ゼロの使い魔×ポケットモンスター   作:蜜柑ブタ

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今回は、メタモン。



メタモンは、イワークみたいなでっかいのにも変身できるから人間にだって変身できるよね?って感じで書きました。


『ルイズが召喚したのが、メタモンだったら?』

 レコン・キスタとの戦争。アルビオンでの本土決戦で、トリステイン軍、そしてゲルマニア軍の連合軍は敗走した。

 

 そして敗走して撤退する軍は、ルイズにある命令を下す。

 

 そしてルイズは、逃げていく者達とは反対の方向に向かい、馬に乗ろうとした時だった。

 

 背後から掴まれ、口に何かを入れられた。

 

 急激な眠気に倒れ込みながら、後ろを見たとき、そこには、ルイズそっくりに変身した、自分の使い魔が優しく微笑んでいた……。

 

 その使い魔を召喚したのは、春風が心地よい学院近隣の草原でのことだった。

 

 何度目かの爆発、そして爆発の跡地に現れたのは、薄紫色の軟体生物だった。だが、小さな目と、微笑んでいるような口がある。顔だけならちょっと間抜けっぽい。

 

 ルイズがコントラクトサーヴァントの儀式を行おうとすると、ウニュ~ンとその軟体生物が姿を変え、ルイズそっくりの姿に変わった。細部までそっくりで杖まで手にしていた。

 

 それに驚いていると、ルイズに変身した軟体生物が擬態で作った杖を向けてきて、エクスプロージョン!と聞いたことも無い呪文を唱え、ルイズにとって忌まわしい爆発の魔法を使ってきた。

 

 制御できていないルイズと違い、精度は明らかに上で、その場が騒然となった。

 

 だが長くは続かなかった。やがてエクスプロージョン!と唱えても、杖の先からポッ…と小さな煙が出るだけで、どうやら力尽きたらしい。

 

 コルベールが、いまだ!っと叫び、尻餅をついて頭を抱えていたルイズは、ハッとしてコントラクトサーヴァントの呪文を素早く唱え、慌てている偽のルイズを掴んでキスをした。ルーンが刻まれる痛みによって、ルイズの形が崩れ、軟体生物に戻っていった。

 

 他人に変身する魔法は存在するが、人そっくりに変身できる生物は発見されていないので、コルベールは、世紀の発見か、未開拓の土地の生物かもしれないと言った。

 

 何の生き物なのか分からないまま、使い魔として連れて歩いていると、メタモンだぁ!っという驚いた声が聞こえた。

 

 シエスタというメイドがどうやら知っていたらしく、話を聞いた。

 

 この生き物の名は、メタモン。

 

 どんな物にでも変身できる不思議な生き物で、彼女の曾祖父がどこからか連れてきたと言われており、曾祖父亡き後は、近隣の森で独自繁殖をしてたまに訪れる人を驚かせるそうだ。

 

 変身したら、その人物の魔法まで使うのかと聞くと、タルブ村には貴族の人はいないのでそんな話は聞いたことがないと言った。

 

 メタモンは、見かけによらず賢かった。いや、変身能力を持つからこそ賢いのか…、朝になればルイズに変身して着替えを手伝い、ルイズの姿で給仕をしたりと、ルイズに尽くしてくれた。なぜルイズの姿なのかは分からないが、近場にいる人間じゃないといけないのかもしれない。

 

 ルイズに、ルイズの姿で接してくるのは、ルイズ的には微妙だったが、すぐ慣れた。

 

 ルイズに変身したメタモンは、いつだって優しく微笑む。話すことはできないらしいが、日頃溜まっていたストレスから愚痴を言うルイズの言葉を時折頷いたりしながら、聞いてくれる。ルイズの好物のクックベリーパイを一緒に食べるときも、相変わらずルイズの姿だったが、メタモンは、ルイズと違って子供みたいに喜んで食べている姿が微笑ましく見えて、ルイズにとっては、徐々に大切な存在になっていった。

 

 そんな中始まった、戦争。

 

 虚無の力に目覚めたルイズは、アンリエッタの命を受けてメタモンと共に戦場に向かった。

 

 そして連合軍の敗走。

 

 そして指揮官達から命じられたのは……、味方が撤退するまで魔法を使えという内容。つまり、ルイズに死ねと言っているのだ。

 

 ルイズに変身したメタモンが、戦地にたった一人で向かおうとするルイズを眠り薬で昏倒させて自分が馬に乗るのを、ルイズは、ダメ…!っと手を伸ばして止めようとするが、メタモンは聞かず、馬を走らせていく。ルイズは、意識が遠のく中、それを見送ることしかできなかった。

 

 次にルイズが目を覚ましたのは、船の船室だった。

 

 メタモンは、どこ!?っと探し回ったが、どこにもいなかった。

 

 共に戦地に赴いた級友達から、メタモンが残した手紙を渡され、そこには、汚い字で……『さよなら。ありがとう。大好きなルイズ』っと書かれていて、ルイズは、大声を上げて泣いた。

 

 戦争が終わった後、ルイズは、引きこもり気味になり、シエスタが、貴族に変身できるほどのメタモンならきっと敵兵にも化けて生き延びている可能性が高いと言い、キュルケもタバサも協力してくれ、メタモンを探すためにアルビオンの地に再び足を踏み込んだ。

 

 そしてアルビオンの森の中。

 

 子供達の笑い声が聞こえ、その声を辿っていくと、そこには、子供達と遊んでいるメタモンがいた。

 

 メタモンが、ルイズの存在に気づくと、ウニュ~ンと変身し、ルイズの姿になった。

 

 ルイズは、涙を浮かべ、ルイズの姿になったメタモンに抱きついて大泣きした。

 

 メタモンは、変わらず優しく微笑みを浮かべ、ヨシヨシとルイズの頭を撫でたのだった。

 

 




ゲーム中のメタモンが、相手の技を使えるから、もしかしたら、相手の技(魔法含む)を瞬時にコピーする能力も持ち合わせているんじゃないかという考えで書きました。
エクスプロージョンを使えるのは、メタモンがルイズを見て解析した結果、得られた魔法名ですね。未覚醒の。

メタモンの変身能力をどこで活用させるかって考えたとき、ルイズへの玉砕命令が下ったときが思い浮かんだので、そうしました。
なお、変身能力もルイズのみ精度が上がっているので、ちょっと見では、贋物だと見破れません。果たしてメタモンが、ルイズに変身し続けたのが、いつかルイズに入れ替わって身代わりになるためだったのかは分かりません……。



以下、いつも詳しく書いてもらっているミッキィさんの説明文。

▪️ポケモンや人間だけでなく、道具にまで変身が可能。ポケスペではブルーの『メタちゃん』がおり、ブルーのお得意の変装や侵入、撹乱に欠かせない存在。カンナ戦でブルーの腕に変身していた為、ブルーの腕が切断されたと油断したカンナとルージュラを不意討ちで縛りつけて勝利に貢献した。

▪️アニメでは、変身後も顔だけそのままなイミテのメタモンが有名。AGやDPの個体は完璧に変身できている。
DPではオーバの大ファンであるマキナの手持ちに2匹おり、片方が色違いだった。

▪️BWでジャイアントホールに出現するメタモンはレベル50である。更に濃い草むらに出現するものは最大レベルがなんと『65』。エースポケモンに化けると死ぬことになる。(捕獲しようとして旅パが半壊)。

▪️実はメタモン同士は仲が悪いらしいのだが、マキナの2匹は仲が良かったので、個体によるだろう。

▪️メルタン騒動では、メルタンに化けていた。


【おまけ】
ハルキゲニアが中世ヨーロッパというわけで、過去の時代のポケモン情報などを。

▪️『アルセウス超克のへ』では、モンスターボールの無いほどの古代ではポケモンを『魔獣』と呼んでいた。

▪️映画やXYゲーム本編を見るに、大昔はポケモンが戦争に駆り出されていた事がわかる。XYの描写では『20cmサイズの可愛がられていたポケモン』ですら戦争に駆り出されてしまう程の事態だった。

▪️『ミュウと波導の勇者ルカリオ』の冒頭では鎧などを武装したポケモンが確認。『アルセウス超克の時空へ』では古代に『魔獣装具』と呼ばれるものがある。

▪️王族が就寝する際は護衛として特性『ふみん』のポケモンを側に置いていたNPCから聞ける。

▪️ゲーム本編では、BW・XY・(あまり見落としがちだが)サンムーンでも『王族』が絡んでくる。はたしてソード・シールドでは…?

▪️ソード・シールドのガラル地方は『イギリス』モデルなので、クロスオーバー作品が非常に盛り上がりそうである。

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