そのには華金ということでとあるグループが飲みにその居酒屋へ訪れていた
その中にはハチャメチャのことで有名なエイレーンの姿があり、どうやら穏便に終わることはないようで…?
「王様ゲーーーーム!!」
「いえーい!!ほらちゃるちゃるも盛り上がってますか?」
「勿論っすよふくふく!いえーい!!」
とある金曜日の居酒屋。そこには花金ということで盛り上がる一つの団体がいた。幼児体系の狐娘の『ねこます』のこと『バーチャルのじゃロリ狐娘元Youtuberおじさん』に『ふくやマスター』、そして『ばあちゃる』の三人が中心に場に熱を与えている。ねこますに至ってはすでに酒が回っているのか、その顔は真っ赤だ。
「王様ゲーム!?萌実聞いてないよ!?」
「まあまあ萌実さん。拒否権ありますから大丈夫ですよ」
「エイレーンが大丈夫じゃないの!絶対『拒否するなら一週間雑用を命じます』とか言って逃げ道塞ぐに決まってるじゃん!」
「…そんなわけないじゃないですかー」
「絶対やる気だこの人」
言い合いをする『萌美』と『エイレーン』を呆れ顔で見ながら『メンテちゃん』はため息と共に言葉を零した。
元よりばあちゃるたち男組だけの飲み会だったのだが、退勤する際にメンテちゃんに捕まり、居酒屋前でエイレーンにも捕まってしまい今のメンバーで開催することとなった。男同士で遠慮なく飲む気だったふくやマスターはあからさまに不機嫌だったのが印象的だ。
「はいはいはい。エイレーンが言う様にね、無理だと思ったら拒否してくれてかまわないでね、むしろドンドン言ってくださいね!周りも無理強いする雰囲気を出すのはなしっすよ?」
「妾、王様ゲーム初めてなのじゃ」
「嘘でしょねこますさん!?初めてであんなに盛り上がったの?…童貞かな?」
「マスターは一回地獄に落ちるべきじゃよね、完全に」
「あ、ねこますさんばあちゃるさんの口癖がうつった」
「まあ、あの馬の言動はやけに耳に残るし、使い勝手がいいですからね。うつっちゃうのも仕方がないじゃないっすかね」
「そういう貴女もうつってますよ、エイレーンさん」
「あら?」
お酒も大分入っているからか、場の雰囲気は遠慮がほぼ無くなっている。事務所が違うと言え、同じ業界で仕事を共にする者たちだ。その息は自然と合っていくものだろう。
「それじゃあ早速行くっすよ。お箸は持ったっすね?それじゃあ…」
「「「「「「王様、だーれだ!!」」」」」」
用意周到なばあちゃるは既に、番号を振った箸と先端を赤くした箸を入れた色付きのコップを皆の前に置く。初めてとはいえ知識で知っていたねこますも一緒に、全員で箸を同時に引き抜いた。
「いやぁ、すみませんね。僕が王様です」
「あ、私拒否します」
「ちょいちょーい!?メンテちゃん!?拒否が早すぎるっすよ!?」
にやけ顔を晒しながら、先端が赤い箸を自慢気に晒すマスターにメンテちゃんは速攻で拒否をした。マスターから身を隠すように、ばあちゃるの後ろに隠れる。
「いやいや、ばあちゃるさんあの顔見てくださいよ。ロリコンの顔ですよあれ。剣持さんも割とあの顔してますもん。私、身の危険を感じました」
「けんけんとばっちり受けてる!?いやいやいや、けどふくふくがそんな命令するわけが…」
「3番の子、僕の膝に座って!!」
「ふくふくー!?」
「あ、妾3番なのじゃ」
「のじゃさーん!?」
あまりのスピード展開に、ばあちゃるのツッコミは追いつかない。後方にいるメンテちゃんは『やはり』と怪訝そうな表情をマスターへと向けていた。そんな視線も気付いていないのか、酔ったねこますはそのままふらふらとマスターの膝に座り込む。同姓のためか、この一連の流れに抵抗は感じられなかった。
「マスターさん、ねこますさん。ハイチーズ」
「イエーイ!!」
「…あの、エイレーン?その画像、どうするつもりっすか」
「そんなの分かり切ってるじゃないですか。腐れ縁なんですから察してくださいよ」
「うわー。エイレーン悪い顔してる」
顔を真っ赤にしてピースをするねこます。そしてそんなねこますをあすなろ抱きするマスター。その図はどうにも犯罪臭が拭えない。エイレーンはその画像をもとに良からぬことをすることが目に見えている。長い付き合いから、それを止めることが不可能だと理解しているばあちゃるは、マスターとねこますに対し、同情の視線を向けることしかできなかった。
「ほらほら、次いきますよ!」
「エイレーンの目がアカリがやらかしたときの意地悪する時の目と一緒だー!?これヤバい奴だよ、絶対!」
「もえもえ、これはもう諦めるしかないっすよ。賽は投げられたっすからね、完全に」
「ばあちゃるさんも諦めないで!?とばっちりを一番に受けるのは私なんだよ!?」
「おやおやぁ?萌実さんは逃げるんですか?せっかく私に仕返しが出来るいいチャンスなのにそれを棒に振るなんて、相変わらず残念ですね」
「むっかー!萌実、頭に来たよ!そこまで言うならぎゃふんと言わせてやる!」
「…見事なまでの一本釣りっすね」
エイレーンに対抗意識を燃やす萌実にばあちゃるは頭を抱えた。メンテちゃんも拒否権があるのならと意外にも乗り気で、ここでやめることを提案する流石に無粋だ。自分は羽目を外しすぎないようにしようと、ばあちゃるは決意を新たにした。
「「「「「「王様だーれだ!!」」」」」」
「妾がこくおーなのじゃ!それじゃあ2番はここ最近やらしたことをどうぞ!」
「はいはいはい。2番はばあちゃる君っすね。やらかしたことっすよね?えー…と…ああ、ばあちゃる君は特にやらかしたとは思ってないっすけど、この前ポンポンが頭を抱えるくらいの猛暑日があったじゃないっすか。その時はさすがに暑かったのでスーツを着崩してたら用事で来たたまたまに襲われかけたっすね」
「はい。それは馬が悪い」
「横に同意」
「マジンガー!?エイレーンもメンテちゃんもなんでっすか!?」
「「察しろ」」
「ちゃるちゃるは男の僕から見てもセクシーだからね。仕方がないね」
「え、マスターそっちもいけるの…近寄らんとこ」
「ふくばあもありですね!」
「なんで詩子さんがいるんですか!?」
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「「「「「「王様だーれだ!!」」」」」」
「お。どうやら私みたいですね」
「げぇ!?エイレーン!?」
「げぇとは酷いですね萌実さん。そんな反応してくれちゃうならお望み通り、4番が今からここで『おちゃめ機能』を歌ってもらいましょう!」
「えぐー!絶妙に拒否しにくいラインを攻めてくるっすね!?」
「しかも先日動画で投稿したので歌えないとも言えない…相変わらずエグイ」
「というかなんで私の番号をピンポイントで言い当てるの!?知らないはずだよね!?」
「私ですよ?」
「無駄に説得力ある!?くそー!こうなったヤケだよ!」
このあとめちゃくちゃ歌った
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「「「「「「王様だーれだ!!」」」」」」
「萌実が王様だよ!エイレーンに仕返ししてやる!というわけで3番は5番の抱きしめる!」
「あ、ばあちゃる君3番っすね」
「うぇ!?嘘ですよねばあちゃるさん!?」
「って、ことは…」
「メンテちゃんさんが5番ってことじゃよね」
「そ、その…王様の命令なので…ばあちゃるさん、お願いします…」
「は、はいはいはい。そ、それじゃあ行くっすよ?」
「あまーい!!」
「知っとったけど、やっぱ拒否はしないのね」
「萌実さーん!なんでそこは4番って言わないんですか!」
「予想外の結果だけど、エイレーンに仕返し出来たからよしとするよ」
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「「「「「「王様だーれだ!!」」」」」」
「はいはいはい。ついについに!ばあちゃる君が王様っすねー!それじゃあね、全員ね、今からばあちゃる君のいいところをあげてもらいましょうか!」
「ちゃるちゃるのいいところなんていくらでも言えるよ!頼りになる!」
「ばあちゃるさんがいると全体的に安定感が出て助かるのじゃ」
「調子が悪いとさらっと私の仕事を持っていってくれるとこ」
「かっこいい」
「エイレーン!?…その、困ったら相談に乗ってくれる」
「最近の私の旬ですね。出会う度に餌をありがとうございます」
「さっきから思ったんだけど、なんで詩子さんがいるんですかねぇ?…友人になってやめて欲しいとは思うけど、誰かが炎上する度に何かしらアクションを起こすとこ!」
「あ、それ妾が言おうとしたやつ!?…常に誰かの為に行動するところなのじゃ」
「私や淡井先生を含め常に.LIVEのことを気にかけてくれるところ」
「実は共に出かける度に常に私を守りながら行動してくれるところですね」
「な、なんかエイレーンが超デレてる!え、っと…司会とかの時もそうだけど、いつも誰かの為に場を盛り上げてくれるところ!」
「事務所の垣根を越えて、お酒の交流会を開いてくれるところですね。いつもありがとうございます」
「…おっけーですおっけーです。あの、すみません…もう勘弁してもらってもいいっすか…」
「この馬褒められるのに慣れていませんよ!ほらほら皆さん!もっと褒めてあげましょう!」
「鬼だこの人―!?」
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「「「「「「王様だーれだ!!」」」」」」
「お!最後は僕みたいですね」
「まぁたマスターなのじゃ!?」
時刻はまわって11時半。そろそろお開きの時間ということで、最後の王様ゲームは一回目の時と同じ、ふくやマスターが引き当てた。お酒もいい感じに回っているのか、最初の時に比べ、その顔は真っ赤だ。
「最後ですからねぇ。ちょっと踏み込んだのにしちゃいましょうか」
「拒否権はありますよね?」
「それは勿論」
メンテちゃんの問いに、酔いが回った頭で満面の笑みを浮かべて頷く。それに納得したのか、飲んでいるカルピスサワーを一口含みながら、メンテちゃんは席に戻った。
「よーし、それじゃあいきますよー?…5番が1番に命令する!」
「あら、5番は私ですね」
「1番はばあちゃる君っすよ!はいはいはい」
「おっと、これは?」
自身の番号を宣言する二人に、ねこますはどこか面白いものを感じ取ったのか、楽しそうに笑みを浮かべる。それはねこますだけでなく、指名したマスターも同様だ。しかし、メンテちゃんはどこか不服そうにしていた。
「なんでわざわざそんな面倒そうな命令なのにみんな笑ってるの?」
「単純ですよ。本来王様ゲームは誰に命令するかわからないものですからね。マスターさんのやり方なら、誰に命令するか明白になるでしょ?見る分には楽しいものだと思いますよ」
「なるほど!…いや、納得したけど詩子さんも完全にここに馴染んでますよね!?」
「お支払いはご一緒でお願いしますね」
「ちゃっかりしてるー!?」
楽しそうに談笑する萌実と詩子を余所に、エイレーンは意地の悪い顔を浮かべる。その表情はばあちゃるにとっても、見慣れたものだ。彼女がその表情を浮かべる時は大抵碌なことが起きない。これからの展開に、ばあちゃるは固唾を飲んだ。
「そうですね…それじゃあ、『ばあちゃる』」
「ぁ…」
意地の悪い表情から一転、エイレーンは普段見せない『女の顔』を浮かべた。楽しそうに、幸せそうに浮かべるその表情の裏に、先程と変わらない意地の悪い表情が見え隠れする。そして何より、エイレーンはばあちゃるの名前を呼んだ。その意味を、その先の展開をばあちゃるは予想出来てしまった。
「今日からオナ禁して5日後に私の家に来てください。掃除して待ってますね」
「んなぁッ!?」
なんてわかりやすい、ストレートな誘いに誰もが驚愕の声を上げる。しかし、ただ一人、ばあちゃるだけが観念したように頭を抱えていた。そう、エイレーンがばあちゃるの名を呼ぶ時、それは『夜のお誘い』の意味を含んでいるのだ。正確には『愛してください』という意味なのだが、この場においてどっちの意味も変わりはないだろう。
「ちょ!何言ってッ!?ばあちゃるさんも受けないでくださいよ!」
「あ、返事は今じゃなくてもいいですよ。当日来るか来ないかで判明することですし。そうだ!いっその事、返事は当日にしてくれると面白いかもしれませんね」
「えええええええええ、エイレーン!?萌実たちのこと忘れてない!?」
「あら?その日は萌美さんもヨメミさんもアカリさんのサポートをお願いしてるはずですから、家にはいないはずですよね?」
「そうだっけ!?…うわ、ホントだ!?しっかり予定は言ってる!」
「いったいいつから計画してたんだ?」
楽しそうに笑みを浮かべるエイレーンに全員がドン引き状態だ。ばあちゃると同様に付き合いが長いメンテちゃんに、同じ家に住んでいる萌実ですら同じ状態なのだから、先程の発言がどれほどに衝撃的だったか物語っている。
「っと、もう閉店時間間際ですし、今日は解散しましょうか」
「そ、そうっすね!お店の人に迷惑かけちゃマズいっすもんね!」
「あ、逃げた!?」
最速で立ち上がり、ばあちゃるはレジへと駆け出す。本人もそれなりに飲んできたはずなのに、その足取りはかなり軽やかだ。
「ちょっ!?ばあちゃるさん!?今日は割り勘のはずじゃよね!?」
「はいはいはい!ここはばあちゃる君が払っておくので、また次回お願いしますね!」
「ちゃるちゃる前回もそう言って払ったよね!?ねこますさん行こう!ここで奢られたら今後ずっとちゃるちゃるが払う様になりかねない!」
「勿論なのじゃ!ばあちゃるさんまてー!」
飛び出る男性陣に、取り残される女性陣。勿論視線の中心には、場を引っ掻き回したエイレーンがいた。
「最後になんてこと言うのさ、エイレーン!」
「あれくらいあからさまな方がアピールにはもってこいでしょう?特にあの馬には、ね」
「それはそうですけど。…断られるとは思わなかったんですか?」
呆れ顔で問うメンテちゃんの言葉に、ばあちゃるに向けた『女の顔』を浮かべて幸せそうにエイレーンは答えた。
「確かに断られる可能性があったかもしれません。ですけど、私がばあちゃるの名前を呼んで誘った時の成功率は今のところ100%だったりします」
自信満々に言うエイレーンに、メンテちゃんは今度こそ言葉を失った。それはエイレーンの言葉が衝撃的だったのか、それとも呆れすぎて出なかったのかはわからない。しかし、メンテちゃんは後日に『あんな幸せそうな顔をするエイレーンさんは初めて見ました』と語った。
結局その後ばあちゃるの逃切りが成功してしまい、それ以降の様子ががどうなったのかは当の本人にしか分からない。しかし、あえて言うのであれば。当日、何故かばあちゃるは仕事を早退して、その早退した時刻より1時間後にエイレーンの自宅に入っていくのが確認されたとかされなかったとか。