ヤミヤミの桜   作:超高校級の切望

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サバイバル1

 神の社。

 

「3時間後に何名残るか………おいお前、当ててみろ」

 

 エネルは暇なのか、侍従の一人に問いかける。

 

「そ、そうですね。青海人は神官の方々もやられる程の実力者ですし……しかし3時間となると、40人と言う事で……」

「ヤハハハハ! なる程な……40人か。だがそれでは少し甘いんじゃあないか? お前はこの戦いをなめている」

「では……(ゴッド)はどうお考えで?」

「よし、私がズバリ答えてやろう。3時間後、この島に立っていられるのは、7人だ」

 

 

 シャンディアの一団が雲の川(ミルキーロード)を走る。スケートタイプのウェイバーで高速に移動する戦士達は、常に周囲を警戒している。

 

「神官達の動きがない………3人やられたってのは本当のようだな」

「それだけの実力者が今回の侵入者ってわけか」

「おくすな、たとえ相手が何者だろうと、やることは変わらない」

 

 

 

 

 ノラの背に乗りながらふぁ、と欠伸をするサクラ。並の神兵相手ならノラが対処してくれるし、する事がない。

 

「にゃ〜はっはっ!まさか空の主と一緒に移動してるなんてにゃあ!」

「───ッ!誰です?」

 

 気怠げに目元を擦っていると不意に聞こえてきた笑い声。上体を起こし警戒する。ノラもシュルル、と唸る。

 

「ワタシが誰かって!? ん〜、なんだろ。謎の美女かなぁ?」

「ああ、さては馬鹿ですね?」

「カバじゃねーし!」

 

 と、木の上から謎の影が降りてきた。虎のキグルミを来た、変な女だ。

 

「………ジャガーマン?」

「大・正・解! 我こそは戦士の化身、ジャガーの戦士、ジャガァァァァマン!」

 

 ビシッ! とポーズを取るジャガーマンと呼ばれた女性に、サクラの目はなんだか疲れを帯び始める。

 

「んん? 何やらダウナー? コラコラ、勝手に人の庭に土足で入り込んでやる気がないってどういう事なの」

「人の庭?」

「そう! ここは、ジャガーの土地! またはシャンディアの地! まあどっちも似たようなものニャ」

 

 なる程さてはこいつ、話が通じないな? これでクラスがランサーなのだから笑えない。

 

「まあ別に私は何時でもウェルカム何だけどね? 大地(ヴァース)はほら、皆のモノだから。でも最近反抗期のワイパーが五月蝿いニャア」

 

 ヤレヤレ、と肩を落とすジャガーマン。彼女自身の考え方は穏健派よりということだろう。

 

「ま、でも今回ばかりは挨拶も菓子折りもなく侵入した自分の浅はかさを恨むんだニャ!」

「なる程………では、どうもお邪魔します。コチラ、昼餉にと持ってきた食料です」

 

 と、闇の中から取り出した弁当を見せるサクラに、ジャガーマンはフッ、と笑う。

 

「シャンディアへようこそ、何もない所だけどゆっくりしていってね!」

「ゆっくりさせるなぁ!」

「あ、ワイパー」

 

 ドーンと言う効果音が聞こえてきそうな切り返しをしたジャガーマンに、何処からともなく現れたワイパーが叫ぶ。

 

「ほらノラ、あれが貴方の大好きなカルガラの血を引くシャンディアの戦士ですよ」

「ジュラ? ジュララァ〜♪」

「っ! 空の主!!」

 

 カルガラの子孫と聞いて嬉しそうに擦り寄ろうとするノラにワイパーがバズーカをぶっ放すが効いた様子はない。

 

「え〜っと、ノラちゃん? ちょ〜っと落ち着く………ニャ!」

「ジュラ!?」

 

 ワイパーを押しつぶしかねないノラを、ジャガーマンが手に持つ猫化動物の肉球をもしたハンマーのような物体で殴って止めた。余りの衝撃に上に乗ってたサクラが落ちそうになった。

 

「ジュラァァ!」

「わ、元気!」

「………はぁ。ノラ、落ち着きなさい。あのままじゃカルガラの子孫を潰しそうだったから止めてくれたのよ」

「ジュラ?」

 

 本来の歴史において、未来では子供たちと遊んでたりもするノラ。大昔の人間の声も言葉もしっかり覚えているだけあり知能は高く、サクラの言葉を理解し止まる。

 

「………お前、なぜ大戦士の名を知っている」

「知っていますよ、色々と。例えばこの子はカルガラの大親友モンブラン・ノーランドが殺した蛇神の子でありカルガラに殺された大蛇の子、ノラ。モンブラン・ノーランドと大戦士カルガラの出会いの切欠となった生贄を求める神の孫です」

 

 ジャガーマンに叩かれたところをヨシヨシと撫でてやりながら説明するサクラ。カルガラだけでなく、ノーランドの名まで出て来て、ワイパーは目を見開き固まる。

 

「本当は、ノーランドの子孫と約束した人が来るんでしょうが………エネルが私達を狙い、ダ・ヴィンチちゃんの存在も考えれば彼女の研究結果だけでも完成が早まるであろうあの船のことなんかも合わせるとさっさと行動したほうが良いでしょうしね。この子との約束もありますし、私は黄金の鐘を鳴らしに行きます」

「ジュラァ! ジュララ、ジュラ〜ラ〜〜♪」

 

 ノラは嬉しそうに頭を左右に揺らす。

 

「おえっぷ………き、気持ち悪い」

 

 彼からすれば少しの動きもちいさな人間からすれば大きな揺れ。口元を押さえ吐き気に耐えるサクラにノラが慌てて止まる。

 

「待て! それはカルガラの血を引く俺達の役目だ!」

「私は別に、どっちでもいいですよ。貴方がキチンと青海に残されたシャンディアの故郷の一部に住まうノーランドの子孫に届く程、鐘を鳴らしてくれるのなら」

「お前は………会ったのか? ノーランドの子孫と」

「いいえ? 存在は知ってますが、この目で見た事はありません」

「………なら、鐘を鳴らすのはやはり俺だ」

 

 と、背を向けるワイパー。

 

「私を殺さなくて良いんですかぁ?」

「…………ふん」

 

 ワイパーはそれだけ言って、走り去った。隣でジャガーマンが「ツンデレだ」とこぼすとバズーカが飛んできたが普通に打ち返した。

 

「さて、他はどうなってるかな?」

 

 見聞色の覇気は、まだ覚えていない。覚えておけば良かったと思ったが、口に出したら地獄の特訓が待っている事だろう。

 

「ほほーう」

「ほっほっほーう」

「…………?」

 

 と、不意に聞こえた妙な鳴き声に振り返る。

 

 

 

 

「ふむふむ、古代遺跡か。私は別に考古学者ってわけじゃあないけど、これはこれで心が踊るね」

 

 と、シャンディア古代遺跡にやってきたダ・ヴィンチ。他の面々はまだここに来ていないらしい。

 遺跡を観察していると、バキリと枝をふむ音が聞こえてきた。

 

「誰かな?」

「これはこれは……可愛らしいお嬢さん。その容姿、もしや青海の学者様?」

「ん〜。少し違うけど、まあ空島の皆にはそう言うふうに思われてた、かな………?」

「それはそれは……貴方の出した論文のおかげで『船』の完成が早まったと、(ゴッド)もお喜びでした。しかし聖地に入ったのならしかたありません。罪人として、私が始末しましょう! メ〜〜〜!!」

 

 

 

 

「空には存在しない鉄の威力に万能性を感じてしまうのは仕方ないですが、世界には鉄より硬くなる技もあります。それを使える人間もごまんといますからね……それに頼りきりでは、私には勝てませんよ」

 

 [カルデア海賊団]ケイローンVS[シャンディア]ゲンボウ。

 勝者、ケイローン。

 

 

 

 

「その程度の光では、太陽たる俺の目は眩まない。褒めるべきは、射撃の腕だけだ」

 

 [カルデア海賊団]カルナVS[シャンディア]ブラハム。

 勝者、カルナ。因みに本気で褒めてるつもりです。

 

 

 

 

「ヒルド! スルーズ! オルトリンデ!」

 

 その頃、島外の雲の川(ミルキーロード)を進んでいたシトナイ達の所に突如現れた上半身裸の坊主、背中に複数の太鼓が付いた輪を生やした男が武器を構えたワルキューレ姉妹を一瞬で戦闘不能にしていた。

 

「ヤハハハハ。相変わらず、血の気の多い小娘共だ……別に私は、お前達に危害を加えに来た訳ではないというのに」

「ならば何をしに来た!?」

 

 敵意を込めた視線を向け叫ぶガン・フォールに、しかしエネルは笑みを絶やさない。

 

「ヤハハ……冷たい言い草じゃないか。実に6年ぶりの再会だぞ! 先代(ゴッド)ガン・フォール」




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