infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

23 / 104
ロリ千夜「、、までの、、インフ、、ナイトは!」

ケイタ「、、、、、、いや嘘だろちょっと待って?」

セブン『明らかに、、、おかしいな。』

ロリ千夜「?、、おにいちゃんだれ?」

ケイタ(嘘だろ?もしかして別キャラあつかいなのか?)

ロリ千夜「おにいちゃん?」

ケイタ「あ、いや平気だよ!そのカンペ貸して読めないよね?」

ロリ千夜「うん、はいどーぞ。」

ケイタ「ありがとう。えっと、前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは!」

セブン『前回は手塚達の過去を知って和解したんだったな。』

ロリ千夜「なかよしがいちばん!」

ケイタ「その一方で蓮や簪さんとはどうなってしまうのか?さてさてどうなる?」


Episode of Jokers その4 Cは悪魔だ/罪を数える意味 後編

1

酔っ払いのサラリーマンを見送る。

はぁ、とため息をつくとバーテン服の少年、

蓮は織斑千冬以外全員帰った店内を、

ラビットハウスを見渡した。

 

もう間も無く閉店だ。

後から来る客はもう居ないだろう。

千冬の隣に座り、肩を叩き話しかける。

 

「お客さん。そろそろ店じまいなんで帰ってもらえますか?」

 

「うるしゃい、、私はこんまもんじゃ足りないんだぁ、、、。」

 

がん!と氷しか入ってないグラスを叩きつける千冬。

どうやら話しかけてる相手が誰かもわからないぐらい酔ってるようだ。

 

「もう完全に出来上がってるじゃないすか?」

 

「私がこんなぐらいで酔わなくなくない訳ないだろうぁあ!」

 

「せめて人類語喋ってください。

どっちですか?そのままだと泥酔して帰れなくなりますよ?」

 

「2度も言わせるなぁ、だりなーい!こんなもんじゃまだまだだぁ!」

 

「はぁ、、、じゃあこうしましょう。

俺が最後の一杯を奢ります。

その代わりなんで店のジャックダニエルを飲み尽くしたのかぐらい教えて下さい。マスター、俺はシンデレラで。」

 

す、と千冬の目の前に小銭の山が出される。

蓮が今日稼いだチップ全てだ。

 

「、、、、、。ダブルで。」

 

それぞれに飲み物が出される。

一口飲むと千冬が口を開いた。

 

「私は教師でな、、、好きでやってる訳じゃなくて、

それしかやる事が無くてやってるんだが、

二年目にもなるとこれがなかなか楽しくてだな。

それなりに愛着もわいてきたんだ。」

 

「可愛さ余って憎さ百倍ってやつですか?」

 

なおこの使い方は間違いもいいとこだが無口なマスターにアメリカ育ちにだんまりを決め込むケータイに酔っ払いしかいないこの場でそれを指摘する者は居ない。

 

「そんなとこだ。でだな。

最近になって私の生徒が犯罪に巻き込まれたんだ。」

 

「一気に物騒な話ですね。」

 

「まあ聴け。

それで仇討ちのつもりで独自に捜査しようとしていたら他の生徒から資料を奪って自力で調べたんだ。

そして最悪の事実に辿り着いた。」

 

やっぱりか、と蓮は思った。

名もなき小市民同士のコミュニティの中ぐらいなら兎も角、

社会の幾らか汚い所でモノを言うのはいつだって実力だ。

 

それが現状世界最悪の兵器のエキスパートとなれば下手すればアンカーエージェント以上に強い捜査能力を持つだろう。

たかが世界最強の称号しか無いこんな弱い人間に!

蓮は少し悔しく思った。

 

「悩んだが事実を公にする事にした。

しかし奴らが邪魔をしてきた!」

 

「国家IS委員会、、、。」

 

「ああ、実際に連絡して来たのはただ単にISが万能だと勘違いしてる馬鹿だろうが、そう命じた奴は違うだろう、、。

奴らはガイアメモリの危険性を分かって表に出なければ構わないと!

ISを超える汎用性を持つ兵器を認めようとしないさ!

彼らが!仮面ライダーが世界の危機を水際で食い止めてる限りは!」

 

がん!再びグラスを叩きつけると頭も机にぶつけてメソメソと泣き出す。

泣き声は次第に寝息に変わり千冬は轟沈した。

 

「お疲れブリュンヒルデ、あんたが追い詰めた獲物、

美味しく横取りさせて貰う。」

 

ポケットから手帳とスマートフォンを抜き取り充電用の穴にアダプターのようなものを取り付ける。

アンダーアンカー謹製の特殊USBだ。

ピッ!と短く電子音が鳴り小さな画面にDOWNLOAD COMPLETEと表示される。

 

『まさか千冬様をわざと泳がせていたのですか?』

 

「な訳あるか、勝手に調べてて外れでもなんか情報持ってりゃ僥倖ぐらいには思ってたのが偶々上手くいっただけだ。

それより、調べたか?」

 

『勿論です。分かってる限りの怪人屋被害に遭われたIS学園の生徒の動向を纏めておきました。』

 

「よくやった。俺は織斑千冬を学園に送ってくる。

その間に今月の病院の支払いを『もう済ませてあります。』

、、何から何までありがとうな。」

 

『何を言われますか。

わたくしはレン・アキヤマ様のバディです。

あなたに仕える事こそ至上の喜び。

あなたが幸せになる事こそ至上の幸せ。

わたくしの良心回路(こころ)はそうプログラムされています。』

 

「、、、ごめんな。」

 

『?レン様は何かわたくしに悪意有る発言をした事はあの日以来ありませんよ?』

 

「いやこっちの話だ。メモを写したらすぐ行くぞ。」

 

嫌なことは続くものだな。

分かっちゃいたが。と蓮は心の中で呟いた。

 

 

 

2

時間は昨日の夜に遡る。

千冬に洸一から貰った資料を奪われた蓮はウイングナイトに変身して帰路に着いていた。

 

(さて、織斑千冬に資料は盗られたがIS学園に電脳的に侵入するぐらいはフォンブレイバーにも出来る。)

 

支度を終えるべくアドベントサイクルを急がず。

最後のカーブが見え少し速度を落とした時だった。

後輪に何かが激突して来た。

思い切りスリップして近くの壁に当たって止まる。

 

「っ!?誰だ!」

 

ダークバイザーを構えて突撃して来た敵を見据える。

 

「ドラゴンナイト!?」

 

そこに居たのはドラゴンナイトだった。

青いホンダ・CBR600RRを改造した小さなバイクに乗っている。

 

「、、、、、。」

 

ドラゴンナイトは無言でドラグセイバーを構えるとバイクのアクセルを蒸した。

突進と共に繰り出された斬撃を慌ててダークバイザーで受けながら横に飛ぶ。

 

「チッ!」

 

なんとかアドベントサイクルのスクリーンを鏡代わりにベンタラから脱出した。

 

「今のは間違いないな。」

 

取り敢えず奇襲を受けないようにしようと思いクローゼットの中からバーテン服を引っ張り出して着替えるとデッキにサードと最低限のフォンブレイバーにピストルだけ持ち店の方に降りた。

ラビットハウスは夜はバーをやっていて店子はたまに店を手伝うのだ。

一先ず人目が他にある所では仕掛けてこないだろう。

 

「あ、蓮くん。今日は休みじゃなかったっけ?」

 

「いつアンカーから召集来るかわからないんで、

貯金でも作っておこうかと思いまして。」

 

勿論嘘だ。マスターにはライダー関係の事を全く話してないので仕方がない。

しばらく注文とったりテーブルを片付けたりしていたが

 

「いらっしゃ、あ、みんなお帰り。」

 

ドアが開かれ外から店内に一夏、心愛。

そして昼間に合った左翔太郎に続いて先程自分を襲った筈のケイタが入って来た。

 

「あ、蓮。ちょうど良かった。」

 

「さっきの続きか?なら表出ろ。」

 

デッキを見せて店外に出ようとする蓮。

 

「?、、さっきっていつだよ蓮?」

 

「ほんの10分前だ。バイクに乗ってたら襲って来たのはお前だろ?」

 

「ケイタ本当?」

 

「いや、さっきもだけど身に覚えがない。

 

「待って!10分前だったらわたし達と一緒に居たよ!?」

 

「バイクなら、しかもベンタラ経由ならある程度の距離は短縮出来る。

更に言うならあらゆる証拠はベンタラに放置してその周りの鏡類を全部壊しちまえば証拠なんて絶対出て来ない。

疑おうと思えば幾らでも疑えるんだよ。」

 

「そんな、、、。」

 

「もう一つオマケに。網島、お前今さっき、疑われたのが2回目みたいなこと言ってたよな?」

 

「そうなの!噴水の前で話してたら偽ケイタくんに襲われて!」 

 

「なら益々証言がある限り網島が自分の正体を知る奴を片っ端から襲撃してるようにしか見えない。

今この段階で決定的証拠が無い限り俺はお前を信頼に漬け込んでいもしない偽物をでっち上げて背中から刺そうと狙ってるようにしか見えない。

そんな奴を信用するなんて土台無理な話だ。」

 

「信用されるにはどうしたらいい?」

 

自分のことを信じられないと言った蓮を真っ直ぐ見据えてケイタは言った。

 

「そうだな、ISはアンカーの立場があるから、デッキを俺に渡してみろ。」

 

「おう。」

 

そう言うとケイタは何のためらいもなく蓮の左手を取りドラゴンナイトのデッキを握らせた。

 

「え?」

 

「じゃあ、その決定的証拠を掴んでくるから待っててくれ。」

 

「おい待て網島!どこに行く!?」 

 

「おいケイ坊!」

 

「翔兄!、、一夏達のボディガード。頼まれてくれる?

俺今、ただの高校生だから。」

 

「、、、俺のセリフじゃねえが、俺に質問するな。

依頼なら俺は依頼主が誰でも裏の裏まで完遂するぜ。」

 

「あんがと。じゃ!」

 

「ま、待ってよケイタ!」

 

追いかけようとしたがそれより早くケイタはスズキカタナに乗って夜の街に消えて行った。

 

「ど、どうしようケイタくん行っちゃったよ!?」

 

ドラゴンナイトのデッキの中身を確かめると蓮は心愛に同意した。

 

「リフレクオーツのカードが無い。

してやられた。

追っかけて捕まえないといつ寝首をかかれるかわかったもんじゃ無い。」

 

「蓮くんまだそんなこと!」

 

「当たり前だ。他人以上に信頼出来ない者はないさ。」

 

そう言い切った時ポケットのハイシーカーが振動した。

手にとって見るといきなり変形して蓮の顔面を蹴るとジャンプして一夏の肩に着地する。

 

「痛っ!何しやがる!」

 

そして声を荒げ切る前に一夏のビンタが蓮に決まった。

 

「レン最低。」

 

短くそう言うとハイシーカーを伴った一夏はケイタを探しに店の外に出た。

 

 

 

3

聞き慣れない目覚ましの音に起こされたケイタはあくびを一つするとゆっくりと起き上がった。

 

「あ、網島さん起きました?」

 

「、、、俺なんでこんな物置に紗路ちゃんと居るんだっけ?」

 

「あなたが押しかけて来たんでしょうが!」

 

「そうだっけ?」

 

ー回想ー

 

時間は昨日の夜、一夏がケイタの捜索を始めて十分ほど経った頃に遡る。

 

「はー、今日もバイト疲れた。」

 

紗路はバイトを終えて帰宅していた。

今まさに玄関を開けようとした時。

 

「お疲れ様。プレーンシュガー要る?」

 

「あ、ありがとう。もぐっ、、ん〜砂糖が染み渡る!、、、え!?網島さん!」

 

「こんばんは。バイト帰り?」

 

「あ、はい。って言うかなんでここが!?」

 

「いや宇治松さんの幼馴染なのは知ってたから甘兎の近くの表札片っ端から調べて。」

 

「行動力!、、、はあ、このドーナツはどこから?」

 

「そこでど〜なつ屋はんぐり〜ってトラックが停まってて残り物だし安くしてあげるって言って声の低い大柄の店長さんにサービスして貰って。でさ、ドーナツ代がわりってわけじゃないんだけどさ、今晩止めてくれない?」

 

「え!?む、無理ですよ!家汚いし散らかってますし!」

 

「頼むよ。ドーナツ全部あげるから。」

 

「うっ、、、でもダメです!」

 

「リゼさんの軍服ブロマイドも付けるから!」

 

「惑わされないんだからー!」

 

ー回想終了ー

 

「で、射撃練習中のリゼさんのブロマイドも付けて泊めてもらったんだ。」

 

「思い出しました?」

 

「まあ、大体。」

 

出されたドーナツを齧りながらケイタは考えた。

どうやってニセドラゴンナイトを捕まえようか?と。

 

潔白を証明するだけならニセが誰かを襲うだけで良いが、

誰か分からなければ自分と見分けが付かない。

それに今の自分にはデッキが無いからアックスとトルクに襲われた場合、ISで全力で逃げるという手段しか残されてないのだ。

 

(ま、兎に角動くしか無い。

俺から仮面ライダーを取ってISが頼れない状況になったらもう後はアンカーエージェントしか残ってないんだ。)

 

「ありがとう紗路ちゃん。これ宿泊代。」

 

「い、一万円!?こんなに貰えませんよ!

って網島さん?網島さーん!、、消えちゃった、、。」

 

ベンタラに停めてあったスズキカタナを地球側に持ってくるとケイタは早速木組みの街を探した。

 

《ケイタ、飛び出したは良いが、当てはあるのか?》

 

セブンが語りかけてくる。

どうやらデッキが手元になくてもビースト出現を知らせる耳鳴りはちゃんと聞こえるらしい。

 

(ニセドラゴンナイトは他のライダーの能力で化けてるんじゃ無きゃ間違いなくドーパントがガイアメモリの力で化けた姿だ。

だったら探すべきは怪人屋、そっから顧客情報を得られれば一発だ。)

 

《成る程。なら私の出番だな。

警察のデータベースにアクセスして怪人屋の受け取り窓口を絞り込む!》

 

(頼むぜ相棒!)

 

打鉄赤龍の演算機能もフルに使い次に怪人屋が現れるであろう場所を割り出したケイタ達は法定速度をきちんと守って急行した。

 

「廃倉庫か、、、。」

 

『我々にとっては嫌な予感の象徴だな。』

 

セブンの先代バディ、滝本が殺されたのも廃倉庫。

更にこの前一夏が連れ去られた場所も倉庫。

2人的には見てるだけでげんなりした気分になる場所一位だ。

 

「けど、行くしか無いよな。」

 

一応打鉄赤龍の絶対防御だけは発動させて忍び足で倉庫に入っていく。

 

(なあセブン。)

 

《なんだ?》

 

(今更だけど背後シーカーに見張らせた方がいい?)

 

《当たり前だ。早く言え!

全く君は用心が足りな、ケイタ背後だ!》

 

「え?何が」

 

振り向く間も無く背後から右手を捻りあげられ首にナイフを当てられる。

 

「動くな。警視庁超常犯罪捜査課だ。」

 

若い男の声だ。なんだかあまり感情がこもってない。

 

「貴様は、何者だ?二十字以内で簡潔に答えろ。」

 

「あ、網島ケイタ。アンカーの、、エージェント。」

 

「そうか、それは済まなかったな。」

 

男はケイタを解放すると持っていた警察手帳を提示した。

 

(警部補、狩野洸一、、。)

 

「君もガイアメモリ犯罪の捜査か?」

 

「はい。ニセモノに変身出来る様になるメモリを一番に確保しろって言われてます。」

 

嘘をついた。そんな司令は受けていない。

それどころかガイアメモリ犯罪を調べろとも言われていない。

 

「ニセモノ、、前に風都署の資料には無かった様な気がするが?」

 

「そうですか、、、。兎に角、行きましょう!」

 

「あぁ。」

 

握手を交わし2人で進もうとした時、

倉庫の奥の方から爆発音が聞こえてきた。

無言で見合い、うなずき合いと2人は迷わず音のした方に駆け出す。

倉庫の一番奥に辿り着くと怪人屋、T1サイクロンドーパントと青い鞭のISを纏った白人の女性が交戦していた。

 

「なんだあのIS?」

 

『アメリカ海兵隊のデータで見たことがある。

ジュリエット・バーナード大尉の専用機、ブルーアリゲーターだ。」

 

「海兵隊って事は蓮の仲間か!」

 

「Exactly.」

 

「誰だ!」

 

不意に背後から声を掛けられた。

振り返ると屈強な黒人と白人とアジア系のハーフと思しき二人組が立っていた。

 

「待て待て落ち着けナイフを降ろせサツのにーちゃん。

俺たちゃヘッドの命令でボスを手伝いに来ただけなんだ。」

 

「ヘッド?ボス?」

 

「ボスって蓮の事か?」

 

「ソウ。ボクタチ、レン少佐の手下。」

 

「手下!?」

 

「馬鹿!悪いな赤龍の坊主。

アキツネはあんま日本語が上手くないんだ。」

 

「ソウイウアンドリュー、日本語アッテルゲドキタナイヨ?」

 

どうやらハーフの方がアンドリュー、黒人の方がアキツネというらしい。

 

「五月蝿え。そより行くぞ。あっちはカタがつきそうだ。」

 

そう合図するとアンドリューは銀色の戦棒をアキツネは赤い奇妙なアーチェリーを構えるとサイクロンドーパントに向かっていった。

 

「アンドリュー!」

 

サイクロンドーパントの首を電磁鞭で捕まえたジュリエットは電流を流し怯ませるとアンドリューにパス。

 

「ウルトラスティック!」

 

アンドリューが叫ぶと持っていた戦棒はしゅっ!と伸びてサイクロンの背中に当たる。その瞬間ジュッ!と油の様な音がした。

 

「あっつい!」

 

思わず叫ぶドーパント。

それもその筈、アンドリューのウルトラスティックの両端はISの装甲も穿つ事が出来る特殊電磁熱を発しているのだ。

生身を変質させているだけのドーパントにはひとたまりもない。

 

「マカセテ!マシンガンアーチェリー!」

 

アキツネのマシンガンから5本の矢が連続で放たれる一本が左肩に当たると真っ赤に光って爆ぜた。

 

「ギヤァアア!」

 

左肩を抑えながら無茶苦茶逃げ惑うドーパント。

真っ直ぐ倉庫の行き止まりに向かって行く。

その先にあるのは

 

(あれってスタンドミラー?てことは!)

 

ケイタの決断は早かった。

打鉄赤龍を展開してグラインダーを装備するとドーパントの左足を捕まえて渾身の力で自身の背後弧を描かせながら地面に叩き落とす。

前、後、前、後と交互に落とし続けトドメにジャイアントスイングをかます!

木箱をぶち破りながら吹っ飛んだドーパントが薄っぺらい何かを落とした。

 

「やっぱりアドベントカードを使ってベンタラ経由で移動してたのか。」

 

拾い上げてポケットにしまう。

 

「おい坊主逃げろ!」

 

アンドリューがウルトラスティックをケイタの方に投擲する。

右に飛ぶケイタその背後から飛び出てきたサイクロンドーパントの右胸にウルトラスティックが直撃した。

どうやらトドメを刺し切れてなかったらしい。

 

「くそう!くそう!くそう!なんでみんな邪魔するんだ!

どいつもこいつもどいつもこいつも!寄ってたかって寄ってたかって!」

 

サイクロンドーパントは突風を巻き起こして目くらましをするとその場から消えていた。

 

「あのうんこ垂れめ。逃げられたか。」

 

「デモガイアメモリ確保シタ。」

 

「取り敢えず団長に報告よ。

レンにはその後でいいわ。宝箱は確保したし。」

 

そういうとガイアメモリが入ったバッグを回収したジュリエットはISを待機形態のヘアゴムに戻して手首につけた。

 

「まて、そのメモリは持っていかれては困る。」

 

立ち去ろうとする3人を洸一が止めた。

 

「何言ってんのよ。あんたら捜査打ち切られたんでしょ?

こんなん持ってたらヤクの不法所持で豚箱一直線よ?」

 

「それは、、、。」

 

「ボクラヲ信ジテ。ボクラハプロ。

オ片付ケモチャントスル。」

 

「ま、兎に角任しとけよ。

えっと中身は、ヒート、ルナ、メタル、トリガー、ファング、スカル、キー、ロケット、、、は!?アントライオンはボスから報告あったけどナイトメアとダミーはどこ行った?」

 

「ダミーだって!?」

 

「まさか、それがニセモノに変身出来るメモリか!?」

 

「なんであんたらそんな事知ってんだよ?」

 

「実は今俺、、、。」

 

「はん、はん。」

 

「成る程。」

 

「ヨクワカッタ。」

 

「ホント他人を信用しないのなうちのボスは。」

 

「たく、仕方ないわね。

どっちにしろダミーのメモリは確保しなきゃだし手伝ってあげるわ。」

 

「ありがとう。みんな足はある?」

 

「バイクならあるけど?」

 

「なら丁度いい。

まずはレン・アキヤマと君の誤解を解こう。」

 

 

 

4

同じ頃、手塚海之はケイタがいる倉庫とは真反対の場所でケイタを探していた。

遡る事一時間前一夏がケイタが何処かに行ってしまった。

心当たりはないか?と駆け込んで来たのだ。

 

夕方まで、正確には美津樹の為の救急車が来るまで一緒にいた海之は責任感じる所があり、何より頼み込んで来た一夏が余りに必死だったのでこうして手伝っている次第だ。

 

「しかし、こうも検討が外れるとは、

占いは兎も角私の感はてんで当てにならんな。」

 

一応占ってはみたのだがレンの部下と一緒にいるという曖昧な情報しか得られ無かった。

 

(だが良くも悪くも私の占いは当たる。

必ず団体で行動してる筈だ。)

 

気を取り直してもう少し外れまで探すべく公園を出た。

 

「フルール・ド・ラパンですよろしくお願いしまーす。」

 

「ああ、って紗路。」

 

「あ、海之。」

 

バイト先の制服で紗路がビラを配っていた。

 

「店の外でも似合ってるな。今日は宣伝か?」

 

「い、言わないでよ。

昨日から網島さんに泊まられたと思ったら今日はこの格好で外出る羽目になったりで散々よ。」

 

「そうかそれは大変、、、え?今網島って言ったか!?」

 

「え、いや、そうだけで?」

 

「昨日紗路の家に居たのか!?いつまで!?」

 

「今朝の6時ぐらいまで」

 

「ありがとう。この恩は必ず返す!」

 

フルール・ド・ラパンのチラシを乱暴に仕舞うと海之は人目のつかない路地に入って壁に鏡になるシールを貼り付ける。

 

「仮面ライダー!」

 

スティングに変身してベンタラ経由でラビットハウスに向かった。

 

 

 

5

時間を朝まで巻き戻す。

蓮はここ最近の中でトップスリーに入るぐらい悪い目覚めだった。

睡眠の質が良く無かったのか頭の奥が痛い。

目にはクマが出来てただでさえ悪い目つきが道を歩いただけで通報されるレベルで酷い。

 

常備薬を飲んでお湯で無理やりクマを落とす。

それでもまだ悪い。

母の形見のファンデーションが幾らか余っていたのを思い出して使ってみた。

なんとかいつもより疲れてるぐらいにはましな顔になった。

 

「サード、洗顔石鹸って持ってきてたか?」

 

『いいえ。それからファンデーションを落とすなら一夏様か心愛様から化粧水を借りる事を推奨します。』

 

「、、そうする。」

 

貸してくれるかは怪しいが。と心で付け足し寝間着のまま下に降りた。

一夏、心愛、ケイタの姿はない。

なんで保登まで居ないんだ?と智乃に聴くとトースト1枚だけ咥えて出て行ったらしい。パジャマのままで。

 

「保登なら驚かんな。」

 

「、、、それだけですか?」

 

「何がだ?」

 

「、、、いえ。」

 

朝食を終えると2人気まずい空気のままラビットハウスを準備した。

顔には出さないように努めたが、蓮の気分は最悪だ。

 

(俺は何をやってるんだろう?)

 

昨日一夏にビンタされてから何度目か分からない自問自答を繰り返す。

目的を達成する為なら何でも利用する。

邪魔をするなら何であれ破壊する。

 

それが最善のハズなのに、俺は網島達を道具としてでなく友達として見ていたのか?

例えば蓮自身が嫌って仕方ない海兵隊IS師団団長や直属の部下、という名の本国での監視役のアンドリュー、アキツネ、ジュリエットにその妹のハリエットは間違いなく上司と部下の関係だ。

 

だが網島ケイタ、織斑一夏、保登心愛。

この3人はどうだ?戦友、学友というのは間違ってはないが少し違う。

相棒というのは自分とサードぐらいの距離感だ。

ならあの3人はやはり心の何処かで友達だと思っていたのだろうか?

 

(駄目だレン。お前にそれだけは許されない。

許されちゃいけない。彼女を目覚めさせる為なら、

彼女を目覚めさせるまで甘えなんて許されない。)

 

深く息を吐いて窓を見る。

反射で映ったいつものケイタより冴えない顔した蓮がそれでいいのか?と問い掛けているようだ。

そうな風にボーっとしてると本日1人目の客が入って来た。

 

「いらっしゃっいま、、探偵さん。」

 

「よう、また会ったなクールボーイ。

いや、仮面ライダーウイングナイト。」

 

「織斑達から聞いたんですか?」

 

「ああ。後輩の働きぶりを見に、と思ったが酷いな。

風が止んで空気が篭っちまってる。」

 

「普段嵐みたいな奴が今居ませんからね。」

 

「そいつは良くないな。蓮。」

 

「気安くファーストネームで呼ばないで下さい。」

 

「じゃあお前の名前ハスって読むのか?」

 

「は?」

 

思わず笑ってしまった。

前に、ケイタと始めてベンタラで面と向かって話した時にも似たようなやり取りがあったからだ。

 

「なんだ?ケイ坊にも似たようなこと言われたからか?」

 

「それも織斑達から聞いたんですか?」

 

「いや推理だ。」

 

「推理?」

 

「今のお前の顔、友達のことを楽しく話すリーゼントの後輩ライダー、お前らから見たら先輩だな。と似てたんだ。」

 

思わず窓を見て自分の顔を確かめた。

さっきより幾らかマシになった気がする。

 

「お前が何であんな態度をとってるかは聞かねえ。

だけどきっと今感じたお前が本当のお前だ。」

 

「、、許されませんよそんなこと。

俺はあいつらに酷い事を「お前はあいつらに酷い事を言わるなんて思ってなかったぐらい信頼してた。なら会いに行ってやれ。それからお前の罪を数えろ。」

 

「、、、何ですかそのえらく気取った決め台詞?」

 

「俺たちが、街の悪党に永遠に投げかけ続ける言葉だ。

自分の罪と悪人の罪を戒めとし、

倒すべき悪を正面から受け止める為のな。」

 

「仮面契約者が正義の味方のつもりですか?」

 

「ああ、仮面ライダーは弱気を助け、

罪なきを虐げる悪と人々の涙を拭う正義のヒーローだ。」

 

それを聞いた蓮は俯いた。今の顔を誰にも見られたくない。

もしかして翔太郎はこうゆう時のために帽子を被ってるんじゃないだろうか?

 

(狡いな、反則だ。人間のデカさが、段違いじゃないか。)

 

これはあいつらもこの人を兄と慕う訳だ。

 

「探偵さん、いや、翔太郎先生。

ありがとうございます。まるで始めて目を開けたみたいな気分です。

かふ、、智乃。悪いが少し休憩を貰えないか?

流石にかきいれ時に俺たちだけはきつい。3人を連れ戻してくる。」

 

「!、いってらっしゃい。すぐに戻って来てくださいね?」 

 

「行ってきます!」

 

ヘルメットを掴むと蓮はバーテン服のままカワサキニンジャを発進さた。




ケイタ「あー、、やっぱかっけえな、翔兄。
フィリップ兄も相変わらず元気でカッコいいままだといいなぁ。」

ロリ千夜「おまえのつみを、、おしえて?」

セブン『違うぞ?それじゃどっかの時の王者だ。』

ケイタ「そんなことより次回!infinite DRAGON KNIGHT、Episode of Jokers エピローグ Cも悪魔だ/木組みの街のヒーロー !」

ロリ千夜「さあ、おまえのつみをおしえろ!」

セブン『だから違う!』

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。