逃げ出した少女   作:みっくん

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短いです。


2話

 

駒王町には人には見えない結界が町の形に沿うように張られている。

 

管理者代行であるリアスが現在は夜中に見て回っているが、基本的にこの結界を越えて侵入することが出来る異形のモノは少ない。というのもこの結界を張ったのが冥界でも名が知れているグレイフィアだ。

 

グレイフィア・ルキフグス。先代の魔王に従っていた一族の娘で現在はグルドに仕えるメイドだ。狼などの主には忠実な動物を彷彿させるような銀髪を腰まで伸ばしており、身に纏うのはグレイフィア自身が考案して手を加えられたバルバトス家のメイド服。

 

歳以上の肉付きを見せるリアスの起伏に富んだ身体よりも肉付きが良く、寧ろ他の男に唾を掛けられないかと心配になる程の美人だ。

 

先代魔王に従う程の実力の持ち主で定期的に人界に顔を出しては結界を調整している。日本政府や日本神話勢との密約を守るために駒王町の人々を危険に晒すつもりはない。万が一異形のモノが侵入に成功しても大幅なパワーダウンをさせられるおまけ付きだ。

 

「今日も結界の封印はバッチリね。流石はグレイフィアというべきかしら」

 

夜中に一人で結界を確認するリアス。この町には他にグルドの眷属がいるが、みな忙しい。リアスも管理者代行の身分で処理する事が出来る書類のみを捌くとすることはもうない。

 

本来なら見回りは他の者がするべきモノなのだが、捌ける書類が多くない為リアスが請け負っている。

 

今夜も無事に平穏だ。

 

☆☆☆

 

翌日リアスが校内に入ると不思議な噂を耳にした。

 

かの変態三人組が一人である兵藤一誠が恋人が出来たという。多くの者は他校の者だから一誠の悪行を知らないのだと同情の声を混ぜている。

 

リアスは不思議に思った。駒王町はさほど大きな町ではない。だからこそバルバトス家―悪魔が人界を学ぶに持って来いと管理する事を選んだ土地だ。

 

故に兵藤一誠の駒王学園での噂位は女子高生であれば一度は耳にしたことがあるのではなかろうか。少なくとも接点のないリアスですら知っている以上は他校にも広まっていても不思議ではない。

 

調べる必要がある。女子トイレに入ると他の生徒にバレない様に使い魔を放ち、かの女子生徒と街を監視している仲間に連絡を入れておく。

 

昔の自分であればグレモリー家に対する反発心から我儘を発揮し自分一人で解決に動くと思うが今は違う。少なくとも頼れる仲間がいるからこそ頼ることが出来る。

 

学校に通うリアスが出来る手はこれで終わりだ。用を終えてトレイを後にする。

 

リアスの通う教室がある三年のフロアは兵藤一誠の話題で盛り上がっていた。これほど話題性のある人物だったのかと頭の片隅で考える。

 

彼女の興味ある人物はグルドだけで他者にはさほど興味を持たない。外行きの仮面をかぶっている限りは人当たりは良くしている。

 

教室に入り今日も授業が始まる。

 

☆☆☆

 

結界の確認に足を運んでいたグレイフィアの耳にリアスから齎された情報が入る。

 

メイド服に身を包み町を歩くグレイフィアは注目の的だ。しかしその瞳は冷たさを帯びており、声を掛ける勇者は現れない。

 

簡単に整備を済ませると、スカートを翻す。ふわりと舞い肉付きの良い脹脛が覗く。

 

グレイフィア・ルキフグスにとってメイドとは主人の剣であり盾であると考えている。かつての主人はあまりにも化け物じみた実力を持っており、グレイフィアの助けなど必要とされなかった。

 

今の主人―グルド・バルバトスも実力の持ち主だが、魔王と呼ばれるほどではない。彼女からすれば絶好の主人だ。彼の剣となり盾となる。その傍らに世話を焼く。グレイフィアは満たされていた。

 

心がポカポカと温まるのを感じながら表情は変わらず無表情。熟練のメイドと呼ぶべきかポーカーフェイスが上手い。

 

「リアスの情報が正しければあの少女が件の変態の彼女さんでしょうか」

 

見回りを兼ねた散歩で寄った公園で一人佇む少女を見つけた。艶々と輝く黒髪を肩まで伸ばし、季節が夏に移行しようとしている時期だからか幾らか肌の露出が目立つ服装。

 

ただグレイフィアにはその少女の正体に一目で気が付いた。かの大戦中に幾度となく戦った敵それも堕天使の気配だ。

 

相手もグレイフィアに気が付いたのか此方を忌々し気に睨んできた。

 

「メイド服を着た悪魔……はっ!こんな時間によくもまあ平気な顔をして歩けるわね」

 

「それは此方のセリフでございます。如何に巧妙に隠しておれどもその溢れ出る力は堕天使のモノ。もう少し悟られない様になさっていは如何でしょうか」

 

「んぐっ!言ってくれるわね。丁度人もいない事だし、此処であんたには消えてもらうわ」

 

一瞬で服装を変え体のラインをこれでもかと主張するボンテージとなる。

 

右手にデカデカと輝く光の槍を作り上げるとグレイフィア目がけて投擲をする。堕天使の多くは天使と名の付く通り光属性を基本とし闘う。堕天使となったのは欲望の結果であり、彼らの根底は天使だ。

 

故に悪魔の天敵である光属性で仕留めたと慢心をしてしまう。悪魔だけでなくどの種族も自身の種族を誇りに持っており、明確な格上以外には見下す傾向を持っている。

 

そんな堕天使―レイナーレは目を見開くこととなる。自身の渾身の一撃を軽く右手を動かしただけで弾かれた。光の槍は公園の砂場に音を立て刺さると消え去る。

 

「なっ!あんた……」

 

言葉を最後まで言えずにレイナーレは体を真っ二つにされる。グレイフィアの右手にはナイフが握られておりそれで斬り捨てたのだろう。

 

それでもナイフで人体を切り裂くとはどれ程の実力なのか。ナイフに付いた血液をハンカチで綺麗に拭うと指を鳴らす。

 

少し間を開けてやって来た人間が想像するようなチビデビル達がグレイフィアの元に集る。簡単に指示を伝えるとチビデビル達はレイナーレの遺体を何処かへと運んで行った。勿論飛んでいく際には隠蔽魔法をかけ一般人には見つからない様に配慮している。

 

「一応これでリアスからの依頼は終わりかしらね。さっきの堕天使の仲間がいるかもしれないし警戒はしておきましょう。それに奴らがどうやって結界を超えてきたのかもね」

 

グレイフィアが張っている結界をグレイフィアに悟らせることなく破り侵入していた。何かしらの魔道具でも使用したのだろうか。少なくとも先程の戦闘でそこまでの力を持っているようには思えなかった。

 

 




レイナーレが退場しましたが、一誠が悪魔になるのは確定なのでご安心ください。まぁ、私としてはかのキャラ好きじゃないですけど。

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