やはり俺達のボーダーでの生活はまちがっている。 作:シェイド
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玉狛支部①
ポカポカと小南に殴られ続けていると、続々と降りてくる玉狛所属の隊員達。
…あのメガネとちっちゃい子は知らないやつだな。誰だ?
「比企谷先輩。無事だったみたいで良かったです」
「無事って烏丸、お前これ見て言う?」
「…っ!!っ!!」ポカポカ
「微笑ましい光景じゃないですか」
すん…っとした無表情で、そう言ってくる烏丸。木崎さんといい、烏丸といい…もしかしなくてもさっきまで、小南を抑え込んでいてくれたとか?迷惑かけてたりする?ごめんね?
「あ、比企谷。言ってなかったんだが、お前の依頼失敗に対して今回お咎めはないよ。城戸さん達も、お前の本気の戦闘が見れて満足してるようだしね」
「…本気の戦闘で空閑に情けかけたの、俺なんですけど…」
「まあまあ。比企谷が小南のことを想像以上に好きだったってだけじゃないか」
「え!?八幡、あたしのこと好きなの!?」
「ほらもうこうなるから!!」
はっはっは!と笑ってどこかへ行こうとする迅さんを引き留めつつ、小南からの掴みかかりながら「好きなの!?」って言ってくるのをなんとか躱そうとする。
「修、千佳。こんな感じで見た目根暗だし、目はヤバい人だが、大体うちに来たらいじられてるのが比企谷先輩だ」
「どんな紹介の仕方してんだ烏丸!!このバイト戦士!!」
「バイト戦士は別に間違いじゃないですけど…」
修、千佳と呼ばれた2人に若干引かれている気がする…烏丸!お前のせいだぞ!
「本部でもいじられてるから、結局どこでもいじられるのが比企谷君だよね~」
「宇佐美…やしゃまるシリーズまたぶっ壊すぞ」
「比企谷君の鬼!悪魔!八幡!」
「八幡は悪口じゃなくて名前なんだよなぁ…」
「「あははは…」」
また引かれてる…。
***
玉狛支部での空閑遊真、三雲修、雨取千佳との顔合わせを終えた俺は、迅さんを追いかけて屋上に来ていた。
コーヒーを片手に、まだ光の灯っている街を見続けている迅さんと、少し間を空け、MAXコーヒーを片手持っている俺。
…こちらを見てこないその目は、一体何を映しているのか。
「…迅さん」
「どうした?比企谷。さっきも言ったけど、お咎めないのは本当だぞ」
「それですよ。何もお咎めがないわけないじゃないですか。任務失敗したのは俺達の方だ…何したんですか」
「…ここで教えなくても、この後そのままの足で上層部の誰かに会いに行きそうだし…」
一度そこで言葉を区切り、俺の方を向き真面目な顔を見せる迅さん。この人のこんな顔、初めて見たかもしれない。
「『風刃』を本部に渡したんだ」
「…は?」
『風刃』って、黒トリガーのあの『風刃』を?
『風刃』は、旧ボーダーに所属していた迅さんの師匠、最上宗一さんが黒トリガーとなった姿だ。師匠の形見とも言えるそれを、本部に…?
「比企谷達が遠征から帰ってくる前に、さっきのメガネ君が遊真と出会った。警戒区域外にゲートが発生したり、小型のトリオン兵が大量に出てきたりしたんだけど、2人のおかげで解決したわけだ。詳しいことは本部に帰ってから報告書を見返してもらうとすぐ分かるよ」
「…俺が聞きたいのは」
「そんなことじゃない、だろ?分かってるよ。もう、時間がなくなってきてる。早めに伝えとく方が、良い方に未来が進みそうだからな」
そこからは今回の件の顛末と、今後の話をしてくれた。
元々空閑は、親父である空閑有吾が黒トリガーとなったのを良しとしておらず、元に戻す方法を模索してており、その旅の中で空閑有吾の出身地である日本、三門市にやってきたということらしい。
だが、ボーダーではまだその技術は確立されていない…というより、黒トリガーのこと自体もそこまで究明が進んでいないのが実情だ。ノーマルトリガーより強力であることと使用者が限られるというくらいしか広まっていない。
…生前の黒トリガ―の元になった人間の全生命力が込められており、恐らくだがトリオン供給器官を黒トリガー創造時に取り込んだトリガーとなる為、使用者のトリオンに追加してトリオン量が増えるという見立てを、どこかのデブが言っていたくらいで。
空閑有吾さんの息子と言えど、黒トリガーを野放しに出来なかった上層部が三輪隊を差し向けるが、遊真相手に敗北。また、イレギュラーゲートといい、遊真襲撃時といい、当時はC級だった三雲が毎回居合わせることから、三雲もマークされていたところを、迅さんが介入したと。
…今回の件も、元々『風刃』を渡して空閑の入隊の許可を得られるようにしようとしていたそうだが、前までは『風刃』に箔が足りなかった。A級トップチームを相手に一方的にダメージを与えられ、かつ使用者をあまり選ぶことのない『風刃』の方が、未知数の黒トリガーよりも有益だと判断したそうだ。
「玉狛にある黒トリガーの確保、という点であれば目的を達したってわけですか」
「そういうこと」
「…随分と空閑に入れ込んでいますね」
「それ、太刀川さん達にも言われたよ。何を企んでるってさ」
「いつも怪しい行動ばっかしてるからでしょ。暗躍大好きおじさんって留美に今度教えときますから」
「おじさんはやめてね?」
暗躍大好きお兄さんならいいのかよ。どちらにしても怪しさ満点の嫌な男感満載なんですがそれ…。
「で、比企谷。お前が聞きたいのは今後の話だろ?」
「…はい。留美の直観を聞いてから半信半疑でしたけど、迅さんの最近の行動でなんとなくは」
「そうか」
俺はこの日、近々近界民により大規模侵攻が行われること。そして…そこで起こりうる未来を知るのだった。
***
翌々日。玉狛支部に泊まらせてもらった俺は、再度空閑、三雲、雨取と向き合っていた。
え、昨日はどうしたって?『強化神経』の副作用で寝込んでたよ?あの乗り物酔いを10倍にしたような気持ち悪さと体調悪くなるの本当にどうにかならないかな…。
小南がせっせと身の回りのことをしてくれようとしていたのは嬉しかったのだが、如何せん気持ち悪いことこの上ないのにカレー大量に盛ってきやがって…体調不良の時って、普段好きな料理や食べ物ですら、気持ち悪く感じるの不思議だよね。普通にポカリとかお粥が良かったな。
…もちろん、渡されたカレーは全部食べたし、吐かないように地獄のような時間を過ごしてたが、小南が嬉しそうにしてたからいいのである。2日間は寝込むと思ってたけど、栄養たっぷりのカレーを無理矢理にでも食べたからか、1日だけで済んだし。
「昨日まではバタバタしてたけど!改めて3人に紹介するね。A級2位の雪ノ下隊に所属する比企谷八幡君だよ」
「比企谷だ。玉狛にはたまに顔出すだろうからよろしく」
「よろしく」
「よ、よろしくお願いします!」
「…」ペコ
このうちの空閑と雨取は、次の入隊試験でC級隊員として正式入隊するとのこと。三雲はB級個人だから、2人がB級に上がった後に部隊を結成するんだとか。
それぞれ、空閑は小南、雨取は木崎さん、三雲は烏丸に師事して特訓をしてるんだと。A級トップ層に鍛えられた新人2人とか…え、次の入隊試験荒れない?ここに留美も加わるし…。
「で、今日は何するんだ?」
「三雲君と千佳ちゃんは走り込みから。遊真君は小南が帰ってきたら戦闘訓練するんだっけ?」
「それまで暇だけどね。だから今日は、オサムとチカの走り込みについて行こうかなって」
「じゃ、俺も一緒にやっていいか?」
***
「ぜーぜー、ひーひー…」
「三雲お前、体力なさすぎだろ…雨取なんてケロっとしてるぞ…」
「み、三雲君、お水飲める?」
「あり、がとう…はぁ、はぁ…」
「オサムはこれでも最初よりだいぶ走れるようになったからね」
「そうだぞ!!ハチマンやチカよりぜんぜんたいりょくないけど、これでもふえたんだぞ!」
「ぐふっ!」
「陽太郎、そこまでにしなさい。三雲がトドメ刺されてるから」
しばらく、こんな感じで軽く書いていきます。
気が向いたら長いの書きますが。