やはり俺達のボーダーでの生活はまちがっている。 作:シェイド
・八幡と小町の両親は旧ボーダー所属。第一次侵攻時に黒トリガー化。
・黒トリガーは二つとも敵国の手元に
・最初から強すぎることはない(まだ迷い中。B級でも面白そう)
・俺ガイル原作は中学校へ移行。折本ネタなし。一世代下がる形に(夏を除く)
・時系列が半年遅くなってる。しかしこれ以降はワルトリ原作と変わらずに進む。
・俺ガイル勢が加わることによるランキングの変化有り。が、極端には変わらない。(攻撃手1位、とか射手1位、とかない)
……今のところこれくらいですかね。
2026/4/4 改稿。
比企谷八幡①
青春とは嘘であり、悪である。
青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺く。
自ら取り巻く環境のすべてを、肯定的に捉える。
何か致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、思い出の1ページに刻むのだ。
例を挙げよう。彼らは万引きや集団暴走という犯罪行為に手を染め、それを「若気の至り」と呼ぶ。
試験で赤点を取れば、学校は勉強するためだけの場所ではないと言い出す。
彼らは青春の二文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会理念も捻じ曲げてみせる。彼らにかかれば嘘も秘密も、罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。
そしては彼らはその悪に、その失敗に特別性を見出す。
自分たちの失敗は遍く青春の一部分であるが、他者の失敗は青春でなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。
仮に失敗することが青春の証であるのなら、友達作りに失敗した人間もまた青春ど真ん中でなければおかしいではないか。しかし、彼らはそれを認めないだろう。
なんのことはない。すべて彼らのご都合主義でしかない。
なら、それは欺瞞だろう。嘘も欺瞞も秘密も許術も糾弾されるべきだ。
彼らは悪だ。
ということは、逆説的に青春を謳歌していない者の方が正しく真の正義である。
結論を言おう。
リア充爆発しろ。
「なぁ、比企谷。私が授業で出した課題は何だったかな?」
「…はぁ、『中学生活を振り返って』というテーマの作文でしたが」
「そうだな。それでなぜ君は犯行声明を書き上げている?新手のテロリストなのか?それともバカなのか?」
「少なくともテロリストではないです」
「君の目はあれだな、腐った魚の目のようだな」
「そんなにDHA豊富そうに見えますか。賢そうっすね」
「…君は捻くれているな」
「そうですか?」
「…君は確か、部活やっていなかったよな?」
「はい」
「よし、ではこうしよう。まずはこの舐めた作文はやり直しだ。書き直せ」
「はい」
「それと、この作文の内容や君の言動から罰を与える。その罰とは奉仕活動だ」
「……え?」
俺はこの後、人生の分岐点とも呼べるであろう奉仕部に入部させられる。
雪ノ下雪乃と出会い、奉仕部として色々な活動を行い、色々な人の感情を知った。
その中でも、最初の依頼者でその後部員となった由比ヶ浜結衣や、修学旅行後の重苦しい空気の中で、生徒会選挙の依頼をしてきた一色いろは。彼女たちと出会い、日々を過ごすことは小学校の俺からしたら想像もできないだろう。
こんな生活も悪くない、そんな風に思っていた時だった。
《
***
俺の両親は、現在ある界境防衛機関、通称《ボーダー》の前の組織、所謂《旧ボーダー》に属していた。
その関係から、俺が小学校に上がってから以降、両親についていき、その人たちと顔を合わせる機会が時折あった。
もちろん、トリガー技術という子供心に刺さる物にすぐ興味を示し、「二次元が現実に!」等と思いながら、トリガー技術による戦闘法を教わったりしていたものだ。
そして、あの
その日、俺は小町と自宅にいて、両親は旧ボーダー組織の方へ出向いていた。
…思えば迅さんの予知って、この時からあったんだよな。…ってことは、
妹と自宅で2人、だらだらとゲームをしたり、本を読んで過ごしていた、そんな日の昼過ぎだっただろうか。
―――三門市内全域に、異世界からの扉が開かれたのは。
その扉から《近界民》が次々と飛び出してきて、縦横無尽に暴れまわった。
衝撃音に気づいた俺と小町は、いち早く家を飛び出したおかげで怪我を負わずに済んだものの、家は《近界民》の踏みつけによりぺしゃんこになってしまった。
当時、すでに自分用のトリガーをもらった後だったから、小町を旧ボーダーの組織が作った緊急避難所に連れて行った後、戦闘に参戦した。
まだまだ立派とは呼べない未熟な戦いだったが、バンダーやバムスターを少しずつ撃破していた時だ。
体勢を整え、すぐに顔を上げると、視界に飛び込んできたのはボロボロになった両親と、1人の男が向き合っている光景であった。
「親父、お袋!」
「っ!八幡!?なんでここにっ!?」
「きちゃダメよ!!逃げなさい!!」
必死に声を上げ、制止する両親。
全身の至る所からトリオンを漏らしながらも、敵近界民と向き合う両親を見て、俺は。
「…お前、何しやがった!」
無我夢中に、
しかし、男は全く意に返さず、シールドのようなもので軽くガードしながら…何がおかしいのか、不気味に笑っている。攻撃が効かねえ…!?
「あれは君たちの子供かな?見たところ若い…年齢にしては、良いトリオン量だ。これからもまだ伸びるだろう。本国へ連れて帰り、部下として使うのも悪くない」
男はそう言うや否や、一瞬で俺の目の前に現れ、右腕で俺の腹を抉った。
…全く反応できなかった俺は、攻撃を受けるだけの無防備な状態だったからか…そう、
「ぐっ!!」
「あぁっ!」
…意識が現実に戻ってきた時には、眼前で、トリガーの換装体が解けた親父とお袋の姿。
俺を庇っていたのだ。黒く液状化したブレードのようなものが、両親の腹に突き刺さっていた。
血が止まらない。出血量が…っ!
「…やはり、どの国でも子を想う親は強いな。だがもう、それも限界だろう」
「どうやらお前の言うとおりらしいな、ぐっ……」
生身の状態で血を流しながらも、両親は、俺を敵から庇うように立ち塞がっていた。
「…八幡、聞いて。今更だけど、あなたを放置して小町ばかり可愛がってごめんなさい。あなたは1人でもなんでもできるからと、ちょっと放置し過ぎていたわ…」
「…急に、なにを、言ってんだよ……?」
「すまなかったな……最後の頼みを聞いてくれ。今すぐ逃げろ!そして小町の元に走れ!!」
「なんで、なんでだ親父…お袋!死ぬんじゃねえよ……おい、おい待てよ……待ってくれよ……」
「…少し待ってろ。俺達は死ぬんじゃねえ。ずっと一緒だ」
そう言って両親は、自分たちのトリオンと全生命力を注ぎ込み、その場に2つの黒トリガーが生まれた。
両親は砂のように溶けて、その身体を崩壊させる。
「親父!?お袋!?あ………あ、あぁ……なんで、なんで………!?…なんでこうなるんだよ…!」
黒トリガーに向けて手を伸ばすが、黒く鋭い刃が俺の右腕を切断する。
「…黒トリガーが2つか。これさえあれば、これ以上の侵略は必要ない。少年、悪いがこれはもらっていくぞ」
「おい待て…返せ…それ返せ!?」
無我夢中でアステロイドを
代わりに地面からデカい釘のような刺突攻撃で腹を刺され、空中で身動きが取れなくなる。トリオン供給器官は辛うじて避けているものの、ダメージ量が大きすぎる。トリオン体が解けるのも時間の問題だった。
「…少年、1つ教えてあげよう。ほとんど、いや全てと言っていいかな。この世の不利益は、その当事者本人の能力不足だ。要は君が弱かったから、君の両親は死んだんだよ。まあ、その両親が救ってくれた命を大事に生きるんだな。…くくっ、いつの日か取り返しに来るといいさ。その時には、今日とは違い、戦いになることを祈ってるよ」
そう言い残して、男は俺が瞬きする間に一瞬で消え去った。
まるで、
この時、俺の中には弱すぎる自分自身に対する怒りと、両親がいなくなったことに対する悲しみ、そして…これからは俺が小町を守っていかなければいけないという使命感だけが心に宿るのだった。
***
そんな絶望的な状況の中、界境防衛機関《ボーダー》が、三門市内に現れた
ボーダーは
俺は城戸さんや忍田さん、林藤さんに両親の黒トリガー化と死亡、両方とも奪われてしまったことを報告した。もう、涙は出なかった。
両親を目の前で失ったこと、黒トリガーまで強奪されたことを心配され、ボーダーに所属するかどうかは自由にしていいと言われたが…当然ながらに、そのまま組織へと所属すると伝えた。
家が壊され、財産もすべて立ち消えてしまったから、金を稼がなければならなかったしな。
その話もしたところ、本部基地の中の部屋を自宅代わりに使っていいと言われ、小町とともに2人での生活が始まった。
小町は最初、両親が亡くなったことを知ったショックで気絶。食事も喉を通らないような状態が続き、半年間、病院に入院していた。
その間、俺は小町のお見舞いへ毎日行きつつ、まだ体制が整っていない中で、ボーダー隊員唯一の稼ぎ方、防衛任務をこなしていった。
見舞い以外の時間はほとんど防衛任務へと費やしたことで、生活していくことはできるぐらいのお金が手に入ったが、小町の中学校入学等、今後のことを考えると余裕があるとは言えなかった。
しばらくして中断されていた中学が特別学級で再開されたが、生活は変わらなかった。いや、変えられなかったが正しいか?
雪ノ下達が奉仕部を再開させていたことは、由比ヶ浜から聞いていた。ただ、行くことができるような余裕が俺にはなく、学校に行き、終われば即帰宅→小町のお見舞い→防衛任務と毎日を過ごした。
学校の休み時間とたまに授業時間も爆睡していたからか、色々と言われた記憶があるが…平塚先生は何も言ってこなかったな。多分、両親が近界民に殺されたことも含めて、俺の事情を知っていたからだろう。
ボーダーにいる間も、周りに色々と言われていたような気もするが、まったく耳に入らずこの生活を半年以上続けた。
…今となっては悪かったと思うが、当時の新人隊員達からの心象は最悪だったとか、太刀川さんから聞いたな。三輪と並んで近界民ぶっ殺しマンやってたって言ってたし。
実際、今でも憎悪を三輪と同じくらい抱えているが、三輪と違って特定の近界民以外はなんとも思っていない。防衛任務中は「あ、お金が来た」くらいだろうか。
ほら、例えば両親を殺した犯人が外国人だったとして、その国の人全員を恨むのか?と言えば違うだろ。それと同じだ。
後々の話にはなるのだが、初代東隊の東さん、二宮さん、加古さんに連れ出されては飯を食わされていた。本当に、俺と三輪はあの3人に対しては頭が上がらない。
ランク戦の仕組みが出来上がってからは、小町のお見舞い以外、時間のほとんどをトリオン体で過ごした。トリオン体で過ごせば過ごすほど、身体に馴染み咄嗟の動きができるようになることを知ったからだ。トリオンを消費するが、幸いにも俺のトリオン量は多い方だったし。
防衛任務以外の時間は、ランク戦をして時間を埋める。幸い、トリオン体でいる間は、生身なら感じる眠気が襲ってくることはない。
ひたすらに対人戦闘、対近界民戦闘を繰り返した。
ランキングがなんだとか、記録がなんだとか、やっかみも多かったように思うが、そんなことを気にする余裕が俺にはなかった。
…いや、正直言えば少しは分かってた。だけども、優越感に浸るような時間はなかった。太刀川さんに斬られ、東さんに撃たれ、しまいには疲れた時に仮想戦闘モードでモードレッドに引き裂かれ。
負けが込めば、新たな武器を得るのに開発室に行って…全てに躊躇はなかった。
大規模侵攻から半年経ったことで小町が回復し退院。学校にも復帰でき、以前と同じような振る舞いを始めていた頃だっただろうか。
ある日、防衛任務で警戒区域外に向かおうとする近界民を追い、弧月で近界民を斬り裂いた時のことだ。
警戒区域内にはいてはいけない、一般人が3人いたのだ。
その3人とは―――――――
「…ようやく見つけたわ、比企谷君」
「ヒッキー…」
「先輩…」
「お前ら…」
約半年前まで、日常の全てといっても過言ではない、奉仕部の2人と生徒会長になった一色いろはだった。
自分が書いた中で、読み返して1番好きなのはこの作品。
一旦改稿祭りしたから、この後の展開も読み直したけど、A級は無理しすぎな設定だなって改めて感じたな…。
B級個人比企谷八幡君って作品をそのうち書きます。
…出来れば、アニメの作り直しには間に合わせたいなぁ。