逃げ出した少女   作:みっくん

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他の作者のSS読んでたら勢いで書いてしまった。


1話

少女は逃げていた。自身を取り巻く環境や家族、その全てから。

 

自身の家の特徴である真紅のような髪を振り回しながら何処を目指すこともなく走り逃げる。

 

親の領地である森だから直ぐに摑まると頭の冷静な部分で考えながらも逃げるのだ。

 

彼女の名はリアス・グレモリー。グレモリーと言えば冥界において慈愛の一族とまで呼ばれている者たちだ。

 

悪魔らしく狡猾でありながらも身内には甘い。その姿から慈愛と呼ばれている。

 

リアスの兄であるサーゼクスは現在名を変えサーゼクス・ルシファーと名乗っている。

 

悪魔社会においてルシファーは魔王を指す言葉だ。彼の他にも三人ほど魔王がいるので四大魔王と呼ばれ冥界を統治している。

 

彼女の家族は慈愛の一族らしく彼女に甘い。魔王となった兄ですらリーアたんと自身を呼び何かと世話を焼いてくれる。

 

彼女にとってそれらは煩わしかった。当然のことながら家族の事が嫌いなわけではない。しかし、迷惑なのだ。

 

リアスに宿るグレモリー特有の滅びの魔力。かなりの密度でその血を受け継いでおり、リアスの扱う滅びの魔力は魔王であるサーゼクスですら目を見張るもの。

 

ならば家庭教師や何やらを付けて成長を促すと考えるのだが、リアスにとってはいい迷惑だった。

 

確かに自身の扱う魔力に付いて力を伸ばせる事は嬉しい。彼女も悪魔である以上力を求める。しかし、家族とはいえ自分以外の

考えで伸ばしたくないのだ。

 

何をするにも周りが世話を焼き彼女の意思は其処に存在しなくなる。故に彼女は逃げた。

 

着の身着のまま家を飛び出し、グレモリー家の領地である森に逃げ込んだ。

 

時刻は既に遅く暗がりの森の中立ち止まってしまったら最後だ。幼い彼女にとって人気の無い薄暗い森の中は恐怖以外の何物でもない。足を止めてしまってからは其処から動けなくなりぱっちりと開いた瞳からは雫が零れる。

 

 

少女が泣いている時、少女と同様に森を歩いている一人の男が居た。

 

灰色の髪を適当に切り彼方此方に跳ね返っている。背丈は高く、服から覗く腕や脚の筋肉はかなりのモノ。

 

グレモリーの領地だというのに我が物顔で歩く男には知らぬ人が見れば頭が可笑しいのではと考えるが、生憎と森の中には他者がいない。

 

誰にも邪魔されることなく彼は森の中を闊歩する。

 

「相変わらず此処の森は良い……疲れた心を癒してくれる」

 

男は疲れが混じった声を漏らす。しかし、疲れたという割には彼の纏う雰囲気は生気に満ち溢れている。

 

最近は机での仕事ばかりで体を碌に動かしていなかった。首を横に振りながら何をすることもなく歩く。

 

そんな彼の目に木を背に体育座りをしている少女が止まった。

 

「……?こんな時間にこの森に少女が……おい嬢ちゃんどうしたんだ?」

 

思わず声を掛けてしまう。普段男を慕ってくれる子供たちにも困っていたら声を掛けてしまうレベルにはお人好しな男だ。

 

只ならぬ雰囲気を纏う少女を見て声を掛けるのは自然の事だった。

 

「……あ、なたは?」

 

「ああ、そうだった自己紹介からか。んんっ……俺の名はグルド、グルド・バルバトスだ」

 

「バルバトス?……何故そんな人がこの森に……」

 

「この森には癒しを求めてきてるんだ。静かだし休むには良いんだよ」

 

「そう、ですか……あたしはリアスです」

 

「リアス?その名前どっかで聞いたような……ってグレモリーの姫さんじゃないか。どうしてそんな子がこの時間に」

 

「家出です。全てが嫌になったので……」

 

「家出か。君の事は詳しくは知らないが、君位の歳の子がこの時間にこの森は危ない。グレモリーの姫さんだとは分かってけどお兄さんで良ければどこか安全な場所に移動しよう」

 

内心で乗るわけがないよなと愚痴る。

 

グルドからするとグレモリー家は苦手だ。悪魔社会において慈愛という相反する肩書を持った一族。グルドも領民からは慕われており、分からなくはないがサーゼクスを輩出して以来距離を置いている。

 

サーゼクス・ルシファーは今でこそ魔王と呼ばれているが、その実前魔王を実力で追い出し魔王の席に座った男だ。

 

幾ら悪魔社会が実力主義とは言えもう少しやり方がなかったのだろうか。確かに前魔王であるルシファーの事は好かなかった。それでも彼は立派に魔王らしく他種族との戦争で猛威を振るっていた。

 

今日の悪魔が生きていられるのは彼のお蔭でもある。そんな考えをしているからグルドはサーゼクスの生家であるグレモリーが苦手なのだ。何時自身に魔王の力を振るわれるのか気が気でないのだ。

 

「……いいの?迷惑をかける、よ」

 

「嬢ちゃんのような歳の子は遠慮なんていらん。お兄さんが良いって言ってるんだ。それともお兄さんが怖いかな?まぁ、鍛えてるから筋肉がすごいとは思うけど」

 

「んーん、大丈夫。お兄さんが良いなら付いてく、いや連れて行ってください。あたしはグレモリー家から離れたい……」

 

その言葉を最後にリアスの意識は闇に沈んでいった。

 

幾ら親の領地と言えど普段よりつかない森の中を木々を避けながら走るとなればそれは疲れる。首を落としスースーと気持ちよさそうな寝息だけがグルドの耳に入る。

 

「はぁ、またグレイフィアに怒られるなぁ……子供を連れて帰ってきてって」

 

寝入ったリアスを背負うと彼の足元に紫色の魔法陣が現れる。

 

魔法陣の中心にはバルバトス家の証である剣と剣が重なる紋様が浮かんでいる。バルバトス家は前魔王から領地を頂いておりそれは新魔王の体制になってからも続いている。重なる二つの剣はバルバトス家の象徴であり、バルバトス家が武力を誇る家だと他者に伝えるためにある。

 

魔法陣に身を任せるとグルドとリアスは森から姿を消すのだった。

 

☆☆☆

 

グルドとリアスが出会ってから10年以上の月日が経った。

 

リアス以外の後継ぎがいないグレモリー家は必死になってリアスの消息を追った。魔王であるサーゼクスの力すらも借りて。

 

その結果リアスは森で姿を消し去って以降その行方は分からないとなり、一族は酷く落ち込んだ。

 

彼女の扱う滅びの魔力は上手く鍛え上げればサーゼクスすらも上回ると期待されていただけに落ち込みは大きい。

 

一族が沈んでいる中、予想外の方向からリアスからの連絡が届いた。

 

グレモリー家が慈愛の一族と呼ばれるに対し、バルバトス家は絶武の一族と呼ばれている。バルバトス家の治める領地では頻繁に武力を競う大会が開かれる。

 

種族の生き残りをかけた戦争から幾年もの日が経った今でも血が滾る者たちを発散させるためだ。バルバトス家において武力は象徴であり、武力で物事を決めることが多い。

 

例外としては領地法などの事は話し合いで決めるが大多数は武力だ。次期当主と呼ばれていたグルド・バルバトスが当主になってからもそれは変わらなかった。

 

故にグレモリー家とは反りが合わなかったバルバトス家からリアスの連絡が届いたことに驚きを隠せなかったのだ。

 

さらに驚くのはその連絡の内容だ。簡潔すると、

 

『リアス・グレモリーは本日をもって名をリアス・バルバトスと改めます。同時にグレモリー家とは距離を置くことにします』

 

事実上の絶縁状だった。

 

サーゼクスを中心に困惑した。何をどうすればリアスがバルバトスになるのか。またどうしてリアスはグレモリーを離れるのか。

 

色々なことが頭をよぎるが、何度読み直しても送られてきた手紙の内容は変わらない。

 

バルバトス家に抗議を送ってもリアスの意思は変わらず、結果としてリアスの要望通りとなった。

 

そんなリアスだが今は寝室に身を置いていた。

 

キングサイズはあるベッドに一人横になっている。グルドと出会った頃は起伏の少なった体も今では見間違うほどに育った。

 

男なら二度見はするであろう大きな乳房。服を纏っていても盛り上がりがハッキリと確認でき、男の目を止めてやまない。

 

臀部も乳房同様に大きく丸みを帯びており、その二つだけで世の女どもは羨むのに肝心のウエストは引っ込んでいる。男と女の理想を体現するかのような肉体となった。

 

「んっ……朝?」

 

体をゆっくりと起こすと目に入るのは朝日と風に揺れる白いカーテン。

 

グルドに相談して買ったカーテンはリアスのお気に入りだ。カーテンを見て思わず頬が緩む。

 

リアスの歳の割に豊かに育った肉体を包んでいるのは薄いネグリジェ。リアスの好みもあるが一番は思い人であるグルドに自身を意識してもらう為だ。

 

グルドは見た目こそ好青年だが中身は既に何百年もの月日を生きる悪魔だ。それ故歳若いリアスを異性として意識されることがなく、恋する乙女としては複雑な気持ちなのだ。

 

グルドと出会ってからグレモリー家にいた頃では得られなかった多くの経験を得た。武力を重んじるバルバトスの領地では自身の力を伸ばすことが出来た。

 

嘗ては飛ばすことしか頭になかった滅びの魔力も身に纏ったり、武器に纏わせたりと多くの者と戦う中で磨き上げた。

 

まだまだ発展途上だが、自分でもびっくりするぐらいに成長出来ていると思う。

 

昨日も誘惑したのに反応がなかったと残念に思いながら制服に手を通す。

 

バルバトス家に入ってからは戦い方や統治者としての知恵などを教え込まれたが、肝心の領民の心までは教えてもらえなかった。

 

グルドに無理を言ってバルバトス家の有する領地で一学生として過ごしている。

 

人界の日本と言う国にある駒王町。リアスはその町に拠点を置き、駒王学園へと通っている。

 

駒王町の管理はバルバトス家が行っており、リアスの通う三年間の間領主代行として経験を積みなさいとグルドから言われている。

 

自身にとって都合の良いグレモリー家に居たままでは出来なかったであろう料理をし、身嗜みを整えていく。

 

教材を詰め込んだ鞄を手に取ると家を飛び出した。

 

駒王町はバルバトス家が所有していると宣伝はされているのものの日夜多くの他種族が侵入を試みてくる。

 

しかし、その多くが夜に活動することが多いので学校に通う昼間は使い魔を町全体に放ち監視している。勿論、リアス以外にも派遣されているグルドの眷属たちも協力して見回りをしている。

 

「おはようございます!リアスお姉さま!」

 

「ええ、おはよう」

 

校内を歩くリアスを見かけると男女問わず生徒が挨拶をしてくる。それに笑顔で返すリアス。

 

見た目が良いだけでなく性格も良く成績が良いリアスは駒王学園のお姉さまとまで言われている。駒王学園は最近まで女子校だった事もあり生徒の多くは女生徒だ。

 

女の怖さを同性である以上知っているリアスは外行きの仮面を学校では被っている。誰にでも優しいお姉さまと言う仮面だ。実際は年上の男に恋する我儘なお姫様なのだが。

 

「今日も人気ねリアス」

 

「嫌われるよりは良いわよ。おはようソーナ」

 

「ええ、おはようございます」

 

教室に入ったリアスに声を掛けたのはメガネを掛けた知性を感じさせる顔つきの女生徒。生徒の名は支取蒼那。

 

本来の名をソーナ・シトリーと言いリアスと同様悪魔だ。グレモリー家と同様新魔王を輩出したシトリー家の次期当主だ。

 

ソーナの夢を叶えるための一歩として駒王学園に通い日本の教育を学んでいる。

 

シトリー家がバルバトス家に借りを作る形で駒王町への出入りを許可されている。しかし駒王町にいる間は対等だとリアスが伝えておりソーナとリアスは良き友人だ。

 

「聞いたかしらあの話」

 

「話?」

 

「うちの学園を乏しめる変態三人組がまた迷惑をかけたそうよ」

 

「相変わらずなのねあの人たちは……」

 

余りの話に頭痛を感じ頭を抱えてしまう。

 

駒王学園に在籍する変態三人組。名を兵藤、松田、元浜と言う。駒王学園が元女子校の事もあり学校に通う女子生徒のレベルは日本全域を見てもトップクラスだろう。

 

変態の名に恥じないというか彼らはあの手この手で女生徒の裸をその目に焼き付けようとしている。その行動と人数から変態三人組と呼ばれている。

 

リアスとしては代行とはいえ無事に治めている領地に困らせる輩がいるのが目の上のたん瘤だ。

 

しかし相手は人間との事もあり手を出すことは出来ない。他の悪魔なら話は変わるのだろうがバルバトス家は別だ。

 

武力派でありながら他種族に迷惑をかけることを良しとしない。そもそも駒王町を統治しているのも日本政府、日本神話勢との交渉を踏んでいる。

 

結果として悪魔を代表とする天使、堕天使の三大種族がちょっかいを掛けてきた場合の対処を条件に統治の許可が下りている。

 

「彼らは分かっているのかしらね。次に迷惑を掛けたら退学処分を受けることを」

 

「学園長を通して伝えてあるわよ一応。まぁ、私としてもああいう感じの子は嫌ね。そもそも私にはグルド様がいるもの」

 

「あーまたリアスの病気が始まった……」

 

げんなりとした顔をしながらもリアスの言葉に反応を返す。

 

グルド様はカッコイイだの、グルド様は優しいなどグルドを褒め称える言葉ばかり言ってる気がする。知能の下がったような文字を並べ勢いよく捲し立てるリアスを見てソーナはため息を一つ付く。

 

お姉さまだの言われているリアスだが、実態を知っているソーナからすればそこらの生徒と何ら変わりのない少女だ。

 

変態の事を話していた時とはうって変わり笑顔で話すリアスをソーナは見つめるのであった。




作者はHSDDの原作を持っておらず、アニメすら視聴しておりません。

知識はWikiと二次創作だけなので結構適当設定です。今話も地の文というか説明ばかりでセリフが少ないのが悲しみ。

設定厨だから仕方ないと大目に見てください。頭に浮かんだ設定を文字に次々と起こしているとこうなってしまうんです。

オリ主であるグルド君はタグにある通りハーレムにする予定です。具体的にはリアス、グレイフィア、アーシア、レイヴェルの四人ですかね。

そもそも続く事すら作者にも分からないので現状は短編にしてあります。
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