本日は快晴、絶好の行楽日和。……はーい! 悪魔は日差しに弱いってのは気にしない気にしない。教授の発明品の中では珍しく役に立つ物で、日光への耐性が付加されるのですよ。そして今、私はスラム出身の子供達を連れて遊園地まで来ています。
「年長組はちゃんと小さい子の面倒を見る事。折角の遊園地ですし、お小遣いは後にとって置くなんて考えずに使ってしまいなさい」
「はーい!」
元気で素直な声に癒される。いやはや、子供って本当に良い。ロリコン的な意味じゃなくって。今回予定が合わなくて来られなかった奴らは別の日に連れて行ってあげませんと。
今回やって来た遊園地は人気の施設で並ばないと入れない場所。ましてや数十人単位なんてかなり前からの予約が必要ですが、今回はコネを使わせて貰いました。
「それと、無理を言って予約なしに団体フリーパスを買う手続きをしてくれたルフェイお姉さんにお礼を言いなさい」
「ありがとう、お姉ちゃん!」
「メルギスさんには何時もお世話になっていますから気にしないで楽しんで下さい」
それがこの子、普段は如何にも魔女って格好をした女の子で私の契約魔法使いのルフェイさん。かのアーサー王の末裔のペンドラゴン家のお嬢様です。一応この子の前では仕事モードなので口調を変えているのですが、この口調の私を初めて見る子はギョッとしています。……私でもそうするでしょう。本来はチンピラみたいな口調ですもんね、私。
「では、迷子にならないように楽しみましょう」
小さい子も居ますし、楽しい場所に気を取られてはぐれても困りますから引率者は私以外にも数人。ルーリアとスカー、他のメンバーは何かあった時に手伝って貰う予定になっている。遊興費に飲食費等は私持ちだ。ええ、それは良いのです。子供達さえ楽しめれば……。
「……それで相談というのは?」
現在、観覧車の中でルフェイさんと向かい合ってお話中。皆には契約に関する話をすると言いましたが、どうも表沙汰に出来ない相談事が有ると持ちかけられたのです。……そんなのをする程度には信用されているのでしょう。ルフェイさんは一瞬言いよどんだ後で口を開きました。
「……強い相手と戦いたいから家出って。お坊ちゃんの考えは分からないわね。使用人が哀れだわ」
遊園地で一日遊び、餓鬼共を親元に送り届けた俺達は屋敷に帰っていた。今居るのは部屋にある風呂場で、偶には背中でも流して労ってやる、と、水着姿のルーリアが入って来たので俺も腰にタオルを巻いて言葉に甘える事にした。
今は反対に俺が背中を洗ってやりながらの会話中で、許可は取ってあるのでルーリアにも相談している。ルフェイから受けてた相談ってのは国宝でもある家宝の聖剣を持って家出した兄の捜索。……最初は本人が探しに行くので家出する手伝いを頼まれたんだが、周りの使用人に悪いので止めといた。ったく、これだから箱入り娘は困るぜ。
「まあ、スキャンダルは隠したいだろうし教育係やら専属のメイドやらも大っぴらには罰しないだろうよ。あくまでも大っぴらにはな。……てか武者修行で家出って時代錯誤甚だしいな、おい。自分に自信があるって事なんだろうがよ……」
我が儘姫といい、ルフェイの兄のアーサーといい、自分のこうどうが周囲に及ぼす影響を考えちゃいねえ。巻き込まれる方は良い迷惑だと思いつつルーリアの背中の泡をシャワーで流してやる。しかし綺麗な肌しているな、此奴。
……好みか好みじゃないかと訊かれれば、間違いなくルーリアは好みの見た目だ。ぶっちゃけ餓鬼の頃に猫被ってた此奴にコロッと騙されていた口でもある。直ぐに剥がれた化けの皮の下を見て消え失せたけどな、そんな想いは。
「あら、私をジッと見つめてどうかしたかしら? まさか欲情したの? このまま押し倒されて滅茶苦茶になるのかと思うと怖い怖い」
「いや、無いから。仲間相手にんな事するかって以前にお前だぞ?」
本当に思う。ルーリアでなければ口説きたいと思うレベルの美女なんだがな、と。俺が溜め息を吐くと不満そうな顔をするルーリアは何を思ったのか向き直り俺の顎に手を添えて顔を近付ける。それこそ後少しでキスが出来る距離までだ。正直言って流石にドキドキ……は一切しねぇ。だってルーリアだからな。
「ねぇ、上級悪魔になったら縁談の話が舞い込むでしょうし形だけでも婚約してあげようかしら? ふふふ、それ以上は期待しても駄目だけど。……まあ、アンタが私を上手く口説けたら抱いてあげても良いわ」
「黙れ処女」
「……うっさい、童貞。このまま魅了して絞り尽くすわよ。こっちはアンタと違って知識は豊富なんだから」
「畳水練って言葉知ってるか?」
この後、睨み合った後で無言で風呂に入り、風呂から出た後で勝負した。俺の圧勝で、抵抗虚しくルーリアは悲鳴を上げてた。
……ゲームで。
「でさ、さっきの話だけど、よくよく考えたら別に良いんじゃない? 私も愛人にしたがる奴らが多くて鬱陶しいし。アンタも好きな相手が出来たら愛人でもすれば良いじゃん」
「いや、テメェは父親と確執がある訳でもねぇじゃん。母親の想いが無駄になるからって関係ないってことにしてるけどよ」
……スラムには貴族に好き勝手された親を持つ奴が結構居るが、ルーリアは珍しい部類だ。元々ある貴族の恋人だった母親だが、サキュバスの力で避妊するのを忘れてしまった僅か一夜でルーリアを妊娠しちまったらしい。しかも相手には正式な縁談が持ち込まれてて、愛してるからこそ身を引いた、そう聞いている。
だから母親を探しに来た父親の元に親子共々行かなかった。まあ、俺も此奴が居なくなったら寂しいのだろう、と、思いつつ画面端に追い詰めたルーリアのキャラをボコり続けた。これで五戦全勝。ハメ技の勝利だ。
「……あー。これを機に二人共正式に父親の家名をってなりそうね。アンタの方は特に」
「だろ? まあ、選択肢の一つに入れておこうぜ。お前の方は家を味方に付けられそうだし、根回しさえしとけば……」
一度戦って倒したからかルーリアの親父さんには気に入られているっぽいし、説得の価値は有りそうだな。正式に当主になって権限を握った後なら……。
「まあ、実際の所、庶子じゃなくって腹違いの妹として家に入るかって言われたことも有るのよね。政略結婚とアンタ……達と離れるのが嫌で断ったけど、お祖母さんには会ってるし」
案外すんなり行きそうだと思った所でコントローラーを置く。明日は皇帝との対談の日。……あの爺さんの遺品の写しを渡したが経過を聞かないとな。獲物は大物、引きずり落とすにも慎重にだ。……私怨で大勢を巻き込んじゃいけねぇよ。
「ふふふーん。よく寝てるわね。さて、今晩も搾り取らせて貰おうかしら。……あくまでも力を手に入れる為だからね」
一時間後、目を覚ますと何故かルーリアのブラがベッドに置きっぱなしだった。どんな悪戯だ?
僕の名はギャスパー。最近まで封印されていた眷属悪魔の元半吸血鬼です。そんな僕は今……。
「きゃっ!? きゃあっ!? きゃぁあああああああっ!?」
悲鳴を上げる栗毛で水着みたいな格好の女の子に空中から電撃を浴びせ続けています。威力は怯む程度ですけど、無数の蝙蝠になって絶え間なく一筋の電撃を放つ続けながら横の方を見れば沖田さんに肩を押さえられている祐斗先輩と泡を吹いて気絶中のイッセー先輩、その姿に顔を青ざめている彼女達の仲間の男の人。
あっ、朱乃さんが同類を見る目で僕を見ている。ち、違うんです。これは理由があって。
「ギャー君、集中」
身動きを封じられて転がる青い髪の女の子の胸を潰すか形を崩れさせる為の様に執拗に踏みにじる小猫ちゃんが睨んでくる。……そんなに胸が無いのを気にしてたんだ。
「ギャー君、後で校舎裏」
ひぃいいいいいいいいいいいいいっ!? 心を読まれたっ!?
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