infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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一夏「ケイタ大変だよ!?」

ケイタ「何?なんかドルフロのssを書き始めたいとかほざいてた作者ならさっき肉体会話の末に説得したけど?」

一夏「なんだ良かった、なら安心だね。」

理世(一つも良くない、、、。)

ケイタ「それに不定期って言ってるから大丈夫とか言ってるのも改めさせたし。」

一夏「レンとサードや藤丸さんやマシュさんのスピンオフを書かせるのも延期させたし!」

理世(それは別にいいだろ?)

ケイタ「これで心置きなくやれるな!」

一夏「うん!」

理世「(心愛達はこんな奴らとルームシェアしてるのか?)と、兎に角本編をどうぞ!」

(OP Alive A life 仮面ライダー龍騎)


Episode of jokers その3 Cは悪魔だ/ドラゴンナイトの憂鬱 前編

1

「立香さん、昼奢ってください。明日カラオケ奢りますんで。」

 

彼、藤丸立香は今人生で一番関わり合いになりたく無いと思った。

理由は簡単、目の前にいる少年、網島ケイタだ。

死んだ様な目にはいつにも増して生気がなく、

何か厄介な問題に直面しているのは明らかだ。

 

加えて彼には仮面契約者という人智を軽くふた回りぐらい超えた力を持っている。

同じ力を持つ蓮に相談ではなく、その力を持ってる事だけを知ってる自分の所に来たという事はつまり、蓮とのトラブルという事に他ならないと思ったからだ。

 

「悪いね、カップ麺しかなくて。

ところで、急にどうしたんだい?相談かなんか?」

 

「そうなんですよ。

俺、何が正しいかわかんなくなっちゃって。」

 

それは最早哲学じゃない?という言葉が出そうになるのをぐっと堪えて訊ね返した。

 

「そういうのって蓮の方が的確なアドバイスをくれると思うけど?」

 

「いや、蓮の所為で悩みだした様なもんだし、

頭に脳細胞の代わりに溶岩単細胞ぎっしりの心愛ちゃんは論外だし

マシュさんや鈴やのほほんさん達はライダーのこと知らないし、

手塚さんや簪さんみたいな他のライダーに相談するわけには行かないし、

一夏にはあんなことした手前合わせる顔がないし、

あった所でゼロワンに人肉ハンバーグにされること請け負いだし、

消去法で立香さん以外に人間を疑わなくていい人が居ないんですよ。」

 

確かにそう言われてみればライダー関係のトラブルで相談に乗れそうな人間はそういない。

というかケイタの人間関係が心配になって来た。

 

「ていうかスルーしそうになったけどあんなことした手前って何したの?

場合によっては今君を通報しなきゃいけなくなったんだけど?」

 

「頼みますよ立香さん。

あなたがダメなら俺、側から見たらケータイに話しかける痛い奴に成り下がるしかないんです。」

 

『藤丸、私からも頼む。

今のケイタのネガティブオーラに当てられ続けたら私自慢のシルバーボディにカビが生えてきそうだ。

まだ5月なのに。』

 

確かにこのままにして良い問題ではない。

出来るなら早期解決が望ましいだろう。

 

「わかった、明日はどうせ休みだし、

たまには息抜きも要るしね。」

 

「そうか、ならご一緒よろしいかな?」

 

何処からともなく女の声がする。

まさか、と思って近くの点いていないモニターを見るとアラビア風の仮面の紅色の騎士が写っていた。

 

「仮面ライダースティング!」

 

「なんだって!?」

 

こちら側へと飛び込んできたスティングは真っ直ぐに二人を見据えた。

 

「何の用だ!」

 

「明日は丁度私も暇でね。

ご一緒願いたいだけさ。」

 

「ふざけんな!

殺そうとした事もあったくせに!」

 

「その件は申し訳なく思っている。

が、私とて無闇矢鱈に襲いかかってる訳じゃ無い。」

 

「、、、だからなんだってんだよ?」

 

「友達になりたいのさ。網島。」

 

アーマーを解除しながら海之はケイタに握手を求めてこう言った。

 

「私と一緒に日本人以外のライダーを撃滅しよう?」

 

 

 

2

「簪さん、放課後付き合って貰っていい?

ジュースでも奢るから。」

 

彼女、更識簪は人生で初めて放課後に友達と食堂で駄弁る事となった。

だが話題は中々にシリアスな物だろう。

理由は簡単、今朝から彼女は見かける度に悶々としている事が多い。

彼女が今悩むとしたらルームメイトであり、

幼馴染である網島ケイタとあの冷たい感じのミステリアスな少年、レン・アキヤマについてに決まっているからだ。

 

「一応聞くけど、こっち関係の相談?」

 

懐からアックスのデッキを少し見せる。

 

「うん。けどどっちかというとケイタとレンのことかな?」

 

「ケイタ君だけじゃなくて?」

 

奢ってもらったミックスジュースを飲みながらそう尋ねると一夏の頰が桜色に染まった。

もしかして相談風自慢?という言葉が出そうになるのをぐっと堪えた。

 

「ケイタじゃない!ケイタだけじゃない!

ケイタが元気無いのも勿論だけど、

レンが、あの蟹をベントしたのを気にしてないか、とか。」

 

「そういうのって同じ下宿先の保登さんの方が相談しやすいと思うけど?」

 

「いや心愛ちゃんは頭も口もふわふわしてそうで直ぐに二人に話しちゃいそうだし、

マシュさんや鈴やのほほんさん達はライダーのこと知らないし、

手塚さんは、、、よく分かんないし、

消去法で簪さん以外に口が硬そうな人が居なくて。」

 

決して仕方なく簪さんって訳じゃないけど。

確かにそう言われてみればライダーが大いに関係してくるトラブルで相談に乗れそうな人間はそういない。

というか一夏の身の安全が心配になって来た。

 

「それで、ケイタ君が元気無い理由はわかるの?」

 

「なんとなく、けどどう切りだしたもんかな、と思って。あんな風にケイタにされたの初めて見たし。」

 

表現が抽象的過ぎてよく分からないが、

何やら場の勢いだけでやっちまったらしい。

 

「アキヤマ君に関しては?」

 

「なんか、あんまりにも相手をベントした後にしては淡白な気がして、もし無理してるんなら、力になりたいな、って。ま、レンが戦う理由も知らないし、

ましてや変身も出来ない私がなんか言うのも変かもしれないけど。」

 

だとしてもいつまでもなあなあなままだと良くないし。

確かにこのままにして良い問題ではない。

出来るなら早期解決が望ましいだろう。

 

「ならこうしない?明日はどうせ休みだし、

たまには息抜きも要るし、

どっか出かけながらもっと色々掘り下げていかない?」

 

 

 

3

カチャン。

本来なら教員しか来れないはずの寮の屋上に一人の生徒が入ってきた。

すらっとした美しいプロポーションに左手を腰に当てて右手で持った扇子を仰ぐ動作が偉そうでありながら様になっている。

一言で言えば風格があった。

そしてその後ろから見慣れた少女が一人。

 

「お嬢様〜。」

 

「あら本音ちゃん、来たのね。

あなたからの相談なんて珍しいじゃない。

どうしたの?」

 

「かんちゃんが最近かまってくれなくて寂しい〜。」

 

「そう、、ってえ?え?え?

簪ちゃんが!あの中二ぐらいの時に『友達?非生産的。』

とか一匹狼的なこと言ってたあの子が!あなた以外に友達が!?」

 

「お、お嬢様?それはただの厨二病だと思うよ〜?」

 

「兎に角、兎に角嬉しいわ!

妹に友達が出来るのが姉としてこんなに嬉しいなんて!それで誰なの?」

 

「1組のあみしーといっちーとか、あとここあんだよ。」

 

「あら、それは好都合。

ならあとレン・アキヤマくん共々、

生徒会長権限で生徒会役員になっていただきますか。」

 

 

 

4

「どんなもんだサード?」

 

学園のパソコン室、本来なら管理者級のカードキーが無ければ一人では入れない場所に蓮はいた。

いや、正確には一人では無い。

彼の優秀で誠実な相棒、フォンブレイバーサードと共にいた。

 

『駄目ですね。

師団長様が言っていた例のヤバいヤクがガイアメモリで、

それを流してるのが巷で話題の怪人屋という所までは突き止めたのですが、そこから先は噂以上のものは見つかりそうにありません。

ただ、ちょっと面白い物を見つけましたよ?』

 

「どれどれ?デビルKにエンジェルK?」

 

『はい。なんでもデビルKは黒い歩くケータイの形をした悪魔でネット犯罪者を滅亡に導き、

エンジェルKは白い歩くケータイで、ネット犯罪の被害者を救済に導くそうです。』

 

「完全にお前らじゃないか。」

 

『このSNSに取り憑かれた世の中、

目撃情報って結構あっという間に広がる物ですね。』

 

「何処までいってもただ噂は噂だ。

ほとんど真に受けてる奴なんていないから安心しろよ。

昨日たまたま見たネットニュースなんかキカイダー01の目撃情報が出てたぞ?」

 

『私達以上に荒唐無稽なのが出てますね。』

 

「噂なんてそんなもんさ。

それがネットともなれば尚更だよ。」

 

そう言って蓮は席を立ち扉を入って来た時と同じようにサードイニシエートクラックシークエンスで開けると真っ直ぐに駐車場に向かった。

 

(?、、バイクの前に誰かいる?)

 

タレ目の女だ。のんびりしているが、

それでいて上品そうだ。育ちは良いんだろう。

長い黒髪が清楚な感じの美しさを出していて、

背筋もまっすぐ伸びていて背が高そうに見える。

そういえばクラスメイトだ。確か名前は四十院神楽。

 

「退いてくれ、今からそのバイクで帰るんだ。」

 

「分かっています。

だから貴方とお話しするにはこれが一番良いんです。」

 

カワサキのニンジャとはなかなか良いバイクに乗ってますね。

シートを撫でながら取ってつけたように言った。

 

「お世話はいい、俺は面倒な世間話とか嫌いなんだ四十院。」

 

「では、単刀直入に本題に入らせていただきます。

秋山さん、私の行方不明の友人を捜すために貴方とデビルKのお力添えを頂きたいのです。」

 

「デビルK?なんだそりゃ?俺にはさっぱり分からないな。」

 

そう言い切った蓮に神楽は一枚の写真を突きつけた。

そこにはシーカーを着身したサードを手に乗せた蓮が写っている。

 

「知っています。

間明という方から教えていただきました。

困っているなら貴方達を頼れと。」

 

写真を受け取り日付を確認する。

蓮がインサイザーをベントした日、セシリアとの試合があった日だ。

 

(このアングル、、明らかに窓の反対側に立たないと撮れない。

そしてあの時、少なくとも俺がウイングナイトに変身した時には誰も居なかったはずだ。

なら、これを撮ったのは間明で間違いない。

ゼイビアックスに協力しているあいつならベンタラから写真も撮れる。)

 

「間明の奴、挑戦状代わりってか。

肖像権侵害で訴えてやる。」

 

『なら話は決まりですね。』

 

ポケットからサードをとりだし神楽の前に画面を開いて向けた。

 

『はじめまして神楽様。

わたくしはデビルKこと歩くケータイフォンブレイバーのサード。

以後お見知り置きを。』

 

「よろしくお願いしますね。」

 

「さて、要件を聞く前に言っておくが、報酬は半分前払い

那由多に1の確率だが失敗しても責任は取らない。

あと他の奴に、例え母親にもこの事は話すな。

ネットに上げるな。もし話したり、投稿したりしたら、

こいつが火を噴く。」

 

素早く取り出したスタームルガーを神楽の額に当てる。

 

「勿論、構いませんわ。」

 

「即答かよ。」

 

ま、じゃなきゃ単身で専用機持ちの軍属に頼み事なんかしないな。そう思ってスタームルガーをホルスターに収めてバイクに寄りかかった。

 

「んで、どんなヤマなんだ?」

 

「剣道部で何人かの生徒が行方不明になってるんです。

その犯人が、巷で噂の怪人屋かも知れないんです。」

 

 

 

5

有野啓長は生まれつき劣等感に苛まれていた。

あいつは俺より強そうだ。あいつは俺より賢そうだ。

そう思うだけで啓長は死にたいぐらいに惨めな気持ちになった。

それ故に彼が強さに固執するようになったのはある意味自然だった。

 

潰れそうになる心をなんとか支えながら啓長は努力した。

死ぬ寸前になるまで走り込み、栄養失調で倒れるまで不眠不休で勉強した。

死の淵を体験する。

それが何よりの経験値になると思った啓長は勉強と喧嘩に明け暮れた。

点滴を取りながら二十四時間以上勉強したり、

ヤクザの事務所に殴り込んだり、兎に角暴れた。

 

警察にマークされ包囲された事もあったが鍛え上げた喧嘩の腕と頭脳で乗り切った。

悔しそうに地団駄を踏む女性警官を見るだけで啓長は満面の笑みを浮かべた。

強さに一切関係なく女が偉くなってる世界が気に食わなかったからだ。

 

警察から逃げ、偶に手段を見つけては勉強し、

喧嘩に明け暮れる日々を送っていた啓長。

ある時、廃屋でくつろいでいた時だった。

 

「はじめまして、有野啓長君。私はマトックという者だ。」

 

マトックはスピアーのアドベントデッキを差し出しながらこう言った。

 

「私は今この女尊男卑社会に叛旗を翻すべく活動している者だ。

そこで君に是非とも力を貸して欲しいんだ。」

 

勿論啓長は二つ返事で引き受けた。

反射改革ともなれば命を懸けて戦う機会などごまんとある筈。

その時こそ自分の成長のチャンスだ。

そうして啓長は仮面ライダーになった。

が、それは彼が想像していたものより格段に簡単な仕事ばかりだった。

 

「あかん」

 

ライダーの力を使えば大抵の奴より強かった。

 

「好かん」

 

更にアタックベントまで使えば数の暴力で簡単に敵を殲滅出来た。

 

「満足出来ひん!」

 

啓長の不満は募りに募っていた。

 

「随分荒れてるね有野君。」

 

「なんや間明か。

言っとくけど俺は今暇を持て余しとるんや。」

 

「なら丁度いい。

ゼイビアックスから指令を預かっていてね。君に仕事だ。」

 

「けっ!どーせまた亡国や女権の奴らやろ!」

 

「いや、ドーパントさ。」

 

「、、、ドーパントってあれか。

人間が小箱みたいなヤクで変身するあれか!」

 

「ああ。丁度今僕らの商売を邪魔してる奴がいてね。」

 

近くの鏡に手をかざす間明。

そこに何が写り込んだ。

覗き込むと緑色の怪人と黒い怪人が戦っている。

黒の方が優勢だ。緑色の方は余り近接戦が得意そうではない。

 

「あの黒いドーパントを倒して欲しいんだ。」

 

「強いんかあいつ?」

 

「風都一を気取ってるよ。」

 

「今日からは二番や。」

 

人差し指を立てた両手を交錯させながら前に突き出し、

くるりと手首を一回転回し、

両手の小指を立てながら水平に両手を大きく広げる構えを取り

 

「KAMEN-RIDER!」

 

左手で持ったデッキをバックルにセットしながらくるりと右手を手の甲が正面を向く様に回す。

スピアーに変身した啓長は足取り軽やかに窓から飛び降りると自前のホンダCBR600F4iに跨り、めちゃくちゃに蛇行しながら去って行った。

 

「、、、さて、漸く駒が揃った。」

 

独りごちると間明は早速カップ麺を作り始めた。

 

「、、、よく嘘の指令を奴に伝えておきながら落ち着いて飯なんか作れるな。」

 

「おや、マドカちゃん。居たのかい?」

 

出て来たのはサイレントゼフィルスのパイロット、

エムことマドカだ。

 

「ゼイビアックスに逆らってただで済むと思ってるのか?」

 

「ただも何も僕は将軍から金銭的援助を受けたことは一度もないよ。

むしろ今までの分を経費で落として欲しいぐらいさ。」

 

こう見えてハッキングとか色々やってるんだよ?

両手を広げておどけて見せる間明。

マドカはきみ悪く思った。

 

「奴に逆らえば死ぬより酷い目にあうぞ?」

 

マドカは今でも夢に見る、思い出すだけでも身体中から汗が吹き出し、

目眩がする光景、オータムの最期を思い出しながら忠告した。

 

「構わないよ目的を達成したあとなら。」

 

「本気か?」

 

「僕は目的の達成以外は基本、どうでもいい、どっちでもいい、なんでもいいんだよ。」

 

マドカは戦慄した。

頭のネジが2、3本飛んでる自覚がある自分だってある程度は自分が大事だ。

それなのにこいつからは保身みたいな感情がまるで感じられない。

 

ゼイビアックスに逆らっても悪びれもせず、

命なんてどうでも良いと言わんばかり。

マドカが知る由も無いがかつて蓮は仮面契約者をみんなもう魂に致命傷を負ってると評した。

もしこれを知っていたならマドカはこの時こう言っただろう。

 

この男は魂が腐っていると。




ケイタ「てな訳で、今回はここまでです!」

一夏「初めて六千字を下回ったけど?」

理世「旅行先でネット環境最悪だったんだ許してやれ。」

ケイタ「じゃ、時間も押してるんでさっさと済ませますか。」

一夏「次回 Episode of jokers その3 Cは悪魔だ/ドラゴンナイトの憂鬱 後編!」

理世「またのご来店、お待ちしております。」

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