やはり俺達のボーダーでの生活はまちがっている。   作:シェイド

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原作突入。トリオン量的にも4部隊が遠征に向かった設定となっています。
ご都合主義ですね、ご容赦を。


依頼者:城戸正宗

 今回の遠征部隊は、太刀川隊、雪ノ下隊、冬島隊、風間隊で構成されていた。

 この中では唯一、忍田本部長の派閥に属している雪ノ下隊。俺個人は、場合によって城戸司令に従ったり、林藤支部長に従ったりしているから、少し逸脱してるがそれは置いておくとして。

 遠征部隊の主な仕事内容は、こっちの世界と近づいた近界の国へと飛び、交渉を主として未知のトリガーを集めたり、その他情報収集になる。

 稀に戦争中の国に上陸してしまい、やむなく戦闘に発展することもある。当然、トリオン体が解かれ、近界民の最期を見る機会も必然と出てきてしまう。

 その点、今回は由比ヶ浜と一色、小町もよく耐えた。雪ノ下と俺は、以前に東さん達とともに遠征へ参加をしたことかあった為、以前より抵抗はないが、普段平和然としている日本で過ごす俺たちにとって、日常からかけ離れたショッキングな光景であることに違いはない。

 

「初遠征お疲れ様だぜ、お前ら」

 

「当真先輩、まだ言うの早いっすよ」

 

「ハチには言ってねえよ。お前、俺より遠征行ったの早かっただろうが」

 

 今は、現在時点でボーダーに1番近いメノエイデスを出立し、風間さんが本部へと通信を飛ばしたのがついさっき。

 あと68時間くらいでボーダーへと帰還予定である。

 遠征艇は、ボーダー本部で瑠花が動かした(マザー)トリガーからトリオンを注ぎ込んで作られたもので、星から星への移動時は遠征艇に乗っている隊員達から少しずつトリオンを補給し、着陸した惑星国家(わくせいこっか)次第にはなるが、可能であればその惑星国家(わくせいこっか)でトリオンを補充し、再度、別の星へと旅立つのである。

 これを何度も繰り返し、ボーダーは少しずつ、近界(ネイバーフッド)の把握を行ってきた。

 

「お気遣いありがとうございます。あたし、ダメダメだったなぁ…」

 

「結衣。あの時は、あなたのおかげで相手の不意打ちに気づけたのよ。あなたがいなかったら、相手の良い様に交渉が進んでいたかもしれないわ」

 

「雪ノ下の言う通りだな。トリガー技術の交換と言えば聞こえはいいが、俺たちはあくまで相手からすれば得体の知れない訪問者だ。友好的な関係が築けるかどうかは、交渉のテーブルにつけるかどうかというところから始まっている。その点、由比ヶ浜のサイドエフェクトが、今回、俺たちが相手と対等に話すために役立ったことは言うまでもない」

 

 風間さんが、先程から落ち込んでいる由比ヶ浜を慰めてくれている。実際、最後に立ち寄ったメノエイデスでは戦闘にならなかった。トリオンの補給とトリガー技術の交換まで行えたのは、由比ヶ浜が相手の完全な不意打ちを防ぎきったことから始まっている。その不意打ちしてきた野郎を爆殺し損ねたのが俺で、相手の首元に弧月を添えて脅したのが雪ノ下で、そんなの関係ねぇ!とばかりに両足を撃ち抜いたのが一色なのはご愛嬌である。

 

「でも…その前のとこの戦闘で足を引っ張ってしまいました…」

 

「何言ってんの。むしろ初遠征にしてはいい囮だったよ」

 

「こらっ、菊地原!」

 

「だって事実だし…」

 

 菊地原は相変わらず生意気言って歌川から窘められているが、実際、由比ヶ浜がピンチになった時にいち早く助けてくれたのが風間隊であった為、俺たちとしては頭が上がらないところだ。菊地原の耳に助けられたし。

 まさか、遠征艇で飛んだ先が戦争真っ只中とは思うまい。トリガー交換どころではなかったが、戦争ついでに攻めているであろう国のトリガーを2つ強奪出来たし、その後トンズラ出来たからよしとしよう。

 あの国が滅んでいなければ、また次回の遠征で交渉したいところである。

 遠征部隊に選ばれている以上、同盟国以外ではボーダーの利益と人員が欠けないようにすることが最優先だ。見ず知らずの相手を思いやる程の余裕はない。

 

「それにしても、遠征終わったら焼肉行きてえな!」

 

「公平くん、それ毎回の遠征帰りに言ってるよ〜?」

 

「誰だって、遠征から帰ったら好きなもん食べたいだろ。俺も今回は焼肉にすっかな」

 

「奢ってくれるなら行きますよ」

 

「ハチの奢りってことで」

 

「なんでですか、話の流れ的に太刀川さんの奢りだったでしょうが」

 

 太刀川隊と風間隊、そして当真さんの遠征いつも通り感は流石だな。うちは小町も含めて、由比ヶ浜と一色は疲れているようだし。雪ノ下は…生身なら体力尽きてそうだが、トリオン体だしな。

 無言でパンさんモフモフしてるのを見ると、今は随分リラックスできているようだ。会話に入ってこない分、疲れは溜まってそうだけど。

 

 その後、冬島隊隊長の冬島さんが船酔いでダウンしだしてからは、全員休むこと優先になっているが…あの、真木さん、俺だけ周囲の警戒しとけとか安全に運航しろとか、仕事押し付けないで…あ、いや、なんでもないです、睨まないでください!!遠征前に映画一緒に観に行くって話、すっぽかしてすみませんでした!!なんでも言うこと聞くので許してください!!

 

「なんでもって言ったの比企谷だから」

 

「ア…ッスー、帰ったら仕事溜まってるだろうし、それ終わってからで」

 

「なら私も手伝ってやるよ。2人でやれば早く終わるだろ?」

 

 あっ、これ逃げ場ないやつですね分かりますー。

 

 

***

 

 

「これが今回の遠征の成果です。お納めください、城戸司令」

 

「御苦労。無事の帰還なによりだ」

 

 3日後、無事に三門市へ帰ってきた俺達遠征部隊は、今回の成果報告の為に会議室を訪れていた。

 と言っても、未知のトリガー4つを差し出している風間さんに太刀川さん、当真先輩に俺の4人しかいないけどな。

 他のメンバーは、先に隊室へ戻っている。元々報告する際は、各隊の隊長ということになっているが…冬島隊長が船酔いしている為、代わりに当真さんが。初遠征で少しとはいえど、近界民同士の戦争に巻き込まれて疲労が溜まっているであろう、由比ヶ浜や一色、小町のフォローをするのは俺より雪ノ下の方が適任だろうとのことで、雪ノ下に代わり俺が報告会に参加しているというわけだ。

 

「さて。帰還早々悪いが、お前たちには新しい任務がある。()()()()()()()()()()()()()()()()()()になるだろうか」

 

 …わざわざ奉仕部という言葉を使うということは、俺は必ず出て来いよという任務ですね。なんだろう、物凄く嫌な予感がするんだが。帰りたい。帰ってマッカンと本に囲まれてぬくぬくごろごろしていたい。

 

「現在、玉狛支部にある、()()()()()()()()だ」

 

(ブラック)トリガー…!」

 

「玉狛?」

 

 どうやら遠征の間、近界民(ネイバー)が突如として現れたというのだ。三輪隊が交戦し、(ブラック)トリガーの起動を確認したと。その能力は『()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。

 相変わらず(ブラック)トリガーはどれもこれもチート性能すぎる。天羽といい、迅さんといい、新たに現れた近界民(ネイバー)といい、ノーマルトリガーが逆立ちしても勝てないような性能差だ。

 …そんなチート性能に勝つ為にも、訓練を続けているわけだが。

 

 野良近界民(ネイバー)が黒トリガーを持っている。しかし、それだけなら恐らくだが、城戸司令はこんな任務を出しはしない。

 三輪隊からの報告を聞いていると、どうやら迅さんの手引きにより、玉狛支部でその野良近界民(ネイバー)が入隊したとのことだ。

 

近界民(ネイバー)がボーダーに入隊!?なんだそりゃ!」

 

 当真先輩が驚いているが、玉狛にはエンジニアにクローニンが、お子様として陽太郎がいるのだ。今更、おかしな話でもない。

 問題は、その近界民が玉狛へ入隊したことにより、迅さんの持つ『風刃』と合わせて、ボーダー内のパワーバランスが本部と玉狛で逆転するということだ。それだけ、黒トリガーとは強力な代物なのである。

 本部所属の天羽が使う黒トリガーが全てを吹き飛ばすとしても、ぶっちゃけ更地にしかならん。もしそんなことをすればボーダーの印象はマイナス、加えて隊員の中から離反者が出る可能性すら考えられるから、なりふり構わない状況にならない限り切れるカードではない。

 

「黒トリガーの行動パターンは?1人になる時間とか決まってんの?まさか、玉狛の全員を相手にするわけにはいかないだろ」

 

「現在もうちの米屋と古寺が監視していますが、黒トリガーは毎朝7時ごろ玉狛支部にやってきて、夜9時から11時の間に玉狛を出て自宅に戻るようです」

 

「チャンスは毎日あるわけだねぇ。ならばしっかりと作戦を練って…」

 

 根岸さんがそう思案顔で話すが、おそらくそうはならない。太刀川さんであれば…というか俺なら毎日なんて言わない。

 

「いや、今夜にしましょう、今夜」

 

「「「……今夜!?」」」

 

 三輪隊の三輪や奈良坂、根岸さん鬼怒田さんは驚いているが、風間さんや当真先輩は話を聞くような姿勢をみせる。

 風間さんに至っては、「こいつ戦闘面はまともなこと言うんだがな…」みたいな顔をしている。普段から大学関連で困らせすぎだろ…。

 恐らくにはなるが。今夜に近界民を襲う理由は、別に俺達遠征に選ばれた部隊が全員で対応するから、黒トリガー2つくらい楽勝だぜ!…なんてことはなく。むしろ逆な理由だ。

 『相手の攻撃を学習して自分のものにする』という性能の時点で、正直なところ、今、この瞬間にもボーダーのトリガーを学習している可能性はあるのだ。加えて、ボーダーのトリガーがどんなことが出来て、どんな性能なのか、どんな戦い方があるのかを、玉狛支部であれば、宇佐美辺りから教えられているところかもしれない。

 ならば、今夜に襲撃をかけるのが一番勝算が高いだろう。日が経つに連れて勝算が落ちていくだろうし。

 

 俺が1人で思考の海にダイブする中、同じような内容を太刀川さんが話し、三輪の反論を論破していた。城戸司令より名が下り、太刀川さんが部隊の総指揮をとるようだ。

 A級の中でも選ばれた雪ノ下隊を除く遠征部隊に加え、8位の三輪隊まで仕向けるとは…本気だな。

 え?うちがなんで含まれていないのかって?

 

「城戸さん、うちの隊員達は初遠征の疲れもありますんで、俺だけ参加でもいいですかね?」

 

「…ああ。だが、他の遠征部隊に指令が下っているのに、雪ノ下隊だけ()()というのもおかしな話だ。ボーダー最精鋭部隊の1つが欠けた状態で、もし太刀川達が負けたらどうするつもりだ」

 

「…だから()()()()()()んでしょ。()()()()()()()()()()

 

「…いいだろう。雪ノ下隊は比企谷のみの参加としよう」

 

 …奉仕部の理念は魚が欲しいという依頼に対し、魚をとって渡すのではなく、魚のとり方を教えるというもの。ようは、単なる依頼解決に奔走するわけではなく、依頼者本人の自立を促すといった側面を併せ持っている。

 城戸司令の口から()()という言葉が出た時点で、俺の()()は決まっている。黒トリガーの確保が依頼の場合、確保する為の方法を教える…()()()()()()という形で、今回の件を()()()()してしまっても問題にはならない。

 

 …俺がこの4年間で研ぎ澄ました牙が、黒トリガー持ちの近界民相手にどこまで通用するのか。

 その答えが今夜分かることに、言葉にできない感情を抱きながら。

 俺は夜の決戦に向けて、準備を始めたのだった。




次からようやく原作主人公たちとの絡みですね!

今作品の八幡君は、どのような結末を迎えるのでしょうかね…。
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