皆様まずは挨拶をば、ちゅーに菌or病魔と申します。不慣れではありますが、暇潰しにでも楽しんでいただければ幸いです。不定期更新となりますが、それなりに早い更新を心掛けたいと思います。
この小説の投稿動機としては、色々考えた結果、束さんの奴隷になりたいと思ったので小説を始めました。
――――年――月――日
施設の奴らに隠れて日記ぐらいは書けるようになったので、書いてみることにした。まあ、俺はめんどくさがりやなので、気が向いたときに記録するだけになりそうだが、別にいいだろう。
俺が転生という眉唾なモノを経験してから約10年が経つ。まさか、来世の自分が"完璧な人間"だか"最高の人類"だかを造り出す施設の人造人間に生まれ変わるなんて思うわけもあるまい。文面にするとより意味がわからないな。
とはいっても俺自身この地下工場と研究室が合わさったような部屋に生まれからずっと軟禁されて、施設の奴ら――長いからまとめてアイツらでいいか。アイツらのために兵器を作ったり、他の人造人間を作ったりするだけの生活をしているのでこの施設の地下区画以外のことはさっぱりわからん。
ちなみに今世の俺は無茶苦茶頭がよかったりするが、それは別に前世でもそうだったわけでなく、俺は"完璧な頭脳を持つ人間"ということで唯一成功した人造人間らしい。そんなわけでやろうと思ったことは、素材と時間さえあればなんでも機械やら生体やらで再現出来てしまうぐらい頭がいいのだ。
いつか、前世のアニメやゲームの知識から色々作りたいものである。
――――年――月――日
アイツらに助手が欲しいとか、材料が重くて運べないとか弱音を吐いていたら人造人間をひとり助手につけてくれた。しかも東洋系の黒髪美少女だったので、内心小躍りしたのはナイショだ。
しかし、ソイツが中々くせ者だった。"完璧な肉体を持つ人間"の成功例なだけはあり、軽々と鉄骨や生きてない人造人間を持ち上げる姿は大変頼もしいのだが、全く生活能力がなかったのである。お陰で少し目を離すと部屋の一角がごみ溜めのようになり、そこからバイオハザードが発生してもおかしくない。
残念な美人というかなんというか、道徳心的な問題かと思って、倫理観やら慈愛やら人間に必要なことを色々教えてみたが、全く変わる様子がないので、性格的な問題なのだろう。
それと色々教えたせいで人間らしくなったのはいいのだが、小生意気になってきたのはいただけない。だが、頭脳しかない俺が、化け物染みた身体能力をしている彼女には、逆立ちしても勝てないので何も出来ないのである。年下なのに、ぐぬぬ。
――――年――月――日
最近、助手ちゃんの様子が少しおかしいので、話を聞いてみると、同じく人造人間の弟だけでも連れて、この施設から逃げたいという話が聞けた。どうやら助手ちゃんは思った以上に人間らしくなっていたようだ。
ならば答えてやるのが世の情け、俺はその日のうちに助手ちゃんと弟――そして"妹"の3人が、事故死したように見せ掛ける脱出計画を立案して助手ちゃんに聞かせ、範囲は狭いが空間ごと抉り取るタイプの小型爆弾を渡した。
助手ちゃんが目を丸くしてとても面白い顔をしていたのを見れただけでも収穫だったといえよう。『お前は行かないのか?』なんてことを言われたので、助手ちゃんが消えた後に事後処理をする者が必要などと適当なことを言って納得させた。本当は仕事さえしていれば、3食昼寝つきな生活がそこそこ気に入っているためなのだが、言わぬが花である。
最後に助手ちゃんが部屋から出ていく姿を見送ったとき、とても悲壮な顔をしていたので、かなり後ろ髪引かれたことは記しておこう。
――――年――月――日
インフィニット・ストラトス、白騎士事件、アラスカ条約。助手ちゃんが出ていってから数年内に起きた時代の変化である。
インフィニット・ストラトス――長いからISなる宇宙空間での活動を想定したマルチフォーム・スーツの登場と、それに纏わる事件、それから条約の制定。あっという間に世界のパワーバランスは変化したと言える。
これまではアイツらは俺に自律型のガードマシンや人造人間の製造をさせていたが、ガードマシンはほとんど作られなくなり、人造人間の製造に関してはほぼ完全になくなってしまった。まあ、後者は時代というよりも、完璧な人間を作る計画そのものが破綻したらしいが、詳しくは聞かされていないので知らん。
そんなことよりも俺はISの方に興味津々なのである。女性にしか乗れないらしいが、宇宙用のロボットスーツなんて夢がひろがりんぐ。男の子はそういうものに弱いのです。
――――年――月――日
アイツら、無理難題を押し付けてきやがった。ISのコアを幾つか持ってくるなり、"コレを実用化しろ"とのことだ。いや、流石にアホだろ。幾らコアが人間にとって、真の意味でのブラックボックスな上、ISの開発が実用化レベルで手探りだからといって丸投げして出来るわけねーだろ!
と、普通なら思うかもしれないが、俺にとってはお茶の子さいさいな話である。資材が足りなくて作れなかっただけであり、前世で知っていたロボットや兵器を再現する構想を練ることだけはしていたからな。実力化ぐらいなら簡単な話だ。
しかし、それとなく渋い顔をしつつ1か月の猶予を貰った。1か月でこのオーパーツ染みた物体を実用レベルまで引き上げられるならアイツらとしては儲けものだろう。
ちなみにやろうと思えば2日3日で終わるソレになぜ、そこまでの猶予が必要かと言えば単純な話。アイツらに気づかれないようにISコアの構造を解析して、模造品を造るためだ。いい加減、俺もこの暗く鉄臭い部屋からお暇することにしたのである。ISというものがある世界なんて、とても楽しそうじゃないか。
男には乗れない代物ならば、自律型にすればいいし、幸いにもこの施設では生体部品には困らないのでそちらで誤認させたって構わないだろう。ちなみにだが、どんな自律型ISを作るのかは、もう決めていたりする。
むふふふ、ようやく俺の前世の2次元の知識を存分に発揮してエンジョイ&エキサイティング出来るのだ。
◆◇◆◇◆◇
「そう、思ってたんだけどなぁ……」
俺は部屋の外で戦っているガードマシンの反応が次々と消えていくのを部屋のモニターで確認しながら溜め息を吐いた。
どうやらアイツらにとって俺は最早、用済みらしい。あるいはISの実用化を1か月で済ませたことに対して今更ながら危機感を覚えられたのか。まあ、どっちでもそう変わらない話だ。
モニターをカメラ映像に切り替えると、俺が製作してアイツらに渡したISのうち3機が、制御権を乗っ取ったガードマシンを破壊しながらこの部屋を目指している様子だった。
うーん、我ながら自律型ISの製作に追われて、アイツらに渡した方のISに何も細工をしなかったのはアホとしか思えないなぁ。でもまさか、真っ先に俺を狙って来るとは思ってもみなかったぞ。
「お前もそう思うだろ?」
『………………』
培養槽に浮かぶ、俺と同じ金髪でアメジストの瞳を持った小さな少女に対してそう問い掛けるが答えはない。それもそのはず、この少女の形をしたモノこそが自律型ISである。
「後、数日あれば完成したんだけどな……」
俺は誰に言うわけでもなく溜め息を吐くと、大袈裟に肩を竦めて見せる。しかし、俺の身体は血濡れであり、未だに血が溢れ出ているため、不格好なものだ。
自律型ISの心臓には模造したISコアを、素体には俺の細胞から培養した始めから生きていないモノを、武装は"オンリーワン"のモノを搭載し、無駄に再現度の高いクオリティを実現した。見た目は人造人間そのものなので、アイツらにも怪しまれることはない。そこまではよかった。
だが、自律行動を出来るようにする"頭脳と心"に当たる部分は最後に作ろうと、ショートケーキのイチゴ気分で取っておいたら、肝心なときに起動できずこの様だ。バカと天才は紙一重と言うが、俺は満場一致でバカの方だろう。
本当ならこの可愛らしくて強いちみっこが俺を守ってくれるハズだったんだがな……。
そんなことを考えていると、目が少し霞み始め、寒さと眠気に襲われる。ああ、死ぬなコレ。前世でも1回体験したので確信を持って言える。というか、部屋の外にいるISが到達する前に死ぬぞこれ。
「仕方ない……」
俺は遠隔操作で自律型ISを起動した。光のない目をした少女が培養槽から這い出てくるが、作業用の機能なので戦闘などは出来ない。ラジコン操作のようなものだ。
モニターは少女の視界を映しており、少女の前に立つ俺の姿が映る。既に死にかけで肩で息をしており、痩せ我慢だけは一丁前だということがよくわかった。
「まさか、また死ぬハメになるとはな……」
すると俺の目の前に立つ全裸の金髪の少女の背に、主武装である"鋭利な刃物のように禍々しい形状の3対の紫色の翼"が展開された。
理論は完璧なハズだ。それに魂がないからこそ成功するハズだ。分の悪い賭けだがこれ以上に良い方法は、この無駄に頭だけはいい身体でも思い付かない。
そして、自律型ISの紫色の鋭利な翼の切っ先は俺を囲むように向けられた。
「………………押したくねぇなぁ……」
後、ワンプッシュであるが、ここで躊躇なく押せるほど強靭な精神はしていない。心の方は依然として一般人とそう変わらないのだ。
しかし、それでも俺が押せた理由はたったひとつ――。
「まあ、死んだらまた来世があるかもな」
そんな諦めの境地と共に、最期のボタンを押した瞬間、自律型ISの翼は俺の全身を刺し貫き、激痛と共に速やかな死を与えた。
◇◆◇◆◇◆
目が覚めたとき、俺が真っ先に感じたのは濃厚な血の臭いだった。それも口の中が一番強く、爽やかさからは程遠い動物系の脂っぽい味も口一杯に広がっている。
「うぇ……」
思わず、口の中のモノを出しそうになるが、出したら出したで問題になっても困るので飲み込む。そして、立ち上がって床を見ると――獣に食い荒らされたような俺だったモノの僅かな残骸と大量の血液が広がっていた。
「うわぁ……」
ドン引きといった様子の声を上げる俺の声は、まるで小さな少女のようなものであり、視線の高さから随分縮んでしまったこともわかった。
そして、部屋にある姿鏡の前に行くと――俺が自律型ISと呼んでいた少女が絶妙な半笑いを浮かべながら肩を竦めていた。
まあ、最早言うまでもなく、俺の新しい身体である。
俺は鏡の隣に掛けてある修道服を着て、再び鏡に戻る。
「うんうん、"
そこには鋭利な刃物のように禍々しい形状の3対の紫色の翼を持ち、修道服を着た金髪でアメジストの瞳をした幼女の外見の存在――"そらのおとしもの"という作品に登場する、第二世代エンジェロイド・タイプ
俺は構想に3年。製作に1か月掛けてそれをISで再現したのである。
とはいっても流石にエンジェロイドほど頑丈な身体ではない。機械と人造人間の細胞を組み合わせて、この資源の資源から作れる限りの性能の身体であり、生身でISとやや有利に渡り合えるのが精々だろう。
再現したのは主に機能面――
パンドラはそらのおとしものに登場する自己進化するシステムそのものであり、原作とアニメのどちらでも他を喰らって自らの機能に加えるようなことや、喰らって身体を再生させることをやってのけている。
俺の意識――心や魂がこの身体に移ったのも、俺を補食したためだ。もしもの時のために、カオスに俺が食われた場合、こうなるように設定していたのが役に立ったわけだ。
「"ごはん"が必要だな」
補食する役割を持つ
はっきり言って今の
というわけで早いところ、更なるスペックの強化と武装の充実化を図りたい。まあ、具体的に何がしたいかと言えば――ISを食べたいのだ。
そんなことを考えていると入り口の鉄扉が吹き飛び、部屋の中に3機のISが雪崩れ込むように入ってきた。
ISに乗った者たちは困惑している様子だ。まあ、ほとんどを食われた男の死体と機械の翼を持つ1mと少しの背しかない少女がいるだけだ。何が起きたのかわかる筈もないだろう。
しかし、油断は禁物、先手必勝。俺はスペックを存分に活かしてISに迫ると可変ウィングを広げて襲い掛かった。
「いただきます」
きっと俺の表情は、無意識に笑みを溢していただろう。ある意味、俺の新しい人生は、この日から始まったのだから。
ちなみに主人公はあくまでもエンジェロイドっぽい自律型ISです。エンジェロイドほどの性能はありません。そらのおとしものの不思議アイテムもかなり頑張らないと作れませんので悪しからず。
後、これだけ言っておきますが、そらのおとしものはクッソエロ――面白い作品なので皆さん読みましょう。作者のバイブルです。アニメもあります。