遠回りするユキ   作:苺ノ恵

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3.錯誤するユキ

 

 

 

 

「はあ!?優希夜君に彼女!?しかも相手は湊先輩!?」

 

「ちょっと…!声が大きいよ、ひまりちゃん…!」

 

「へー、あの女々しい優希夜がな~。こりゃ赤飯炊かなきゃな?なははっ」

 

「巴ちゃんも!ボリューム下げて…!」

 

 昼休憩、生徒会室に二人を呼んで昨日モカちゃんと蘭ちゃんが話し合っていた内容を伝えると、案の定、恋バナが大好物なひまりちゃんが暴走し始めた。

 

「でも、それなら蘭の大スランプも頷けるよね?」

 

「蘭があそこまで音を外すなんて珍しいもんな?つぐは理由知ってたんだよな?」

 

「うん…。一応モカちゃんにもカマかけてみたら『……今日の蘭はきっと女の子の日なのですよ~』ってはぐらかしてたから、多分確定だと思う」

 

「モカがそれっぽいこと言う時は隠し事がある時だもんな」

 

「それでそれで!!優希夜君と湊先輩、実際のところどこまで行ってるの!!?もしかしてチュー以上のことも…キャー―――!!!」

 

「それで?つぐはこのことアタシたちに相談してどうするの?」

 

「分からない…。でも、蘭の不調の理由を共有しておいた方が、変なすれ違いも起こらないかなって思って」

 

「なるほどなあ。まあ、人の色恋沙汰に首を突っ込むほど無粋なことはないしな。あたし達はあたし達で優希夜が恋が上手くいくよう応援したらいいんじゃないか?」

 

「そう…なんだけどさ…」

 

「?つぐ?」

 

「えっ…もしかしてつぐみ………三角関係展開キターーーーー―!(//‘∀‘//)」

 

「ひまりちゃんはちょっと黙ってて。…考えてみて。あの湊先輩だよ?純粋に誰かに恋をするなんてあり得るのかな?」

 

「それはちょっと湊先輩に失礼過ぎない?それと今日のつぐみ私に冷たくない?」

 

「それはいつものことだから気にすんなひまり。__つまり、湊先輩が惚れてるのは優希夜っていう男にじゃなくて、優希夜の持ってる才能の方ってことか?」

 

「考えたくないけど…奥手の優希夜くんが湊先輩に告白したっていうのは考え辛いの。なら、湊先輩の方からアプローチがあったって考えるのが自然で、その目的が優希夜君の才能…作詞・作曲にあるんだとしたら__」

 

「素直に頷けるってわけか?」

 

「……うん…」

 

「なるほどな…」

 

 優希夜君は私たちにとって弟も同然の関係だ。

 

 そんな大切な家族が、恋心を利用されて弄ばれているのだとしたら…私は湊先輩を絶対に許せない。

 

「つぐの言いたいことは分かった。でも、結論を出すのは早くないか?もう一度思い出せ。蘭は『優希夜が湊先輩と付き合ってる』って、確かにそう言ったのか?」

 

「………」

 

「もしかしたら、優希夜の片思いをブラコンの蘭が、もうデキてると誤解して、話が飛躍してるのかもしれないぞ?」

 

「あっ、確かに!巴すごい!名推理!!」

 

「でも…もしかしてって思うと…」

 

「つぐの推測が正しいのかもしれない。でも、今は待とう。分からないまま動くのが一番危ないから」

 

「と、巴が正論言ってる…!今日は雨かな?」

 

「___よし!つーことで今日の放課後もいつも通り練習頑張ろうぜ!今日はひまりが駅前のたい焼き奢ってくれるらしいから気合い入れてくぞ!!」

 

「ちょっと巴!?私そんなこと言ってないんですけど!!?こら、待てー!」

 

 巴ちゃんを追ってひまりちゃんも退出する。

 

「そうだよね…考えすぎだよね…」

 

 私も一旦、今回の話は忘れていつも通りの私でいようと思う。

 

 モカちゃんと蘭ちゃんが屋上で待ってる。

 

 私も行かないと。

 

「いつも通りに___ね」

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

(?生徒会室に誰かいる?……この声は…つぐみちゃん?とAfter glowのみんな?)

 

「___ユキヤ君____湊先輩____キス以上___キャー――!!!」

 

「湊先輩___惚れて___ユキ___」

 

「___自然で___るんだ___」

 

「もしかしたら____デキてる____」

 

(え…えっ?えっ?…友希那ちゃんが…シちゃって………デキちゃってる!!!?)

 

「____今は待とう」

 

(やばっ!!)

 

 私は廊下の陰に隠れる。

 

「今日はひまりが駅前のたい焼き奢ってくれるらしいから気合い入れてくぞ!!」

 

「ちょっと巴!?私そんなこと言ってないんですけど!!?こら、待てー!」

 

 物陰から声の主を確認すると、やっぱりAfter glowのみんなだった。

 

 少しして、つぐみちゃんが出てくる。

 

 つぐみちゃんは生徒会室のドアに鍵を掛けながらそっと呟いた。

 

「いつも通りに___ね」

 

(これって…!)

 

 つぐみちゃんが生徒会室を去っていく姿を見ながら、私の脳はある結論を導き出す。

 

「ユキヤ君って子と友希那ちゃんが付き合ってて、友希那ちゃんが妊娠………お姉ちゃんに報告しないと!!もう!!こんなの、るんってこないよーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 物語は加速していく___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ___誤った方向に

 

 

 




みんなお願いだ…!私は早くユキ×ユキを書きたいんだ…!外野のみんなは大人しくしてて…!ちょっと日菜ちゃん待ってお願い!

キャラを御しきれない作者の末路です。

この先、一体どうなるの?(震)

それではまたの機会に

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