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私には優秀な忍びの両親がいたらしい。
らしいというのはもうすでにこの世にいないのでらしいとしか表現できない。うちは一族の中でも能力にたけた二人は任務任務と私をほったらかして勝手に殉職したとのこと。
さして愛情も受けた覚えはないので、二人の名が刻まれた墓石を前に伯母であるうちはミコトに連れられてきたこともあまり記憶の残っていない。ただ、その日からイタチは兄となり新しい家族としてフガク父さんとミコト母さんの娘になった。私、二歳。イタチ、四歳のことである。
両親は一族の中でもあまり好かれる部類ではないらしく、娘の私にもうちはの風当たりは強かった。イカレテいるとまで罵られるくらいだったが、いつも私を守ってくれるのはイタチだった。
「ヒカリ、おいで」
「うん!」
私は自然とイタチと兄と慕い、イタチは私を実の妹のように想ってくれた。この頃、第三次忍界大戦の最中で私達うちは一族は肩身の狭い想いを強いられていた。父さんはその現状に憂いていてうちは一族が地位確立するようにいつも頭を悩ませていた。だけど家族の前では父親として愛情深い人だったし母さんも実子と分け隔てなく愛情を注いでくれた。
私にとって大切な家族。けれども町の皆には私が受け入れられることはなかった。中々個性的な両親だった所為もあるのだろう。
イタチがアカデミーに通い出してから私は町の同い年の子供らに苛められることが多くなった。多分、噂が独り歩きしてのこと。元々言い返すのが面倒くさいと感じていた私は苛められるがままにしていた。中身が成人している分、尚更餓鬼どもの下らない中傷や悪戯などまともに付き合っていてもきりがないと思っていたから。というか無駄?
「やーいやーい!」
「陰気臭い奴がこっちくんな」
「お前なんか“ハズレうちは”だー!」
どっかの幽霊みたいな無造作に黒髪を伸ばして貞子風の髪形だから苛めはドンドンエスカレート。小石をぶつけられたり、後ろから蹴り入れられたり罵られたりというのもしょっちゅうの事。まともに付き合うのも億劫で餓鬼どもに見つからないような場所で身を潜めていたり、一人で山や湖に出かけたりしていた。そのお陰で幼いながらに身体能力はバッチシ向上している。忍びとしての素質は親がサラブレッドだからと言って私がそうとは限らないけど努力次第じゃいいところいけるのかな?
「見つけた。ヒカリ」
「最短記録だね」
二っと笑うとイタチは困ったように笑った。
どんなところにいてもイタチは必ず迎えてきてくれた。迷子発見機でも使っているんじゃないかっていうくらいに必ず私を見つけにやってくる。そして、毎日傷を増やしていく私の手当をしてくれる。イタチのポーチには私専用にと医療道具が入っているのが申し訳ないくらいだ。川辺でイタチは手慣れた動きでテキパキと手当をしていく。
「今日もやり返さなかったのか?」
「だって兄さんは平和が好きでしょう?私がやり返したらうちはの平和は崩れちゃうよ」
「……すまない…」
辛そうに謝るイタチはそっと私を抱き寄せて謝罪する。
イタチが謝ることはないのにと心内で考えながらその抱擁を小さな手で受け止める。
そう、私が子供らに手を上げればそれは町の存続にかかわる大事となるだろう。私がすでに『異端』であることをイタチは知っている。養父フガクもだ。
なぜなら私はすでに写輪眼を開眼している。三歳の頃より突如写輪眼が発動したのだ。まだチャクラの練り方も知らぬウスラトンカチだが証拠に私の両目は血の様に赤く染まる。
近しい者の死、または別離。または深い悲しみにより引き起こされるうちは一族だけの能力だが私は既に経験済み。記憶を所持している状態から写輪眼開眼への道につながったと予測される。だがそれは間違ってもうちはの両親から引き起こされたものではない。
まだ天才といわれるイタチでさえ開眼していない者をうちはを快く思わない連中に知られたらどんな仕打ちを受けるか。今よりももっと現状が悪くなる可能性だってある。だからフガク父さんはミコト母さんを含め私達に言い聞かせた。
私の開眼を秘密にしておく、と。
苦しい中での選択だっただろう。ミコト母さんも最終的にはその案に頷くしかなかった。だから私は厄介者としてうちはの中で浮いた存在としてそれ以上目立ってはいけないのだ。幼いながらにフガク父さんの言葉を理解する私をミコト母さんは瞳に涙を溜めて抱きしめて泣いた。何度もゴメンね、ゴメンねと謝る姿はさすがに胸が痛くなった。