バンジョーとカズーイの大冒険 ~ライトノベルアドベンチャー~ 作:作者アアアア
クルクル山のふもとにある一軒家、そこには二人の生物が住んでいた。
黄色のパンツに青のリュックのクマ、リュックの中には赤色のトリ。
かつては恐るべき魔女を何度も倒したという実績を持つ最強のふたりだったのだが、最近、冒険に出かけなかった結果、ブクブクと太ってしまった。
自宅でくつろぐ二人。
「はぁ~、最近暇ねぇ~、バンジョー」
「平和でいいじゃないか、カズーイ」
そう言って、バンジョーは手元にあるピザを掴み貪る。
一方、カズーイはコントローラー両手にゲームに熱中していた。
「そういえば、どこぞの格ゲーではDLにジョーカーとかいうよく分からない仮面をした変質者が参戦したらしいわよ」
「へぇ~」
「そんなぽっと出の奴よりも、世界レベルのあたい達を呼べばいいのに」
「カズーイ、そんな事を言っちゃダメだよ」
こんなある意味危険な会話もしつつ平和を謳歌していた。
「……けて」
「何か言った? バンジョー?」
「ううん」
「じゃあ、聞き間違いね」
突然、誰かの声が聞こえるが特に気にしない。
「……助けて」
「カズーイ、何か聞こえないかい?」
「空耳でしょ」
二人揃って無視をするからか声の主はしびれを切らして叫んだ。
「助け求めているんだから、早く来る!」
「うおわああ⁉」
「ギエー⁉」
驚きのあまり椅子から転げ落ちバンジョーははずみで、カズーイを下敷きにする。
「う、う~ん」
「何処の誰か知らないけど、呼ばれているみたいだし行くわよ!」
立ち上がったバンジョーにカズーイは頬を叩き歩かせた。
しかし、肥えた二人はよろよろと歩き、一歩一歩歩んでいくたびに、ズシンズシンと音を鳴らして歩んでいく。
全盛期の頃なら三十秒で着くであろう距離でも、三分かけて辿り着くと、一冊の本を拾う。
「これは……本かな?」
「今時、紙の本なんて珍しいわねー」
そう言って、バンジョーは表紙もタイトルも書かれていない真っ白な本を拾いページを捲った。その瞬間、本が光りだした。
「う、うわっ⁉」
「ちょっと! 早く閉じて!」
閉じるよりも早く、二人は本の中に吸い込まれていった。
「うわああああああああ」
「うわああああああああ」
宙から地面に向かって落ちていく二人。
「オォウ⁉」
地面に叩きつけられ悶える。
「うぅ……ここは本の中?」
「本棚多すぎない?」
辺りを見渡すと真っ白な空間には大量の本棚が並んでいる。
「二人共……」
その時、二人の頭上から銀髪のロングヘアに色白、白のドレスの女性が降りてきた。
「私はベラノと言います」
ベラノは名乗ると深々とお辞儀をする。
「私は全てのライトノベルの創造をしています」
「放課後バトルフィールドとかも?」
「何だいそれ?」
「ふふっ良く知っていますね」
疑問を浮かべるバンジョーに対してベラノは微笑む。
「私はここで全ての世界の管理をしていました」
歩きながら説明を続ける。
「ですが、ある日グランチルダと名乗る魔女が現れ、他のライトノベルの世界に逃げ込んでしまったんです」
「え、オババが⁉」
「更に、私が追えないようにと何かしらの魔法で鍵を掛けたようです」
「あれ、ログさんの所で永久就職したんじゃあ……?」
腕を組んで唸るバンジョー。
「就職? 確か、工場勤務は嫌じゃ、とか言っていたよような……」
「とにかくオババが絡んでいるって聞いちゃ、黙っていられないわね」
「ベラノさん、分かりました。僕らでグランチルダを捕まえます」
「二人共……ありがとう」
こうして戦う事を決めた二人だが、問題が二つある。
「とは言ったものの、この体じゃあねー」
「でしたら」
ベラノは両手を広げると、左手にバンジョーとカズーイと書かれた本、右手にペンを出す。
「ちょっと待って下さいね」
ベラノは手にしている本を開くと、ペンで文字を書き込む。
『ベラノの力によりバンジョーとカズーイは全盛期の頃の身体能力を取り戻す』
その時、バンジョーとカズーイが宙に浮かび、ボンッと音と共に火花が散ると、ブクブクだった体が一気に痩せ、かつての冒険していた頃、64時代の姿になった。
「おお!」
「ついでに協力してくれる人も欲しいわね」
「……仕方ありませんね」
カズーイの厚かましさに呆れつつも、ベラノは再び文字を書き込む。
『バンジョーとカズーイの知り合いが何故か現れ二人のサポートをする』
そう書くと、ベラノの傍に小さな土の山、モグラヅカが現れた。バンジョーとカズーイが近づき声を掛ける。
「ボトルズ、いるかい?」
「メガネ君、引きこもってないで出てきなさいよ!」
「二人共、そんなに大声を出さなくても聞こえていますよ」
モグラヅカから妻子持ちのメガネモグラ、ボトルズが出てきた。
「はぁ……ここは一体何処ですか」
「ラノベの世界だよ」
「これからメガネ君も協力してもらうわよ」
「……分かりましたよ。所で二人はアクションを憶えていますか」
「勿論!」
「では、二人のアクションをほぼ全て使えるようにしましたよ。何か分からない事がありましたらモグラヅカを探して下さいね。では」
そう言って、ボトルズは地面へと帰っていった。
「では、最後にこちら差し上げます」
ベラノが指を鳴らすと、バンジョーの目の前に金色に輝くパズルピースが現れた。
「パズルピースでーす。沢山あつめて進んでねー」
ピースの気の抜ける挨拶を聞き、バンジョーはピースを拾った。
「恐らくそれは……」
「このピースを絵にはめ込めばいいんですよね?」
「そうなのですか?」
「前にもやったからね。それで、その絵は何処にあるの?」
「すいませんそれは……」
ベラノは俯く。
「僕らで探すしかないね」
「オババ、思いっ切り調子に乗ってるわね」
「さあ、行こうカズーイ。今回は少し違うかもしれないよ」
バンジョーは思い切り走り出す。
「お二人共、よろしくお願いします……!」
ベラノはそれを見守っていた。
無計画に新作始めたい病を罹った結果、所持ラノベ0冊、知識0、アニメ視聴0にも関わらず始めました。
活動報告に出して欲しい作品を募集しているので、見てくれると嬉しいです。