレイムグレネード」

 

「二の型、疾風!」

 

続け様にキリコとリィンが広範囲に攻撃を仕掛ける。

 

「止めだ!ベリアルレイド!!」

 

最後にアッシュのSクラフトが決まり、ハーキュリーズ隊員たちは倒れこんだ。

 

「はぁ…はぁ…はぁ……」

 

「やっと倒したか……」

 

「異常な打たれ強さでしたね」

 

「どうやら闇のようなものも消えたようです」

 

「……………」

 

キリコは倒れたハーキュリーズ隊員を調べる。

 

「やはりな」

 

「何かわかりましたか?」

 

「こいつらは文字通り全力で動いていたようだ」

 

「全力?」

 

「人間は全力と言いつつも、実際は能力の3割しか使えないとされています」

 

「そうなの?」

 

「最近の研究で明らかになったことですが、脳が神経系を通して筋力にリミッターをかけているそうです」

 

「つまりキリコ、彼らは……」

 

「ええ。筋肉がズタズタになっている。兵士としては再起不能でしょう」

 

「日常生活も送れるかあやしいもんだな」

 

「そんな……」

 

「おそらく他の隊員もこうなっているかもしれません」

 

「とにかく、慎重に進もう」

 

リィンたちは探索を再開した。

 

 

 

「全員止まれ!」

 

「あれは、ハーキュリーズ?」

 

「相対しているのは手配魔獣か?」

 

闇のようなもので強化された魔獣や魔物を退け、広い場所にやって来た。

 

そこではハーキュリーズ隊員と手配魔獣──メガクラーケンが戦っていた。

 

「とりあえず様子見といくか?」

 

「いや、もう決着はつくだろう」

 

キリコの指摘通り、メガクラーケンはハーキュリーズ隊員たちにより、消滅させられた。

 

「倒されてしまいましたね」

 

「依頼は不達成ですね」

 

「今言うこと?」

 

「集中しろ。おそらく次は……」

 

するとハーキュリーズ隊員たちはリィンたちの方を向いた。

 

「こうなりますか」

 

「総員、戦闘準備。くれぐれも……?」

 

突然ハーキュリーズ隊員たちは糸が切れたように倒れこんだ。

 

「なんだ?」

 

「不用意に近づくな」

 

「何か来ます!」

 

ハーキュリーズ隊員たちの背後の空間が歪み、巨大な死神のようなものが顕れた。

 

「なあああっ!?」

 

「ノスフェラトゥだと!?」

 

「帝国の伝承にある、不死の王と呼ばれる……?」

 

「おそらくこいつが連中を動かしていたんだろう」

 

「クソがっ!冗談じゃねぇぞ!」

 

「急いで退治してしまいましょう!」

 

「総員、戦闘準備!相手はこれまでとは格が違う!死力を尽くせ!」

 

『イエス・サー!』

 

 

 

ノスフェラトゥはⅦ組がこれまで体験したことのない、特異な戦法でリィンたちをおおいに翻弄した。

 

だがリィンたちは決して諦めなかった。

 

「デッドリーサイズ!」

 

「アーマーブレイク」

 

「グランドプレス!」

 

「ガリオンフォート」

 

アッシュとキリコがクラフト技を使い、ユウナとアルティナが土属性と幻属性のアーツを放つ。

 

「合わせろ、ミュゼ!」

 

「了解しました!」

 

リィンとミュゼのリンクアタックがノスフェラトゥを怯ませる。

 

「止めだ!ラグナストライク!!」

 

クルトのSクラフトが決定打となり、ノスフェラトゥは断末魔の叫びを上げながら消滅した。

 

 

 

「こ、これで終わりね……」

 

「……まだだ!」

 

リィンが言い放った瞬間、目の前の空間が歪み、3体のノスフェラトゥが顕れた。

 

「嘘でしょ……」

 

「キリがねぇ!」

 

「……………」

 

キリコはノスフェラトゥを睨み付ける。すると──

 

「蒼烈斬!」

 

「ロゼッタアロー!」

 

背後から斬撃と黄金の矢が飛んできた。

 

「ホーリーソング!」

 

緑の光がリィンたちを包み込み、傷が癒える。

 

「これは!」

 

「もしかして……!」

 

「リィン、みんな大丈夫!?」

 

「すまぬ、遅くなった!」

 

「アリサ!ラウラ!エリオット!」

 

「来てくださったんですか!」

 

「私たちだけじゃないわ!」

 

「え?」

 

別の通路から、マキアス、ユーシス、ミリアムが駆けつけて来た。

 

「ノスフェラトゥか……」

 

「怖いなら下がってていいんだぞ?」

 

「ぬかせ。貴様に言われるほど落ちぶれていない」

 

「フン、そこは変わらないな」

 

「ユーシス……怖いからおんぶして」

 

「自分で歩け!」

 

ノスフェラトゥの1体がユーシスたちの方に向かう。

 

「喧しいぞ、プレシャスソード!」

 

「静かにしたまえ!メイルブレイカー!」

 

ユーシスとマキアスの息の合った連携でノスフェラトゥは出鼻を挫かれる。

 

「やっぱり二人は仲良しだね♪」

 

「「違う!!」」

 

「あはは……」

 

「まったく……」

 

また、別の通路からフィー、ガイウス、サラが駆けつけて来た。

 

「良いタイミングだったね」

 

「間に合ったか」

 

「彼らも無事ね」

 

「フィーさん、ガイウスさん。それにサラさんも………あっ、来てます!」

 

もう1体のノスフェラトゥがフィーたちに襲いかかる。

 

「行くよ、サラ」

 

「ええ!」

 

フィーとサラの連携がノスフェラトゥの初動を殺す。

 

「雷咬牙!」

 

ガイウスのクラフト技が相手を下がらせた。

 

「すごい……!」

 

「後一人は……」

 

「もちろん来ているぞ」

 

ノスフェラトゥたちの背後に魔法陣が顕れ、エマとセリーヌが姿を現した。

 

「お待たせしました!」

 

「エマ!」

 

「私が術で押さえ込みます。皆さんは一斉に攻撃をお願いします」

 

エマは魔導杖とは異なる杖を取り出し、魔法を発動、それによりノスフェラトゥたちは弱体化した。

 

「今です!」

 

「みんな行くぞ!」

 

『おおっ!』

 

新旧Ⅶ組によるバースト攻撃はノスフェラトゥたちを消滅させるのに十分だった。

 

ノスフェラトゥたちは恨みとも取れる断末魔の叫びを上げ、消滅した。

 

 

 

「やったわね!」

 

「うむ。皆の勝利だ」

 

「君たちも強くなったわね」

 

「ありがとうございます!」

 

「いえ、まだまだ皆さんには及びません」

 

「アーちゃん、大丈夫だった?」

 

「大丈夫です。ですから、離れてください」

 

「あはは……。でも、みんなどうしてここが?」

 

「この先にとてつもないほどの霊脈の流れを感じたんです」

 

「そこで我らは本校や第Ⅱ分校をサポートしながら来たのだ」

 

「おそらく、共和国軍特殊部隊の方を操った原因もこの奥にあると思われます」

 

「さっきの化け物が原因じゃないのか?」

 

「おそらくあれは卷属でしょう」

 

「あれがかよ?」

 

「つまり、ハーキュリーズの方々は巻き込まれただけ、ということですか」

 

「スパイではあるんだが、なんだか同情してしまうな」

 

「フン。とにかく、こいつらは皇太子殿下や第Ⅱ分校によって拘束されている。後はTMP辺りが引っ張って行くだろう」

 

「これで表の案件は終わり。ここからは裏の案件だね」

 

「そうだな。Ⅶ組特務科、準備はいいな?」

 

「っ!もちろんです!」

 

「覚悟はできています」

 

「同じく」

 

「ダメだって言ってもついてくぜ」

 

「さすがに見過ごせませんので」

 

「さっさと終わらせる」

 

ユウナたちは決意を露にした。

 

「フフ……」

 

「みんな……」

 

「ずいぶんと逞しく成長したものね。やっぱり教官の教えの賜物かしら?」

 

「まあ、そういうことにしておきますか」

 

「とにかく、さっさと向かうか」

 

「そうですね。時間もあまりないようです」

 

「その前に………そこにいるやつ、出てこい」

 

キリコは後ろの通路にアーマーマグナムを向ける。

 

「ほう?気配は絶っていたはずなんじゃがのう」

 

『!?』

 

「………………」

 

「……はぁ………」

 

「まったく……」

 

通路の陰から現れたのは金髪の少女だった。突然現れた少女にキリコとエマとセリーヌ以外は言葉を失った。

 

「教えてくれぬか?なぜ妾がいると?」

 

「妙な視線を感じた」

 

「これはしたり。気配は隠せども、視線は隠せぬか」

 

「よく言うわよ。その気になれば認識そのものを隠せるくせに」

 

「ふふふ。そう言うでない。なかなか面白い小童じゃからな」

 

「もう………年を考えてちょうだい」

 

「え、えーーと………」

 

しびれを切らしたユウナが話しかける。

 

「エマさん、この子は?」

 

「この子なんて呼ばなくて良いわよ。ロリババァなんだから」

 

「は?」

 

セリーヌの言葉にユウナは呆気にとられる。

 

「エマ、もしかしてこの人は……」

 

「ええ、リィンさんが想像しているとおりだと思います」

 

「久しぶりじゃの、リィン・シュバルツァー。大森林以来か」

 

「なるほど、そういうことでしたか」

 

「教官はご存知なのですか?」

 

「君たちが気づいていないのも無理ない。俺とこの人だけが認識できるよう術を使っていたんだろう」

 

「ほう、鋭いの。ああ、妾が説明したんじゃったか」

 

「まさか里を勝手に出ていたの!?」

 

「良いではないか。今代の灰の起動者じゃぞ?」

 

「ヴァリマールのことも……」

 

「それに里というのは……」

 

「そういうことなんだね、エマ」

 

「ええ、そういうことです。とにかく、自己紹介したら?──おばあちゃん」

 

「は?」

 

「おばあちゃん、と仰いましたか?」

 

「うむ」

 

金髪の少女は新旧Ⅶ組の前に出る。

 

「魔女の里の長にして、エマとヴィータの師で育ての祖母」

 

「緋の魔女、ローゼリア・ミルスティンという」

 

「よろしく頼むぞ。我が朋友、ドライケルスの子らよ」

 

『……………………』

 

ローゼリアの自己紹介に、新旧Ⅶ組は呆然とした。

 




次回、新旧Ⅶ組による戦いが始まります。

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