グレモリー家の野良犬   作:ケツアゴ

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オーフィスの蛇ってアザゼルとの会話からして内部から殺せるんですよね? それを平気で飲んでいた旧魔王 知らないのか侮っているのか……意外と腹黒いのか、オーフィス 話してないんじゃ……うっかりか必要だと思わなかったか、故意か  アザゼルには話してるし脅しになるって分かってるよね?


騎士と聖剣

 小猫ちゃんの泣きそうな顔を見てこれでも冷静になった積もりだったけど、この先にエクスカリバーが有って聖剣計画の首謀者が居ると思うと怒りで沸騰しそうになる。緊急事態という事で謹慎が解かれた僕が校庭へと辿り着いた時、其処には二人の人物が倒れ伏していた……。

 

「ゼノヴィア……さんと、バルパー?」

 

 罅の入ったエクスカリバーを握ったままうつ伏せに倒れているのは悪魔祓いのゼノヴィア。体中傷だらけだし、あの水着同然でセクハラ紛いの戦闘服は所々が破れて危うい感じになっている。イッセー君、場合が場合だから鼻の下は伸ばさないで欲しいんだけど……。

 

 もう一人は見知らぬ老人。例えるなら自分の頭の一部をもぎ取って他人に食べさせる英雄の協力者の男性に似ている、そんな相手だった。袈裟懸けに斬られ一目で絶命していると分かる彼こそが堕天使が不自然な程に話した情報に出てきたバルパーなのだと分かってしまう。皆の最大の仇は恨み言をぶつけることさえ出来ずに死んでしまっていた。

 

「おやおや、これは最近会ったばかりの悪魔君と仲間達じゃありませんか。元気にしてた? だったら最悪だよね!」

 

「フリード、これは君が……?」

 

 軽薄そうな声とおどけた口調で僕の顔を眺め、何を思ったか腹を抱えて笑い出す。心底可笑しい事があったかのようだ。このタイミングって事は僕について何かあるんだな。その思考は視線で伝わったのかフリードは僕を指さして、次にバルパーの死骸を踏みつけた。

 

「バルパーの爺さんがもしやって言ってたけど君って聖剣計画の生き残りだったりする? だとしたらどんな気分? 仇を討つ前に不要になったし嫌がらせに使えるかもって理由で此奴が殺されるのはよ」

 

 石ころを蹴り飛ばすみたいに蹴り上げられたバルパーは血を周囲に散らしながら僕の足下に落下する。もう少し憎悪にまみれていたら死骸を切り刻んで居たんだろうけど今はそんな気分じゃない。今したいのは……エクスカリバーの破壊だ。僕が魔剣を創造して構えるとフリードもエクスカリバーを構え、後ろの皆も臨戦態勢になる。でも、師匠が前に出ようとした部長達を止めてくれた。

 

「……有り難う御座います」

 

 今に僕なら任せて良いと判断したんだろう。じゃあ期待に応えないとね。……でも気掛かりなことが。堕天使が言っていたエクスカリバーの統合と同時に起きる面白い事って奴だ。それにどうして彼女だけ居るんだろうか?

 

 

 

「おいおい、盛り上がってんな。其処の青髪ビッチも一人で俺を倒せると思ったらしくってよ……コカビエルの旦那がポツリって漏らした聖書の神の死を教えてやったら動揺して雑魚になったぜ。まっ、僕ちゃんからすれば元から雑魚だがな!」

 

「……は?」

 

 あまりの情報に思考が追いつかない。嘘にしても荒唐無稽過ぎる。こんな事を言う意味が分からず思わず魔王の眷属である師匠の顔を見て……本当の事だと悟った。知られては駄目な事を知られた事への焦りが浮き出た顔で、僕も剣を握る手が震えてきた。それはアーシアさんなど特に酷く顔面蒼白だ。そして、その情報をあっさり述べたフリードは僕めがけて剣を振り下ろして来る。

 

 とっさに構えて受け止めた刃に罅が入り、一旦後ろに飛ぼうとするも先に腹を蹴り飛ばされた。矢張り強い。正直、ゼノヴィアさん達以上に聖剣の力を引き出して恩恵を得ているかもね。

 

 

「ほらほら、どうしたよ? あっ、もう一つ良い事教えてやるよ。町に入り込んだ上級堕天使三人全てを後十分以内に殺さないと町の一部が吹き飛ぶぜ」

 

 ヘラヘラ笑いながら告げられた内容に焦りが増して剣筋が鈍る。大振りになった一撃を避けられ、突き出された切っ先をギリギリで避けたつもりが掠ったのか煙と共に痛みが走った。

 

「沖田、此処は任せたわ! 私は早く捕らえた堕天使を始末しに行かなくちゃ!」

 

 事態は急を要すると旧校舎に向かう部長。一応見張りに朱乃さんが残った上に拘束もして傷も深いけど嫌な予感がする。……そして、その予感は的中した。

 

「旧校舎がっ!?」

 

 内部から突き出した巨大な光の槍が旧校舎を破壊して上空に二人の姿が飛び出す。朱乃さんとガラミティアと名乗った例の堕天使だけど、あの光の槍は上級堕天使の範疇を越えてるんじゃ……。

 

 

「おいおい、偉そうに言っておいて結局使うのかよ。……んじゃ、俺も使おーっと!」

 

 徐にポケットに入れた小瓶を手にするフリード。中に入っている小さな蛇を飲み込んだ彼の姿が視界から消え、背中を強い力で蹴り飛ばされる。咄嗟に宙で体勢を整えて着地すると馬鹿にした笑みを向けてくるフリードの姿があった。

 

 

「それは何だい?」

 

「さあ? 協力者の野郎が渡してきたパワーアップアイテムだよ。堕天使共は使いたがらなかったけど」

 

 エクスカリバーを手で弄ぶようにするフリードの背後で立ち上がったゼノヴィアさん。彼女は破壊力に優れたエクスカリバーを大上段に構えるとフリードに切りかかった。

 

「うぉおおおおおおおおおおおっ!!」

 

「不意打ちで叫んでどうすんだって話だぜっと」

 

 振り返りもせず、片手で構えた刃でゼノヴィアさんは攻撃を止められ弾き飛ばすなり腹を蹴り飛ばされる。垂直に飛んでいった彼女は校舎の窓ガラスを割って中に落下、多分もう戦えないだろう。上空では部長と朱乃さんがガラミティアの相手をするけど押されている。レイヴェルさんや小猫ちゃんもフリードに油断しない眼差しを送っていて、僕が助けを求めれば直ぐに参戦するんだろう。

 

 でも、僕は最後まで戦う……そう思った時だった。堅い物に罅が入る音がフリードの手元から聞こえたのは。先程ゼノヴィアさんの一撃を受け止めた場所を中心に罅が広がっていたんだ。きっと中途半端で無理な合成で脆くなった所に強力な一撃を受けて……今だっ!

 

 エクスカリバーに意識を奪われた一瞬の隙をついて僕はフリードに一直線に向かい、罅の中心に堅さと重さを重視した魔剣を叩き込む。手応えがないほどあっさりとエクスカリバーは砕け散り、固まったフリードの横顔に全力で剣を叩きつけた。

 

 

 

「ぶぎゃっ!?」

 

 切れ味は無視したために鈍器の役割しか果たさないけど構わない。僕は遂にエクスカリバーを打ち破ったんだ。……達成感と虚脱感が同時にやって来て、バルパーの死体に近付いて見下ろす。この老人を自分で裁けなかった事が心残りだと思った時、肩に師匠の手が置かれる。よくやったと、目が告げていた。

 

 

「師匠……え?」

 

 急に肩に置いた手に力が加わって突き飛ばされる。不意を打たれ尻餅を付いた僕の視界に入って来たのは血を吐く師匠の姿とバルパーの死骸……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先ずは一人……」

 

 そして、バルパーの死骸から飛び出した少女が手にした刀で師匠の腹を貫き、真横に振るって腹を深く切り裂いた姿だった。崩れ落ちる師匠は自らの血の海に沈み、少女の恐ろしい笑みが嫌でも見えてしまう。吐き気がするほどに妖しく恐ろしい笑みだった……。

 

 




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よく考えたらイッセーが誰よりも努力って匙が勝手に言ってるんですよね。学業も悪魔の仕事も無い奴らを勘定に入れていないか、自分たち学生組などの新人組の中でって事かも
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