ガンバライダーロード000   作:覇王ライダー

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第1話

ガンバライジング(GRZ)社

ここは様々な並行世界と繋がりを持ち、世界を束ねる一つの会社である。

ここでは常に並行世界の観測が行われており、各世界では彼らが生み出した模擬的な仮面ライダー「ガンバライダー」が世界の平和のために戦っている。

では、仮面ライダーという存在はご存知だろうか?

遥か昔より人類を守り、自由と平和のために戦ってきた所謂"ヒーロー"というやつである。

様々な並行世界でその目撃は確認されていてその世界ごとに守っているライダーも違うようだ。その種族も多種多様でバッタをモチーフにしていて格闘をメインにしているライダー、それとは対照的に魔法などの不可思議な力を用いて戦う仮面ライダーも存在する。

閑話休題。GRZ社に話を戻すとしよう。

そんなガンバライダーを生み出したGRZ社の技術とポリシーは世界政府にも認められており、各世界では彼らを称賛する声が常に上がり続けている。

彼らは現在も少し先の未来でも英雄を作る企業として各世界から注目を集め続けている。

という表向きの情報は皆さんご存知だろう。では、その裏ではどんなことが行われているかご存じか?

裏では人体実験・少年兵・使えない素体の抹殺などやりたい放題のトンデモ悪徳企業だ。

毎日何人もの老若男女が連れて来られて悪質な実験ばかり行われている。ある子供は永遠に戦わされ、ある老人は電撃を流されて死んでしまう。そんな毎日だ。

使えぬ素材はすぐに殺され、使える素材はいつまでも長く使えるように戦闘訓練を受け続ける。そんな世界だ。

鉄檻に閉じ込められた兵士たちは今日もそんな実験や訓練を受けさせられている。

このお話はそんな訓練を受けさせられている一人の少年について描いた話である。

 

今日もまた一人戦闘訓練を受けている少年少女が実験室へと呼ばれて銃や剣を携えていた。

そんな中で一際異彩を放っていたのがこの少年である。

-コードネーム ロード-

ロードは訓練を受け続けた兵士の中でも優秀だったそうで、研究員達が作り出した模擬戦闘用のマシンを次々に破壊する。ということでちょっとした有名人だったりもする。

そんな彼は今日も研究員の作ったマシンを破壊していた。

「また壊された!」

膝をつき叫ぶ研究員をよそにロードは粉々になった鉄くずをもう一度踏み潰した。踏み潰されたマシンはそのまま火花を上げて二度とそこから音を出さなかった。

ロードはそっと泣き崩れる研究員を見た。研究員もその視線に気づいたのかロードと目を合わせる。

「何だよ・・・お前は自分が壊すことで快楽を得てるんだろうな!このバケモノが!!」

研究員の負け惜しみの声を聞いたロードは無言でそのままその場を後にした。

「クソ!破壊王!冷血動物!!」

研究員が立ち上がりロードへと殴りかかろうとした時だった。他の研究員が走って彼の両腕をつかんだ。羽交い締めにされた彼は何かを叫んでいたがロードの耳には届かなかった。

毎度のことである。壊された本人達からの罵詈雑言、そして破壊王とまで呼ばれるまでの徹底のなさ。研究員のメンタルごと破壊する彼にとって破壊王は最も的確な言葉かもしれない。

しかし、冷血動物はそうかというとそうではない。彼をそう言わしめているのはあくまで戦いの中だけで彼の本性ではない。

そんな彼に人間の部分を見せられる人間も何人かいる。

 

-メディカルルーム-

傷ついた兵士や使えなくなった兵士達を引き取るのがこのメディカルルームである。

勿論傷の手当てやメディカルチェックなども行うが、死者を出すこの場所では死者の後処理、埋葬などの全てを任されている。

GRZ社のメディカルルームはここにしかない為、生き残った少年兵や実験台などにとっては唯一陽射しを見られる唯一の時間でもあった。

鉄くずを砕いたロードはメディカルルームへと入り、椅子へと座った。

「どうもロード。元気だった?あと寝癖直してね。」

そう話しかけたのは環(たまき) 真紀(まき)だった。環はロードの腕などを慎重に見ていく。

「え?寝癖ついてる?あとで直そうかな。」

ロードは少し明るい表情を浮かべて環へと言った。環はここの医務官であり、ロードの診察をしている。もうかれこれ十年ほど彼のことを診察していることになるだろう。

「あなたはすぐ怪我する子だから丁寧見ないとね。」

「環さん言い方が酷いよ。俺だって怪我したいわけじゃないし。」

環の言葉にロードは少し笑いながら環へと話す。本当に落ち着いた声で、先程まで破壊王とまで罵られた人間と同じと思えないほどだ。

環が一つずつ丁寧に見ていっていると、ロードの足へと差し掛かった。

「あっ、環さん待って。」

「ん?」

ロードはさっきよりも作ったような穏やかな表情で右足を後ろに下げた。何かを察したのか環は呆れたような表情でロードの足を握った。

「痛い痛い痛い!!!環さん待って!!」

ロードが後ろへと下がるが環もそれについて行く。壁へと差し掛かった時に環が聞いた。

「・・・また鉄壊したの?」

「は・・・はい。」

ロードが気まずそうに答えると環はため息をついてロードの椅子を元いた場所へと引っ張っていく。

「研究員の人たち泣き喚いてたよ?またロードに壊されたー!って。」

だって彼らに非があるじゃないか。自分は戦わされる兵器として作られて、彼らは知りもしないくせに自分のことを罵り傷のある言葉を飛ばしてくる。そんな彼らに当てつけをしてはダメなのか?

ロードがそう話そうとした時、環がロードの肩を持った。

「私はロードが怪我するようなことはしてほしくないし、あなたにこれ以上人の物や心を傷つけるような人になってほしくないんだ。」

ロードは神妙な面持ちで頷く。彼が目の奥に映していたのはこれまで破壊していたマシンやそれを壊されて嘆く研究者たちの姿だった。もしかしたら彼らに申し訳ないことをしたのかもしれない。自分は何とも思っていなかったとしても彼らは心の奥底から傷ついて挫けそうになっても作ったマシンをあんな淡々と壊してしまった。

もし見えていなかった否、見ぬふりをしていたのであれば彼らに謝罪しなければならない。

 

翌る日の昼間のことだ。ロードは再び実験室へと呼び出され、そこへと連行された。

ドアが自動で開くと、そこにいたのは六人の研究員だった。男の一人は前に出てロードの胸ぐらを掴んだ。

「今日こそはお前を叩きのめしてやるからな!」

そう言い放つとロードを突き飛ばして地面へと叩きつけた。

コイツら如きに負けるわけがない。こんな機械ごと叩き潰してやる。

そう思った瞬間に環の言葉が頭をよぎる。

「あなたにこれ以上人の物や心を傷つけるような人になってほしくないんだ。」

あの人はそう言っていた。そうだ、壊さぬように彼らへの最大の配慮を。そう思って見たマシンからは黒いヘドロのようなものが広がり、そこから何体もの黒い物質を生み出していた。その黒い物質は姿形を変えて動物や人間の形へと変わっていく。

「・・・気味が悪いな。」

「何だと!?」

ロードの一言に研究員は顔を真っ赤にして怒った。しかしヘドロが物質へと形を変えているのだから彼の言うこともわからなくはない。

ロードは顔を真っ赤にして憤怒する研究員をよそに周囲を眺めた。ざっと五十人ほどでマシンへは十歩あれば届くであろう。あとはー

"開始"

戦いの合図が鳴ると、ロードは腰から上ナイフを二本取り出して影を切り裂いていく。影は空中で黒い粉となって地に落ちていく。しかし

「・・・どうなっている?」

ロードはアーマーナイフで次々に切り裂いていくが、その数は減るどころか増えていく。粉の一つ一つが再生するかのように消えては増えるという活動を繰り返していた。

ロードは一気に駆け抜けて何体も何体も切り裂くが、その破片は地に落ちて新たな影を生み出していく。

「その粉は分裂と再生を繰り返し、無限地獄を生み出す兵器だ。これなら貴様も破壊できまい!」

コイツらそういうのは実戦に投入して適当に使ってろよ。ロードは心の中で愚痴はこぼすものの、それを知られまいと表情に出すことはなかった。今はそれどころではなく敵を切り裂いて今目の前にいる敵をどうにかしなければと精一杯だった。

考えろ。こんな時でも逆転の手立てはあるはずだ。そう考えていた時だった。

「ッ!!」

ロードは斬撃を鮮やかに空中で回避した。彼は天井へと大きくジャンプしてそれを回避する。その時だった。

「・・・?」

見た先には消火用のスクリンプラーがあった。恐らくは実験などで火災があった際の手段の一つなのだろう。どこにあってもおかしくないようなものだ。

「・・・そうだ。」

ロードは銃を取り出して周囲へと放った。薬莢の煙は空へと上がっていく。ロードは上がっていった煙をショルダーにつけていた非常用の袋に詰め込んだ。

「何をするつもりだ!!」

研究員の判断は遅かった。ロードは高く飛び、その煙の入った袋をスプリンクラーへとぶつけた。袋から出ていった煙はスプリンクラーを鳴らしてゆっくり地へと落ちていった。

鳴ったスプリンクラーはその場に雨をもたらし地面を濡らした。影たちには何の影響も出ておらずただただ滴る雨に当たり続ける。

しかし彼の奇怪なこうどうはこれにとどまらない。

ロードは一気にマシンへと駆け寄ると、銃で見事に配線を撃ち抜いた。配線から漏れ出したした電流が外へと吹き出し、それは雨の水とぶつかり合って電撃が広がっていく。

「こいつまさか!!?」

「そのまさかだよ。」

電撃の付与された雨は周囲に広がりやがて地に落ちた影たちへと襲いかかった。影たちは電撃を喰らって倒れこんでいく。だが、倒れ込んだだけなので斬撃のように分裂はしない。そして倒れ込んだ影たちは電撃の強さからか死んだように立つこともなかった。

「これでおわ・・・ッ!?」

ロードが立ち上がろうとした瞬間だった。彼の体が動かないのだ。その体は痺れていき、やがて地へと伏せた。

電撃を受けるのは影だけではなくロード自身もそうであり、受けた電流が全てロードへと流れていく。身体全ての血から何までの全てに電撃が流れて死ぬほどの苦しみが彼を襲う。麻痺して叫ぶこともできず、立ち上がることすら出来ない。撃ち抜かれた獣のように彼の身体から全てを奪っていく。

「ぁ・・・ぁ。」

息をするのがやっとの状況でスプリンクラーは止み、やがて電撃への痛みも治まってきた。しかし

「どうだ!我々の勝ちだ!」

ロードの目には喜んでハイタッチする研究員たちの姿が見えた。こんな奴らのために俺は脳内を張り巡らせて戦っていたのか。馬鹿馬鹿しい。こんな奴らの機械なんて壊れてしまえ。

「何だ!?おい何してる!」

ロードの体は無自覚に動き出して一気に駆け抜けた。そして持っていたアーミーナイフを装置へと突き刺して、一気に蹴飛ばした。そして銃を持ち一気に撃ち抜いた。

撃ち抜かれたマシンは爆発して再び煙を生んだ。煙の奥には慌てふためき泣き叫ぶ研究員たちの姿があった。

「テメェらの為に動く体なん・・・ざ」

言葉は途切れてロードは地に伏せた。今のは一体何だったのか。まるで自分じゃない誰かが自分を操ってマシンへと突き動かしたような感覚だった。今は彼もわからない、そのまま地に伏せて倒れることしかできなかった。

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