やはり俺達のボーダーでの生活はまちがっている。   作:シェイド

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正直今作品は作者の独特の思想やら捉え方やらなにやらが加わっているため読む人によっては不快になるかもしれません。

分からないけど。


プロローグ②

 俺は防衛任務を終了し、始末書類を作成してからボーダー本部を後にする。

 目指すは学生の強い味方であるサイゼリアだ。

 何故かと問われれば先程の三人に呼び出された、としか言いようがない。

 トリガーの換装体を解き、私服の上着の内ポケットからMAXコーヒーを取り出し体内に糖分を摂取する。

 昔から好きだったが、このところ毎日が忙しいため頭を使いすぎており、糖分を大量に摂取できるマッカンを、俺は重宝していた。

 ちなみに新たな家となったボーダーの中にある家の冷蔵庫にはすでに箱で入っている。

 サイゼに入ると、由比ヶ浜が手を上げていたため、4人が座っている席に向かう。

 ん?4人いる?

 

「って、小町……」

 

「お兄ちゃん……」

 

 席には雪ノ下、由比ヶ浜、一色に加え、なんと小町までいた。

 小町とはここ2ヶ月ぐらい、ろくに会話をしていない。

 理由としては俺が仕事を入れまくっていることと、小町が一度寂しくて俺が新トリガー開発の手伝いをしている場所まで来て、邪魔をしてきた時に大声で怒鳴ってしまったことが原因で気まずいのだ。

 しかし、座れる場所が小町の横しか空いていないので、一色と小町が座っているサイドの座席に座る。

 少しだけ無言の時間があった後最初に口を開いたのは雪ノ下だった。

 

「あなた……ここ半年以上ろくに顔すら見ないと思ったら……ボーダー隊員になっていたのね」

 

「正確には元からボーダー隊員だがな」

 

「そんなことはどうでもいいの!なんで私たちに隠してたの、ヒッキー!」

 

 由比ヶ浜が怒ったように言う。

 ……意味がわからない、なんでお前が怒るんだよ。関係ないだろうが。

 

「別に隠してない。ただ、防衛任務やらなにやらで忙しかっただけだ。話は終わりか?」

 

「ちょ、待ってくださいよ先輩!こんな可愛い後輩を置いてどこにいくんですか!?」

 

「書類整理、戦闘訓練」

 

「あなたが働いているなんて嘘も大概に……いえ、先ほど働いていたものね」

 

「……ああ」

 

「ヒッキーが働くなんて……」

 

 確かに約半年前の俺からしたらありえないくらい働いているんだろうな。ま、今ではこれくらいが普通で、むしろ今日は防衛任務しかしてないため少ないくらいだ。

 なんだ?こんなくだらない話をするために俺を呼んだのか?

 時間の無駄でしかない。とっとと帰るかな。

 

「じゃ、話は終わりでいいよな?」

 

 俺はそう言い、席を立つ。が、左手をガシッと掴まれる。

 

「ま、待って!まだ話は終わってないよ!」

 

「……じゃあ早くしてくれないか?俺は忙しいんだ」

 

「なんで……なんで……」

 

「あん?」

 

「なんで私たちのこと避けてるし!」

 

 ……ぶちっ。

 由比ヶ浜の一言で俺の中のなにかが切れた音がした。

 ……なんだ、なんなんだ、お前らは一体何がしたいんだよ?

 

「じゃあ、あれか?お前が俺の代わりに俺たちの生活費を稼いでくれるのかよ?」

 

 自分でも驚くほどに低い、威圧する声が出た。

 

「ヒッ、キー?」

 

 由比ヶ浜も普段の俺とは違う威圧的な声に怯えている様子だ。

 すると、由比ヶ浜に代わって雪ノ下が話し始める。

 

「比企谷君……あなたのご両親が亡くなったこと、そしてそれに伴って生活費や学校の教材費なんかのお金が必要なことを小町さんから聞いたわ」

 

「ごめんねお兄ちゃん……小町は何もしてなくて、ただ寂しがって。お兄ちゃんばかりが時間を使って、ボロボロになって」

 

「何言って……ッ!」

 

 何言ってるんだ、と言おうと小町を見ると目から涙を流していた。

 小町は小町なりに今の状況、自分たちの状況を確認して、俺が仕事をすることが生きていくには必要なことに気づいていた。

 小町自身も1人の時間が多くて寂しかったのだ。

 それなのに、俺を心配してくれていたのだ。

 

「………ごめんな、小町。兄ちゃん、周りが見えてなかった」

 

 ここ最近は何を食べたかすら覚えていないほど無為に1日を1日を過ごしていた。

 これじゃあ、まるで機械だ。

 

「ううん、小町も勝手に雪乃さんたちに話しちゃったから。ごめんなさい」

 

 こうしてお互いに謝罪し、最近全く話さなくなっていた小町との間は元に戻った、と思う。

 しかし、まだ根本的なことは解決していない。

 そう、俺たちの生活費……お金のことである。

 そのことについて小町と話そうとした時、一色が立ち上がった。

 

「なんだ、どうしたんだ一色」

 

「雪乃先輩、やっぱりあの案がいいですよ!」

 

 あの案だ?

 

「ええ。小町さんとの仲も戻ったようだからこの際提案するわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちもボーダーに入ろうと思うの」

 

 え?は??

 

「は?」

 

 おっと、突然のことで頭がパンクしそうだった。おい、文脈が意味不明すぎるぞ。なんで俺と小町が仲直りしたらお前らがボーダーに入ることになるんだよ。

 

「なんで、お前らがボーダーに入ることになるんだ?」

 

「今の比企谷君はB級個人の隊員。防衛任務でしか給料を受け取れず、防衛任務は出来高払いとその日その日で収入は異なる。そうでしょう?」

 

「雪ノ下……なぜその事を知ってる」

 

「雪ノ下建設がボーダーのスポンサーについているからその時の説明の中にあったのよ」

 

「じゃ、じゃあお前らが入る理由ってのは……」

 

「比企谷君。私たちとチームを組んで、A級になりましょう。そうすれば出来高払いに固定給がついて、生活が安定すると思うわ」

 

 やはり、か。

 ボーダーは本部を作り上げた後半年間の間で様々な制度を作っていたが、その中にランク制というものが存在する。

 ランクは精鋭のA級、一般戦闘員のB級、見習いのC級で、黒トリガーを持つ人は規格外としてS級扱いになりこのランク制ピラミッドの外に分類される。

 B級からA級に上がるためにはチームとして昇格試験に合格しなければならないため、現在A級部隊は狙撃手として最初の隊員である東さん率いる東隊しかおらず、B級個人やB級部隊である。

 たしかに良い話ではある、が。

 

「断る」

 

「!?」

 

「な、なんでですか?!」

 

「わざわざお前らが俺のためにボーダーに縛られる必要はないだろ。それにトリオン兵には恐怖しか湧かないんじゃないか?家を壊されたりしなかったとしてもあの化け物共が何をしたかは目にしただろうが。そんな相手と戦闘なんてできるのか?」

 

「……お兄ちゃん……」

 

「……俺たちの生活を気遣ってくれるのは嬉しい。だがそこまでしてもらう必要はない。要は俺がこの生活を続けていけば問題はないんだしな」

 

 そう言って出された水を飲む。

 こいつらは善意で言ってくれているのだろう。伊達に半年前まで一緒に過ごしてきたわけじゃない。

 だが、わざわざボーダーに入ってまで俺に付き合う必要はない。

 こいつらには、こいつらの時間があり、将来があるのだから。

 静かになり誰も話さなかったので見回すと、小町はこっちを見ていて三人は俯いていた。

 ありがたいことだったが施しは受けないようにしているからな。さてさてせっかくサイゼに来たんだし、ミラノ風ドリアと辛口チキン、ドリンクバーでも頼もうかね……。

 と、俺がメニューを頼もうとしていた時だった。

 

 

バンッ!

 

 

 由比ヶ浜がテーブルを叩きながら立ち上がった。

 

「少しはさ、私たちを頼ってよヒッキー……!」

 

「由比ヶ浜、俺は別に「ヒッキーが私たちの時間を自分のために使うことをやめてほしいってのはわかった!でも、私たちだってヒッキー助けたいの!」

 

「今までは一人で抱え込むしかなかったとしても、今は違うでしょう?私たちがいるわ」

 

「先輩……そんなに、私たちは頼りないですか?」

 

「お前ら……」

 

 …………ああ、そうか。

 ……そう、だよな。

 俺は何でもかんでも一人でやろうとしていたのだろう。一人でやるべきことだと思っていた。

 それは間違いではないだろう。だけども正解でもないのかもしれない。

 困った時は周りの人に頼る。人が当たり前のようにしていることが、俺にはできていなかったのだ。

 これじゃあ、雪ノ下のことなんも言えねえな……。

 

「……本当にいいんだな?」

 

「ええ!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

「そうか……なら、よろしくな」

 

 こうして第一次近界民侵攻から約半年。

 雪ノ下たちがボーダーに入隊することが決まった。

 

 

***

 

 

「じゃ、解散だな。小町、今日はここで晩御飯食べて帰ろうぜ」

 

「わかった!」

 

「あ、じゃあ私も食べて帰る!」

 

「私もです!」

 

「私も食べて帰るわ。だから比企谷君。食事の間ボーダーについて詳しく教えて欲してちょうだい」

 

「了解」

 

 結局全員で食事を注文し、ボーダーについて話し合うことにした。

 さすがに四人席に五人は多いので先に俺と雪ノ下と由比ヶ浜、小町と一色で別れ、大体のことは俺と雪ノ下で話すことにした。

 ひとまずランク戦の仕組みを伝え、それぞれのポジション決め(仮定)をすることに。

 話終わりぐらいに料理が運ばれてきたので食べ始める。

 その中俺の話を聞きながら考えていたであろう雪ノ下が話し始める。

 

「……なるほど。つまりはランク戦でどのくらい勝ち進んでいけるかが昇格のための条件ね」

 

「ああ。それに、昇格試験の内容がわからないからな。簡単には上がれないはずだ」

 

「まだA級部隊が一つだけなのだから少なくとも簡単ではないはずよね……それで?あなたの中に計画はあるのかしら?」

 

「……そうだな。まずは半年程度……次の夏休みくらいまでと考えているが、その間に力をつける。俺たちはもうすぐ中三に上がるし、小町が中学入学するからな。ゴタゴタするだろうし、毎日毎日訓練するわけにもいかないしな」

 

「いいんじゃないかしら。私は賛成よ」

 

「よし、お前がオッケーなら他もオッケーだ」

 

「結衣先輩はともかく私もですか!?」

 

「ちょっといろはちゃん、それどういう意味!?」

 

 由比ヶ浜と一色が何か騒いでいるが無視である。

 

「それで、肝心のポジションなんだが……こればっかりは適正もあったりするし、初めはセンスがモノを言うだろう。まあ、最初からある程度の目安をつけておくことぐらいはできるか」

 

「比企谷君はどのポジションなのかしら?」

 

「俺は攻撃手と射手を合わせた万能手ってポジション。あんまり弧月……剣の腕はすごくはないが、今また別のトリガーの練習をしているからなんとも言えないな」

 

「トリガーにはどんなものが……」

 

 その後もトリガーの武器の種類や、ポジションの説明をしていく。

 結果、とりあえずとしてポジションを決定した。

 

 雪ノ下:攻撃手

 由比ヶ浜:射手

 一色:狙撃手

 小町:オペレーター

 

 本人たちの希望なども合わせているためトリガーの適正に合わないかもしれないが、一応このスタイルで行くことにした。

 さぁて、みんなが基礎からやるなら俺もスコーピオンを使いこなせるようになるか……。

 ここから、俺たちのまちがったボーダー生活が幕を開けたのだった。

 




うーん、最後雑すぎましたかね?
反省しています。

現段階での八幡のプロフィールです。

比企谷八幡
14歳
中学生
8月8日生まれ
ペンギン座
A型

トリオン9
攻撃8
防御・援護7
機動5
技術6
射程5
指揮2
特殊戦術1

トータル43

サイドエフェクト:脳機関一部強化

脳全体強化、とかいうものではなく戦闘中に思考可能な平行思考能力や人よりも頭の回転が少し早くなるくらいのもの。
そのため数学の成績は赤点回避ぐらいまでしか上がっていない。

メイン:孤月、旋空、シールド、フリー
サブ:アステロイド、バイパー、シールド、バッグワーム

まだまだ序盤なのでこのくらいで。

このあとの流れとしては
・このまま入隊からB級部隊結成、A級へ
・時系列を高2の四月に飛ばす

のどれかですかねえ。
まあすべては私のその時の気分で決めようかと思います。
では、また次の話でお会いしましょう。

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