グレモリー家の野良犬   作:ケツアゴ

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野良犬と苦手な相手

 一癖二癖もあるスラムの仲間と自分なりに上手くやっている自信のある私ですが、苦手な相手は存在する。筆頭はスラム一のトラブルメーカーこと教授。下手したら術者が死ぬ上に対象の体質に何らかの変化が起きるって禁術(掛けられるのは子供限定)を事前説明も疎かに使ったり、思い付くままに実験を繰り返している。

 

 いや、マジで人間の奥さんは人格者だし娘は良い子なのですがね。今は額が後退した学者みたいな風体だが、昔は死神として将来を約束されていたとか。悪魔とすれば潜在的な外敵って言うかトップがこっちを嫌っている方々の幹部が一人減るのは大助かりですが、彼を今の道に導いた師匠は本当に何をしたのやら。

 

 ……喋るパンダだとか世迷い言を言ってたでやんす、と、娘が胡散臭そうに言っていましたけど……。

 

 

 

 

「それでね、それでね! これが高校生になって初めての社交界の為に用意したドレス姿のソーナちゃん。素敵でしょう!」

 

 そして今、教授に並び立つ程に苦手な相手、痛々しいコスプレ魔王セラフォルーから妹の眼鏡のアルバムを見せられている途中だ。あぁ? 口調が本性になってるだぁ? 苦手な相手の対応をさせられているってのに地の文まで取り繕えるかってんだ。

 

「ええ、流石は誇り高きシトリー家のご令嬢。私等とは次元が違うとしか言い表せません」

 

「え~? メルギスちゃんならソーナちゃんの横に立てると思うよー?」

 

「ご冗談を。私が認めればお偉方に叱責されてしまいますれば」

 

 この色男、と、肘でつついて来るのを心底ウゼェと思いつつも顔には出さない様に気合いを入れる。この女、あの眼鏡が餓鬼の頃の初恋を忘れていないからって余計な気を回して来やがるんだ。俺の血筋を知ってるからな。俺が想いに応えてグレモリー家に加われば後は魔王の権力でどうにかしようって反吐が出る算段なだろうよ。

 

 つーか、これってハラスメントだよな? 今、俺は今度行う番組のイベント会場の下見の護衛だとかに指名されて車に同乗させられてんだ。転移で行けば良いのに、こうやって妹をアピールする為にな。権力使ったパワハラで訴えでも無駄か? 無駄だよな。だって貴族社会は下の者が不満を口に出すことすら罰する理由になるもんな。

 

 って言うか、何シーズンも主演の番組制作するとか魔王って暇なのか? 暇なんだな? 強さで選ばれた象徴だから重要な仕事や権限は上層部の爺さん達が握ってるって所か、クソッタレ。

 

「ふふふふ。実はソーナちゃんについて朗報が有るんだ。聞きたい? 聞きたいよね? 聞きたいに決まっているよね!」

 

「レヴィアタン様のご意志のままに。私は従うまでですので」

 

「も~! その内、お義姉さんって呼んで貰うからね。じゃあ、発表しちゃうよ」

 

 俺の内心も知らず、返事も聞かずに妙なテンションのままに突っ走る馬鹿魔王の顔面に拳骨を叩き込んでやりたいのをグッと我慢する。一応ルーリアとの偽装した関係を知ってる筈なんだが、妹が良いなら愛人にも目を瞑るとか妹の恋が叶う前提で物事を考えていやがるんだろうな。

 

 

 

「なんと! ソーナちゃんもリアスちゃんと同様に婚約破棄を賭けた勝負を行うことが決定しましたー! ねぇねえ、どう思う?」

 

「……私如きが意見を申し上げるべき事では御座いませんので」

 

「素直じゃないなー。もう少し素直になっても良いのにさ」

 

 え? テメェの顔面をタコ殴りにしても良いのか? 違うよな、シスコンが。このままではストレスが貯まる一方だから何とか話題を変えようと模索していた時、奇妙な感覚に襲われる。何かに包まれるようなそれに警戒した時、窓の外の光景が市街から荒野へと一変していた。周囲の護衛の車も運転手も消え、緊急停止した車を取り囲む悪魔の姿。

 

 

「敵襲……この間の報復でしょうか?」

 

 多分そうなんだろうなあ、と、思いながら車の中からじゃ応対もままならないからって二人して出れば案の定、殺気が注がれる。

 

 

 

「偽りの魔王と、それに頭を垂れる愚か者め。新なる魔王に代わって我々が始末してやろう。カテレア様の無念を思い知るが良い!」

 

 リーダー格らしい男の宣戦布告と同時に何人かが小瓶の中身を飲めば一気に力が膨れ上がる。こりゃ魔王クラスに匹敵するが……あの理事長っぽい奴、死んだみてぇな扱いだな、おい。

 

 捕縛されたカテレアだが、流石に僻地に追放したとはいえ魔王の血統を大々的に罰すれば不手際やら何やらで政権にダメージがある上に血統主義が猛烈に反対しやがる。結果、付き従った奴らが現政権へのテロを企てていたのを止めようとしたって発表。それによる恩赦で追放を取り消し……めでたく大王家の次期当主の婚約者って訳だ。会見見たけどありゃ何かされた目だな。

 

 ははっ! そりゃ俺が魔力を生成する器官をぶち抜いたせいで下級悪魔クラスに弱体化しちまったんだから当然の扱いか。此奴等もそれを知って担ぎ上げるのを止めて死人同然の扱いみたいだしよ。

 

「止めて! こんな事をしても意味がないじゃない!」

 

「黙れ! 我々の忠義の力を思い知るが良い!!」

 

 セラフォルーの叫びは当然届かず、野郎共は四方から魔力を放つ。そりゃ実利だけで誰もが動く訳じゃねぇ。だから怨恨やら嫉妬やらが理由の犯罪があるんだしよ。……さて、無駄な思考は此処までだ。降り注ぐ魔力に粉塵が舞い上がり俺達の姿を隠す。倒したとでも思ったのだろう。リーダー格の男は拳を握りしめた。

 

 

「やったぞっ!」

 

 

 

 残念、フラグだ。次の瞬間、セラフォルーを抱えた俺が飛び出して一番手薄だった箇所に魔力を叩き込む。溜めもない範囲重視だが不意打ちとしちゃ十分。勝利を確信した奴らの包囲を突っ切るには問題なかった。

 

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「無礼による罰なら後程受けましょう。ですが今は多勢に無勢。援軍も考慮し、逃げるのが得策かと」

 

 今の状態はお姫様だっこって奴だ。偶に眠っちまったスラムのガキンチョ共をベットに運ぶくらいにしかしねぇが、大勢相手に守りながら戦うにはこれが良い。手を引きながらとかおんぶだとどうもな……。前に居るんだから楽で良い。さてと。勿体ねぇけど……。

 

 

「蓄積魔力……解放。ご安心ください、セラフォルー様。そのお美しい顔に傷一つ付けさせはしません」

 

 いや、傷があったら女の顔に価値がないとか思わねえけど、仮にも外交担当なんだから無いに越した事はねぇだろ。てか、護衛対象に怪我させたらヤベェ。落とさない様に抱く力を強め、この間のカテレアとかと戦った時の貯蓄を解放、風の魔力によって防壁と加速を行いながらその場から撤退した。追いかけて来たが……追い付けるかよ、ノロマがっ!

 

 

 

 

 

 

(綺麗な顔かぁ……えへへへ。こうやって女の子扱いで守ってもらうの何時以来だろ? この子、ずっと年下なのにね。……ソーナちゃん、ごめんね。応援してあげられないや)

 

 振り落とされない為か俺に強くしがみ付くセラフォルー。……今、嫌な寒気を感じたぞっ!? あー、癒されたい。餓鬼共を遊園地にでも連れてってやるかな。ったく、苦手な女筆頭の護衛とかマジで精神がすり減るぜ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……エクスカリバー? それでお嬢様は?」

 

 その日の晩、どうも様子がおかしい……元からだが、上の空のセラフォルーを連れて安全圏までたどり着き、事後報告を済ませた俺に桃花から連絡が届いた。また嫌な予感がするな、おい。木場の野郎は我が儘姫に黙っておけって言ったらしいが聖剣持った敵の侵入黙っとくとか利敵行為だぞ、ボケ。俺の身内を巻き込むなっての。

 

 

「自分達で何とかするから報告は結構だって沖田さんや私にも……」

 

「……そうか。どうせサーゼクスも報告は受けてるけどギリギリまで手出しせずに経験やら功績を積ませる予定だろうから気にすんな」

 

 ……面倒臭ぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んで、お前も何かあったみたいだけど助力は要るか?」

 

 口調? 精神ガリガリ削ってんだ。身内相手だ、見逃せよ。




感想とキャラ募集待っています


昨日は感想少なかったし……

ヒロイン追加? ……はっはっは! んなわけ……
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