infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは!」

セブン『アキヤマがインサイザーをベントした事に激しく動揺するケイタ。果たして自分が正しいのか、それともアキヤマが正しいのか。葛藤するケイタにゼイビアックスはウイングナイトのベントと引き換えに一夏の安全を確保する取引を持ちかける。』

ブラット「その後ゼイビアックスは私の前にも現れライダーバトルを円滑に進めようとする。そして遂にやって来た風都の探偵左翔太郎。」

ケイタ「果たしてこの街を救うのは誰なのか?
誰の言い分が正義なのか?さてさてどうなる?」

(OP W-B-X ~W-Boiled Extreme~ 仮面ライダーW)


Episode of jokers その2 Jの来訪/風の街の名探偵

1

<STRIKE VENT>

 

メタルホーンを装備したトラストは蝉型ビーストソノラブーマと戦っていた。あまり強いビーストで無いのか、トラストに一方的にボコボコにされている。

 

「これで本当のゲームオーバーだ!」

 

<FINAL VENT>

 

背後から全速力で走って来たメタルゲラスの両肩に足が乗るように飛び上がり更にスピードを増したメタルゲラスと共にソノラブーマを粉々に貫き砕いた。トラストのファイナルベント、ヘビープレッシャーだ。

 

「よし、片付いたな。」

 

「いや、こっからだ。」

 

トラストの背中に激痛が走った。

振り返るとそこにいたのはドラゴンナイトだ。

 

「な、何をする!私は今君と戦うつもりは!」

 

「黙れ!」

 

二撃目、三撃目とトラストのアーマーにドラグセイバーが振り下ろされる。

 

『やめろ!やめるんだケイタ!彼をベントするつもりか!』

 

「その通りだ!」

 

剣先で築き上げる様にトラストを吹っ飛ばし、

バイザーのカバーを開けてカードをベントイン。

 

<FINAL VENT>

 

はなたれたドラゴンライダーキックはトラストの分厚い胸部アーマーを粉砕しながらその下の心臓さえもミンチに変えた。

 

『ケイタ、、君はなんてことをしてしまったんだ!人殺し!人殺し!バケモノ!』

 

「うるさい、、。うるさいうるさいうるさいうるさい!

ケータイなんかに何がわかる!何がわかるってんだよ!」

 

セブンを取り出したドラゴンナイトは有りっ丈の力でセブンを握りしめた。

 

『なっ!や、やめ、、やめろろろろ、、ケイ、ケ、ケイタタタ、タタタタタ、タやめめッ』

 

バリバリと基盤を潰す音と共にセブンの画面からフェイスパターンが消えた。

それを踏み潰しドラゴンナイトはトラストが乗ってきたと思しきアドベントサイクルに乗り込んだ。

 

「あと、あと10人、、ベントする!全員ベントする!」

 

向かった先にいたブレードを轢き飛ばした上で剣を奪い一方的に痛めつけた上でドラグクローで頭蓋を砕いて倒した。

 

「ベントする。」

 

地球に戻ると簪がラビットハウスに遊びに来ていた。

控え室で着替えていた理世をドラグセイバーで斬り殺し、

カウンターに行って洗剤を混ぜたコーヒーを飲ませて簪を殺した。

 

騒がれると面倒だから二階にいた心愛の細い首をいつも制服に使ってるベルトで絞め殺した。

腕を引っ掻かいて抵抗したので皮膚を残さない様に両手首より先は切断してミンチにして生ゴミに捨てた。

 

その後心愛のケータイでチノを呼び出して鏡の前に立った所でドラグレッターに喰わせた。

 

「倒す。」

 

夜になると夜道を歩いていた海之を勝手に借りた蓮のバイクで轢き殺した。

 

「守る」

 

その後またベンタラに赴きそこであったセイレーン に戦いを挑んだ。

不意をついて先手を取ったとは言えセイレーンの動きは素人みたいにガタガタだった。

攻撃を避けながらバイザーを開けてカードをセット、

セイレーンが背後から斬りかかる様に仕向けた所でベントインした。

 

<ATTACK VENT>

 

背後で上から出現したドラゴンに咥えられながら地面を引き摺られるセイレーンの悲鳴が聞こえてきた。

いい気味だ。

ライダーに限らずどいつもこいつも訳分からん持論を語るからこうなれるんだ。

セイレーンの元に向かいながら再びバイザーを開けた。

勿論使うのはファイナルベントのカードだ。

 

「落し物だ。」

 

近くに落ちていたバイザーを投げてやり、カードをセットする。

 

「なんで、こんな事を?」

 

「血はモーターオイルより濃い。家族を守る為さ。」

 

そう言ってカードをベントインしようとした時だった。

 

<SWORD VENT>

 

何者かに左肩を斬られた。

この局面で邪魔をする奴はウイングナイトしかいない。

しかし振り向いた先にいたのは居るはずのない敵だった。

 

暗くてよく見えないが格子戸の様なでかくて重そうな仮面に左手についたガントレット型のバイザー、

そして右手に握られた漸く使い慣れた柳葉刀に咎人の亡霊の様な赤く大きな複眼。

自分が今鎧ってるはずのドラゴンナイトだ。

なんだ?と訝しんだが直ぐに別にベントするしいいか、

と思考を切り替える。

 

お互いがお互いを一撃で殺す為の、

溢れんばかりの殺意を込めた斬撃で斬りむすんだ。

しかし僅かに、本当に僅かに体勢を崩したドラゴンナイトの胸にドラグセイバーが突き立てられた。

 

「あは、はははははは。あははははははははははははは、、は、、、は?」

 

パリンとその仮面が割れた。

そこに現れた顔を見てケイタは全身の血液が一気に凍った様な錯覚を覚えた自分の持つ剣に支えられて漸く立っているその少女は紛れもなく織斑一夏だったからだ。

 

「嘘だ、嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!嘘だぁああああああ!」

 

「嘘じゃ無いさ。」

 

叫んでいるはずなのに、誰もいないはずなのに耳元で囁かれた。

何故か自分の声だ。

 

「お前だって口では蓮や三春の事を否定しながらも自分だって立場が変われば誰かを殺すし、ベントするんだ。

蓮ばっか責めるなよ、一歩違えばインサイザーをベントしてたのはお前だ。」

 

否定できなかった自分は弾みで本当なら守りたかったはずの人を殺してしまう様な人で無しだ。

 

「その通りさ。鏡を見ろよ。

そんなお前にお誂えな格好になってるぜ。」

 

顔を上げると鏡に映っていたのは吊り上がった光る赤い目の漆黒のドラゴンナイトだった。

 

仮面契約者黒瑪瑙(カメンライダーオニキス)。それが今のお前だよ。」

 

 

 

2

相変わらず自分の作る料理はイマイチだ。

後一歩のところで上手く行かない。

と蓮は頭の中で独りごちた。

 

今テーブルに並べられているのはマスターと蓮で作った朝食で、トーストにレタスにポテトサラダ、後それからカリカリのベーコンと絵に描いたように素晴らしい朝食。

 

なのだが誰に対しても、自分にさえもかなりシビアな蓮には、満足いくものではなかった。

そして何より料理上手な母の元に生まれた所為で物凄く舌が肥えている為、味にうるさく、所属する海兵隊IS師団ではレン・アキヤマがオススメする店は絶対にその年のクリスマスパーティーの会場になるというジンクスが出来ても誰も違和感を感じないぐらいだ。

そして母が料理の師匠から教わったという

 

「男は女を泣かせる事と食べ物を粗末にする事だけは絶対にしてはいけない。」

 

という格言を厳格に守っている為、自分で満足していない料理を完食するというストレスと日々戦っているのだ。

それは蓮にとっては苦闘以外の何者でもない。

蓮が日々不機嫌な理由の一つだ。

そして今日に限ってだがもう一つ、

 

「網島のやつ!今日がゴールデンウィーク前最後の授業だってのにいつまで寝てやがる!」

 

寝坊とか遅刻に物凄くうるさいのだ。

本棚のちょっとした隙間にもストレスを感じる。

それと同じでいつもの時間にケイタが起きてこない事さえイライラの種になった。

 

「そういえばケイタって昔から連休のちょっと前くらいから寝るの遅くなってたような?」

 

「本当か?なら悪いけど起こして来てくれないか?」

 

わかった。一夏は二つ返事でケイタの部屋に向かった。

鍵はなく、簡単に開いた扉を超えてカーテンを開ける。

 

「起きろ寝坊助ー。」

 

そう言うとうーん。

というちょっと苦しそうな呻き声を上げて寝返りを打った。

 

「早くしないと朝ごはん食べちゃうよー。」

 

少し強めに起こすか。

そう思って少し布団を剥がして肩を掴んだ時だった。

 

「ああああああああ!」

 

叫び声をあげながら無茶苦茶に暴れ起きたのだ。

 

「きゃあああ!ケイタなに?どうしたの?」

 

「セブン!セブン!セブン!セブンはどこに、、あった!セブン!」

 

『!?なんだ?こんな朝早くから慌てて、

まさか緊急の任務か?それとも敵仮面ライダーの急襲か!?』

 

「セブン!良かったセブン!砕けてない!」

 

『ケータイは勝手に砕けるものではなーい!』

 

良かった、良かった。と繰り返しケータイを抱きしめて泣き始めるケイタを見ていよいよ一夏は危機感を抱いた。

 

「、、、マジでどうしたのケイタ?ヤクでもキメたの?」

 

「!?、、、一夏?」

 

「何?」

 

「一夏なんだな?」

 

「一夏だよ?」

 

「一夏ぁああああああ!」

 

「!?」

 

いきなり一夏に馬乗りになったのだ。それだけではない。

 

セブンを持ったままの右手と何も持っていない左手で一夏のパジャマのボダンを外し始めたのだ。

 

「い、いや!ケイタやめ、やめて、、私、、ッ!」

 

『な!やめろケイタ!私の画面をどこに押し当ててるんだ!

やめろ!ケータイは乳房に押し当てるものではない!』

 

一夏はまるで抵抗が出来なかった。

恐怖で体が動かなかったし、

不思議諦めの早い自分がいたからだ。

 

(15歳で母親かあ、、でも始めてって痛いらしいよね?

もういいや。パーになろう。)

 

深く息を吐いて四肢の力を抜いて目を閉じた。

いつでも来い。そう思った瞬間だった。

す、と一夏の頭と腰が抱き起こされた。

少し汗臭い匂いがくすぐる。

 

「え?」

 

「良かった、、全部夢だった。一夏、綺麗なまんまだ。」

 

「キレッ!」

 

「どこにも傷なんかない。白くて柔らかくて、綺麗なまんまだ。」

 

「ッッ!、、、、。」

 

このバカは何を言ってるんだ?

あんな強姦未遂みたいなことをしておいて!

今更なに歯の浮く様な台詞を吐けるな!

そう思ってケイタを引き剥がす。

 

ビンタの一発でもかましてやろうか?

そう思ってケイタを見据えた瞬間。

喉元まで来ていた罵倒が引っ込んでしまった。

ケイタの顔には下心みたいなものが一切見えず、

心の底からの安堵した様な、

真剣に見つめる様な表情しかなかったからだ。

 

(あれ?ケイタってこんなんだっけ?

いやいや!だって!それだけは無いって!

そりゃケイタも思春期の男子な訳だし気の迷いとかはあるかもだけどきっとそうゆうのじゃ無い筈で)

 

不覚にもきっと赤くなってる自分とさっきからドキドキしっぱなしの心臓を誤魔化そうと必死にロジックを組み立てる。

しかし早なる心臓は止まってくれそうにない。

だめだ頭を整理しよう。

そう思って立ち上がり、ドアの方を向くと見事なまでに感情の消えた顔の蓮がじっとこちらを見ていた。

 

「えっあ、、、、、。」

 

鏡を見ずとも自分の顔が真っ赤になったのが分かる。

隣のケイタに恨めしい視線を向けると漸く蓮の存在と自分が何をしたのかを理解したのか、頭を抱えて悶え始めた。

 

「れ、蓮?いつからそこに?」

 

「白くて柔らかいの辺りからだ。」

 

「ッ!」

 

「、、、。」

 

『セブン、網島ケイタ。俺たちもその辺りからだ。』

 

『一夏様は柔らかかったですか七番目?』

 

『ま、待て待て二人とも落ち着け!

ゼロワンなぜフェイスパターンが血の涙に戻ってる!

サードお前も言動は穏やかなのに顔が激怒のやつだぞ!?

落ち着け、本当に落ち着け!デモリッションを着身するな!

なぜサードまでバディの許可なくグラインダーを着身出来る!?』

 

『冥土の土産に教えて差し上げましょう。

もし万が一レン様が死に体になった時にある程度動ける様にわたくしにはフォンブレイバーには標準装備されている良心回路のほかに(レン様が水戸博士から盗んだ設計図を元に立香様とマシュ様を騙して作らせた)悪の心、悪魔回路がつけられています。

その為、限りなく人間に近い心を持ったわたくしは貴様らの様なフォンブレイバーとそのバディの恥さらしを惨殺することもできるんだよぉ!

死にさらせぇえ!』

 

『地獄に落ちろぉ!』

 

『待て待て待て待て!命!

命ばかりは!ケイタ走れ!走るんだぁ!』

 

「ゼロワン落ち着いて!悶えてる場合じゃ無いよケイタ!」

 

「いっそ殺してくれ、、。」

 

「『ケイタぁー!』」

 

ケイタと一夏は二人仲良く遅刻寸前だったとか。

 

 

 

3

トーストを咥えて走る女子高生というのも我ながら古典的だなと思いつつ更識簪は廊下を急いだ。

途中ロランのナンパ攻撃を受けたが更識流暗殺術で意識をおとして回避した。

 

なんだか最近調子が良い。

今朝も雑魚とはいえビースト五体を相手に上手く立ち回れたし、昨日の夜は中々上手くいかなかったプログラムを組み終えられた。

 

そのせいで寝るのが遅くなって今遅刻すんぜんだが。

頑張れば打鉄弐式はみんなが夏休み前の合宿に行ってる間に完成できるかもしれない。

 

(私の取り柄は前向きになろうとする事。

今の自分じゃダメだって思える事。

なら後は前を向くだけ。)

 

パンを一気に口に押し込む。歌でも歌いたい気分だ。

 

「いきます炎神、」

 

「ねぇあんた。」

 

「勇気ジンジン、」

 

「ちょっと。」

 

「唸れ轟音、」

 

「ねぇってば。」

「かっ飛べGO-ON!」

 

「聞きなさいよ?」

 

「前しか見えない炎神戦隊「もしもぉおーしっ!」きゃあ!」

 

いきなり両肩を掴まれて驚いた拍子に鞄を投げた。

一泊置いてポスッと簪の手の中に戻る。

振り返ると背の低い茶髪をツーサイドアップにした小柄な少女がいた。

リボンはしていないが一年だろうか?

 

「聴いてた?」

 

「ごめん、全く。」

 

「ま、ご機嫌だったし仕方ないね。今のパワーレンジャー?」

 

「、、、スーパー戦隊の方。」

 

「ふーん。それ面白いの?」

 

「うん。」

 

「へぇ、って悠長にしてる程時間なかった、私ゴールデンウィーク明けから転校してくる事になってるんだけど、教員室ってどっちだっけ?」

 

「二階、A階段に地図がある。」

 

「あんがと、呼び止めといてなんだけど遅刻しないようにね!」

 

「じゃあ、またね。」

 

簪を見送るとツーサイドアップの少女は呟いた。

 

「またね、か。」

 

あの二人は放課後にでも待ち伏せしてやろうかな。

とイタズラっぽく笑った。

 

「変わってないのが眼に浮かぶはケイタ、一夏。」

 

 

 

4

「という訳で1組代表は織斑君に決まりました。」

 

いい笑顔の真耶が教卓に立ち発表する。

クラス内からはチラホラと拍手とヒソヒソと話し合う声が聞こえ始める。

それと同時に三春が勢いよく立ち上がった。

 

「ちょっと待ってください先生、

俺はケイタに負けましたよね?

なんでケイタじゃ無いんですか!?」

 

クラスの過半数の意見を代弁したものだ。

意見の内容としては

 

「絶対に網島君より弱いよね?」

 

とか

 

「千冬様の弟とはいえなんで男なんかが?」

 

とか

 

「秋山君が一番強いんじゃ無いの?」

 

などと言ったものだ。

 

「それは「それはわたくしとレンさんが辞退したからですわ!」

 

三春のもっともな疑問にセシリアが真耶の台詞を遮って答えた。

 

「なんでだよ!?」

 

「そもそも今回の勝負はアンフェアだったのです。

国家代表候補レベルのわたくしにアウトローなスタイルとは言えわたくしと互角以上に戦えるレンさんに対してあなたとケイタさんはほぼぶっつけ本番だったと聞きましたわ。

もし仮にわたくしと貴方、レンさんとケイタさんと、で戦っていればわたくしかレンさんが代表でしたわ。

それに、周りの気持ちを一切考えずに軽率な言動をとったわたくしに代表の資格などありませんわ。」

 

この場を借りて謝らせてくださいまし。

そう言ってセシリアは綺麗に90度のお辞儀をした。

 

「そんなんいいよ!」

 

「気にして無いって!」

 

「それに網島君や秋山君のこと男だからって馬鹿にしてたの私らも同じだし!」

 

と、クラスの大半から明るい声が帰ってきた。

 

「そ、それだったら!尚更ケイタが代表やるべきだろ!?」

 

「俺も辞退したから。」

 

壁の方を向きながら曇天の夜空の色にに墨汁を塗りたくった様な死んだ眼のケイタがまるで他人のことの様に答えた。

 

「なんでだよ!守れる力を俺より持ってるのになんで使わないんだ!」

 

「五月蝿え。

誰もがお前みたいに自分のエゴを信じ切ってそれに労力全部費やせる程単純じゃ無いんだよ。」

 

お前は良いよな、どうせ俺なんか、、、。

普段からどこか気怠げなケイタにネガティブが重なると最早地獄の住人だった。

 

「昔からお前って奴は!

ふざやがって腑抜け野郎!

守んないことが正しい事だって言うのかよ!」

 

「ふざけてるのはお前だ。

やる気の無い者のする仕事などたかが知れてる。

それならやる気と啖呵だけは一人前のお前の方が適任という訳だ。」

 

いつの間にか三春の背後にいた千冬が補足した。

 

「んな事言ったって千冬姉!」

 

バカン!三春の頭に出席簿が叩き込まれる。

 

「ここでは織斑先生だ。

そして私への返事は『はい』か"yes"で統一しろ。

この話は終わりだ。各自次の授業の準備を。」

 

痛みに悶えながらケイタに憎悪を込めた視線を向ける三春以外の全員の元気な返事と共に休み時間のチャイムが鳴り響いた。

 

 

 

5

休み時間になって1組にやって来た簪は絶句した。

ケイタが地獄の住人のようなネガティブオーラを振りまいているからだ。

 

「ケイタ君どうしちゃったの?」

 

「簪さんは良いよな。

努力家でモテそうで。

俺なんか今を嘆くばっかで足踏みしてるぜ。」

 

「何があったの?」

 

「二人とも今朝からあんなんなの。」

 

「二人とも?」

 

蓮の方を向くとハードカバーの英字小説を読んでいる。

特に変わった事はない。

一夏の方を向くと、何やら真っ赤になったままそっぽを向いている。

 

「なんなの?」

 

「分かんない。」

 

同じ頃、前列0ズレ席は多いに盛り上がっていた。

 

「今度のクラス対抗マッチ頑張ってね!」

 

「クラス全員分の食堂デザート権かかってるから!」

 

「ご安心を。わたくしが徹底的に鍛えて差し上げますわ!ねぇレンさん!」

 

「指導の腕とパイロットの腕は比例しない。」

 

「ぐ、な、ならば三春さんを一番に仕立て上げて証明していますわ!

聞いたところによれば一年の専用機持ちのクラス代表は

4組のオランダ代表候補のロランツィーネさんだけ、

ちょろいことには変わりませんわ。」

 

「ますます不安だな。

慢心ダメ絶対ってうちのボスもよく言ってるぞ?」

 

「その通りね!」

 

ロランがオランダの代表候補生だった驚きが冷めやらぬままの簪の耳に今朝聞いたばかりの声が聞こえて来た。

今朝声をかけて来たツーサイドアップの少女だ。

 

「お前、鈴か!?」

 

「久しぶりね屑春、気安く呼ぶなよ気持ち悪い。」

 

「なんでお前がここに?」

 

「そりゃゴールデンウィーク明けからの編入と2組のクラス代表になるのが決まったからよ。

あんたが所詮運だけで専用機とクラス代表の座を手に入れただけの木偶の坊の七光りって所を見せてあげるわ!」

 

そう言って踵を返すと簪たちの方にやって来た。

 

「ん?あ、あんた朝の、1組だったの?」

 

「違う、3組の簪。よろしく。」

 

凰鈴音(ふぁんりんいん)よ。鈴って呼んで。

さて、ケイタ!久々に会ったとおもったらいつにも増してしけた面ね?寝不足?」

 

「心愛ちゃん、、、俺は本当にダメな奴だよ、、。

ちょっと落ち込んだぐらいで中二で引っ越した幼馴染が

小5の時の背格好のままIS学園の制服着てる幻覚が見え始めちまったよ。」

 

「なっ!こ、これでも去年から二センチも伸びたのよ!」

 

「こんな事言うのもいかにも鈴らしいなおい。」

 

「鈴ちゃんっていうの?」

 

「ああ、中国に帰ったっきり会えてないなぁ。

元気してるといいなぁ。」

 

「えっと、あんた心愛って言ったわね?

ケイタどうしちゃったの?失恋?」

 

「さあ?」

 

「一夏も何悶々としてるのよ?片思い?」

 

「ば、馬鹿じゃないの片思いなんて!

あんなって鈴?嘘帰ってたの!?」

 

「今頃気付いたの?久しぶりね、元気してた?」

 

「まあ元気には。そっちこそおじさんおばさん元気?」

 

「え、、う、うん。多分元気よ?」

 

「?、、、うん。そっか。」

 

「あんたこそどうなのよ?

ケイタ共々なんか変じゃん?まさか恋とか?」

 

「はぁ!?恋って?ケイタに!?

無いよ!あんなことされといて恋とか!絶対無い!」.

 

「、、、あんな事って?」

 

思わず自分の口を抑える一夏。

しかしもう遅い。女子は3人寄るだけで姦しいのだ。

それがほぼ一クラス分共なれば、そこに話題を提供してしまえば手遅れだ。

 

「あんな事!?いったいどんな事?」

 

「今更初心なフリして!

網島君と秋山君を両手に花だった癖に!」

 

「待って皆!もしかしてだけど、

両手に花なのは織斑さんじゃなくて網島君だったんじゃない!?」

 

「、、、なるほど!それなら話は通るわね!」

 

「と言う事は、、一つ屋根の下で禁断の三角関係が!」

 

「何ぃ!本当か一夏!?」

 

「いやいや箒!?何マジにしてるの?

無いよ!無い無い!」

 

「ケイタ、あんたなんか大変な事になってるわよ?」

 

「そう?私的には熱いシュチュ。」

 

「あんたのフェチズムは聞いてないわよ。」

 

「ふぇちずむ?」

 

「心愛にはまだ早い世界。」

 

クラスの黄色い声の合間に聞こえた

「俺はゲイでもバイでもない!」

という蓮の叫び声を聞き流しながらいっそ消えたいと

ケイタは説に願った。

 

 

 

6

木組みの街を前輪側半分が黒、後輪側半分が緑のホンダ CBR1000RRに酷似したマシン、マシンハードボイルダーがある場所に向かって真っ直ぐに駆けた。

その先は、国立IS学園高等学校の裏手の林だ。

 

ハードボイルダーを停め、

屹立する校舎を見上げながら心の中で独りごちた。

 

涙をぬぐいに来たとはいえ、いや、だからこそ俺はどこまでいってもこの街にとっちゃあよそ者。

いつものようにスムーズな捜査とはいかない。

 

と踏んでいたが、

この俺がハードボイルド探偵として申し分ない事と、

この街に潜む悪党は中々のやり手だった事もあり、

ネット、巷の噂、街の野良兎達の様子から恐らく次に『奴』が現れるであろう場所を割り出す事に成功した。

 

「居るんだろ?『怪人屋』?」

 

しん、と静まり返った倉庫のどこからも返事は返ってこない。

 

「そうかよ、ならこっちも用意があるから待ちな。」

 

そう言って翔太郎はやけに分厚いガラケーを取り出しどこかに通話を始めた。

 

「フィリップ、奴を見つけた。念のために用意を

『翔太郎!いいタイミングでかけてくれた。君は知らないだろう?ロボット刑事という萬画を!』

おぉい!このタイミングで検索中かよ!」

 

なら仕方ねぇ、そう言って翔太郎は懐から赤いスロットが一つついた奇妙な装置を腰に当てたベルトが伸び固定された。

 

その瞬間、無数のカマイタチの様な風の斬撃が翔太郎を襲った。

 

素早く避けつつ、斬撃が発射された方に積まれていた不法投棄された粗大ゴミに手をかけて飛び越えながら斬撃の発射元と見られる緑色の怪人に蹴りを与えた。

帽子を直しながら敵を見据えて驚いた。

 

「サイクロンだと!?」

 

愉快そうに笑いながら敵、T1サイクロンドーパントは喋った。

 

「ふふふ、ジョーカーさんは中々の名探偵さんだね〜。

この怪人屋さん。感心感心だよ〜。

でもだからって激レア商品のそれをただであげるわけにはいかないんだよね〜」

 

そう言って腰の装置、ロストドライバーを指差した。

スロットにはいつの間にか一本のガイアメモリが挿入されていた。

引き抜いてイニシャルを確かめる。

J。それも翔太郎が一番頼りにするメモリだった。

 

(ジョーカー!?一体いつ挿した?

、、いや、端子が青い。

T2メモリ、、その複製ってとこか。)

 

「悪いが無理な相談だ。

街を泣かす悪党の言う事を聞く訳にはいかねぇし、

何があろうと切り札は、常に俺の所に来るからな。」

 

<JOKER!>

 

メモリの起動と共にガイアウィスパーが鳴り響く。

ゆっくりと腕を振りながらメモリを挿して

 

「変身。」

 

<JOKER!>

 

スロットを倒し、巻き起こったエネルギーが風が逆巻く様な音と共に翔太郎を包んだ。

 

「さあ、お前の罪を数えろ!」

 

木組みの街最初のライダーバトルは風の町を守るはずの二つの力というあってはならないカードで、誰にも知られる事なく始まった。




ケイタ「いかがだったでしょうか?」

ブラット「何故ここに出ている私の出番が君の夢でしかない?」

セブン『じ、次回はあるから許してやってくれ。』

ブラット「ふん、まあいい。
しかしこの世界、レストランΑGITΩといい、風都市といい、ジオウ世界線に近いのか?」

セブン『作者のプロットによれば、、、人造人間キカイダー、キカイダー01、そしてキカイダーREBOOTが起こってない以外は基本ジオウ世界線と同じらしい。』

ケイタ「なるほどじゃあ仮面ライダー龍騎の物語は?」

セブン『タイムベントでなかった事にされてるな。
そんな事よりそろそろ時間だ!
次回、infinite DRAGON KNIGHT、Episode of jokers その3 Cは悪魔だ/ドラゴンナイトの憂鬱!』

ブラット「王の判決を言い渡す。死だ!」

(ED Roots of the King 仮面ライダーキバ)

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