infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「前回までのinfinite DRAGON KNIGHTは!」

一夏「ケイタがロリコンだったことが分かったね。」

蓮「最低だな。」

心愛「ロリコンって?」

ケイタ「いや待て待て誤解だ!てかなんで前回だけあんなんだったんだよ!」

蓮「そりゃ前回お前が言ってたみたいに別キャラなんだろ?」

ケイタ「じゃあ毎回ここで前回のあらすじやってる俺は仕方ないじゃん!」

一夏「ふむ、疑惑は拭えないけどそうゆう事にしといてあげるか。」

心愛「ロリコンって何?」

蓮「お前はまだ知らなくていい世界だ。
そんな事より前回はアンドリュー達が登場して怪人屋を追い詰めたな。」

一夏「そして蓮も解決に動き出したね。」

ケイタ、心愛「「さてさてどうなる?」」


Episode of Jokers エピローグ Cも悪魔だ/木組みの街のヒーロー

1

「ケイタくーん!一夏ちゃーん!」

 

心愛は朝一番から食パン片手に街を探し回っていた。

当てなどなかったが居ても立っても居られなかったのだ。

何度か蓮に援軍に来て貰おうと思ったが昨日の夜の沈みきった顔を思い出してやめた。

 

「、、、みんなどこ?」

 

「ケイタは多分大丈夫だが、問題は一夏だ。

ゼロワンだけじゃドーパントやアドベントビーストに対応出来ない。」

 

「そうだよね、、、って蓮くん!」

 

「悪いなほ、、いや、心愛。」

 

まさか来るとは思ってなかった心愛は驚いた以上に喜んだ。

 

「なんでここが?」

 

「あんだけ大声で騒いでたらバイクに乗ってても気付くさ。

なんせお前はラビットハウス1、賑やかな奴だからな。」

 

「ていうか、蓮くんが名前で呼んでくれた!蓮くん!」

 

「意味も無く名前を呼ぶな心愛。

取り敢えず俺はベンタラで2人を探す。

居たらだが手塚や更識にも声かけて来る。

こっちは頼んだぞ。」

 

「ラジャー!」

 

心愛と別れた蓮は赤信号で止まったタイミングで一番近いショウウィンドウに向けてデッキを構えてVバックルを装着する。

 

「KAMEN-RIDER!」

 

バイクに乗ったままウイングナイトに変身し、

反対車線に侵入して逆走。

車体をウィリーさせて対向車の窓ガラスを鏡の代わりにベンタラに突入した。

しばらくバイクを走らせていると変化が起きた。

 

蓮のカワサキにアドベントデッキからエネルギーが送られてアーマーが装着された。

ウイングランサーとダークバイザーの持ち手部分を合わせたようなデザインの物だ。

 

awesome(最っ高だ)

てっきりバットモービルみたいになるかと思ってたが、

これもカッコいいな。」

 

『名付けるなら、ウイングサイクル。といった所ですね。』

 

「よし、走れ!風の様にウイングサイクル!」

 

ウイングサイクルに変身したカワサキニンジャは本来以上の性能を発揮した。

アーマーが着いて重くなった筈の車体は風の様に軽い。

何処まででも走り抜けられそうだ。

 

(こんなに良い気分で走るのも久しぶりだな。)

 

ウイングサイクルの性能に大はしゃぎしながら蓮の心の冷静な部分は楽しかった思い出をかみしめていた。

 

「!?」

 

そしてまた戦士としての部分もしっかり働いていた。

突然横から突き出されたキックを車体を傾けて避ける。

 

「なんや、あの黒いドーパントちゃうんか?」

 

「お前は、、仮面ライダースピアーだな?」

 

「知っとるんか?」

 

「、、、俺には分かる。」

 

前にも、始めてインサイザーに会った時も蓮にはフッとインサイザーという名前が頭に浮かんで来たのだ。

今回も何故か頭に浮かんできた。

 

(今まではデッキの使用なのかと思ったが、

スピアーの反応を見る限り違うな。)

 

油断なく構えながらも蓮は考察を続けた。

 

「まあ、ええ。お前、この街で怪人屋を嗅ぎまわっとる黒い体に真っ赤な目のドーパント知らんか?」

 

「見つけてどうするんだ?」

 

「倒すんや。仕事やからな。」

 

「ふん、、訂正しろ。あの人はドーパントじゃない。

風都の仮面ライダーだ。」

 

「ほお〜、そら良いこと聞いてもうたなぁ?

ならこれを足掛かりに最強のライダーを目指すんも悪うないな!」

 

<SPIN VENT>

 

<SWORD VENT>

 

ウイングランサーとガゼルスタップが火花を散らす。

シラットの様な激しい格闘で攻め立てるスピアーにウイングナイトはかつて自分を苦しめたトラストのフェンシングスタイルで応えた。

 

「(こいつっ!あの角野郎と戦った事あるんか!?

あいつより踏み込みも切り込みも深く、鋭い!)おもろい!」

 

ガゼルスタップを捨て突き込まれたウイングランサーをの切っ先を膝のバイザーに当て上にそらし反対の足でサマーソルトキックを放ち、距離を作ると新たにカードをベントイン。

 

<ATTACK VENT>

 

無数のレイヨウ型ビーストを召喚しウイングナイトの退路を塞ぐ。

 

「そうゆうの、俺も持ってるぜ!」

 

<TRICK VENT>

 

ウイングナイトもシャドーイリュージョンを発動し5人の分身を生み出す。

 

「野郎ども!カカレ!」

 

マガゼール、ギガゼール、オメガゼール、メガゼール、ネガゼールの五体がウイングナイトの分身としのぎを削り、両腕にカッターのついたメタルレッドのビースト、イガゼールと金色のベガゼールとスピアーはウイングサイクルに乗った本体に向かった。

 

「なんちゅう機動力や!」

 

後輪でキック、ウィリーからのスピン。

バニーホップからのランサーでの斬撃。

ウイングナイトの名は伊達ではなかった。

その姿はさながら守るべき城を背後に舞う西洋騎士そのものだ。

 

「えーい!お前らもっとうまく立ち回らんか!うお!」

 

モタモタしていた内にウイングナイトの分身は何体かビーストが倒された様だ三体の分身とオメガゼール、ギガゼールが躍り出てきた。

その間に走り去るウイングナイト。

 

「待て!待たんか!ウイングナイトォー!」

 

スピアーの絶叫を無視してウイングナイトはハイウェイまで急いだ。

 

(早く翔太郎先生にこのことを伝えないと!)

 

 

 

2

ベンタラに突入したスティングはラビットハウスを目指していた。

手に入れた情報を一刻も早く伝えるためだ。

 

(くそう!なんで初めて会った時に連絡先を交換しなかったんだ!)

 

激しく後悔していた。

便利で煩わしい世になったのに全くその便利を使いこなせていない自分に腹が立つ。

 

まあ、世界にたった3人の男性IS操縦者ともなればネットに何処から流失したかは知らんが電話番号ぐらい張り出されているが流石にそれを使うのは人としてダメだと思う。

そもそもデマの方が多いし。

 

兎に角走り続けて大通りに出る。

するとそこには我が目を疑う光景が広がっていた。

 

(ウイングナイトが5人も!?)

 

ロータリーの真ん中で5人のウイングナイトと五体のアドベントビーストが戦っているのだ。

トリックベントを始めてみる海之は一瞬面食らったがウイングナイトの特殊能力だろう。

と納得して加勢に向かおうとした。

 

「!?あれは、、。」

 

しかし途中で足を止めた。

角からロータリーに出ようとした時、一瞬緑色の何かが見えたのだ。

改めて顔を少し角から出す。見ると緑色のライダー、トルクが両肩に装備したビームキャノンをウイングナイトに撃とうとしていた。

 

「させるか!」

 

<COPY VENT>

 

すぐさまコピーしてトルクが撃つタイミングに合わせて撃った。

放たれたビームはウイングナイトとビーストが入り乱れる手前で相殺さる。 

 

「喰らえ!」

 

すぐさま狙いをトルクに変えビームを連写した。

トルク以外にも前にインサイザーがベントされた時に見た水色のライダー、アックスもいた。

 

(?、網島達の味方じゃないのか?まあいい。

説得するにもまず大人しくさせないとな。)

 

2人に急接近したスティングはバイザーでアックスに殴りかかった。

 

「君は網島達の味方じゃないのか?何故秋山を狙う?」

 

「2人は善人のフリをして皆んなをベントしようとしてる主催者の手先。ここで倒す!」

 

「馬鹿なことを言うな。網島は掛け値無しの善人だ。

自分が悪いと思えば私の様な悪人にこうべを垂れるようなな。

そんな奴が人を騙す?土台無理な話だ!」

 

もう一発顔面をバイザーでぶん殴る。

スティングの筋力、腕力はそこまででも無いがバイザーの仕込み刃と特殊電撃でそれをカバーしてる為、ダメージはそこまででも無いが少なくともガゼルスタップの打撃よりは痛く感じる。

そのため相手の戦意を削ぐ事に長けているのだ。

 

「君だってあのだらしなく見えてやる時はやる、、というか、やれば出来る?あいつに手を貸したくなったんじゃないか?」

 

「ッ!」

 

「何で任せに惑わされてるんだ!どけ!」

 

俯くアックスを突き飛ばしトルクがマグナバイザーを構える。

 

<SWING VENT>

 

すぐさまエビルウィップを召喚しバイザーを持った手を捕まえるとトルクの体ごと一回転させて転ばした。

 

「有る事無い事吹き込んだのは貴様か!」

 

そのまま引き寄せバイザーでパンチを浴びせる。

 

もう一発浴びせて装甲を砕いて内臓を引きづり出してやる!

そう思いエビルウィップを振るが

 

(グッ!偏頭痛、、このタイミングでっ!)

 

視界が歪み始めた。

トルクとアックスのどちらが手前にいるかが分からなくなり、エビルウィップが空を切る。

周りの建物が異様に高く見えたり低く見えたりして平衡感覚が無くなる。

気持ち悪い。

 

「ぐあぁああ!」

 

もたついてる内にバイザーで撃たれたらしい。

体が後ろに吹っ飛ばされる。

 

(こうなったら!)

 

余計気持ち悪くなってしまうが目を閉じて傷口を抑えるフリをしながら手探りでバイザーを開けてカードをベントイン。

 

<ATTACK VENT>

 

エビルダイバーを召喚してなんとかその背中に乗ると真っ直ぐに2人に突っ込ませてその背後の建物の窓から脱出した。

 

 

 

3

同じ頃一夏は駅前に居た。

 

(眠い、、疲れた。)

 

なにせ人生初の徹夜だ。

それに人混みを練り歩きまともな朝食すら食べていない一夏は限界だった。

 

「ねえゼロワン。」

 

『なんだ?』

 

「、、、なんでもない。チョコかなんか買って食べる。」

 

なんで止めてくれなかったんだ?

と言おうと思ったが、言っても止まらなかっただろう?

と言われるのは目に見えていたからだ。

一枚だけ板チョコを買って割らずにそのまま齧る。

いつもより甘くて美味しい気がした。

 

『それ美味いのか?』

 

「疲れてるせいかいつもよりは。」

 

こっちはこんなに心配してるのにケイタは何処で何してるんだろ?

歩き疲れて怒り疲れて最早疑問しか出てこなくなった。

ボーっと正面だけを眺めながらチョコを齧って呟く。

 

「、、ケイタの馬鹿。レンの最低。」

 

相変わらず美味しい。

けど、さっきより少し苦い味な気がした。

 

『その言葉は見つける時までとっとけ。』

 

ゼロワンに言われて改めて見つけたら怒る、怒鳴る、殴ると心に決めると立ち上がった。

食べかけのチョコを仕舞う。残りは帰ってから食べよう。

 

反対の改札口の方に向かう。

今度はこっちを探そう。

そう思って向かったが間が悪かった様だ。

丁度電車が来た後だったらしい。人波が出来ていた。

 

「、、最近私運ないなぁ、ないない。」

 

自分で言ってて悲しくなった。

こんな時こそチョコレートに縋りたい。

だけどこんな人混みの中で出すわけにも行かない。

溜息をつきながら歩いた。明日は天気が悪そうだ。

そんなことを考えてると誰かの背中にぶつかった。

 

「ごめんなさい。」

 

「いや、僕こそすまない。少し考え事を、、織斑一夏?」

 

「え?嘘、、フィリップ兄。」

 

あどけない顔立ちに髪留め代わりにつけた書類クリップ。

緑色のノースリーブのロングパーカーにボーダー柄のゆったりとした長袖。

左翔太郎の相棒にして風都一の探偵(頭で考える方)のフィリップだった。

 

「ちょうどよかった。翔太郎から君を探す様に頼まれていたんだ。」

 

「私を?」

 

「ああ、翔太郎から鏡の仮面ライダーについて大体のことは聞いた。

君を1人にしておくわけには行かなくてね。」

 

「すいません。ご迷惑をおかけして。」

 

「いやいいさ。むしろ迷惑をかけられるのが探偵の仕事さ。」

 

相変わらず何処か不思議な人だ。

驚くほど冷たい時もあれば普通の人の様な温かみを感じる時もあり、初め一夏は彼が愛用している白紙の本が人になった様なイメージを持っていたがだんだんと普通に接せる様になった。

 

「高校は慣れたかい?」

 

「、、ケイタ達がいたから。」

 

フィリップの顔を見ると気まずそうな顔をしていた。

もし蓮ならどんな顔をするだろう?不思議と分からなかった。

 

「見つけた。」

 

背後から短くしかし確実に憎悪が篭った声が聞こえた。

振り返ると真っ赤な覆面を被った子供が居た。

フードをすっぽり被っていて髪型は分からない。

だがパーカー越しにもわかる豊満な胸を見るに女の様だ。

 

「織斑一夏、知り合いかい?」

 

「さあ?」

 

「もうね、回りくどいのは止めることにしたんだ。

他の奴らはみーんなガードが硬いから、

お前は直接地獄に送ってやる。」

 

そう言うと子供は左手をめくりポケットから緑色の骸骨の様なモールドの小箱?を取り出す。

 

「ガイアメモリ!?」

 

<CYCLONE>

 

スイッチを入れ、手首に現れた生体コネクタにメモリを挿入し、

子供はT1サイクロンドーパントに変身した。

 

「逃げよう!」

 

一夏の手を引いてフィリップは駆け出した。

背後では悲鳴と岩を砕き壊す様な音が聞こえる。

 

ドーパントが自分を狙っている。

その事実だけで一夏は竦み上がった。

無理矢理でも手を引いてくれるフィリップが今は頼もしい。

 

階段を駆け下りて繁華街に逃げる。周囲は大混乱だった。

車道はあまり混んでる時間じゃなかったせいか立ち往生している車やバイクは少ない。

 

「渡ろう。」

 

反対側の人混みに紛れて逃げようとしているらしい。

小さく頷き歩道に出ようとした。

しかしその目の前に巨大な何かが投げつけられる。

駅前の広場にあった石のベンチだ。

空を仰ぐともうサイクロンドーパントは追いついていた。

 

(あ、死ぬんだ。)

 

やけに視界がスローに見え始めた。

しかし体はまるで水に沈められた様に動かせない。

やけに遠くからフィリップの声が聞こえる。

ダメだな。そう思った瞬間、ドーパントの肩に真っ赤な矢が刺さって爆発した。

 

「え?」

 

「一夏!」

 

背後から誰かが駆けてきた。

ボサボサの栗色の髪にオレンジ色のライダースジャケットは、

何より普段はボーっとしてるが今は珍しく真剣な顔は見覚えがある。

 

「ケイタ!」

 

「網島ケイタ!」

 

「え?フィリップ兄!なんでここに?」

 

「翔太郎からの援軍要請さ。君も随分大所帯だね。」

 

フィリップが指差す先には遅れてやってきた洸一、ジュリエット、アンドリュー、アキツネの4人が並んでいる。

 

「動くな!警視庁超常犯罪捜査課だ!

ガイアメモリを捨てて手を上げろ!」

 

「そうしなくてもダミーとナイトメアのメモリの場所だけは吐かす!胃と胃の中身を吐かせた後でな!」

 

「ソレ、相手死ンジャウ。」

 

「うっせ!ただの脅しに反応するんじゃねえ腹たつ!」

 

「あんたら真面目にやんなさい。

それより、園咲来人!」 

 

ジュリエットはあえて本名でフィリップを呼ぶと懐から取り出したドライバーを投げ渡した。

 

「ロストドライバー!?」

 

「ヘッドからの贈りもんだ!」

 

早速腰に装着してフィリップはサイクロンドーパントを見据えた。

 

「2人とも翔太郎に伝えてくれ。僕は忙しいとね。」

 

そして懐からガイアメモリを取り出し起動した。

 

<CYCLONE>

 

「変身!」

 

ポーズを取ってメモリをセットしてドライバーを傾ける。

 

<CYCLONE!>

 

フィリップにとって忘れられない大事件以来変身していなかった姿へと変身した。

 

「それさあ、、なんの冗談?」

 

口調こそ軽いが放つ殺気は尋常ではない。

彼女からすれば、それは歪な鏡をのぞいてる様なものだろう。

 

「今こそ再び名乗ろう。

僕は大自然の使者、仮面ライダーサイクロン!

さあ、お前の罪を数えろ!」

 

 

 

4

ウイングサイクルから元に戻ったカワサキニンジャを急がせ蓮はラビットハウスに戻った。

 

「大変です翔太郎先生!」

 

「おお、蓮!良いところに戻った!」

 

「蓮さんこれどうしましょう!?」

 

「あ、蓮くん!」

 

蓮がドアを潜ると、中ではめちゃくちゃに倒れたテーブルと椅子の前に海之が倒れていた。

3人からの話をまとめると、戻って来た心愛の話を聞いていた翔太郎を突き飛ばす形で海之が窓から飛び込んで来たらしい。

 

「それで明らかにライダー関係の問題だったから救急車を呼ぶに呼べず応急処置だけ済ませたと?」

 

「そうなの!」

 

「うっ、、、うぅ、、お花畑が見える、、雄一とお祖父様が手を振ってるよ、、。」

 

「行くなー!こっちに戻ってこーい!」

 

どうやら危うく神の家に招かれる所だったらしい手塚はまだ意識がはっきりしないまま、掻い摘んで事情を話した。

 

「トルクのペテン野郎、、俺よりも何倍も仮面ライダー向いてるあいつを悪党にするたあ良い度胸だ。」

 

ぱしん!と苛立ちげに拳を鳴らすと蓮はすぐさまバイクに戻ろうとした。

 

「まてよ蓮、そいつらが今どこかもわかん無いだろ。」

 

「、、すいません先生。どうやら俺、だいぶ短気みたいです。」

 

「安心しろ、ケイ坊も始めの頃はそんなもんだったさ。」

 

そんなやりとりをしてると翔太郎のケータイが鳴った。

 

「一夏ちゃんからだ!もしもし一夏ちゃん?」

 

「あ、もしもし翔兄?今フィリップさんが変身して怪人屋と戦ってるの!」

 

「なんだって!?場所は?」

 

「駅前の交差点!」

 

「分かった!一夏ちゃんはなるべく安全な道からラビットハウスに向かってくれ!蓮、聞いたか?」

 

「はい。先生はバイク有りますか?」

 

「裏に停めてある。最短距離を案内してくれ。」

 

 

 

5

通行人の避難誘導を蓮の部下達と洸一に任せたケイタと一夏はスズキカタナでラビットハウスを目指していた。

丁度河川敷に差し掛かった所で前からハードボイルダーとカワサキニンジャが走ってくるのが見えた。

 

「おーい!翔兄!レーン!」

 

「一夏ちゃん!ケイ坊!」

 

「2人とも無事か。」

 

「何とかね。」

 

4人ともバイクを降りてヘルメットを脱いだ。

 

「ケイタ。」

 

今更許されるかも分からないが謝ろう。

蓮が頭を下げようとした時だ。

 

「蓮。ごめんな。あん時はいきなり殴りかかって。」

 

「え?」

 

「どんな理由にせよ。お前のした事は許さない。

けど、お前が悪くないって信じるから、

お前も俺を信じてくれ。」

 

「ケイタ、、、。」

 

「よく言ったもんだな。自分の正義が何かも解らん癖に。」

 

「誰だ!」

 

不意にどこからか声が聞こえて来た。

あたりを警戒するが、人影一つ見当たらない。

 

「まさか!みんなバイクから離れろ!」

 

バイクのミラーから無数のレッドミニオンと、

仮面ライダードラゴンナイトが現れた。

 

「やっぱり偽物がいたのね!?」

 

一夏の叫びにもう1人のドラゴンナイトはケイタと全く同じ声で答えた。

 

「本当にそう言い切れるのか?」

 

「なんだと?」

 

「網島ケイタに戦う理由はない。

また逆も然り。戦わない理由だってない!

ならばこうならない保証がどこにある?」

 

パチン。と指を鳴らすもう1人のドラゴンナイト。

レッドミニオンは一斉に蓮と翔太郎に襲いかかった。

 

「ケイ坊!一夏ちゃん!くそ!変身!」

 

<JOKER!>

 

「すぐ助ける!KAMEN-RIDER!」

 

ジョーカーとウイングナイトに変身してビーストと戦う2人。

相変わらず強くはないが数は多い。

直ぐには2人を助けられない。

 

「さて、網島ケイタ。」

 

「ガッ!」

 

ケイタの首を掴んで持ち上げたドラゴンナイトは責めるような、弄ぶような口調で語りかけた。

 

「ケイタ!」

 

「網島ケイタ。君は居るだけで織斑一夏を危険に巻き込み

レン・アキヤマに更識簪、手塚海之など様々な人間を狂わせた。」

 

「狂わせた、だぁ?」

 

「そうさ!君が余計なことを吹き込まなければ彼は彼女らは迷わず戦えただろうに君の言葉一つでもうみんな殺しに抵抗を持った。

その一方で君は戦う理由も戦わない理由も持たない!

いざとなれば高みの見物を決め込むことも出来るのさ!

そんな半端者だからこんな風に影が滲み出てくるのさ!

いいかげんそんな機械人形みたいな無差別な救いは辞めて決めて欲しいね。

君は網島ケイタなのか?

それとも仮面ライダードラゴンナイトなのか?

どっちだい?ん?」

 

「、、るか。」

 

「え?」

 

「んなもん俺が知るか!」

 

ISやアドベントデッキで強化した訳でもなんでもないただの高校生の渾身のパンチがドラゴンナイトを怯ませた。

 

「何が正義とか何が悪とか理由の無い悪意とか必要悪とか!

ごちゃごちゃごちゃごちゃめんどくせーんだよ!

そんなもん哲学書でやれ!

俺は自分が正義だとか悪だとか!

どーでもいい、どっちでもいい、なんでもいい!

ただ!人から褒められる事はやって当たり前!

人から嫌がられる事はやっちゃダメ!

ホントはただそれだけの話だろ!」

 

右、左、右、左。ドラゴンナイトを殴り続けながらケイタは続ける。

 

「何が正しいとか、間違ってるとか!

普通に考えて分かるだろ!俺は、

俺が本当に大昔に憧れたテレビの向こうのヒーローや!

俺を支えてくれた人達にがっかりだけはされたく無い!

ただそれだけ、そこそこでいいだけだ!」

 

遂にドラゴンナイトの手を離させた。

 

「ケイタ!これを!」

 

レッドミニオンの壁を抜けたウイングナイトがドラゴンのデッキを投げる。

華麗に直線に飛んだそれは見事にケイタの腕に収まる。

 

「これが俺の答えだ。戦う理由だ!カメンライダー!」

 

変身したケイタはすぐさまストライクベントのカードをベントインし、ゼロ距離で火炎をニセドラゴンナイトの腹部に叩き込み、距離を作る。

 

「セブン!赤龍をデッキに繋げてくれ!

文字通り俺のフルパワーを叩き込む!」

 

『良いのか!?エネルギー負荷に耐えきれない可能性もあるぞ!?』

 

「そこはお前の塩梅で!」

 

『、、、どうやら私は地獄まで悪魔と相乗りする羽目になったらしい。』

 

「こんな善良な一般市民捕まえて何を言いやがる。

ゴールデンウィークぐらい安らかに過ごしたいんだ。決めるぞ!」

 

『はぁ、、仕方ない思い切りいけ!相棒!』

 

<FINAL VENT>

 

自分の周りを旋回するドラグレッターもいつもより強そうに、心強く見える。

 

(俺は、取り敢えず進む!)

 

飛び上がり体を捻って構えを取る。

火矢と化したドラゴンナイトに貫かれた偽物は対岸まで吹き飛び巨大な火柱と共に爆裂四散した。

ドラゴンライダーキックの勝利だ!

 

「まさか、、、、は、はは、あははははははっははははあ!これ程までとは素晴らしいよ網島君!」

 

爆風の中から現れたのは、なんと間明だった。

 

「間明だって?」

 

「前に一回戦ったことのあるゼイビアックスの手下のサイバー犯罪者です。」

 

レッドミニオンを片付けたジョーカーとウイングナイトも駆け寄ってくる。

それを見るとす、と笑顔を向けながらなにかの破片を掲げる間明。

 

「ダミーのドーパントメモリだと!?」

 

「ああ、中々面白いおもちゃだったよ。」

 

ドーパントに長期間変身していたのにもかかわらずその程度で済んでいるのはメモリを改造していたからか、はたまた間明の魂、精神が腐っているからか。多分両方だろう。

 

「なんにせよ、僕の目的は達成された!

ありがとう。本当にありがとう!」

 

そう言うと間明は川の水面を鏡代わりにしてベンタラへと逃げた。

 

「、、、一難去ってまた一難、今度は間明か。」

 

「しかも怪人屋の件も結局まだだし、どうなっちゃうんだろ?」

 

「何も心配する事はないさ。」

 

「「翔兄?」」

 

「先生?」

 

「もうこの街には、お前らに心愛ちゃん、

それにあの海之って子も、

こんなにも沢山の仮面ライダーが居るんだからな。」

 

「私や心愛ちゃんも?」

 

「ああ、ベルトがないだけで俺に言わせりゃ立派な仮面ライダーだ。」

 

「うん!」

 

変身を解除し、笑い合う3人の若者を見ながら翔太郎はこんな若い奴らが戦わなくていいのに、と残念に思った。

しかしそれに負けないぐらいこいつらはこの街に良い風を吹かせる。と誇らしく、心強く思うのだった。

 

 

 

6

ダミードーパントを倒した4人とサイクロンドーパントを退けたフィリップ達はラビットハウスに戻り早めのランチを食べていた。

どのテーブルも和気藹々としていたが、W、ドラゴンナイト、ウイングナイトの4人の仮面ライダーが座るテーブルは違っていた。

 

「けどいいのか?怪人屋の件まで首突っ込んで?」

 

「一夏が狙われてる以上、俺たちが狙われない保証はありませんし。」

 

「問題は被害者から犯人をIS学園関係者以上に絞れない事だ。」

 

「て、言うとどゆこと?」

 

「IS学園関係者以外の怪人屋の被害者は年齢、性別、体格など全てバラバラ。

恐らく見つけた首輪を使ってドーパントにしてアジトに行くように指示していたんだろうね。」

 

「色々調べてIS学園の生徒だけにはある程度共通点があったんだけど、それも織斑一夏が狙われた事で崩れてしまった。」

 

「ちょっとその資料見せてもらっていいですか?」

 

「どうぞ。」

 

「、、、ケイタ、なんか気付くか?」

 

「さあ?みんな3組、4組の整備課の人達って事しか。」

 

「じゃあ無理矢理でもいい。

一夏と被害者達に接点を作るならどうだ?」

 

「一夏と3、4組?強いて言うなら簪さんが3組ってぐらい?」

 

「それだ!」

 

「何かわかったのか!?」

 

「はい。ただ今回の件、かなり嫌な決着になりそうです。」




ケイタ「で、嫌な決着って?」

蓮「ま、大体の奴らは分かってると思うがな。」

ケイタ、一夏、心愛「「「?」」」

蓮「兎に角、次回で第5話は完結だ。気合い入れていくぞ!」

ケイタ「次回、infinite DRAGON KNIGHT!
Episode of Jokers エピローグ Cも悪魔だ/木組みの街の悪党!」

心愛「次回も見てね!」

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