ヤミヤミの桜   作:超高校級の切望

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まずは最初の仲間から


雪原での出会い

 ログポースは次の島を指す。その島にたどり着き、ある程度経てば次の島を指す。

 なら島に滞在せずにいればその島の方角を延々と指し続け、そこからほかの島の位置を逆算することも出来るはず。

 あの海賊達が持っていた手書きの地図を見ながらだいたいこの角度だろうって方角を飛ぶ。あ、島みっけ。やっぱりこのやり方正解だな。

 このままこの島に滞在し続けたらそれはそれでどれかの島への道を指すんだろうが……。

 しかし、砂だらけの島だな。あ、ひょっとしてアラバスタ?

 七武海に目を付けられんのはイヤだな。さっさと次の島に行こう。って、この地図ひょっとしてルフィが通った道と同じだったりするのだろうか?だとしたら、この島は冬島?

 

黒ひげ(わたし)がここにいますからワポルも逃げ出してないでしょうし、うまくすれば船医が手にはいるかもしれませんね」

 

 と、なれば善は急げだ。こんな世界、やはり仲間が欲しい。イッシー20の誰かが誘拐できれば御の字か。なんならDr.クレハでも良い。むしろクレハが良い。

 ログポースが指す方向と地図を照らし合わせる。こっちだな。

 頭上に天輪を生み出し自身を引き寄せる。浮かび上がり、俺は空を飛び冬島に向かった。

 …………あれ、方角だけならジャヤで鳥捕まえてればよかったんじゃ………ま、良いか。

 

 

 

 

「ヘクチ………!」

 

 寒!

 当然といえば当然か。今の俺の格好は裸コートという球磨川先輩が提案しそうな格好だし……。取り敢えず服屋で服を買う。服屋まで向かう途中あり得ないモノを見る目で見られてたな。まあ良いけど。

 ふぅ、しかし……あんな格好を続けてたからだろうか?何か、着込んでいると落ち着かない。ま、良いか。俺は基本的に危険がない限り気にしないたちなのだ。

 さて、それじゃあまずDr.クレハ探すか。木にすんでるんだったか?てか、黒ひげって覇気使えないのかな?使えたら便利なんだが記憶にねぇし……見聞色があれば探すの楽なのにな。

 ん?待てよ、確か今はワポルのせいで医者が王宮抱えになってるから見せられず、代わりにDr.クレハが見てるんだよな?法外な値段で……。

 

「ヘクチ……!」

 

 つまり病気の奴に張り込めばいずれ会えると言うこと。そうと決まれば情報収集!

 後、何か俺と同じようなこと考えたであろうドラム王国の兵士が居たので闇に沈めて潰しておく。来るかな、来るかな?

 と、視線を感じる。振り返るとサッと隠れる影。チョッパーか?病人の周りに兵士が張り込んでないか確かめにきたのだろうか?

 取り敢えず、闇の中に沈む。

 先程何かが隠れた方にゆっくりと進む。やはり見聞色の覇気ほしいな。上の様子が全くわからん。ただ、ガサガサと音は聞こえる。

 

「こんにちは」

「ふやぁ!?」

 

 闇から這い出て挨拶すると叫ばれた。ん?チョッパーじゃないな、女の子だ。俺のように色が抜け落ちたような白髪とは違う、周りの雪原よりもなお白く美しい白髪に、ルビーのような赤い瞳。アイヌ風の格好をした………って、あれ?

 

「あ、怪しい者じゃありません!びょ、病人を捜しに来たんです!」

「ふーん」

「あ、これ言っちゃ駄目なんだ………」

 

 チラリ、と此方を恐る恐る見てくる。やっぱりこの娘、あれだよな?

 

「……イリヤ?」

「はい?え、っと……私はシトナイですけど」

「そう、シトナイ……」

「は!?」

 

 あっさり名乗り、しまったと口を押さえるシトナイ。うん、やっぱりシトナイだよな。またはイリヤ……何でここに?いや、神霊にしちゃ年相応に見える。そっくりさん?俺のような転生者だとしたら、俺の姿に何の反応も見せないのは気になる。

 

「病気の子ならあの家にいたましたよ」

「え?あ……ありがとうございます!」

「ふふ。気にしないで。あなたはお医者さん?」

「はい!あ、いえ……まだ見習いだけ……ですけど」

「敬語は苦手ですか?別に良いですよ。気にしないので」

「そう?なら助かるけど……私はこの島一番の……いいえ、世界一の医者、Dr.クレハの弟子の一人よ!」

 

 えっへん、と胸を張るシトナイ。可愛い。しかし、クレハ?クレハと言ったな今。彼女の弟子はチョッパーだけのはず。バタフライエフェクト?な、訳ないか。最近なのに過去に影響がでるとかあり得ない。そういや転生特典、fateの力、だったな。力…………サーヴァントもある意味マスターの力だ。つまり、その影響か?

 

「?………あの」

「ああ、ごめんなさい」

 

 少し考え事をしすぎたようだ。訝しむシトナイに笑顔で返す。

 

「私、そのクレハって人に用事があるんです。よかったら一緒に行って良いですか?」

「え!?もしかして、誰か病気なんですか!?」

「ううん。私に連れは居ないわ」

「え?じゃあお姉さん?でも、お姉さん健康そうですけど」

「実は私、海賊なんです」

「えぇぇ!?」

 

 目を見開いて距離をとるシトナイ。かわいい。

 

「といってもまだ仲間が一人もいなくて、それでほら、新世界では未知の病気とかもあるし、船医がほしくて……」

「ああ、なるほ──え、仲間が一人も居ない海賊?なにそれ」

「ふふ。駆け出しですから……でも過去の海賊王も最初は二人、次の海賊王なんて最初は一人なんですよ?だから私だって海賊を名乗って良いはずです」

「普通に旅人名乗れば?」

「ロマンがありません。やはりお宝を探して、時にあくどいことをする海軍とも戦ってこそ冒険でしょう?」

「う、うーん?まあ、確かに島の外は私も見てみたいけど……お父さんが言ってたサクラとか見てみたいし」

「ん?私?って、ああ……植物の桜ですか」

「え?お姉さんサクラって名前なの?」

「はい。ふふ、素敵な偶然ですね」

 

 ニコニコ微笑むとキラキラした瞳を向けてくるシトナイ。かわいい。うん、クソかわいい。ん?桜を見たことがある、お父さん?Dr.クレハが引き取り育てるような娘……まさか此奴、Dr.ヒルルクの娘か!?

 

「お姉さんはサクラ、見たことある!?」

「はい。ありますよ、とても綺麗なんです」

「良いな良いな!どんな感じ………あ、それより早く帰って師匠に病人のこと伝えないと!」

 

 そういって駆け出すシトナイ。俺らその後を追いかける。流石、この島に住んでいるだけあり行道をスイスイ駆け抜ける。と、感心していると───

 

「まっはっはっはっ!捕まえたぞ!」

 

 シトナイが雪の中から飛び出したカバに捕まった。さらに雪の中から次々兵士と変なのが現れる。変なのは二人だけだが兵士は十数人居るな。

 

「雪国名物「雪化粧」!油断したなカバめ!」

「わ、ワポル!は、放しなさい!」

「国王様と呼ばんかクソガキめぇ!ふん、まあ良い、あの婆の元に案内してもらおうか」

「────ッ!シロウ!」

「グオオオオ!」

「ぐべぇ!?」

 

 と、シトナイの叫び声に現れたシロクマがワポルを吹っ飛ばした。熊の名前まで一緒なのか。

 

「うぐぐ、チェス!クロマーリモ!やれぇ!」

「「はっ!」」

 

 生きてた。熊の張り手食らって、頑丈だな。と、アフロが熊に向かって殴りかかる。

 

「ビックリマーリモ!」

「グア!?」

 

 シャキン!と刃物が手に着けてるアフロから飛び出し技名通り吃驚するシロウ。その隙に変なのが矢を放とうとしたがシトナイが氷の矢で変なのの矢を打ち落とす。

 名前からしてアフロがクロマーリモで変なのがチェスか……いや、どっちも変だけど……。てか今の

 

「シトナイ、その矢は何ですか?」

「私は超人(パラミシア)系悪魔の実、コチコチの実を食べた氷結人間。氷を生み出すことが出来るの」

 

 へぇ、青キジの下位互換か。

 

「お姉さんは逃げて、ここは私が──!」

「エレキマー───ぶへぇ!?」

 

 取り敢えず、シトナイに付くか。クロマーリモを殴り飛ばすと兵士達も此方に意識を向ける。

 

「な、何だ貴様はぁ!?」

「初めまして、クロ・D・サクラと申します。以後、お見知り置きを」

「あ、これはご丁寧に………って、ちがーう!俺様に丁寧にするのは当たり前!貴様、何のつもりでそのガキを庇う!?」

「まだ会ったばかりですけど、私はシトナイと仲良くしたいと思ったので……」

「仲良くぅ?いいか、よぉく聞け!そのガキは俺に逆らい勝手に医療行為をするDr.クレハの弟子、つまり大罪人だ。それを庇うと言うことは、貴様も犯罪者の仲間入りと言うことだ!」

「お姉さん!私のことは良いから、逃げて!」

「犯罪者、ですか……」

「その通り!」

 

 ふふん、と鼻を鳴らすワポルに、はっと笑う。

 

「犯罪者上等です。私は海賊ですので……シトナイと言う友達のためなら、王族だってぶん殴ります」

「お姉さん………」

「ぬ、ぬ……ぬぅ!」

 

 俺の言葉にワポルはプルプル震え出す。

 

「良いだろう!ならば、大罪人として牢に閉じこめてやる!者共、捕まえろ!」

「────ふぅ───面倒ですね」

 

 と、黒帯を生み出し兵士達を纏めて吹き飛ばす。チェスが矢を放ってきたが闇の中に飲み込み消滅させ、驚愕で目を見開く顔に絡み付け近くの木に叩きつける。

 

「な、何だとぉ!?我が国の精鋭が、こんな……!」

 

 うん、普通に弱い。本当、序盤の敵は基本的に弱いな。俺が一歩近付くとひぃ!と後ずさる。

 

「ま、待て!話し合おう!そ、そうだ、そんなに強いんだ、戦士長の座をやろう!」

 

 無視して歩く。

 

「な、なら大臣の………ふ、副王の座をぉぉ……」

「圧縮した空気が、戻るとどうなるか知ってますか?」

「………へ?」

 

 闇に大量の空気を吸い込ませる。そして、拳を構える。

 

「ホワイトショット!」

 

 技名はホワイトホールが由来。闇の中で圧縮された空気が衝撃波となり放たれワポルが吹き飛んでいく。途中あった雪も木々もまとめて吹き飛ぶ。

 

「「「ワ、ワポル様ぁぁぁぁっ!!」」」

 

 兵士達が慌てて追いかけていく。と、同時にズズズと地鳴りが響く。後、何か風が吹く。見れば今の衝撃で雪崩が起きていた。

 

「ちょっ!?やりすぎよ!どうするのよ!?」

「慌てる必要はありませんよ」

 

 そういうと闇を広げ雪崩を飲み込む。闇の中には温度はないから雪が溶けることはないだろうが、とりあえず闇の一部を海まで伸ばして海に捨てておいた。

 

「それじゃあシトナイ、Dr.クレハの下に案内してくれますか?」

「へ?あ、うん……あれ、一応王様なのに………良いのかなぁ?」

 

 シトナイは吹き飛んだ雪原を見てポツリと呟いたのだった。それと、ワポルはさっさと逃げ出してしまった。




というわけで、最初の仲間(まだだけど)はシトナイちゃんでした!

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