ガンバライダーロード000   作:覇王ライダー

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第3話

ーあれから三日ほどの時が経つー

環がセレジオンとして戦ってからそれだけの時が経っていた。ロードと彼女の間には少しではあるが変化が見られた。

「ロード・・・。」

「ん?」

ロードは呼びかけに空返事で返したが環はううん、と一言だけ返した。環はロードの傷を見ながら静かに手を握った。その手のぬくもりはどこか温かいようで冷たい、そんな感覚だ。

「はい、これで大丈夫だからね。」

「ああ、ありがとう。」

治療が終わると、ロードはそう返してそっと医務室を出た。ドアの閉まる音がすると環は小さくため息をついた。心の重みは吐き出されたと息とともに出ていくことはなかった。

わかっている。自分がセレジオンとして変身して戦ったことにより彼に本当の実戦へ足を踏み入れさせてしまったことへの後悔と責任、その気持ちと裏腹にこうするしかなかったという言い訳、そんな気持ちだけが心の片隅から噛みついてくる。

兵士として育てられたロードがいずれは通る道だと理解している。そんなことはわかっている。わかっているつもりなのだ。

白い天井を見つめて再び天井を見つめた。こんなことではいけない、そんなことは自分が一番わかっているのだ。

そんなことを考えている時に外から声が聞こえてきた。声の主は九重とシルバだった。耳を澄ませて聞くと二人はこれから行う実験について話していた。

「・・・。」

環は声が聞こえなくなるとそっと医務室を去っていった。

 

エレベーターを降りてそのまま道なりへと進まされていく。ロードの後ろには白衣の男が二人ほど並んで歩いていた。そんなことは構いなくロードは前に進む。ロードの脳裏に浮かぶのは目の前の道ではなくあの化け物を切り裂いた白い戦士だった。

-セレジオン-彼女はそう名乗っていた。白衣を着た環さんが何故?疑問は止まぬままどこか不満に近いものに変わっていく。

薄暗い場所を進む三人だったが、一人の男はその薄暗さと落ちている死人の残骸などを見て耐え切れなくなったのかこんな話を始めた。

「なぁ、今回のプロジェクトにシルバさんと九重さんがチーフに選ばれたってマジ?」

「お前ここでその話をするな。」

この廊下も含めてGRZ社に監視されている故にどこで漏洩の罪に問われてここを去ることになるかわからない。そんなことお構いなしにか男は話を続ける。

「いやだってさ、ライダーの模倣に成功させた二人とはいってもそれを凌駕するスペックなんだろ?頭おかしいよほんと・・・って痛い!!」

男に煩いとばかりにその頭を引っ張った。引っ張られる男をよそにロードは前へと進んでいく。ロードが周囲を見渡していると、一人の少年がこちらへと歩いてきた。少年は無言でロードの横を通り過ぎていく。

GRZ社のものだろうか?しかしあんな奴はこれまで見たことない。なら同じ少年兵?しかしなら一人で?白衣の男たちに問いかけようと後ろを見た時だ。

「どういうことだ・・・?」

白衣の男たちは不思議そうにロードを見た。ロードも不思議そうに男たちを見返した。聞こうかと思ったがロードは聞き返さないことにした。

あの数秒間で彼は自分の目から姿を消したのだ。どういう仕組みなのかそしてなぜ自分の前に現れたのかさっぱりわからない。ただの見間違いか将又は・・・。それ以上は考えても無駄なのかもしれない。自分にとっても相手にとっても

 

ーGRZ社社長室ー

小さなデスクと広い応接間が置かれたこの部屋では社長である檀黎斗が指令や資料の編集などしている。薄暗い部屋ではあるが彼にとってはそんな薄暗さも心地いいんだそうだ。

そんな中でも今彼は一大プロジェクトのための資料についてまとめられた書物を閲覧していた。難しい資料ではあるがそれを理解できるのもおそらく社長まで渡り歩けた彼の頭脳と才能故だろう。

そんな時だった。ドアのノックが鳴った。どうぞ、というとドアが開いて一人の女性が入ってきた。勿論檀もよく知る人物だった。

「珍しいですね環さん。」

入ってきたのは医務官として働いている仮面ライダーセレジオン、環真紀だった。檀は少しふてぶてしそうに環を見た。

環は檀に詰め寄っていく。映していたプロジェクターの映像が彼女の影の形で消えた。

「あの時インベスを呼んだのはあなたですか?」

檀は黙って環から目を背けた。環はさらに詰め寄り首元をつかんだ。

「どういうつもりですか?子供を危険に遭わせるそのやり方が正しいと思いですか!?」

檀は目を背け続ける。環はそっとその手を離した。檀は襟を直しながら彼女へと背を向けた。

「私にとっては危険の可能性を持ってでもあなたのセレジオンのシステムを見たかったんですよ。何より彼に実戦を覚えてもらわないと困りますし。」

「彼はまだ子供です!!それに・・・」

「それに?」

その先は環の口から出ることはなかった。環の手は強く握りしめられていた。檀はその様子を見かねてかこんなことを言い始めた。

「次のガンバライダーと兵器の実験をロード組んで行うことになったんですよ。それに医務官として立ち会っていただけませんか?」

「えっ?」

思わず驚きの声が出た。医務官として最も止めるであろう自分を立ち会わせるなどどういうつもりだ。嫌味のつもりかそれとも別の理由か、どちらにせよ彼女の答えは一つしかなかった。

「えぇ、勿論ですとも。」

そう言って環は社長室を去っていった。出ていくときに檀がほくそ笑んでいることなど気付くはずもなかっただろう。

 

部屋に戻ったロードは汚い牢獄のような部屋で床に丸まり込んだ。

「何だったんだろう・・・。」

転がり込んで早一時間というところだろうか。時計なんてないが彼の体内時計はしっかりしているつもりだ。

その一時間の間ずっと考えていた。あの少年のことだ。

少年は自分の前に現れて監視員に見られずすぐさま姿を消した。どういう手品でそれを可能にしたのかは極めて謎であるがあれが幻覚とはとても思えない。

ロードは丸まりながら考えてはみるがどれも非化学で不可能と言わざるを得ないものばかりだ。

考えが纏まらず頭を抱えていたその時だ。

・・・えますか?

「!!」

ロードは声の方向を見るが誰もいない。幻覚かと思ってもう一度丸まった時だ。

「今君の脳に話している。聞こえているか?」

先ほど通りすがった男であることはロードにはすぐわかった。とはいえどうしたらいいか分からずロードは取り敢えず頷いた。少年は良かったと話を続ける。

「よかった。今から重要なことを話すから聞いてほしくてね?静かに聞いてくれ。」

ロードはどこから見ているのかと周囲を見渡す。自分の心をすべて読まれているのかと焦りに焦るが向こうも時間がないようだ。取り敢えず頷いた。

「僕はこれからこのGRZ社を脱走することにしたんだ。だがどうも君に会っておかねばならない気がしたんだ。」

ちょっと待って脱走!?しかも自分に会っておかねばならない!?知らないやつにそう思われる覚えはないぞ。そんな混乱したロードをよそに話を続ける。

「目的までは言えないが僕と君は間違いなく出会う。その時まで君は僕のことを覚えていてくれるか?」

覚えておくことは容易いがどうして?何のために?疑念だけが募る中ロードは頷いた。

「ありがとう・・・。僕は生涯で友人が出来たことがなくてね・・・きっとこれが友情というものなんだろうな。」

ロードはその言葉を聞いたときふと環のことが頭を過った。彼女に何も言えなかった。あの人は自分を守ってくれたことを分かっていながら礼の一つも言えない自分が情けなく感じる。

ロードがうなずくと男は一息安心した声で彼へと言った。

「僕は君の名を知らないが、僕は君に会ったとき友だと言って見せよう。これは僕からの約束だ。」

そう言うと去るように脳への音が消えていった。不思議な体験だ。ロードは瞼が重くなっていく。安心したのかそこから眠りに落ちていくのはそう遅くはなかった。

 

深夜になったこの時間でもGRZ社の研究員たちは研究を続ける。明日に実験を控える九重とシルバもその一人だ。九重は眠そうにPCの何やら難しそうな羅列を見つめ、シルバは難しそうな設計図を見ていた。

-ロードシステム-

裏切り者の対処として作られたシステムであり、対ガンバライダーのスペックを持ち合わせながら多種多様なシステムを備えた汎用兵器だ。悪用されないための防衛とはいえそんなプロテクトが必要か問われるとあいまいな返ししかできなさそうだが。

「あー疲れた。」

「九重はすぐ弱音はくよなぁ。俺なんて昇格がかかった大事な時期だぞ?」

シルバは九重を軽く笑った。九重はそうだったと少し笑いながらごまかした。

シルバは副支部長という立ち位置でこれが成功した支部長に昇格する大事な時期なのだ。同僚のそんなことも忘れていたとは情けない。

「明日の実験、環さんも付き添うらしいな。」

ぼやくように小さな声で言ったシルバの言葉に九重は小さく空返事した。社長の指示でわざと前回のセレジオンの運用試験の話を医務室前でしてくれとは言われたがまさか環が参加することになろうとは彼らですら予想できなかった。これが目的なのかもっと別の理由があるのか、それは不確かだが彼なりの考えあってのことなのだろう。

シルバは肩までかかった長い髪をかき分けながらPCをじっと見つめた。九重は横目でそんなシルバの姿を横目で見ていてふと思ったことがある。

昇格したら彼とは別の道を歩むことになるのだろうか。彼は支部長として別の世界へと行き、自分はここに取り残されるのだろうか。同じ道を歩んできた友人がここでいなくなると思うと些か寂しいものがある。

「九重」

「・・・え?」

シルバの呼びかけでハッと前を向いた。いけないいけないと再度PCに集中する。シルバも少し心配そうに見てからPCに視線を戻した。

同僚が上を目指すのだ。それを祝福するのはまだ早い。そうまだ

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