七耀暦 1206年 6月2日
クロスベル州での演習から帰還した第Ⅱ分校生徒たちは元の日常を取り戻していた。
演習にて独断専行を犯したⅧ組戦術科のアッシュとⅨ組主計科のミュゼがⅦ組特務科への異動が決まるなどのハプニングはあったものの、クラスに溶け込むのも早かったためか、大きな混乱は全くなかった。
季節は夏へと移行し始め、それに伴い、新たな授業が始まろうとしていた。
HR前
「水練……ですか?」
「どうも、近日中にあるらしい」
「そろそろ夏になりますからね。当然と言えば当然なのでしょう」
「憂鬱です」
「お前、水泳部のくせしてカナヅチかよ?」
「……黙秘します………」
アッシュの軽口にアルティナは口を閉ざす。
「そういえば、水練で使う水着はまだ持っていませんね」
「当然、分校指定の水着なんだろうけどね」
「水泳部の方は既に持っていますが、他の方はまだ持っていないんでしたね」
「サイズとかどうするんだろ?」
「? 体型なら測れば良いのでは?」
「いや、そういうことじゃなくて。ていうか、アル!体型とか軽々しく言っちゃダメ!」
「正直恥ずかしいですが…………キリコさんでしたら♥️」
「アンタもいい加減にしなさい!」
頬を赤らめ、キリコにもたれかかるミュゼをユウナが叱責した。
「はぁ………」
リィンはため息をつきながら教室に入って来た。
「お疲れ様です、教官」
「ああ、お疲れ。みんなも知っているみたいだが、近日中に水練の授業が始まることになった」
「それについてですが、水着はどうするんですか?」
「それについては、女子生徒はHRの後にトワ教官と共に屋内プールの女子更衣室に集合するようにとのことだ。男子はランディ教官と格納庫だ」
「ほっ……」
「当然ですね」
「屋内プールの女子更衣室ですね。わかりました」
「野郎が一斉に格納庫かよ。色気ねぇな」
「いや、当然だろう」
「……………」
「とりあえず、時間が押してるそうだからHRはここまでとする。キリコ、号令」
「起立、礼」
キリコの号令と共にHRは終わった。
「それじゃ、みんなは更衣室で制服を脱いで一人ずつ入って来てね。まずはアルティナちゃんからだよ」
「はい」
トワは先に屋内プールの方に歩いて行く。女子生徒たちは制服を脱ぎながら、おしゃべりを始めた。
「それにしても水練ですか」
「屋内プールがあるから授業はあると思ったけど」
「ちょっと恥ずかしいような気もしますね」
「そうかね。別に気にしたことないけど」
「レオ姉は水泳部だからでしょ」
「あうう………」
「大丈夫だよ、タチアナちゃん」
蹲るタチアナの肩をサンディがさする。
「そうですよ。それに不埒な殿方はゼシカさんとレオノーラさんにお任せすれば大丈夫ですよ」
「ええ、任せてちょうだい」
「この中の一人でも泣かせたらタダじゃおかないからね」
ゼシカとレオノーラは指を鳴らしながら微笑む。
「やっぱり頼りになるわね~」
「あははは………はい………」
「それにしても不埒か……」
「Ⅶ組は問題なさそうね」
「キリコ君を筆頭にクルト君とアッシュ君ですね」
「キリコなら大丈夫だろ」
「キリコ君と不埒ほど結びつかないものってあるのかな?」
「キリコさんは真面目な方ですからね。無愛想なのが珠にキズですけど……」
「そうね。不埒とか軟派とか軽薄とかとは無縁そのものだしね」
「というか、女子に興味がなさそうだもんね」
「……それはそれで腹が立つけど」
「キリコ君への評価が半端なく高いわね……」
「あ、あははは…………」
ユウナとティータは苦笑した。
「クルトさんとカイリさんはご実家が貴族ですから問題なさそうですね」
「スターク君とグスタフ君は物腰は柔らかい感じよね。この二人も大丈夫でしょう」
「ウェイン君はたまに暑苦しいけど、礼儀は弁えてるから良いんじゃない?」
「さ、最近気づいたんですが、アッシュさんはそれほど乱暴な方ではないようです……」
「パブロはずけずけくるけど、まあ良いんじゃない?」
「フレディ君は他のみんなとは系統が違うような……」
「となると、要注意なのはやっぱりシドニーかねぇ?」
「口を開けば女子のことばかりですからね」
「そこはまあ、仕方ないんじゃない?男の子だし」
「そこは様子見ということで」
「万が一の時は任せな」
「ええ、何時でも折檻できるわ」
「ほらほら!いつまで喋ってるの?そろそろ始めるよ!」
『はーい!』
女子生徒たちは屋内プールへと入って行った。
一方、格納庫
「来たぜ来たぜ来たぜ~!遂にこの時が~!」
「シドニーさん………いつになく興奮してますね」
「スタイルの良いユウナ、控えめなアルティナ、小悪魔的なミュゼ、武士っ娘のゼシカ、姉御肌のレオノーラ、東方美人なマヤ、素朴さが売りのサンディ、クールでシニカルなヴァレリー、シャイな文学系のタチアナ、天然おっとり系なルイゼ、がんばり屋のティータ。それにお姉さん教官のトワ教官に女王様な分校長!」
『……………………』
シドニーのペースに誰もついて行けなかった。
「ああ、女神様。夏という季節を作っていただいたこと、心より感謝いたします」
シドニーはひざまづいて女神に祈った。
「シドニー………」
「なんというバチ当たりな……!」
「ククク……そういうてめえもそわそわしてんじゃねぇか?」
「ち、違うぞ!そういうアッシュこそ……!」
「落ち着けウェイン。アッシュも煽るな」
グスタフがウェインとアッシュを仲裁した。
「はぁ………」
「ん?どうしたんだカイリ?」
「皆さん、筋肉があって羨ましいです……。僕なんか毎日筋トレしているのに……」
「うーん、筋肉ってそう簡単に付かないらしいから気長に続けていくしかないんじゃないか?
「そうだな。無理な筋トレは逆に体を痛めるって言うし」
「はぁ……わかってはいるんですけど……」
カイリはため息をつく。
「なら体力をつけたらどうだ」
「え?」
キリコの言葉にカイリは顔を上げる。
「体力……ですか?筋肉ではなく?」
「戦闘や演習でも言えることだが、パワーが高くてもスタミナが低ければ何の意味もない」
「それは言えているな。山で食材を探す時も体力勝負だからな」
「フレディはブレないな……」
「要するに、最後まで動ける体力の方が重要ということか」
「ウェインなんか序盤に飛ばしすぎて最後までもたないしな」
「確かに、スタークの肩につかまっとる場面多いよな」
「でも……!男なら筋力の方が……」
「筋骨隆々が強いとは限らない。体力勝負に持ち込むなら筋肉は逆に枷になるだろう」
「確かにな。筋肉は脂肪より重いと言うしな」
「……………」
カイリは完全には納得していないようで、顔が沈む。
「……どんな状況でも」
キリコが口を開く。
「味方の、後ろからの援護というのはありがたい」
「あ……」
「そうだな。サポート役が優秀というだけで大きなアドバンテージになるからな」
「カイリは気が利くし、回復系クラフトを持ってるし、医療や薬の知識もある。役に立たないなんて思ったことはないよ」
「そのとおりだ」
「自信持ってええんやで?」
「…………………」
「まっ、そう難しく考える必要はないと思うぜ」
見かねたランディがやって来た。
「ランディ教官……」
「カイリの気持ちはわかんなくはねぇ。だがお前にはウェインやクルト、キリコにすらない才能がある。それだけは忘れんな」
「キリコさんにすら……?」
(確かに、俺は医療や薬の知識はからっきしだからな)
「カイリだけじゃねぇ。お前らにはそれぞれに才能がある。それも他のやつには負けないな」
「才能……」
「ヘッ………」
「俺らだけの……」
「っと、そろそろ時間が惜しいからな。始めんぞ!」
『イエス・サー!』
男子生徒たちもそれぞれ計測を始めた。
夜 学生寮の食堂
『いただきます』
席に着いたⅦ組メンバーはユウナとアルティナとミュゼが作ったカレーライスとシーザーサラダの夕食を取っていた。
「おっ、このカレー美味いな。ユウナが作ったのか?」
「ううん、アルが作ったのよ」
「……え?」
「チビウサが!?」
「はい……」
「私たちも手伝いました」
クルトとアッシュが驚くのも無理のないことだった。
第Ⅱ分校学生寮では掃除、洗濯、食事は学生自らが行うことになっており、特に食事は各クラスで当番制を採っていた。
それはⅦ組特務科も例外ではなかったが、大きな問題があった。
それはアルティナの生活スキルの低さだった。
前世でサバイバルを何度も経験、さらに神の子を育て上げたキリコは最低限のスキルは持っていた。
だがアルティナは最低限のスキルすら持っておらず、特に料理に関してはユウナが文字通り匙を投げるほどだった。
また、アルティナの料理を口にした者の大半が体調を崩すことになった。
そこでユウナの発案で、アルティナは家事スキル向上に取り組むことになった。
最初は「必要ない」と渋っていたが、Ⅶ組メンバー全員に押しきられた。
だが回数を重ねるうちに楽しさを覚え、結果としてスキルは向上していった。
「2ヶ月前とは別物だな」
「ありがとうございます。ユウナさんとミュゼさんに手伝っていただきましたが、上手く出来たと思います」
「キリコさん、このサラダは私の自信作なんです。できれば、あーんしてほしいんですけど♥️」
「はいそこ。どさくさになにしてんの?」
「ああん♥️」
「…………………」
キリコはユウナにひっぺがされるミュゼに一瞥することなく黙々と食べ続ける。
(大変だな……キリコは……)
(ククク……見てて飽きねぇな)
「キリコさん」
「何だ?」
「いかがですか?」
「悪くない」
「そうですか」
「……お代わりをもらう」
「あ、はい……」
キリコはカレーライスのお代わりをした。
「せっかくだし、僕ももらおうかな」
「腹へってんだ。もらうぜ」
クルトとアッシュも続いた。
「アルティナさん、良かったですね」
「頑張った甲斐があったわね」
「はい……」
結局、キリコとクルトとアッシュはカレーライスを3杯ずつお代わりをした。
二日後
水練の授業が始まった。
本来ならば全クラス合同で行われるのだが、最初は各クラスに別れて行われた。
「あん?俺らが先か」
「そうみたいだな」
「……………」
既に水着に着替えたⅦ組男子はプールサイドで暇をもて余していた。
「おい、ヴァンダール。様子を見て来いよ」
「断るに決まってるだろう」
クルトはアッシュに毅然と言いはなった。
「ごめんごめん。待った?」
「お待たせしました」
「時間がかかってしまいましたね」
ユウナ、アルティナ、ミュゼがプールサイドを歩いて来た。
「遅えよ」
「仕方ないでしょ」
「アッシュさんたちは着るのではなく穿くタイプなので時間の差はやむを得ないかと」
「まあ、それはそうなんだろうが……」
「…………………」
「それにしても、みんなやっぱり鍛えてるわね」
「まあ、鍛練は怠ってはいないけど……」
「クルトさんはともかく、アッシュさんは鍛練をしているんですか?」
「まあ、アホの相手にはこと欠かないんでな」
「あんた、また喧嘩?」
「実力ってモンを教えてるだけだっつの」
「キリコさんはどうですか?」
「技術部の方で手一杯でな」
「それでその体ですか」
「いくら軍隊帰りって言ってもねぇ……」
「ただ、見た限りではキリコさんが一番筋肉質であるかと」
「次いでアッシュね。クルト君はどちらかっていうとスリムな感じ?」
(どうしてユウナさんやアルティナさんは殿方のお身体をまじまじと見つめられるんですか……。私は………や、やっぱりキリコさんを見られない………)
ミュゼは頬を赤らめ、キリコから顔を背ける。
(ミュゼさん?)
「全員、集まっているな?」
『分校長!?』
(なぜオーレリアが?)
更衣室から出てきたのはリィンではなく、オーレリアだった。
「なに、そなたらの担当教官と代わってもらったのだ」
「か、代わったって……」
「どうやったんだか」
「まあ良い。ではこれより、水練の授業を始める」
オーレリアの宣言にⅦ組メンバーの顔が引き締まる。
「水練は何も単純に泳ぐだけではない。水中という環境でいかに平静を保てるかや、水難者の救出の手順などを教えていくことになる」
「水難者の救出……」
「そうだな。主に着衣泳法や人口呼吸と言ったところか」
「人口呼吸!?」
「ふむ……」
(あわわわ………)
「……ヘッ」
「人口呼吸か……」
「…………」
「……言っておくが、これは人命を問うものだからな」
「は、はいっ!」
(そうです、人口呼吸とは人命救助のためにするもの。そうですとも)
「まあ、今回は正しい泳法を知ることが目的だ。そう硬くなる必要はない」
「正しい泳法……」
「そうだ。とりあえず、まずは準備運動をするがよい。溺れては元も子もないからな」
『イエス・マム』
Ⅶ組メンバーは準備運動をし、体をほぐした。
「うしっ!俺の勝ちだな!」
「うぐぐ……アッシュに負けるなんて……」
ユウナはガッツポーズをするアッシュを睨み付ける。
「………………」
「大丈夫ですよ、アルティナさん。私も泳ぎは得意な方ではありませんから」
ミュゼは落ち込むアルティナを慰めていた。
Ⅶ組メンバーはオーレリアの指示で総当たり戦を行っていた。
正しい泳法は手取り足取り教えるのではなく、数をこなすことで身体に叩き込むというのがオーレリアの持論だった。
そして、今度はキリコとクルトの番だった。
「負けるつもりはない。全力で行く!」
「ああ」
クルトとキリコはそれぞれのレーンに並び立つ。
「意気や良し。それでは………始め!」
「「!」」
キリコとクルトはほぼ同時に飛び込んだ。
クルトは水を掻き分け進む。そのスピードは確かに速い。
だがキリコの方が水を掻くスピードも、進む速さも上回っていた。
二人の距離は徐々に開き、最初にプールサイドに触れたのはキリコだった。
「ふう……」
「はぁ…はぁ………さすがにやるな」
「そちらもな」
「何をしている。次はキュービィーとクロフォードだ。さっさと戻って来い」
「は、はいっ!」
「了解」
オーレリアの呼びかけに二人はプールから上がる。
その後火がついたオーレリアも加わり、Ⅶ組メンバー全員の総当たり戦が終わった。
結果は
ユウナ:2勝4敗
クルト:3勝3敗
アルティナ:0勝6敗
アッシュ:4勝2敗
ミュゼ:1勝5敗
キリコ:5勝1敗
オーレリア:6勝0敗
という形で終わった。
「さ、さすがにキツイわね……」
「ああ………」
「もう動けません………」
「クソ……涼しい顔しやがって……!」
「キリコさん……貴方の体力はいったい………」
「…………………」
「何をしている。本番はこれからぞ?」
『……は………?』
(何?)
オーレリアの言葉にⅦ組メンバーは固まる。
「これより、『限界修練法』を行う」
「限界修練法……?」
「いやな予感が……」
「その名の通り、限界まで泳ぎ続けてもらう」
「嘘……………」
「…………………」
「アルティナさんが青ざめてます………」
「あり得ねぇ……」
「………やるしかないか」
「無論休憩時間は取る。では始める!」
この後、休憩時間を挟みながらⅦ組メンバーは体力の限界まで泳ぎ続けた。
「ふむ、久々に全力で泳いだな。どうした?そなたらも顔を上げたらどうだ?」
『……………………』
Ⅶ組メンバー全員にもはや喋る気力も体力も残っていなかった。
特にアルティナとミュゼは意識が朦朧とし、立っているというより浮かんでいるという表現が正しかった。
「まあ良い。とにかく上がるがよい。最後にストレッチをしておくように。でなければ明日は地獄を見るぞ」
『イ……イエス…………マム……………』
「声が小さい!」
『イエス・マム!』
Ⅶ組メンバーは最後の力を振り絞り、プールから上がった。
「次はⅧ組戦術科、その次がⅨ組主計科か。いや、いっそ合同で行うか。さて、どれほどのものか」
後日、Ⅷ組とⅨ組全員が地獄を見た。
その後着替えを済ませたⅦ組メンバーは教室でぐったりしていた。
「死ぬ……ホントに死ぬ………」
「念入りにストレッチをしたけど、体が重いな……」
「ううう……クラウ=ソラ……」
「アルティナさん、ダメですよ………」
「つーか、キツすぎだろ……」
「……同感だな」
「……キリコ君、その割りには平気そうだけど?」
「一応お聞きしますが、手を抜いたりは……」
「していない。分校長なら即座に見抜くだろう」
「それもそうですね」
「それがわからない黄金の羅刹じゃないか……」
「バケモンが……」
クルトたちは思わずため息をついた。
「体がすごく重いです……」
「なら深呼吸しろ。その方が楽になる」
「はい……」
アルティナはキリコの言うとおり、深呼吸を始めた。
「どう?アル?」
「確かに、少し楽になってきたような気がします」
「ああ、そうだな。しかし……」
クルトは顎に手をやる。
「どうかしましたか?」
「分校長が行った限界修練法なんだけどね」
「無茶苦茶疲れたんだけど、こんなのやる意味あったのかな?」
「ただ、後半から余分な力が入らなくなったような気がしてね」
「人体は極度の疲労に陥ると無意識に一番楽な動きをするそうです」
「つまり、一番自然な動きってことだな」
(確かにタイムはそれほど悪くはなかったな)
「ただのスパルタやしごきってわけじゃなかったのね」
「そういうことだ」
教室にリィンが入って来た。
「あ………」
「お疲れ。みんなしごかれたようだな?」
「しごかれたようだな?じゃないですよ!なんでよりによって分校長と代わったんですか!?」
ユウナがくってかかる。
「すまない………分校長に強引に押しきられてしまってな」
リィンは申し訳なさそうに頭をかく。
「……イメージできますね」
「反論も許されなかったのでしょう……」
「本当にすまない。この埋め合わせは必ずするから」
「絶対にですよ!」
「当然、俺らもな」
アッシュが便乗する。
「わかったわかった。とにかく、今日はお疲れ様。入浴の後もストレッチするのも忘れるなよ」
リィンはユウナたちを労い、HRを終わらせた。
「ねえ、みんな」
帰り支度を整えたユウナは、教室を出ようとしたメンバーを引き留めた。
「どうした?」
「今日の夕食なんだけど、食堂じゃなくてバーニーズで食べない?」
「バーニーズで?」
「みんな疲れてるでしょ?たまには良いんじゃない?」
「賛成です」
「だな」
アルティナとアッシュは賛成した。
「ですが、ミラは大丈夫なんですか?」
「僕の方は問題はないかな」
「個人で管理しているので大丈夫だと思います」
「メシ代出せるぐれぇの余裕はあるぜ」
「問題ない」
「じゃあ、決まりね。夜7時にバーニーズに集合ってことで!」
「んじゃチビウサ。じゃじゃ馬のお守りは任せたぜ」
「ちょっと自信が……」
「大丈夫ですよ。私がお迎えに参りますので」
「ちょっとみんな!それどういう意味!?」
ユウナは憤慨した。
「遅刻をなくしてから言え」
キリコはそれだけ言って教室を出てった。
「うん、キリコの言うとおりかな」
「だな」
「ですね♪」
「ユウナさん、形なしですね」
「ううう~~~!」
クルトたちの正論にユウナは地団駄を踏んだ。
その夜、各々の部屋で休息を取ったⅦ組メンバーは宿酒場バーニーズに集まった。
寝坊し5分遅れてきたユウナを窘めつつ、Ⅶ組メンバーはチキンやポテトなどの夕食を取り、互いに疲れを労った。
翌日、Ⅶ組メンバーは筋肉痛を患ったがオーレリアのケアとリィンのアドバイスが効いたのか、それほどひどくはならなかった。
次回、キリコの誕生日パーティーの裏側を書きます。