感想返しは明日します
ご機嫌よう、男共。超絶美女のルーリアよ。才色兼備な私だけど、この日はちょっとピンチに陥ったわ。
「チンジャオロース……肉増し増しピーマン抜きで」
「はいはい。チンジャオロース、ピーマン増し増しね。……子供の教育に悪いから我慢しなよ」
今日は休日のスカーがメルギスの領地でスラム出身の皆に料理を振る舞う日。美味しい物巡りとかの合間にやってるんだけど、私の目の前には苦手なピーマンが山盛りに盛られていた。メルギス? 会食に行ってるわ。テーブルマナーとか大変ね。
「マ、マヨ……」
この絶望の皿もマヨネーズがあれば乗り切れる。でも、願いは虚しく、スカーは両手で×を作った。
「却下」
もう身内しか周囲に居ないんだから仕事中でも被っていた猫を脱ぎ捨てようとしたけれど、私の一生のお願いはあえなく却下される。いやいや、大量のマヨネーズ無しにどうやってピーマンを食べろって言うのよ、苦いじゃない!?
「ぐぬぬぬぬっ! この人でなし!」
「悪魔だからね、君も僕も」
「ふはははは! ならば我が輩の発明した好き嫌い克服マシーンを……」
「いただきます……」
ぐっ! 仕方ないから食べてやるわよ。ったく、昔はメルギスもスカーも私の言いなりだったのに、本性ばれてから思うように行かなくなったわね。……に、苦い。
「遠慮しなくても大丈夫だぞ、ルーリアよ! この好き嫌い克服マ……」
「ガラクタは捨てておくわね」
「なんと!?」
拘束具付きの椅子に料理を食べさせるアームといった無理矢理食べさせるの確定な好き嫌い克服マシーンは教授の奥さんの手で捨てられていく。私の目の前には減る様子のないピーマン。あ~あ。私の将来設計ってこんなんじゃ無かったんだけどな……。
『良いかしら? サキュバスに生まれたなら男共を手玉にとって面白おかしく暮らすのよ!』
惚れた男の為に伯爵家次期当主の愛人って地位を捨てたお母さんは幼い私に何度も言い聞かせ、男の操り方を教えてくれた。まあ、化けの皮が剥がれちゃって身内には通用しないけど……。
男は操り誑かす対象……でも、支えたいって思ったんだから仕方ないじゃない。
「うふふふふ。ルーリアちゃん、メルギスちゃんの事を考えているわね? アレかしら? 処女を捧げる気になったの? そうよね、偽装とはいえ結婚するのだもの。夢魔なら相手が経験済みかどうか分かるし……所でお姉さんも混じっちゃ駄目? あの子、立派なの持ってたし、魔王クラスのを注いで貰ったらと思うと……」
「ルナ姉、ステイ。何処から湧いたのって言うか教育に悪い。子供が居るんだから」
突如現れて十八禁上等な事を言いながら色気を振りまくルナ姉。あっ、男共の何割かは前屈みになってる。って言うか子供が居るからピーマン食わされてるのに台無しじゃない。もう食べなくて良いわよね、ピーマン。え? 駄目?
「あら、この程度なら大丈夫よ。私が性教育を担当しているもの」
「……明らかに人事ミスね」
スラムの子供の世話係の一人だったルナ姉。サキュバスとしての教育もして貰ったし、こうなりたいって小さい頃から憧れてたけど……この人が講師ってないわー。竹輪に中身がある奴になれって言われるくらいないわー。
……あー、でもルナ姉の言うとおりね。結婚してて処女と童貞って新婚早々仮面夫婦だし、恋人設定だから……彼奴が求めてきたら抱いてやるか。本番行為は口や肌より力の吸収効率が遙かに上って教わったしね……。
「所であの子がロリコンって噂を耳にしたけど、3○の時は幼い姿になった方が良いかしら? 大丈夫。お姉さんが二人をリードしてあげるし、ちゃんとサキュバスの力で避妊はするから」
「いや、彼奴は絶対巨乳派よ」
隠している(つもり)の本は巨乳系ばっかりだもの。あと、完全な露出よりランジェリー姿とかの際どいのが好きみたい。顔のタイプは私と共通点があるわね。……ふふん。仕方のない奴だわ。今度、下着姿でも見せてやろうかしら。
「ロリ巨乳? 私、魔力で幼くなっても胸はある方だし……」
そもそも混ざって良いとは言ってないんだけど。この人、本当に性に奔放って言うかマイペースって言うか。桃花が聞いたら怒り出して暴れる案件ね……。
……あの方との関係について話が聞きたい? まあ、良いでしょう。今でも思い出す……思い出したくない様な修行の日々をお話ししましょう。
「……魔力の修行の家庭教師?」
「ああ、何時までもゲームで何もしない訳には行かないからな」
お父様から提案された話に私は紅茶のカップを持つ手を止める。怪訝な顔をした私の前に幾人かの候補のリストが差し出され、面倒ですが適当に選んでしまいましょう。耳にした事のある著名な講師が目に付く中、最近少し興味を引かれた方の写真が目に付いた……。
この前のパーティで一番上のお兄様に高度な魔力制御……を使った力業で打ち勝った方。まあ、適当に教わった後は何か言って家庭教師自体を無かった事にして貰えば良いですしね……。
そして、初日。軽い顔合わせ程度と思っていたのですが……。
「あの、火の魔力の訓練の為に寒くて空気の薄い場所で訓練するとは聞きましたけど……限度があるのではっ!?」
もし此処が人間界ならば私はこう言ったでしょう。地球は青かった、と。そう、私は今、成層圏ギリギリの場所に連れて来られました。寒い! 空気が薄い! 魔力で作り出した氷の足場の上で炎を作り出しますが普段より弱々しい炎しか作り出せない。こ、此処なら確かに良い訓練になりそうですが……。
「では、炎の生成に慣れた後はこの様に……」
先生が作り出したのは大きさがバラバラの炎の魔力の球体。それが太陽の周囲を廻る星々のように動いていました。速度も角度もバラバラで一瞬のミスで接触しそうになるけれど何時までもぶつからない。その数、凡そ二十。途轍もないコントロールです。
「取り敢えず三十個程を目標にしましょうか」
「無理ですわ。って言うか先生だって二十個じゃないですかっ!」
「大丈夫です。やって出来ない事は有りません。……ああ、それと」
文句を言った途端、先生の周囲に更なる魔力の球体が現れる。その数、目測で百。大きさはビー玉程度ですが目で追うのがやっとの速度で複雑に動き回る。……この方を侮っていたようです。
「じゃあ、最初は軽く全力疾走しながら三個ほどで練習しましょう。持久力もついでに鍛えられます」
「軽く全力って矛盾していませんこと!?」
この後、三十個を達成したと思ったら糸のように細く長くした魔力を針の穴に通しての裁縫も同時進行でする事になって……。
「……全く、無粋な方が居ますこと。小猫……さん? に相談があって来てみれば」
空に浮かんだ直径十メートル程の炎を圧縮、超高温の拳サイズに変化させて飛ばす。小柄な少女に刀を向けている外道の手を貫通、瞬時に炭化させました。
「誰だっ!」
……余りにありふれた言葉に呆れながらも貴族らしく優雅に対応して差し上げましょう。スカートの両端を摘まみ、軽く頭を下げる。
「私は偉大なるメルギス先生の弟子にして誇り高き不死鳥の一族の令嬢……レイヴェル・フェニックスですわ」
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一年後輩トリオ全員強化! 本当はルーリアさんが行く予定でした