グレモリー家の野良犬   作:ケツアゴ

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評価が平均8になって喜んだ数分後に1を貰った…落差の落ち込み……

感想も普段来ない人から来たけど数は少ない……頑張ろう


猫と再会

 ……今日はメルギスさんが上級悪魔になった事への挨拶周りに来るらしい。部長は自分に黙っておくとか水臭いって言ってたけど、本当に隠してたんでしょうか、と疑問に思う。特例故に公表を控えていたらしいですけど、部長は公爵家の次期当主、極秘裏に話が回って来そうですが……。何か汚い社会の事情が有りそうです。

 

「それで眷属は集まっているのかしら? 桃花とルーリア以外にも有能な知り合いは居るんでしょ?」

 

「まあ、有能かどうかは別として候補は既に幾人か居ますね。只、友人と形式だけでも主従になるのに抵抗も有りまして……」

 

 部長の問いかけに複雑そうなメルギスさん。成る程、友達を部下にするのに抵抗がある、というのは理解できます。……なら、弟子の私やギャー君はどうなのか、そんな考えが浮かんだのを掻き消す。私は部長に恩が有る身ですし、メルギスさんも引き抜き交渉をするタイプの人じゃないですから……。

 

「しかし羨ましいぜ、メルギスさん。女の子ばっかしを眷属にしてハーレムを作れるじゃ……痛っ!? こ、小猫ちゃんっ!?」

 

「メルギスさんをイッセー先輩と一緒にしないで下さい。ほら、ギャー君も一緒に蹴りましょう」

 

「えぇ!?」

 

 相変わらずのイッセー先輩の足を蹴り上げ同門のギャー君にも制裁を促す。イッセー先輩は困ったように部長達に助けを求める視線を送りますが笑って受け流されました。全く、男の人全員が女にだらしない訳じゃないのに……。

 

「あらあら、嫉妬かしら、小猫ちゃん?」

 

「……そんなんじゃ無いです」

 

 朱乃さんは興味深そうに言ってくるけど本当にそんなんじゃない。好きか嫌いかで言えば間違いなく好きですが、恋とは違う好きだと断言できる。でも、眷属になれたらと思うくらいは良いですよね?

 

 

 

 

 

「ああ、所で折角だからちゃんと挨拶をしておこうか。久し振りだね」

 

「ええ、こうして顔をちゃんと合わせるのは敵同士だった時以来ですね、クァルタさん」

 

 私が物思いに更けている時に会話に入ってきたのはゼノヴィアさん。神の死を知ったから追放されたそうで部長の眷属になりました。……メルギスさんは少し複雑だそうです。元々敵だった事も有るんでしょうけど……。

 

『彼女に親兄弟友人恋人、其れを殺された人がグレモリー家にまで恨みを向けないか心配ですね。どうして悪魔を殺していた奴を同胞にするんだ、と』

 

 イッセー先輩辺りは任務として命じられたから、とか庇いそうですが、其れを言ったら部長の眷属って誰かしらに殺されたり殺され掛けたりした人ばかりで、其れを恨むなと言われても、と、なってしまいます。でも仲間になったからには私も守れるように心掛けましょう。……もし子供が泣きながら、お父さんを返せ! と刃物を向けるなどした時に心まで守れるかは別ですが……。

 

 

「あっ! メルギス、頼んでいた物だけど……」

 

「お持ちしていますよ、お嬢様。デュランダルやエクスカリバーに代わる彼女の武器、聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)です」

 

「……助かるよ。仕方ないとは言え剣を持たない剣士など話にならないからね」

 

 ……そう、当然ですが追放されたゼノヴィアさんがエクスカリバーや適合していたというデュランダルを所有できる筈もなく、帰国する二人の手で持ち帰られてしまいました。そんな彼女の為に部長が用意することにした代用品が今回の品物。メルギスさんが敵対した相手から奪ったり、捕らえた闇商人の商品の中から報償として受け取った神器の一つ。手の平サイズの球体を受け取った彼女が自分の胸……余分な脂肪の塊に近付けると吸い込まれて消えていく。次の瞬間、手には聖剣が収まっていた。

 

 ゼノヴィアさんは手にした聖剣を眺め、幾度か振って感覚を確かめる。表情からして完全に満足できる品ではないみたいです。祐斗先輩のもそうですが神器で作ったのは本物に劣るそうですから。

 

「うん、流石に本物には劣るけど仕方ないか。……所で不躾で悪いんだが頼みがあるんだ」

 

 聖剣を消したゼノヴィアさんですが、何やら急に真剣な眼差しをメルギスさんの方向に向ける。アレですか、弟子入り志願ですね、多分。私やギャー君に貧乳同盟の桃花、ついでについでのレイヴェル。……構って貰える時間が減るので嫌だなと思っていましたが、内容は意外な物でした。

 

「私と子供を作らないか?」

 

 

 

 ゼノヴィアさんはそう言って手を差し出す。メルギスさん……の後ろのギャー君に向かって。この人、脳筋な上にショタコンだったのでしょうか……。

 

「……ふぇ?  ぼ、僕ですかぁああああああああっ!?」

 

「ああ、そうだ。彼、メルギスと迷ったんだが君は吸血鬼としての能力も持っているしね。新たな生き方として子供が欲しいんだが、どうせなら強い子供が欲しいんだ。子育ては私がするから安心して……っ!?」

 

 ……一瞬、空気が歪んだかの様に思いました。途轍もない怒気がメルギスさんから放たれた気がしましたが皆が視線を向けた時には何時ものあの人のままです。でも、怒る気持ちは理解できる。メルギスさんの父親は考えなしにお母さんを抱いて孕まし放置したと聞きました。子供を産むという事を軽視していると思ったんですね……。

 

「あ、あの、無理ですぅううううううううっ!」

 

「むぅ。私だと魅力が足らないか? ……もしや彼と同じ趣味だとか……困ったな。その場合、悪魔は年を重ねれば見た目の年齢を変えられると聞くから、君好みの幼い姿になっても構わないぞ」

 

 ……この人、例の噂を信じているんですね。泣きそうに拒否するギャー君に迫るゼノヴィアさん。ヘタレのギャー君じゃ完全に拒否できないだろうから助けようと思ったのですが……。

 

 あれ? メルギスさん、ロリコン扱いされて落ち込んでますか? ……後でフォローしておきましょう。

 

 

 

 

「ぼ、僕の父親はお母さんを攫って僕を産ませて苛めました! だ、だからその場の勢いで子供を作ろうとする人は嫌です! そ、それにメルギスさんはロリコンじゃないです! 小猫ちゃんとは逆の知的美人の恋人が居ますぅううううう!」

 

「そ、そうか。確かに軽率だったな。子供の人生を考えて無かった気がするよ……」

 

 ギャー君の言葉に肩を落として反省した様子のゼノヴィアさん。ギャー君、成長したね。涙目で怯えきっているのは情けないけど頑張った。

 

 

 

 

「よし。だったら先ずは結婚を前提に健全なお付き合いから始めようじゃないか!」

 

「えぇえええええええっ!? た、助けて小猫ちゃぁあああああん!」

 

「……知りません」

 

「そんなぁああああああああっ!!」

 

 ……成長したのは褒めてあげるけど、ルーリアさんと逆っていうのは余計です、ギャー君。助けを求める彼に目を合わせずそっぽを向く。あっ! 後で接近戦の稽古をしましょう、神器と魔力無しで。ちょっと考え事が有るから手加減忘れるかも知れませんけど……。

 

 

 泣き出したギャー君を放置して私は考える。本当に姉様は暴走したのかと……。

 

 

 

 

 

 メルギスさんに鍛えてもらって、自分の力に自信がついて、少しだけ姉様について考える余裕が出来ました。修行中に偶に教わった貴族社会の闇。姉様はその犠牲者で、家の名に傷が付くから反乱された理由を全部姉様に押し付けたりした、そんなのじゃないかと思うのです。仙術の暴走は格好の理由だった、とか……。

 

 勿論全部私の想像で、余裕が出来たからこそ身内贔屓の願望も入っているのでしょう。でも、幸せだった頃の記憶が訴える。もう少し信じたらどうか、と……。

 

 

「でも冤罪にしろ上が黒といえば黒ですし、再会した時は暴走している時に備えて殴り倒してから考えましょう。冤罪なら見逃せば良いですしね」

 

 貴族社会汚い、マジ汚い。メルギスさんが冗談混じりに言っていた言葉を思い出しながら帰る途中、他に誰もいない場所で背後から呼び止められました。

 

 

 

 

 

 

 

「やっほー、白音。久し振りにゃん」

 

 振り返れば姉様が居た。相変わらずの気まぐれそうな顔に着崩した着物から大きな胸が……よし削ぎましょう。先手必勝、私は龍の双爪を装着し、笑顔で手を拭る姉様に飛びかかった。

 




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