漆黒に染まり静けさだけが広がる空間、足場もない所に浮く二つの影があった。一つは背が高く形から男性を思わせ、もう片方は背が低くく少女のような形をしている。二つの影は目の前にある浮くものに対し話している。
「マスター、何故この者を招き入れたんですか?」
「何、ただの気まぐれよ。この者から何かしらの力を感じたが……間違いだったようだが…」
魔導書 アル・アジフを" 同じように "追い詰め、大十字 九郎に必然的に再会……出逢いをさせ、後はあの場所で最初の戦いを待つのみ。だったが、今までに感じた事のない" 何か "が地球に現れた。そこで魔術で分身体を出し、本体は魔導書に行き分身体は気になる存在に向かった。そこにいた地に這う虫けらを招き入れたが間違いだったのだろうか?
「……ん?」
気を失った者が目を覚ましたようだが、果たして隠されし力を持っているのか否か。
「マスター…」
「あぁ、目を覚ましたか?」
「・・・・・」
本来なら感情を表し不安や寂しさといった感情を示す筈だが、この者は無感情に見える。顔で判断したのではなく、魔術で相手の心を見た結果である。殆どの虫けらや大十字九郎らを比べても異質な程にだが、環境や何かしらで至ったのならば納得もいく。
「虫けらよ、貴殿は何者だ?」
「・・・・・」
何も、答えぬか…。余の魔力を出し質問した筈だが……他とはやはり異質よ。
「マスター、もう消しても…」
「待て、エセルドレーダ。身勝手な行動は許さんぞ?」
「は、はい…」
戯れに付き合う程、余は暇ではない。だが、気になるものがあれば探求してしまうのは仕方がないことであり、決して誰にも邪魔はさせん。
「もう一度問おう、貴様は何も…」
「ハンバーグ…」
「ふむ、ハンバーグと申すか?」
名前とは世界に向けて自身の存在を示す鍵になる。名前を洋風にアレンジする者や逆も然りいたが……まさか食べ物の名を自身の名にするとは。この虫けらの肉親は嘸かし異質だったのだろう。
「・・・・・・フッ」
意外過ぎる名に、普段無表情のエセルドレーダすら微笑みを出すとは……面白く可笑しな奴よ。違和感が何かは分からないが、今"本体と大十字九郎ら"が戦う戦場に送れば見えてくるか或いは…
だが、単純に送るだけでは面白くない。ならば一つ問いを残そう。誰もが持つ矛盾にあるコレが、ハンバーグにある何かしらの機転になり、いつかは余の時間を面白みも増すであろう。
「ハンバーグよ、貴様にとって戦いとは何だ?」
ハンバーグの足元に魔法陣を展開させ問い掛けた後に転送をした。エセルドレーダは何も言わなかったが分かっているのだろう。余の永遠に繰り返してきた時間の中で、あの青年は何か光る物があるやもしれんと。
少ししてエセルドレーダが余に問いかける。
「マスター、質問しても良いでしょうか?」
「構わん、申してみよ」
申しにくいような困り顔をしながらも余に問いかけた。
「マスターの後ろにある袋は如何いたしましょう?」
余の後ろに浮かぶ食べ物が詰め込んだ袋があった。
………………………………
急に視界が暗くなると、目の前に二人の兄妹がそこにいた。それも美少女と美男子である……神は居ないのか!?
別にイケメンじゃなくてもやっていける筈だ。そうだ、普通で何が悪い?全てに置いて中途半端な普通な自分がイケメンに…イケメンに……
心の中で死闘し、落ち着いた頃イケメンお兄さんは此方に何か問いかけていたようだ。早く答えないといけないしあのイケメンお兄さん。絶対キレてるように見える。だって、妹さん怯えて黙ってるんだもん!!
早く答えなければいけない。だけど、此処で一つ疑問が残る。そう買い物をしたハンバーグと白米だ。
「ふむ、ハンバーグと申すか?」
つい口からハンバーグと言ってしまったけど大丈夫だよね?。それがイケメンお兄さんの質問回答になっちゃたけど。どんな質問してたかは分からない、でもそのハンバーグは夕食に出すだけで別に…
「・・・・・・フッ」
イケメンお兄さんは鼻で笑い、妹さんは必死に笑いを堪えている。
そこまでハンバーグを馬鹿にしなくても良いでしょうに!?
ハンバーグって実はマイナーで食べる方が可笑しかったのかな!?
それとも、常識が間違いだったのか…それを兄妹に問えない自分って。
悶々と自分自答する中、イケメンお兄さんから一つ問いが掛けられると同時に光に包まれた。
「ハンバーグよ、貴様にとって戦いとは何だ?」
次に目を開けると自分が知る街中ではないが、いかにも悪そうな巨大なロボット一体に、複数のロボット達が戦っているがダメージを受けているように見えない。……戦況はよろしくないみたい。
「此処は…それにアレは一体?とにかく、今は避難しないと……なっ!?」
避難行動しようとする矢先に見えてしまった。建物の壁を蹴りながら敵の攻撃を避ける白い巨人がいた。
「あの時の白い巨人!?だとしたらジョーイや博士達が戦っているのか?」
でも、もしそうなら尚更俺が行くと邪魔になるよね…。一応機体はあっても借り物を傷つける訳だし。それ以前に技術もセンスもメンタルも無い俺にはどうしようもない。戦況は随時変わる中、俺は安全な場所を探しつつも戦いを見守るしかなかった。
しかし、世界はどうも…拗れるのが好きらしい。
……………………………………
同時刻、戦場は激しさを増していた。
九郎達は圧倒的なチカラを持つマスターテリオンが乗るリベル・レギスに対して、自分戦いが出来る最大限に使い仕掛けるも、まるで子供を相手にしているかの様に弄んでいた。
そこに加え、興が削がれたマスターテリオンは重力結界を展開し、この場の者達は重力波に呑み込まれる。機体も戦艦もダメージが蓄積され危機的状況になったその時、伝説の忍びが現れる。
「む!? これは…!?」
伝説の忍び…飛影。この場に来る前、ロミナ達を助けてくれた忍びは再び現れ、縦横無尽に飛び廻りリベル・レギスに攻撃する。
「九郎、今こそが、千載一遇のチャンスだ!あのロボットが
奴を食い止めているスキに…!」
一瞬の隙に九郎・アルが乗るデモンベインは、忍びと共にリベル・レギスに攻撃を仕掛ける。怒りを一撃に込めながら…
「この…クソ野郎があぁぁッ!」
飛影の攻撃で身動きがとれない間に、デモンベインのアトランティス・ストライクを放つ。…つまりはラ○ダーキックですね。
「ほう…見事だ!」
デモンベインの一撃により重力結界は解ける。しかし、まだ終わりではない。
「フフフ、良いぞ。虚空よりの使者の助けがあったとはいえ、よくぞここまで余に詰め寄った」
「この気迫に免じて、今日のところは……といきたいが、余もまだやることがある。その為に今一度!!」
再び重力結界を展開するマスターテリオン。それを解呪を試みようとするも…
「またコレかよ!!それに何かが違う…一体なんだ!?」
「くっ、九郎!?」
重力結界のはずなのに自分達の操作は効かず機体は動けなくなった。そして、動けるはずの飛影は動かず何かを待っているように静観している。
「…さぁ舞台は整った。余を再び楽しませてくれ!」
マスターテリオンの声と共に、空の彼方から蒼閃光が迸り辺りは蒼白く染まる。光が収まると、リベル・レギスの前にこの場に居なかった人型の機体が立っていた。
「あれは何処かで…」
「マスターテリオンは知っていたのか…それとも俺達の窮地に現れた…のか。どっちにしてもお前が頼りだ…蒼き翼!」
竜宮島から行方知らずの蒼き翼、再び彼らの前に現れた。これは運命か、それとも気紛れか?それは果たして…
(あの妹さんに怒鳴られたんだけど…俺って出る必要あるのかな?)
読んで頂きありがとうございました。
更新速度は相変わらずですが、気長に…