君の為に変革す   作:サボテンダーイオウ

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淡い恋心に執着する少年


視線の先

サスケside

 

姉ちゃんの視線の先に誰がいるのか、とっくに分かっていた。

でもそれを理解したのはナルトと出会って一緒に行動するようになってからだ。

 

他愛もない会話で盛り上がっている中、姉ちゃんはふと、オレとナルトと三人で過ごしている時に違う方向を見ることがある。オレは不思議に思ってそちらに視線をやると必ずと言っていいほどイタチがいた。

 

そして姉ちゃんは普段見せたことがない笑みを浮かべて「兄さん」とイタチをそう呼ぶ。

花がほころぶように、女の笑みだ。

オレにでえ向けた事のない笑顔はきっと距離が近い家族だから分かる変化であって鈍いナルトは気が付いていない。

同じ兄弟なのに、何が違うのか。

自分の中でハッキリとした気持ちを自覚するまでジレンマみたいなものを抱えてた。

独占力が働いてオレだけのモノにしたいって欲望を抑えるのに毎回苦労もしたな。

 

オレと姉ちゃんが従兄妹同士だと分かったのは家の倉庫にあった古いアルバムから。小さい頃の姉ちゃんの写真がないかと秘かに探っている時に偶然見つけた。最後のページにオレの知らない親戚らしき人物が腕に抱えている赤ん坊が映っている家族写真があった。そこに手書きで加えられていたのは『命名、うちはヒカリ』の文字。

 

オレは半信半疑でそのままの足で図書館に走った。あそこには代表的な一族の家系図が書いてあったから。小難しい文章が連なっているコーナーを通り越して目的の本を探し出すまでかなり時間を要した。でも見つけた、うちはの歴史。

そこでオレはうちは一族の主なった家系図を見つけた。

 

「……嘘だろ……」

 

うちはヒカリを辿れば父母はうちはフガクとミコトではなかった。母の流れを組む伯母から誕生している。だがその伯母と夫は任務で同時に殉職している。つまりオレと姉ちゃんは実の姉弟ではなく従姉弟同士。

 

愕然としたと同時にオレの中で余裕が生まれた。これで姉ちゃんに堂々と言える。

自分の気持ちを打ち明けることができる。

 

好きだと。

 

うちは一族をイタチに殺されてからオレはアイツを殺す事。

一族を復興させることだけを目標にした。そして姉ちゃんから離れないことを誓った。

 

姉ちゃんはあの事件の後すぐ、下忍から中忍試験、上忍推薦への難題を軽々クリアしていった。それも続けて二日連続でだ。どれだけ異常なことなのか、誰もが考えたことだと思う。

姉ちゃんは下忍よりも上忍の方がお給料がいいからと軽く言うけど、それだけでなれるほど忍びの世界は甘くない。つまり姉ちゃんはそれだけをこなす実力を隠していたという事実がある。

 

あの日から、姉ちゃんは泣かなくなった。泣いてる所をあまり見た事がないっていうが本音だが、本当に泣かなくなった。強くなったっていうよりも泣けなくなったの間違いじゃないか。

 

夜、一緒に寝ることが多くなったオレたちはシングルベットからダブルベッドに買い替えた。

これでいつでも一緒に寝れるねと姉ちゃんは笑った。大人の張り付けた笑みだ。オレはそれが嫌いだ。

 

「オレがイタチを殺したら、そしたら、二人で幸せになろう」

 

眠るヒカリを見下ろしてそっと顔を近づける。

もうオレ達だけしかいないうちはを復興させるのはオレ達の役目だろう?

従兄妹同士なんだから何の問題もない。障害は全部消え失せた。イタチもいない。オレだけしかヒカリを守れない。それがこんなに嬉しいことだとは思わなかった。

 

「ヒカリ」

 

オレを見てくれ。イタチではなく、うちはサスケを。

 

「ヒカリ、……好きだ……」

 

一緒に何処までも堕ちて行こう。

きっと二人なら暗闇の中でも小さな幸せがあるはずだから。

 

逃げたイタチを想って涙を流すヒカリの頬を親指でなぞり涙を拭う。

そして赤く熟れた唇にキスをする。オレだけの姉ちゃん、オレだけのヒカリ。

 

ヒカリの唇は乾燥して渇いていたが何度も何度もキスを重ねるたびにぷっくりと色づいてきた。密かな口づけはオレの気が済むまで行った。朝日が昇れば仮初の姉弟に戻るのだから。それまでは―――この甘い時間を堪能したい。

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