infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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鈴音「毎度の事ながら、お待たしました!」

ケイタ「前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは!」

千夜「ごめん!」

海之「デッキを返せ!」

ケイタ「なんで俺のも!?」

翔太郎「一夏ちゃん!?」

一夏「翔兄!」

心愛「ドラゴンナイトが襲ってきた!」

(op DIVE INTO THE MIRROR KAMEN-RIDER DRAGON KNIGHT)


Episode of Jokers その4 Cは悪魔だ/罪を数える意味 中編

1

今にも見失いそうな海之の背中を追いかけながらケイタは木組みの街を走り続けた。

走りながらどんどんどんどん道の奥まで走って行く。

 

「はあ、はあ、、。

やっと追いついたぞ千夜。デッキを返せ。」

 

「頼むよ、てかなんで俺のもパクったんだよ。」

 

ドレスを直しながら袋小路に追い詰めた千夜に詰め寄る海之とケイタ。

 

「やだよ。絶対にやだ。

それだけはきけないよ。」

 

「何故だ!アドベントビーストに対抗するにはデッキを使うしか無いんだぞ?雄一の様な被害者が出るのを許容するのか?」

 

「違う!、、いや、違わないかも。

海之ちゃん、やめようよ。

知らない人の為に戦うのも、

雄一君を殺した奴なんかの為に戦うのも!」

 

「は?なんだよそれ?、、、どうゆう意味だよ?」

 

「そのままの意味だよ!雄一君は、

海之ちゃんがライダーになるのを止めようとして、

あの鱏のビーストに殺されたんだよ!」

 

 

 

2

手塚海之の父、手塚光(てづかこう)は高知県の小さな漁村に漁師の家の長男として生まれた。

小さい頃から父と共に海に出ていた彼は自分も漁師になるものだと思っていた。

しかし光が高校を卒業する年、近くの工場の工業廃水で海が駄目になってしまい、風都の大学に進学。

 

大学を出ると、日当たりの悪い安アパートから木組みの街の甘兎の二階に下宿しながら風都のIT企業、ディガル・コーポレーションに勤めていた。

真面目で誠実な光は多くの同僚からの信頼を得た。

 

恋にも落ちた。

当時甘兎で働いていた女性、白鳥洋子。

千夜の母の親友と結ばれた光は金を貯めて一軒家を購入し、

そこに2人で住んだ。

 

夫婦仲も円満で千夜の両親の結婚と同じ年に女の子を授かった。

それが海之だった。

海之は親同士の仲がいいという事で千夜と幼い頃から友達だった。

しかし初めから仲が良かった訳ではない。

何事にもきっかけがある。

 

二人の場合は幼稚園の時だ。

千夜は海之と仲良くなりたかった。

しかしどうも海之と会話のキャッチボールが出来ないのだ。

 

幼稚園に入る前にも何度かあった事があるがこちらの顔をジッと見つめるばかりで話しかけて来ない。

こちらから話を振っても偶に相槌を打つぐらいで聴いてるんだから聴いてないんだかよく分からない。

しかも朧気ながら忘れられないのが2回目に海之とあった時、真顔で面と向かって会ったこと有ったっけ?と言われた事があるのだ。

 

子供心に千夜は物凄く切なくなった。

と同時に人生最初の意地の張り合いを始めた。

もうこうなったら何が何でも友達になってやる!

そう意気込んだのだ。

ある日、千夜と紗路はいつもの様に海之を探していた。

 

「ねえちや。やめようよ?

みゆきちゃん、なんだかこわいこだよ?」

 

「かんけいないの!」

 

「おしゃべりしてもへんじしてくれないよ?」

 

「しってる!」

 

「ずーっとおかおみてくるよ?」

 

「されたことある!」

 

「じゃあなんで!?」

 

「おんなのいじ!」

 

そう言って怖がる紗路の手を引いてドンドン奥に進んで行った。

ようやく見つけた。

いつもは当てもなくフラフラしている海之だが今日は何故か男の子が弾いているピアノをジッと見つめていた。

 

「ねぇ!みゆきちゃん!」

 

「?、、えっと、ちや?」

 

「!、、うん!ちやだよ!」

 

「あれすごいね。」

 

男の子の弾くピアノを指差す海之。

 

「うん、じょうずだね。」

 

「しろくろのところ、ぐにゃぐにゃなのにどーやっておとだしてるの?」

 

「、、、え?」

 

「ちや、、やっぱいこうよ、このひとおかしいよ、。」

 

「、、ねぇみゆきちゃん。このゆびなんぼん?」

 

すっ、と3本指を立てて海之の眼前に出す千夜。

 

「ちやはどうやってゆびをゆらゆらさせてるの?」

 

「っ!、、みゆきちゃんきて!ピアノのきみも!」

 

「え?ぼくも?」

 

この後千夜は舌足らずな日本語でなんとか海之の目の事を大人に伝えた。

直ぐに海之は病院に行って検査を行った。

 

が、海之のかかった病気は治る見込みが無いもので、大きくなったら偏頭痛を伴うとの事だった。

これを知った千夜は思った。

私が海之ちゃんを助けるんだ。と。

 

それから千夜は海之がうざったいと感じるほど海之に付き纏った。

そのせいで一度喧嘩もした。

止めに入った紗路とピアノの少年、斎藤雄一(さいとうゆういち)巻き込んだ大喧嘩になった。

なんとか大人の仲裁が入って仲直りした後に雄一はこう言った。

 

「だったらみゆきちゃんもちやちゃんを助けたらいいじゃん。」

 

そんな一言がきっかけで気付けば四人は親友になっていた。

小学校、中学校と同じ学校で学び、放課後は甘兎か、

フールドラパンにたむろしていた。

全てが変わってしまったのは彼らが中学校二年生の時。

奴が海之の前に現れた。

 

「始めまして手塚海之さん。私はサイモンズ。

今日は君に提案があって来た。」

 

サイモンズ曰く、この街は鏡の向こうに巣食怪物の攻撃を受けており、アドベントデッキを使ってライダーになって戦う以外に止める方法は無いとの事だ。

ただし一度契約したらもう後には引けないからよく考えると良い。

 

そう言ってサイモンズは海之にコントラクトのカードを渡して去っていった。

海之も初めは半信半疑だった。

鏡の向こうの怪物?ミラーマンかよ。

と3人に笑い話にしたりしていた。

 

しかしある時から海之は異変を感じるようになった。

突然耳鳴りがするぐらいは持病の偏頭痛で済ませられるが、

鏡に自分の顔じゃなくて蟹の化け物が映ったり、

偶々見かけたサイモンズの車の運転手が赤いピラニアの化け物になったりするのを見てる内に段々と鏡の世界を信じるようになった、信じざるを得なくなっていた。

耐えきれなくなって想いを寄せていた雄一に相談した。

 

「という訳で、最近は落ち着いて居られないんだ。

なんせ鏡や鏡の代わりになる物なんてそこら中にあるからな。

どうすれば良いと思う?」

 

「なるほど、分かった。俺に考えがある。

明日放課後、真っ直ぐ俺の家に来てくれ。」

 

言われた通りカードを持って雄一の家に集まった。

雄一は音楽一家の次男で三人姉兄弟の末っ子だった。

兄と姉は既に成人していて家庭を持っており母は死んでいた為、

家には雄一一人だった。

海之は別に呼ばれて居たらしい千夜と共にピアノの部屋に通された。

 

「それで考えってなんなんだ?雄一?」

 

「海之、カードを貸してくれ。」

 

言われた通り契約のカードを渡す。

するとグランドピアノの前に立ってこう言った。

 

「サイモンズ!見てるんだろ!?

僕が戦う!だから海之に関わるな!」

 

するとグランドピアノがまるで水面のように揺らめくと、

中から飛び出した紅色の塊が雄一に襲いかかった。

エビルダイバーだ。

 

「ぐああああああ!海之っ!千夜ぁああ!」

 

「辞めろ!雄一!雄一ぃいいいいいい!」

 

「雄一君!雄一君!やめて!雄一君を食べないで!」

 

なんとか、エビルダイバーを引き剥がそうとしたが非力な女子二人が体当たり一つでISに絶対防御を発動させるような化け物をどうこう出来るはずもなく、

雄一は大量の血痕とちぎれた指を二本だけ残して綺麗に平らげられてしまった。

 

しかし人1人食べたぐらいではエビルダイバーは満足しないらしい。

次なる獲物を千夜と定めると最大戦速で突っ込んで来た。

もう駄目だ。そう思って千夜はぎゅっと目を閉じた。

しかしどれだけ経っても何も起きない。

 

もう死んだのか?

いや、違う。自分はもう死にたいと思う程の苦痛もまだ生きたいと叫びたい程の絶望も感じていない。

目を開けるとそこには血だらけのカードを掲げた海之と海之に敬意を示すように侍るエビルダイバーの姿があった。

 

「海之ちゃん?」

 

「千夜、やっと理解したよ。これが本当の暴力だ。」

 

ポケットからデッキを取り出し、カードを収める。

 

「海之ちゃん何言ってるの?」

 

「守るってことは暴力を用いて凡ゆる障害を排除、処分することなんだ。」

 

デッキを構えて、Vバックルを出現させる。 

 

「待って、、まさか。」

 

「私は決めたぞ、守るぞ千夜。

雄一以外の全てを、この暴力という力で!」

 

転がったままの雄一の人差し指と中指が海之の目に留まった。

それを見て、正面に人差し指と中指を立てた手を差し出す。

 

「仮面ライダー!」

 

海之はこの時より仮面ライダーに変身した。

 

 

 

3

「、、、そんな、ことが。」

 

「だからさ、辞めてよライダーなんて。

これ以上戦わないで!

死ぬかもしれないような所に飛び込んで行かないで!

海之ちゃんまで死んじゃったら、

私もうどうなるか分かんないよ!

こんな物が、あるから。、、こんな物があるから!」

 

二つのデッキを持った手を思い切り振りかぶる。

千夜が投げようとする先には、

スタンドミラーが不法投棄されている。

 

「やめろ!」

 

パン!海之よりやや千夜寄りの所に立ってたケイタが千夜にビンタした。

 

「さっきから黙って聴いてりゃ酷い話だなおい。」

 

「網島、、お前。」

 

「手塚さん。あんたが正しいとは思わないけど頭ごなしに悪いって言っちまったのは謝る。

あんたは、ちゃんと、その斎藤って人の二の舞を出さない為に戦ってたんだな。」

 

それに対してお前はなんなんだ?

と千夜からデッキをふんだくるケイタ。

 

「何だかんだ口ではいかにも正しいような事言いながら要は知らないのが怖いだけだろ!

手塚さんが自分から離れてくのが嫌なだけで、

自分から手塚さんに追いつこうとしてないじゃんか!

手塚さん止めるにしたって、

まずは手塚さんが周りをどう見てるかを知って、

その上でどう悪いか言えばいいじゃんか!

別に手塚さんが危なっかしくて見てらんないでもいいし、

手塚さんが居なくなると寂しいでもいい。

さっきの話聞いてて分かったけど、

別に手塚さんと喧嘩したい訳じゃないでしょ?

ならごちゃごちゃ理屈こねないでいいじゃん。

めんどくさいし。」

 

そう言ってから海之にデッキを投げ渡すとケイタはベンタラにダイブした。

後は2人が解決すべきだ。

 

『自分のことを棚に上げて何がいいとか悪いとか言いも言ったりだったな。』

 

「うるせえケータイ。

俺だって人のこと言えないのは分かってんだよ。」

 

『そのくせによくまああんだけペラペラ喋れたな。』

 

「何だろ、鏡見せられたって言うか、反面教師って言うか。

多分手塚さんから見た宇治松さんが蓮から見た俺なんだろうな、って。」

 

『ならなぜ戦うかアキヤマに聞くのか?』

 

「いや、立香さんに聞く。

あいつ素直に答えないだろ?」

 

『、、、たしかに。』

 

「サッサと戻ろう。

まだ立香さんカラオケにいるかな?」

 

 

 

4

なんとか隙を見つけてベンタラに戻った簪はドリューを探した。

 

「いた!おーい!こっちだ!手を貸してくれ!」

 

声をした方を振り向く。見るといつのまにかベンタラに戻っていたスパイダードーパントと新たに現れたらしいドーパント、

バットドーパントとトルクが戦っていた。

 

<STRIKE VENT>

 

デストクローを装備してバットドーパントの翼を破壊しながらトルクから引き剥がす。

 

「こいつらの弱点は首、上手くやればファイナルベントは要らない。」

 

「よし来た!」

 

<GUARD VENT>

 

トルクは肩に契約ビーストの膝を模したプロテクター、

ギガテクターを装備してバットドーパントに向かっていく。

それを阻止しようと蜘蛛糸を発射するスパイダードーパント。

しかしそこにアックスが割って入る。

 

「来い!」

 

蜘蛛糸をつけられた左クローを引き寄せつんのめりながら突っ込んで来たスパイダードーパントの糸を出す器官に右クローを浴びせる。

悶絶するドーパント。

 

「███▅▅▅▅▃▃▄▅▅▅―!」

 

「動かないで、動くと痛い。」

 

「!?」

 

立ち上がりこちらを威嚇するスパイダードーパントにそういうと、

両膝をつき、両手を前に差し出した。

 

「ごめんね、なるべく一瞬にする。」

 

デストクローが首に当たる。

爆竹を鳴らしたような音と火花と共に首輪からメモリが排出される。

アックスのデッキに当たって砕けた。

改めてうつ伏せに倒れているドーパントだった人を見る。

 

(この服もしかして!IS学園!?)

 

リボンの色は簪のと同じ、一年生だ。

 

「ッ、、、、な、?」

 

「喋らないで。すぐ助ける。」

 

元スパイダードーパントを背負ってトルクを探す。

ビームガンの音で割とすぐに分かった。

トルクはバットドーパントからの攻撃をギガテクターで弾き、

時にタックルを当てながらバイザーで確実に首を狙っていく。

 

「俺は獲物を逃がさない!」

 

腹部にフルオートにしたマグナバイザーのビームを至近距離で浴びせ距離を取ると新たにカードを切る。

 

<SHOOT VENT>

 

契約ビーストの腕を模したミサイル砲、

ギガランチャーを装備して、どっしりと腰を落とし首を狙う。

 

「はっ!」

 

トルクを後退させながら放たれたミサイルは寸分違わずバットドーパントの首を打ち抜き、メモリと首輪を破壊した。

 

「ちょろいもんさ。

お、アックス!そっちも終わったか。」

 

「うん、手伝って。地球に返して、救急車だけ呼ぶ。」

 

「よし来た。あっちに重機があった。

そこの窓なら丁度いい。」

 

2人は窓から地球側にダイブし、

元ドーパントの2人をベンチに寝かせると119に通報してその場を後にした。

 

「それで、信じてくれるかな?俺のこと。」

 

「、、、!あれ。」

 

「あ?ドラゴンナイト!

、、よし、あいつが悪党だって証明してやる。

ついて来な。」

 

そう言うとドリューはデッキを構えて、左腕をと交差させながら右腕を力強く振り上げ、出現させたVバックルにデッキをセット。

 

「KAMEN-RIDER!」

 

トルクに変身し、マグナバイザーを構えるとケイタに向かっていく。

 

「おい!ドラゴンナイト!」

 

「!?」

 

「戦え!」

 

牽制で足元にビームを撃つトルク。

 

「仕方ないか、カメンライダー!」

 

ドラゴンナイトに変身し、門の向こうに転がり込むと迷わずカードをベントインする。

 

<GUARD VENT>

 

ドラグシールドを両腕に装備し、隙間がないようにぴったりと合わせると走りながら突っ込んだ。

 

「なんだと!?」

 

「おりゃあ!」

 

ギリギリまで接近して強烈な頭突きを浴びせるとそのままドラグシールドをトンファーの様に使い、トルクを殴り伏せる。

 

「落ち着けよ俺は

「ゼイビアックスの思い通りにはさせない!アビスの仇をとってみせる!」

アビスだって?」

 

トルクがドラゴンナイトのセリフを遮り叫ぶとドラゴンナイトの背後の鏡に背の低い白人の男が映り込んだ。

 

「いいぞドラゴンナイト!

そのままトルクをアビスと同じ所に送ってやれ!」

 

そういうと男はカブトガニの様な怪人に変身してから再び人の姿に戻る。

最初と姿が変わっており、茶髪の女性になっている。

 

「ゼイビアックス!」

 

ドラゴンナイトは追いかけようとしたがブロックされた様で向こうにダイブできなかった。

 

「くそッ!逃した。」

 

「、、、ケイタ?」

 

「あ、簪さんいい所に来た!ちょっと「裏切り者。」え?」

 

「私もアビスみたいにベントするつもりで近づいて来たんでしょ?」

 

「さっきからアビスって誰だよ?初耳だぞ?」

 

「嘘つかないで。貴女がベントした癖に!」

 

「ベントだって!?」

 

「忘れたとは言わせないぞ!」

 

そう言って簪とドラゴンナイトの間に躍り出てフルオートにしたマグナバイザーを撃つトルク。

 

「チキショウ!問答無用かよ!」

 

ドラグシールドを構えながら後ろ向きに走る。

元来た鏡に飛び込む。

そのまま変身を解かないで鏡を蹴り壊す。

これで向こうからはこちらに来れない筈だ。

海之と千夜は居なくなっていた。

 

「訳わかんねえ。誰だよアビスって?

全く身に覚えがないぞ。」

 

『恐らくあのトルクとか言うライダーが簪に有る事無い事吹き込んだんだろうな。』

 

「最悪だ。カラオケに戻ろう。

手塚さんだけでも説得しとかないと四面楚歌になっちまう。」

 

 

 

5

左翔太郎は一夏と心愛の案内でラビットハウスに来ていた。

カッコつけてブラックのコーヒーを燻らせている。

 

「アドベントビーストにベンタラ、それに仮面契約者ねえ。」

 

「そりゃ荒唐無稽なのは分かってるよ。

でも翔兄も見たよね?鏡の向こうにいた仮面ライダーを。、、ケイタを。」

 

しかし一夏が最後まで言い終わらないうちに翔太郎は手で制した。

 

「一夏ちゃん。久しぶりとはいえ俺のポリシーは忘れて欲しくなかったぜ?」

 

「ポリシー?」

 

「徹底的に信じ抜いて疑い抜くのが左翔太郎流だ。

それにあんなに素直じゃない一夏ちゃんがここまで真剣に打ち明けてくれたんだ。勿論信じる。」

 

しかし、だけどな。と断り。

 

「あの格子戸仮面がケイ坊ってのは信じない。」

 

「、、一応聞くけど、なんで?」

 

「一夏ちゃんが信じたくないと思ってるから。

それ以上の理由はいらねーよ。」

 

「翔兄、、。」

 

「そうだよ一夏ちゃん!ケイタくんが私達を襲う訳ないよ!

きっとあいつはニセモノだよ!」

 

「盛り上がってる所悪いですけどお店なんで静かにしてもらえますか?」

 

「おっとすまねえリトルレディ。ま、兎に角。

この小さな街に怪人屋とライダーバトルなんていう異常事態がバッティングするなんてのが偶然とは思えねぇ。

依頼と合わせて解き明かしてみせるぜ。」

 

 

 

6

もう日も暮れた頃、ケイタ達の姿は甘兎にあった。

 

「ごめんなさい先輩。

私頭に血が上ってたみたいです。」

 

「う、、うん。分かったん、、、、なら、いいんだ。」

 

ケイタは今来たばかりだったが、

酔いが覚めて、砕けた表情から変わって恐怖の表情を貼り付けている紗路と服を乱して肩で息をしている立香、千夜そして店の脇に放置されている折れた木刀やボコボコに凹んだヘルメットやジュラルミンの盾を見て全てを察した。

 

「なんつうか、お疲れさんです。」

 

「あ、網島君、、そっちもどうにかなったみたいで良かったよ。」

 

「ええ、まあ、なんて言うか、半分以上勢いでしたけど。

宇治松さん顔平気?」

 

「うん。バッチリ目、覚めた。」

 

「そっか、ごめんね。あ、後手塚さんは?」

 

「そろそろ着替えて降りてくると思うけど、、あ、来た。」

 

「む、網島。いらっしゃい。注文は決まってるか?」

 

紅色の甘兎の制服に着替えた海之が降りてきた。

今朝の白ロリのドレスより似合ってる。

 

「あ、いや来たのは客としてじゃなくて仮面ライダードラゴンナイトとして。」

 

「と言うと?」

 

かくかくしかじか、これこれしかじかと海之達と別れてからを説明する。

 

「なるほど。そういう事か。

さっきから網島を監視してるあの猿のビーストにようやく納得した。」

 

「え!?嘘!」

 

窓の方を振り向くと前に蓮が言っていた猿のビースト、デットリマーとは違う怪人がこちらを見ていた。

 

「ビースト?」

 

「先輩?皆さん、窓の向こうには誰もいませんよ?」

 

「悪い立香さん。ちょっとセブンと2人に説明しといて!」

 

そう言ってケイタ立香にセブンを渡すと海之に続いてデッキを構えた。

 

「仮面ライダー!」

 

「カメンライダー!」

 

2人はドラゴンナイトとスティングに変身してライドシューターに乗り込むと逃げに入った猿怪人を追いかけた。

猿怪人は自分に得意な場所で戦おうとパチンコ店に逃げ込んだ。

階段の縁を掴んで器用に上へ上へと逃げていく。

 

「どうする?ちんたら階段上がってたら猿も木から落ちるのに期待するしかなくなるけど?」

 

「なら引きづり落とすまでだ!」

 

<ATTACK VENT SWING VENT>

 

二枚のカードを続けてベントインして契約ビースト、エビルダイバーとエビルダイバーの尾を模した鞭、エビルウィップを召喚する。

 

「波乗りならぬ風乗りなら私の十八番だ!」

 

エビルダイバーの背中に飛び乗り急上昇すると

パシュ!とエビルウィップで猿怪人の足首を捕まえ

一気に地面に叩き落とす。

 

「█▅▅▃▄▄▅▅▄▅▅▅━━━━――――!!」

 

意味不明な奇声を上げながら建物8階分の高さから落下してきた猿怪人はアスファルトの地面と熱いキスを交わす。

全身に漏れなく衝撃が走り抜け、立つこともままならないようだ。

 

「わーお、ダイナミック。俺も負けられないな!」

 

<STRIKE VENT>

 

ドラゴンナイトもドラグクローを装備して炎球、昇竜突破を発射しようと構えを取るが

 

<COPY VENT>

 

「美味しいとこだけ持ってくのはマナー違反だぞ?」

 

素早くエビルダイバーから降りながらドラグクローをコピーしたスティングがドラゴンナイトの横に着地。

 

「お、おう。しゃっ!行くぜ!」

 

2人の背後にドラグレッターが炎を吹くのと共に2人のクローから放たれた炎は猿怪人を粉々にした。

 

「楽勝!」

 

「ああ!」

 

パン!とハイタッチを交わす2人。

 

「ん?ドラグレッターどうした?もうあいつは粉々に、、ってえ?」

 

煙が晴れた先を見て驚いた。

さっきまで猿怪人がいた場所に人が倒れているのしかも着ている服はようやく見慣れたIS学園の物だ。

 

「大丈夫か!、、、な!しっかり!おい!しっかりしろ!美津樹!」

 

「みつきって、、手塚さん知り合い?」

 

「3組のクラスメイトだ、、、。ん?なんだこの破片?」

 

ひょいと、彼女、美津樹の側にあった破片を拾い上げるケイタ。

 

「ガイアメモリだ、、。」

 

「これが噂の?」

 

「ああ、イニシャルはA、、Ape(エイプ)か、その人はエイプドーパントにされてたんだ。」

 

「だがおかしいぞ?一ヶ月そこらの浅い付き合いだが美津樹が違法薬物を服用してるようには見えなかったが?」

 

「素人の俺らが考えても仕方ない。

一旦甘兎に戻ろう。この道の専門家に相談する。」

 

「専門家?」

 

「ああ、ガイアメモリ事件の駆け込み寺にして風都の顔、翔兄、左翔太郎に。世界一のハードボイルド探偵にな。」




ケイタ「以上、いかがだったでしょうか!?」

鈴音「結局私の毒は平気だったの?」

ケイタ「それは次回語られます。それ以外でなんか質問は?」

鈴音「W本編にエイプなんてメモリあった?オリジナルならタグ付けなきゃじゃないの?」

ケイタ「エイプドーパントは小説仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜に登場したドーパントでクライマックスのシーンでWと戦ったんだ。」

鈴音「あー、講談社のアレね。
けどエイプの頭文字ってAよね?Zじゃないじゃん?」

ケイタ「それは読んでみてのお楽しみという事で!」

鈴音「あっそ、焦らされんのは好きじゃないし早速本屋に行ってくるわ!次回予告はこのケータイとやってて、じゃ!」

ケイタ「え!ちょっ!まてよ鈴!行っちゃったよ、、。」

ネクスト『イタタタ、、なんで本編に出番無いのにこんな登場しなきゃなんだよ、、。あ、セブン先輩のバディさん!はじめまして!フォンブレイバーのネクストっす!』

ケイタ「あー、あの短編みたいなのの主人公の?じゃ、宜しく!」

ネクスト『お任せください!次回、infinite DRAGON KNIGHTは!」

ケイタ「俺の偽物?」

蓮「喧嘩ならいつでも買うぞ?」

心愛「なんで信じないの!?」

翔太郎「蓮、お前は許されるよ。」

一夏「ケイタが生活態度以外で半端やるとか無いよ。ないない。」

簪「私はどっちを信じたら、、、。」

ネクスト『次回、Episode of Jokers その4 Cは悪魔だ/罪を数える意味 後編!』
ケイタ「戦わなければ生き残れない!」

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