FateAccelZeroOrder--if--   作:煽伊依緒

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ストックがあるのでしばらくは毎日投稿できるかもしれないです。


Act0-2

逃げた。

 

 

逃げた逃げた逃げた逃げた逃げた。

 

 

放り出されたまま川を越え、ふらつく足で歩き続け、言われた通りに飛行機に乗った。

 

 

その間の記憶はほとんどなく、今の記憶すら薄かった。

 

 

そして気が付けば、俺はどこか遠い場所にいた。

 

 

「此処は……」

「――――――此処は日本。日本の冬木と言う場所に向かっています」

 

ふと隣を見れば椅子に座ったままの女性が一人、そこにいた。

しかし、よく見ればその女性の体が細かく震えていることに気が付く。

 

「……貴方のお父様からお手紙を預かっております。どうぞ足元のケースをお開け下さい」

「……?」

 

体を起こし、丸める様にして四角い箱を足元から取る。開けてみると、中には一通の手紙と宝石がいくつか入っている。

ペリペリと音を立てながら手紙を開封し、頭から読んでみる。

 

『息子へ

 

すまない。此処まで早く他の魔術師共に悟られるとは思っていなかった。

これは全て私の落ち度だ。本当にすまない。

本題だが、恐らく私は死ぬ。よって、私の魔術回路をこの宝石の中に封じ込めて置く。

冬木、ああ、冬木と言うのは日本のとある地方都市なんだが、まあこんなことは良い。

そこに遠縁の老夫婦がいるはずだ。少なからず魔術の知恵もある。まあほとんど魔術回路はないから普通の一般人として静かに暮らしているだろう。

そいつらに魔術回路の移植を頼め。そして、その地で魔術を磨き、いつの日か――

 

 

―――世界に復讐しろ。

それが我ら一族の願いだ。』

 

 

書いてあったのはそれだけで、そしてそれを父さんらしいと思ってしまった。

 

「あの」

「……なんでしょう……」

「後どれくらいで着きますか?」

「後二十分ほどかと」

「そうですか」

 

心中でため息を吐きながら、俺は眼下の景色を眺める。

色とりどりの光でコーティングされた街の景色はそこそこ綺麗に見えた。

 

(というか、一体どうやってあそこから魔術回路を移したんだろう?)

 

父は最後まで襲撃者――衛宮切嗣――と戦っていたはずだ。転写している暇などなかったはずだ。

 

(ああ、いや。そんなことどうでもいい。俺はただ……)

 

衛宮切嗣。

その名前を心の中でもう一度反芻する。

この男だけは絶対に許さない。

俺から全てを奪った男。

復讐してやる。

殺してやる。

 

 

この思いは冬木について更に一段と強くなるのだが、そんな事などまだこの少年は知らない。

なにせ少年はその怒りの感情以外に、ただ漠然と、十代の少年にふさわしくない将来への不安を胸に抱えていたからだ。

 

(……父さん、母さん……)

 

二極化された少年の心はしぼんでは開いてを繰り返す。

幼い心にふさわしい不安定な心は彼を苦しめる。

答えを求めて、探して、見つからない苦しみ。

だが、幼い心はすぐにその逃げ道を見つけ出した。

それは、初めて味わうその苦しみを全て(・・)衛宮切嗣のせいだとする道。

全てあいつが悪いのだと誤認する。

もしこの場で誰かが彼の不安という感情を埋めてあげられていれば、きっと……

世界はもっと変わっていた。

 

「衛宮……切嗣……ッ!」

 

幼い心は激情し、復讐の心が高まっていく。漠然とした不安と言う感情を燃料に。

 

 




作中でキャラ背景など異なる所があれば教えていただけると助かります。


※Twitterあまり投稿はしていませんが、せめて新しい話を投稿した時は呟こうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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