ナルトside
『アイツ』、あのデッカイ蛇を従えた忍びにどうやって立ち向かっていったか覚えてない。体の奥底からこう、わぁぁってデカい力が働いて考える間もなく体が動いてた。
でも途中で気絶してあっという間に気が付けばシカマルに頭小突かれてたんだっけ。サクラちゃんは髪が短くなってるし、サスケは体調悪そうだし、チョウジやイノちゃんにあのゲジマユが倒れてるっていう状況が把握しにくい辺り、マジオレって出番なかったのね。
別にオレってば目立ちたがり屋じゃないし。活躍できなくて悔しいとかないし……。
結局巻物は四日目の時点で地の巻物一本だけ。これじゃあ塔に到達どころか、他のチームにさえ負けてる可能性が高いってサクラちゃんは言う。
でもさぁ、激しい戦闘した後だってのに焼き魚だけってのは育ちざかりにはキツイってばよ。
サスケと連携して捕った魚の数は結構ある。保存用にもしとくんだとさ。そりゃ急に腹が減ったら困るからな。
でも、切実に思うことがある。
三人でたき火を囲んで良い具合に焼けてきた焼き魚を前にしてオレは心底大きなため息をついた。
「はぁ~。肉たっぷりの肉じゃが食いてぇ」
そう、ヒカリねーちゃんの手料理が食いたい。
マジで。飢えてると言ってもいいぜ。オレと同意見なのがサスケだ。涎垂らして妄想するオレの隣で恨みがましい目を剥けられ、なおかつ拳で小突かれた。
「ウスラトンカチ、それを言うな。……オレだって食いたくなるだろ」
やっぱな。コレだけじゃ満たされねぇよ。
がっくし。
「………」(肉じゃが?こ、こんな森の中ですぐに用意できないわ。ああもう。ここがせめて家だったらポイント稼げたのに~!)
「サクラちゃん、何百面相してるんだってばよ?」
「は?べ、別にぃ~」
不思議に思って訊ねてみたけどはぐらかされた感じだ。まぁ女の子はデリケートなのよってヒカリねーちゃんが言うからこれ以上突っ込まないほうがいいんだなと思って適当に頷いて終わらせた。
「ふーん」
サクラちゃんは視線を泳がせて慌てて話題をすり替えた。
「そ、それよりも巻物のことよ!私達、もしかしたらかなり他のチームと比べて遅いかもしれないわ」
ビシッと人差し指を立ててそう指摘するサクラちゃんにサスケは分かったように頷いた。
「天の巻物が足りない状態でオレ達が不利だってことか」
「流石!サスケくんっ」
一人で大げさに拍手したりしてサスケもち上げすぎじゃね?
前は全然わかんなかったけど恋する女の子って怖いぜ。それより、簡潔すぎて意味わかんないってばよ。あ、でもなんとなくわかるような……。
「うーんと。……ああ!参加チームと天地両方を合わせて合格できるのは13チーム。でも天の巻物が一つ消えたから1チーム勝利できなくなってる。それで巻物が足りないかもしれないってこと、でいい?」
「そ、そうよ。説明もなしによく理解できたわね」(あのナルトにしては頭の回転が良すぎるわ…。何か悪いものでも拾い食いしたのかしら?)
正解してるはずなのにサクラちゃんに怪訝な顔をされた。
なんで?
丁度良いタイミングに焼き魚もいい感じに仕上がった。オレは我先にと焼き魚を手に取って食いついた。
うん、うめぇ!
けど肉じゃが食いたい。
ハグハグ三人で食いながらよく考えてみれば、と話しを続ける。
「ってことはよ、今一つ巻物を勝手に増やしちゃってもバレねぇのかな?」
するとサスケがすかさずオレの考えを否定した。
「巻物を増やす?……やめとけ、不正したところで一発でわかるはずだ。それに巻物を開くのもアウトだ。どうせ催眠でも仕掛けてんだろうよ」
「そりゃそうだな。やっぱ無理か」
サスケがいうならそうだろう。あっさりと納得するオレとサクラちゃんはしばし考え込んだ後、一つの作戦を提案した。
「となると、天地両方の巻物を持ってる敵を狙うのがベストだわ」
ストレートかつ、相手次第でこちらが不利にもなる博打的な作戦だけど、今はそれが一番塔への道へ効果的だ。
オレとサスケは頷き合ってその提案に賛成した。
「だな」「さっすがサクラちゃーん。よ!七班のブレーン!」
「もうそんなに褒めないで!ってナルトに褒められても嬉しくない!」
しゃーんなろ!と睨まれた。サスケと態度変わりすぎだし。
マジでブレないよな、サクラちゃん。
その後、少しだけサスケと話す余裕があったから、オレが気絶してる間にサスケの身に起こったことを教えてもらった。
アイツ、大蛇丸っていう蛇みたいな男に首筋を噛まれて変な模様を刻まれたこと。サスケのチャクラに反応してその模様が浮かび上がるかもしれないこと。
「マジで!?」
「ああ。お前がグースカ寝てる間にな。……やられちまった」
珍しく弱気なサスケにオレはその噛まれたところを見せてもらった。確かに、変な模様が浮かび上がっている。
男噛むとか変態じゃねぇの、大蛇丸って。
サスケはモテるから変人に好かれたのかと心配になった。
隣にしゃがみ込んでサスケの肩に手を置いて気落ちしているサスケを励まそうとした。
「その模様もそうだけど大丈夫か?サスケ。色々と、さ」(友情ならいいけどソッチ方面は勘弁ってばよ)
「ハッ、大丈夫と言いたいところだが……悪い。もしかしらオレは……」
そう言ってサスケは、言葉を詰まらせ顔を俯かせる。
……あのいつも自信に満ち溢れてるサスケが、震えている。
肩を触る手から伝わるその震えがどれだけ恐怖を感じているか分かった。
サスケは自分の腕を庇うように力一杯握りしめてその恐怖を克服しようとしている、のか。
それって戦闘面でのことなのか?
それともサスケも本能で恐れてんのか、大蛇丸ってやつに襲われそうになったことを。
オレはそんなサスケを見ていられなくて乱暴にこっちを向かせて大声を上げた。
「何言ってんだよ!うちはのルーキーだろお前は。それにお前が歩けなくなったらオレが背負ってやる!一人で悩むなんてサスケらしくねぇってばよ!そんなことしてるとヒカリねーちゃんがだらしないってお色気の術使っちまうぞ」
オレの思いつく限りの励ましにサスケは少し安心したようだ。
若干、顔を引きつらせてたけど。
「それは勘弁だな。………ナルト、サンキュ」
「へへっ、いーってことよ。オレ達、親友だろ?当たり前じゃん」
鼻先を指で擽って照れ笑いをした後、サスケに手を差し出した。サスケはオレの手を見つめて不敵に笑った。
「いーや、ライバルだな」
「ライバル兼親友ってことだろ」
パシッと軽く叩いてオレの手を掴んだサスケが起き上がるとスタスタと先に歩き出した。
「勝手に思ってろ」
「あー、ひでぇのー」
すぐに追いかけてサスケの隣を腕を頭の上で組んで一緒に歩く。さっきまでの暗い表情が完全とは言えないが、消え去った事に安堵した。
そしてオレ達はサクラちゃんの所へ戻り、まるで【狙ったかのように現れた】カブトにーちゃんと一緒に成り行きで塔まで行動することになった。
なんか怪しくねと感じたのはオレだけじゃないらしい。
サスケとアイコンタクトで今は様子見ということに決まった。
【なんだかんだ言って塔まであともう少しだ】