infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来 作:伊勢村誠三
彼には未来の良妻賢母にして元アルバイト中学生織斑一夏とチート人間秋山蓮。ミス不思議ちゃんこと保登心愛。
そして愉快な歩くケータイフォンブレイバー達とIS学園に通う未来が待っていた。」
智乃「こうして改めて見ると奇天烈も奇天烈な高校生活ですね。」
フォース『しかもそれが三年も続くと思うと一生分のびっくりを使っちゃうじゃない?』
ケイタ「しかも今んとこ間明や他のライダーはどう動くか分かんないし、休む暇なさそう。」
智乃「ま、まあまあ。元気出して下さい。今日は学園初日ですよ?」
フォース『そんな網島の(非)日常の始まりを祝す第4話!』
(OP True Blue Traveler)
1
鏡を潜るとそこは兎に角奇妙で不気味な工場の中の様な場所だった。
「何を驚いているんだい?
君のお姉さんだってこれくらい出来そうなものじゃないか?」
私、篠ノ之箒に語りかける謎の男、サイモンズの言う通りだった。
この技術自体に驚く事はあるかもしれないが、姉が作ったと言われたら全く驚かない自信がある。ああそうなんだと思うだけだ。
「そう落ち込むな、私はただ君の剣の腕を見込んで一つ、
仕事を頼みたいだけなのだ。」
「私の剣の腕?」
サイモンズは大仰な身振り手振りを交えて続けた。
「そうだとも。篠ノ之流を真に受け継いだ君にしか出来ない仕事だ。
本来なら織斑一夏に頼む筈だったが、まさか精々会って二、三週間の男に誑かされあそこまでひどくなるとは思っていなかった。」
「一夏を馬鹿にするな!」
「おっと、すまない。君を不快にさせるつもりは無かったんだ。
許してくれ、私は今の武道会の堕落を嘆いてるだけなのだ。」
彼らの様な奴らが居るからね。
そう言ってサイモンズは鏡に手をかざすと
「網島に秋山!?」
一夏を弱くした張本人達の姿が映った。
「そうだ。彼らはある面から見ればいい選手らしいんだが、私にはそうは思えない。
そこで私は、彼らが参加してるというバトルクラブ選手権という大会を利用する事にした。」
「バトルクラブ選手権?」
「あぁ。相手が戦闘不能になるか降参するまで戦う以外一切ルールなしレフェリーなし。
人生ってやつと同じだな。
当然彼らを始め、真っ当なやつなんて参加していない。今はね。」
なるほどつまりサイモンズは私にその大会に参加しろと言ってるのか。
「なぜ私にその話を?」
「言うまでもないさ。君ほどの人物なら敵がどんな手を使おうと勝てると信じてるからさ。」
「、、、いいでしょう。
私をバトルクラブ選手権に参加されて下さい!」
「よし、このアドベントデッキを。」
サイモンズがスーツのポケットから紅色に金色の鳥の様なエンブレムの付いたケースを差し出す。
迷わず受け取った。
その瞬間、デッキのディテールを青い光が駆け抜けた。
頭に使い方が流れ込んでくる。
「この力なら、、、私は勝てる!」
しゅっ!とデッキを正面に構え、バックルを出現させてから居合斬りのような構えを取り
「仮面ライダァ!」
デッキにセット。全能感と高揚感と共に箒はライダーの鎧に包まれた。
「おめでとう箒さん。
今日から君が
2
日本茶を飲んで気分を落ち着かせる。
やはり朝の自主練後のお茶は格別だ。
お茶請けの羊羹もいつも通り最高の組み合わせだ。
「最近は調子良さそうだね。」
開いた皿を片付けながら店の制服姿の親友が話しかけてきた。
「はじめの頃に比べれば痛みも和らいできてるし、この調子ならこの力を十全に引き出せる。」
私はジャージのポケットからアドベントデッキを取り出す。
親友の顔が驚愕に染まる。
「何をそんなに驚いてる?
君が見つけて欲しくない何かを隠す所なんて一つしかないだろ?」
「、、、、海之ちゃん、本当に辞めないの?」
「当たり前だ。私に下らん質問をするな。」
「なんで!?やめて、やめてよ!
だってあいつは、あいつが雄一君を!」
「千夜!、、、私はあの時確信した。
私は非力過ぎて、暴力で何も守れないと。
だが今は、この鎧の力を十全に引き出せればどんな暴力にも屈さない。
屈さないで済む!」
彼女が、
ぴーん、ぴーん。2人だけに聞こえる音が響く。
「お呼び出しか、ちょっと腹ごなしに行ってくるよ。」
「待って海之ちゃん!」
彼女、
人差し指と中指を立てた右手を正面にかざしデッキを出現したバックルにセット
「仮面ライダー!」
光が晴れるとそこには紅色の鎧にアラビア風の仮面に契約ビーストのエビルダイバーを模した
「はっ!」
気合いと共にベンタラに飛び込むスティング。
「海之ちゃん、なんで、、私は、、無力だ。」
3
「どっか変なとこない?」
『ない。制服姿もしゃんとしないがな。』
「ほっとけ。」
改めて鏡に映る自分をよく見てみる。
昨日と変わらない顔に身長が伸びるのを見越して少し長め、大きめのサイズで購入した制服姿。
この制服は本来女学校だったIS学園が世界初の国営IS企業の倉持研のデザイナーに委託して新たにデザインされた物らしい。
「なあセブン。校則で制服改造自由ってあるらしいけどどこまで平気なん?」
『極端な例だが、アキヤマは色以外ブレザータイプにして色以外原型をとどめていないらしい。なんでも脇に銃のホルスターを付けたいとかで』
「確か、IS学園に在学してる限りどこの国の法でも裁けないんだっけ?」
『ああ。だから日本の銃刀法は適応されない。』
今更ながら蓮が平然と銃を持ち歩いていたことを納得した。
超法的もいいとこのトンデモ優遇特権にそれとは別にアンカーのバックアップまで受けている俺たちは一体どれだけのワガママが許されるんだ?
自分の事ながら恐ろしい。
「バイク通学もアンカーのなんか?」
『その為だけに駐車場を作らせたらしい。
教員からは意外と好評らしいが。』
幾ら教員の七割五分アンカーの息がかかっていてもそうそう出来る事じゃない。
いつから俺はこんなヤバい世界が垣間見えちまう所に来ちまったんだ?
意味がないと知りながらもせずにはいられない自問自答を呟きながら下に降りる。
一夏も蓮も心愛ちゃんも制服姿で揃っていた。
「遅いよケイタ。」
「行くぞ網島、案内は俺がする。」
4
日本には動物園のパンダなんて例えがあるらしいがどうやらそれは間違いらしい。
俺、レン・アキヤマは身をもって実感した。
今教室の視線は教卓0ズレ席と一番廊下側の列の真ん中2席に集中している。
好奇心猫を殺すと言うが、まさか好奇の視線で刺し殺されるとは思わなかった。
一応理由を説明すると、この学校はどうゆう訳か一番はじめの席順をアルファベット順でもひらがな五十音順でも誕生日の早い順でも背の高い順でもなく乱数で決めてるらしい。
五列あるのに織斑の奴が前列0ズレ出し、一番廊下側の一番前が「ほ」なのにその後ろはAkiyama、網島、織斑、布仏(のほとけ)と続く。
色々不都合だし不自然だろ。
まぁ、本来女子校のこの教室に俺含め男子が3人いる事の方がおかしいのだが。
そんなことを思っていると緑髪のショートカットに童顔の教師が入ってきた。背が低いし、うちの師団長が好きそうな合法ロリってやつだな。
「皆さんはじめまして。
私は一年間皆さんの副担任を務めます
一切視線が山田先生に注がれることなく、織斑妹と保登と後布仏だけが元気に挨拶している。先生今にも泣きそうだぞ?
「う、、うぅ、、それではみなさん自己紹介を、アキヤマ君から。」
ここだけは何故か平仮名五十音順らしい。
「アメリカ海兵隊IS師団所属、レン・アキヤマ。
唾棄するものは人種差別と性差別。
大嫌いなものは、理由もなく偉いやつとアニメアンチ。
嫌いなものは文句しか言わない奴。
あと苦手なのは犬と煙草の煙だ。
今言ったのは三年間近づけないでくれ。以上だ。」
しん。と教室は静まり返った。
続いてひそひそ声の話し声と、敵意を込めた視線がちらほら。数は1、2、、5個。思ったより少ないな。
学園側の配慮でクラスにそうゆう奴らをなるべく入れないでおいたのか。
こちらに都合の良い展開だ。早めに潰しておこう。
「えっと、では次に網島君!」
「はい、あー、、網島ケイタです。」
しばらくの沈黙。周囲のそれから!?
みたいな視線が一斉に放火される。
流石に鈍い網島も気付いたらしい。
「えっと、バスケは三春にも負けません。」
0ズレ席の織斑兄、、
なるほど、どうやら実話だな?
それも相当こっ酷くやられたらしい。
「あー、後は、、こっちの同居人?3人が一癖も二癖もある奴らなんで疲れると思いますけど仲良くしてやって下さい。」
ズッタン!網島曰く一癖も二癖もある奴らが全員漏れなく椅子から転げ落ちる。
「お前に言われる程でも保登程でもない!」
「ケイタに言われる程でも心愛ちゃん程でもない!」
「ケイタくんに蓮くんのバカァ!」
保登が叫んだ瞬間、教室の前のドアの方から飛来した黒い板?が保登の頭頂部に炸裂した。
カーン!と空缶みたいな音が響く。
「全く。去年に引き続きよくこれだけ騒がしい馬鹿が集まるものだな。
いや、私のところに集めているのか。」
心底うんざり、と言った様子でやって来たのはクールビューティにジョブチェンジした8年後の織斑妹、もとい、今年の一年一組の担任にして世界最強の名を欲しいままにする地獄の閻魔も裸足で逃げ出す武神。
織斑姉こと織斑千冬だった。
「諸君。私が担任の織斑だ。
逆らっても良いが、返事は『はい』か"yes"で統一しろ。良いな?」
ここは海兵隊の訓練キャンプだったっけ?懐かしいな。
ラミネス達は生きてるだろうか?、、ん?なんで網島と織斑は耳を塞いで
「きゃあああああああああああ!」
「千冬様よ!本物の千冬様よぉ!」
、、、流石はIS学園。屋内用音波兵器まで完備とは恐れ入った。
半分パラダイスに逝きかけていた保登も現世に引き戻されてる。
「こっち見てえ!」
「私あなたに会うためだけにこの学校に来たんです!石巻から!」
またいつか行きたいな、石ノ森萬画館。
「抱いてぇ!」
「厳しく躾けて!」
「でもときに優しくして!」
「そしてつけ上らない様に調教してぇ!」
去年バーンズが誕プレって言って押し付けて来た同人誌か。
「全く、、本物に馬鹿ばかりで頭が痛い。」
織斑姉は改めて心底うんざりといった感じで眉間を抑えた。
5
その後恙無く自己紹介は進んでいき休み時間になった。
「たぁー!やっぱ千冬さん怖ぇー、、。」
なんだかんだ言って長い付き合いだけど俺、網島ケイタはあの人が苦手みたいだ。
なんていうか、あんな抜き身の日本刀みたいな雰囲気が兎に角苦手だ。
「保登。頭大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃない。」
「そうか。なら平常運転だな。」
「それどうゆう意味!?」
対して2人は特に何か気にしてる様子はない。
適応力の高さは素直に尊敬する。
「早速次IS座学の授業だけどケイタついてけそう?」
「セブンに無理やりやらされたから多分。」
こういう時こそすずかぜ公園の辺りでバイクを思い切り飛ばしたいところだけど、流石に片道三時間かけてってなるとまた話が変わってくる。
「そっか、にしても千冬姉が担任かぁ、、あー。今私、最悪って顔してる気がするよ。」
どうやら一夏も同意見らしい。
程度はあってもまだ千冬さんが苦手なのは変わらないらしい。
「ちょっとよろしくて?」
「え?」
「ん?」
そこに居たのはザ・今時女子(よーは思いっきり女尊派)な感じの白人だった。
ちょっとカールした(させた?)長いブロンドの髪に力強い青い目。
背もスタイルも同年代の同じ人種の中ではやや慎ましいぐらいか。
腰に手を当てた偉そうな姿が様になっている。
「このイギリス国家代表候補生のセシリア・オルコットが話しかけているのですよ?
それなのにそんなお返事とは一体どんな教育を受けてきたのですか?」
ここで言う国家代表とはISの代表のことを指し、
彼女達はIS格闘の世界大会であるモンド・グロッソに出場出来る資格を持っているほか、勿論ISは兵器でもあるため全員が軍属。
つまりは一国の防衛の要である。
当然様々な特権がありそれは予備軍の代表候補生であっても大抵のわがままは基本通るレベルのものだったりするのだ。
因みに千冬さんは日本初のIS国家代表にして第一回モンド・グロッソのチャンピオン=ブリュンヒルデの称号を持っているのだ。
今年で25とまだまだ若手なのだが、第2回モンド・グロッソの時に起きた一夏誘拐事件の後に、一夏がゼロワンと出会った直後に引退している。
その後ことは様々な信憑性のない憶測が飛び交ってばかりでよく分かってなかったがまさかあのストレスマッハな彼女が教員免許を取得していたとは驚きだ。
「それでその天下の代表候補生様が何の御用で?」
「ええ、まぁノブレスオブリージュというやつですわ。
わたくしが自らあなた方にアイ『キンコンカンコン、キンコンカンコン、』な!、、またきますわ!逃げないことね!」
「行っちゃった。」
「次の授業千冬さんなのにどこに逃げるってんだよ。」
「無限の彼方じゃない?」
「違いない。」
6
「それでは、一時限目を始める。
と、言いたいところだが先ずはこのクラスのクラス代表を決めねばな。
クラス代表とは読んで字のまま一年間クラスの代表としてクラスをまとめる役割を担う。
例えば月末に生徒会主催の定例会に参加したり今月末のクラス対抗トーナメントに代表として出場してもらう。
自薦他薦は問わないが、一度決まれば原則変わらないからそのつもりでいろ。いいな。」
要はクラス長か。めんどそうだし出来ればやりたくないな。
「はい!私は織斑くんを推薦します!」
くんだから三春の方か。大変だな頑張れよ。
「は〜い!のほほんさんはあみしーを推薦しちゃうよ〜!」
「え!嘘!?」
「はいはい!私は蓮くんを!」
「俺か!?」
「勝ってね蓮くん!パフェの奢りがかかってるから!」
「勝手に巻き込むな!」
あれよあれよと言う間にクラスの殆どが三春党、蓮党、網島党に分かれる。
マジで言ってんのかよ。
「その3人以外で誰か居るか?そろそろ締め切るぞ?」
「待ってくれよ千「待って下さい!納得いきませんわ!」
「なんだオルコット。自薦か?」
「えぇ。このわたくしを差し置いて物珍しいなどと言うくだらない理由で極東の猿どもに、
それも低俗な男どもにクラス長を任せるなどあってはならないことですわ。」
なんとなく傲慢そうだと思ってだけど、このレベルとは。
周りのさっきまで俺たちに汚物を見るような視線を向けてた人達まで彼女に不快そうな表情を見せている。
ヒートアップし続けてる日本ヘイトに男性ヘイトは止まらなそうだ。
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ?
世界うまい飯ランキングワーストトップ何年連続死守だ?」
ついに切れたのか三春が立ち上がる。
「何ですって!?」
視線で火花を散らし合う2人。硬直状態を破ったのは千冬さんではなく蓮だった。ガツン!と思い切り音を立てながら机に足を乗せる。
「
「え?、、あ。」
今更ながら周りが殆ど日本人なことを思い出したようだ。
周りからの攻撃的な視線が凄い。
「
「ッ!、、
「ノープロだ。ここは大量破壊兵器の扱いを学ぶ学校。
分かりやすく野蛮に機械的に行こう。」
「野蛮に機械的って、そんな言い方ないだろう蓮。」
「馴れ馴れしくファーストネームで呼ぶな。
どんなに取り繕ったところで世界をオモチャと勘違いした馬鹿が起こした国家反逆一歩手前のテロがこの下らない茶番の間接的最大要因だ。」
「お前、束さんを馬鹿にするのか!」
「なんなら唾でも吐きつけてやろうか?」
三春が怒りで真っ赤になる。
対して蓮はアイス食べた後みたいに涼しい顔だ。
「あの!わたくしを無視し続けるなんて随分と余裕ですわね?
まさかただで勝てるとか自惚れてるのではないでしょうね?」
「なんだ?ハンディキャップでもつけてくれるのか?」
「えぇ。流石にその程度の慈悲はありますわ。
貴方はどれ程お付けしましょうか?」
「いらねぇよ。女に手加減されて勝ったって嬉しくねぇ。」
「網島、お前は何がいい?」
「んー、、、。お互い顔はやめね?」
「そんなんでいいのか?」
「いや、ちょっと待てケイタ、お前まさかハンデつけてもらうつもりか!?」
「だってつけてくれるって言ってんの本人だし。」
「相手は女だぞ?」
「俺たちより何百時間もIS稼働時間で勝るな。
そんな事も気付いてなかったのか?」
「だとしても!」
「本当に相手を侮らないってのは勝つ為にあらゆる手段を使う事だ。
気合いと根性だけでなんとかなるほど世の中単純じゃないんだよ。
プライド高いだけで相手が死んでくれるんなら、
今頃世界人口は今の半分以下だろうさ。」
「なんだよそれ!俺が間違ってるってのかよ!」
「ただ甘ったれてるって言ってんだよ。」
「おい、取り込み中悪いがこれ以上私の時間を使うな。」
「でも千冬ね
バゴーン!千冬さんの岩をも両断する手刀が三春の頭を襲う。
「ここでは織斑先生だ。
兎に角、明後日の放課後織斑兄、アキヤマ、網島、オルコットの4人で総当たり戦を行い、その結果でクラス代表を決める。以上!」
ケイタ「といった感じで初のIS学園編、いかがだったでしょうか?」
智乃「別になんて事もありませんけど、前回の予告で出てきてないライダーばかり登場してるんですか?」
フォース『確かにね。絶対インサイザーが3番目だと思ってたのに。』
智乃「しかもブレードって全ライダーの中で唯一カード内容がアドベント以外分かってないライダーですよ?平気なんですか?」
ケイタ「、、、次回!Dragon against Dark wing その2!」
フォース『あ、逃げた!』
智乃「全く、、またのご来店お待ちしております。」