FateAccelZeroOrder--if-- 作:煽伊依緒
「―――特異点反応?」
唐突にドクターに呼ばれたと思えば、そんな事を打ち明けられた。
この場にはドクターのほかにマシュと諸葛孔明――――ロード=エルメロイⅡ世――――が一緒にいた。
「ああ、つい先ほど新しく見つかってね、時期は1994年の冬木市。
丁度特異点Fと座標は同じだね」
慌ただしく喋るドクターは手元にある書類をペラペラと捲りながら矢継ぎ早に話を進めていく。
10分ほどのドクターの話を聞いていると、どうやら今回の特異点についてロード=エルメロイⅡ世は知りえる所があったために今回呼び出され、今すぐレイシフトしてほしいとのことだった。
「じゃあ藤丸君、いつも通りだけどよろしくお願いするよ」
「はい、任せてくださいドクター」
この時、カルデアは最善の行動、最速の速さで特異点へとレイシフトした。
だからこそ、このように言う事はおかしいかもしれない。
だが、あくまでも――――カルデアは遅すぎた。
悪魔はもう、その時には芽吹いてしまっていた。
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気が付けば、壁に掛けてあった時計は午後の六時を示していた。
「もう、こんな時間か」
およそ二か月になるだろうか。
彼はひたすらに、魔術の研鑽にいそしんだ。
朝起きて魔術を行い、魔力が切れれば、例の椅子へ座り、魔力を回復する。
そんな事を延々と繰り返し続けていた。
「よっと……」
ふらつく足を前に出し、椅子から這い上がると瞬間目の前にノイズが走った。
「つっ……」
チカチカと明滅する視界の中、足先を地下室の扉へと向けて、歩く。
おそらく上では今頃おじいさんとおばあさんが料理を作っているころだろう。
「……うっ……がっ……」
今度は右手が、まるで燃えるかのように熱を帯び始めた。
舐める様に、右腕だけでなくその熱は全身へと伝播していく。
立ち上がる力を一瞬で失った少年は、無音のままその場に倒れ込んでしまった。
自分の右腕に一体何が刻まれたのかなど、気が付くこともなく。
その数刻後、おじいさんは少年を呼びに来た。しかし部屋には姿がない。
だからといって家の外に出るはずもなく。
おじいさんは不審に思い、部屋のあちこちを探した。
そして、見つけた。
いかにも怪しげな薄い線が床についている。
こんなものおじいさんは知らなかった。
おじいさんはその薄い線を指でなぞり、端にあった小さなくぼみに指を触れた。
瞬間、今まで閉じていた扉はゆっくりと開き、そして地下への階段が姿を現した。
「なんと……」
他の魔術師から、存在を隠蔽するためにあえて魔力を使わずに作られ、隠れていた隠し扉。
その作り手からすれば、今回のこれは事故でしかないだろう。
「……」
おじいさんは意を決した。
中に入ることにしたのだ。
ここでもまた偶然が一つ。
ここで、もし、おじいさんが地下へ行かなければ――――結果は違ったかもしれない。
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