infinite DRAGON KNIGHT in 明日未来   作:伊勢村誠三

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ケイタ「さて、前回までのあらすじ、と行きたいとこですが、まずはお知らせがあります。」

一夏「この度このssのタグを二つ、変更させて頂きました。」

ゼロワン『仮面ライダー龍騎のタグをWやレストランΑGITΩなどの要素と合わせて一括りに平成仮面ライダーに、インフィニットストラトスのタグを消してキカイダー02 のタグを入れさせて貰った。』

ケイタ「え?じゃあこっからIS要素なし?」

ゼロワン『な訳があるか。原作の所にある一つだけで十分と判断したんだ。」

ケイタ「なるほど。」

一夏「さて今回はお待ちかねの三春兄対鈴のIS対決です!それではどうぞ!」


二章 IS編
Fake number Four


1

コチ、コチ。と時計が進む音がやけに遅く感じる。

このまま腕時計とにらめっこしていてもキリがないと思いケイタは顔を上げた。

時刻は放課後。

ゴールデンウィーク明け初日の今日はクラス代表によるトーナメントバトル一回戦、1組代表の三春と2組代表鈴音の試合の日だ。

ケイタと蓮はあまり人気の無い一番上の席に座っている。

 

「どっちが勝つと思う?」

 

右隣に座った蓮が聞いてきた。

オペラグラスを首に下げ、肘掛に置いた魔法瓶のグラスにはキンキンに冷えたサイダー。

右手にはビックサイズのポテチの袋と完全に楽しむモードに入っている。

 

「パイロット練度的に鈴。」

 

「ま、妥当なとこだよな。」

 

パリ、とポテチを一口食べる蓮。

 

「で、織斑と鳳の勝敗も気になるが、

お前と一夏の勝敗はどうだったんだ?」

 

「うーん…多分ドロー。」

 

「ドロー?やっぱ一夏が途中で我に返ったとかか?」

 

「ならまだ良かったよ。

今回は本当に最後の最後で駄目だったんだ。」

 

 

 

2

午前中を博物館で過ごし、昼食を済ませた二人は街に出て服屋を巡った。

一夏が夏物を買いたいと言ったのでそれに付き合わされた形だ。

 

「俺も二、三着気に入ったシャツあったから

買ってその後お茶して公園ぶらぶらしたりして過ごしたんだ。」

 

「割と渋ってたくせにノリいいなお前。」

 

「ま、久々に一夏と二人ってのも嬉しかったしね。」

 

最後に夕飯はお好み焼きを食べた。

一夏は3枚食べてケイタは4枚食べた。

 

「お好み焼きってなんで丸いんだろうね?」

 

「そりゃ頭打っちゃわないよいにだよ。」

 

「そうそう、お好み焼きは案外硬いから頭打つと大変ってそんなわけあるか。」

 

クスクスと楽しそうに笑う一夏。急に真面目な顔になり

 

「ねえ、ケイタ。」

 

「何?」

 

「楽しかった?」

 

今までどこか余裕な感じの蠱惑的な笑みを浮かべていた一夏に不安そうな表情が浮かんでいる。

 

「そりゃもちろん楽しかったさ。

久しぶりに一夏と二人だし、

昔みたいで嬉しかったし、それに……」

 

今度はケイタが悪戯坊主のようなちょっと意地悪そうな顔になり

 

「こんなに綺麗なお嬢様と二人きりなんだ。

羨ましがられる謂れはあっても俺には嫌がる理由が無いよ。」

 

「ッ!……ふふっ。翔兄からの教えが漸く役に立った?」

 

「おまっ!そうゆう事は黙ってろよ!」

 

「全く、私が言ってなくてもカッコついてないよ?」

 

す、とケイタの顔に手を回し唇を奪う一夏、

にゅっと口の中でしたとしたが絡み合う。

ケイタは頭と身体がフリーズして動けなくなった。

 

「……………………一夏さん、今のなんスカ?」

 

「前歯についてた青海苔取ってあげただけ。」

 

「ファーストキスで?」

 

「え?」

 

「ファーストキスで?」

 

「え……あ、、、。」

 

 

 

3

「ファーストキスは、お好み焼きソースの味でした。」

 

「網島、今程俺はお前を織斑千冬にさし出そうと思った日はない。」

 

「なんで呼び方元に戻ってんだよ!

てか千冬さんにチクんのだけはマジでやめろよ?

例えどんな事があろうと地の果て海の底に居ようと最長一瞬でその日が俺の命日になるから!」

 

なんとか蓮を説得し、

さっきATMから降ろしてきた一万円を渡し、

取り敢えず落ち着かせた。

 

「お、始まったな。」

 

アリーナを見るとほぼ同タイミングで白式を鎧った三春と中国の第三世代型機甲龍(シェンロン)を鎧った鈴音が出て来た。

 

「セブンって読唇術使える?」

 

『? 出来なくは無いが今必要か?」

 

「赤龍のカメラ越しに二人の会話を聞きたいし。」

 

『なるほど!ISのカメラなら出来るな。面白い。』

 

「別に試合見るだけなら要らなくないか?」

 

「分かってないな蓮。

字幕ない無音映画とか詰まんないの極みだぜ。」

 

「俺より楽しんでるじゃねえか。」

 

左腕にのみ赤龍を部分展開しセブンがカメラに接続する。

 

『えーと、、、てたわよ三春。

あんたを合法的にボコボコに倒し潰すこの日をね。』

 

二本の大型ブレード双天牙月を一つに連結させる鈴。

 

『昔からなんなんだよ鈴。俺がお前に何かしたか?』

 

雪片弐型を構える三春。

 

『なんも!ただ一夏やケイタにはしたわよね?

ってそうなのか?』

 

「?別に。達郎や弾や数馬も普通だったし。

てかセブンちゃんと今唇見てる?」

 

『しまった!えー、、かにボールぶつけたり自転車の車輪に枝投げたりパチンコで石を投げたり女子にやっていいと思ってんの?って待て待て待て!こいつ実の妹にそんな事してたのか!?』

 

「え!?あれ全部三春だったの!?

ん?ちょ、ちょっと待て蓮!

直ぐに銃を構えるな!どこに行くつもりだ!」

 

「ケイタ、何も心配する事はない。俺はただ親友(おまえ)親友(いちか)の為に人類のゴミを掃除しに行くだけだ。」

 

「三春を殺した所で問題は解決しないし千冬さんに殺されるだけだから!」

 

『気にする必要はありませんケイタ様。

今のレン様とわたくしには……負ける気がしねえ!』

 

《サードの口がここまで悪く……相当来てるな。》

 

「そうだケイタ気にするこたあ無い。

あんな屑を放っておく奴はお前らの姉じゃ無い。

代わりに俺がお前らの兄弟になるから一切問題ない。」

 

「いや、悪いけど蓮お前マジでしっかりしろ?らしくないぞ?」

 

「止めるなブラザー。俺は兄妹(おまえら)のためを思って殺るんだ。」

 

「さっきから字がおかしい!

蓮お前翔兄に会ってからなんか翔兄がカッコつけすぎて滑っちゃう時みたいになるときあるぞ?」

 

ピストルを持った手を捕まえながらなんとか蓮を説得する。

しかし蓮の腹の虫は収まりそうにない。

 

(くっそ!このままだと蓮が殺人犯になっちまう!

なんか予想外のトラブルでも起きねえかなチキショウ!)

 

そんな不謹慎な、よくよく考えたら蓮が殺人犯になるよりヤバいことを願った瞬間だった。

轟音と共にアリーナの天井とシールドが破られ6体のヒトガタが舞い降りた。

胸部、頭部、一の腕は強化ガラスに覆われており、中の機械が丸見えで、二の腕、腿の部分に至っては骨格の様な剥き出し状態のままだ。

しかし身体が全く覆われていない訳ではなく口、両手、膝より下は強化炭素性のアーマーとナノスキンに覆われている。

しかし何より目を引くのはそのカラーリングだ。

 

「サード。」

 

『はい。』

 

「目撃されたエリアが風都近郊だったことから俺が前にネットで見つけたキカイダー01の目撃情報はWのヒートトリガーの見間違いって結論に至ったよな?」

 

『はい。』

 

「それが何で本当にキカイダー01が出てくるんだ!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

右半身が赤、左半身が青で染め上げられているのだ。

まごう事なきキカイダー01。

お互い母が石ノ森章太郎先生の大ファンである影響で幼少期によく親しんだケイタと蓮には直ぐにわかった。

 

「どうすんだよあのゼロワン六人衆?」

 

「まあ、まず間違いなく敵みたいだな。」

 

6体中1体の額からビームが放たれる。

避ける鈴と零落白夜で受ける三春。

二又に裂かれたビームがアリーナの壁を穿ち抜いた。

エネルギーが切れたのか膝から崩れ落ちるゼロワン。

チャンスだ!とばかりに突っ込む三春。

しかし残りの内2体が三春に飛びかかった。

 

「成る程、一応格闘術はインプットされてるみたいだな。」

 

「セブン、あそこに助けに入れると思うか?」

 

『…………ざっとアリーナ内をスキャンしてみたが、

シールド出力がアップされて全てのドアがロックされている。

カメラもクラックされて録画不能になってるし、

侵入できる場所があるとすればさっきあの6体が突き破ってきた穴ぐらいだ。』

 

『カメラが役に立っていない今なら変身してもバレないと思いますが?』

 

出入り口の方を見ると生徒が開かないドアに殺到している。

しばらくはこっちに注意が向く事はないだろう。

 

「セブン、変身したままIS使うって出来るか?」

 

『エアークラフトぐらいなら、

アーマーを展開しなければこっちで誤魔化せる。』

 

「よし、十分。行こう蓮!」

 

「俺は鳳しか助けないぞ?」

 

「でも俺は手伝ってくれるだろ?」

 

「お前には敵わないな。」

 

笑い合うと蓮は持ってたサイダーを石の地面に落とし、

即席の鏡を作る。

 

「カメンライダー!」

 

「KAMEN-RIDER!」

 

姿を変えた二人はベンタラにダイブした。

 

 

 

2

双天牙月と雪片弐型が火花を散らしてぶつかり合う。

薙刀と思わせてからの二刀流、二刀流と思わせての薙刀。

何とか受け流してる三春だが、そろそろ防御を崩せるだろう。

 

(殺す!試合とかあたしの将来とかどうでもいい!

こいつだけはここで殺す!)

 

怒りで逆に頭が冷えてはいる。

これ程の怒りは鈴音にとって人生で二度目の経験だった。

一度目は小学五年生の時、まだ日本語が上手くなくて友達が全然いなかった時だ。

昨日と同じ様に一人で家に帰っていると目の前にバスケットボールが転がってきた。

 

「おーい!取ってくれ!」

 

自分と同い年ぐらいの男の子が四人と女の子が一人かけてきた。

 

「あれ?もしかして同じクラスの鳳さん?」

 

「ふぁん?もしかして噂の中国からの転校生?」

 

「そうだ、この後暇?

今ちょうど五人で男子四人で女子一人なんだ。

お前いたら三対三なんだ。どうだい?」

 

頭にバンドを付けた少年、五反田弾(ごたんだだん)がボールを差し出しながら提案してきた。

他の四人も御手洗数馬(みたらいかずま)を筆頭に乗り気の様だ。

 

「わ、ワタシ、、チャント話セナイ、。」

 

「別に気にしないよ。パスとかシュートとかわかりゃいいし。」

 

気怠げな少年、ケイタがフォローする。

 

「でも…………。」

 

「あーもー焦れったいな!兎に角見てけよ!絶対楽しいから!」

 

灰色のパーカーの少年、大江達郎(おおえたつろう)が鈴音の手を引いた。

 

「マッテ!ワタシ、絶対メイワク、、。」

 

「迷惑なら最初から誘ったりするかよ。

それにケイタも一夏も弾も初めはいけ好かない奴だと思ったし今でもたまにめんどくさく思うけど案外いい奴らだし、今日だけでもいてみろよ。」

 

「おい達郎聞こえてるぞ!」

 

「誰がめんどくさく奴だ!」

 

「お、やんのかお前ら!いーぜ、新入りにお手本見せてやろうや!」

 

喧嘩腰の口調とは裏腹にやけに説明口調で本当に鈴音に説明するためだけのバスケだった。

鈴音は面食らった。そして見ていてとても楽しかった。

 

「いつもこんな感じなんだ。」

 

横にきた一夏が微笑みながら言った。

 

「ワタシモ、イイノ?」

 

「勿論!この街の風は良いものも悪いものも拒まないよ。

特に鳳さんみたいな良い人はね!」

 

「リン。」

 

「?」

 

「リンって、呼ンデ。」

 

「うん。よろしくね鈴。」

 

それからは毎日が楽しかった。

何時も異様に日が暮れるのが早く感じて、

早く明日が来ないものかと待ち遠しかった。

そんな毎日でも、本当に一回だけ、嫌な事があった。

一夏の水筒が盗まれた事があったのだ。

犯人探し、とまではいかなかったがそれでもしばらく嫌な空気が流れた。

それから暫くたったある日、偶々鈴音は聞いてしまったのだ。

誰もいない廊下で三春が呟いた。

 

「よしよし、これで漸くあいつらも守ることの大切さを理解したはずだ。」

 

瞬間、全てを察した鈴音は三春に殴りかかった。

小学生有るまじき鬼の形相で殴って殴って殴りかかった。

しかし三春は満足気に笑いながらこう言った。

 

「そうだ、守る事は大事なんだ。よくわかったろ?」

 

もう一発渾身のパンチをお見舞いしてその場を後にした。

そして直ぐに後悔した。

あいつを殴ったところで何の解決にもなってない。

自分一人じゃ無理だと思った鈴音は達郎に相談した。

 

「なるほど、よく話してくれた鈴。俺に任せろ。」

 

その次の日の夜、達郎は道場での練習を終え、

裏の森で素振りをする三春を背後から木製バットで殴りボコボコにした。

 

「もしお前の姉貴にチクったり一夏を怪我させてみろ。

数馬や弾。ケイタや鈴と五人がかりでお前を殺してやる。」

 

勿論、達郎とて考えが無しにこんな事はしない。

全員で一夏を守るという意思を見せればこれ以上干渉して来ないと判断したからだ。

実際その日から三春が6人に干渉してくる事はなかったが、

それでも鈴音の心は随分苦しめられた。

 

「ぶっ飛べ!」

 

空間圧縮技術を使った中距離砲、龍咆を左腕に装着する。

まさかこんな日が来るとは思っていなかったが、

今はただこの幸運に感謝した。

今日ここで骨の一片だって残してやらない。

骨の髄まで苦痛を味あわせてから引導を渡してやる!

今まさに不可視の砲弾を放とうとした時だった。

 

『鳳!三春!聞こえるか!?そこから退避しろ!上から何か来る!』

 

無線越しに千冬の声を聞いた次の瞬間、

何かが天井を突き破りアリーナに降り立った。

煙が晴れ、その姿があらわになる。

 

「ゼロワン!?」

 

「なんだよ鈴?知ってんのか?」

 

三春に嫌味の一つでも添えて説明してやろうとした時、

ちょうど鈴の正面にいたゼロワンの額から一筋の光の束が放たれた。

左に飛んで回避する鈴。三春を見る。

寸前で零落白夜を発動してビームを斬ったらしく無事だ。

 

「チッ!サン・ライズ・ビーム……ほんとにゼロワンね。」

 

そう独りごちたのと同時に一番近くに立っていたゼロワンが飛びついて来た。足を内側に絡ませ、両腕を使い首を絞めてくる。

 

「こっの!グッ!」

 

なんとか引き剥がそうとするが中々手が届かず首を絞めるゼロワンの力は益々強くなる。

そうこうしてるうちにさっきビームを撃ったゼロワンともう一体のゼロワンがサン・ライズ・ビームの構えを取る。

 

(まずいこのままじゃ!)

 

死ぬ。そう思った時不意に何処からか電子音が聞こえた。

 

<FINAL VENT>

 

鈴音を飛び越え現れた白虎のビースト、デストワイルダーは両腕についた細く鋭い爪でほぼ同時に胸部を貫き、そのまま引きづり回した。

走る先にはデストクローを装備した仮面ライダーアックスが待ち構えている。

デストワイルダーは全身を使った強烈な回転投げを繰り出し、二体のゼロワンをアックスめがけて放り投げる。

すれ違いざまに凍結エネルギーのこもった爪で切り裂いた。

傷口からエネルギーを受け、サン・ライズ・ビームを制御していたシステムを凍結された二体のゼロワンは余剰エネルギーを放出出来なくなり、落下と共に火柱を上げながら爆裂四散した。

 

「はっ!」

 

爆散した二体を振り返らずにデストクローを捨て、デストバイザーをブーメランのように投擲する。

鈴音にくっついていたゼロワンの左腕を切り落としアックスの手に戻った。

 

「この!」

 

ロックを外しゼロワンをアックスの方にぶん投げる鈴音。

意図を察したアックスの強烈な左フックがゼロワンの右顔面捉えた。

特殊カーボンの表面が砕け、顔から赤い装甲が残らず落ちた。

 

(次でトドメ、ッ!)

 

右カメラアイが露出したゼロワンがアックスを見据える。

その姿が神経断裂弾を右複眼に受けたサイクロンドーパントに、布仏本音に重なった。

ほんの一瞬アックスが止まったのをゼロワンは見逃さなかった。

右手首を取り外し内蔵されたサブマシンガンを発射した。

特殊エネルギー弾、太陽のカケラがアックスの鎧を抉った。

 

「ガァアアアー!」

 

仰向けに吹っ飛ばされるアックス。

すぐさまゼロワンはサン・ライズ・ビームの構えを取る。

 

「こっち向け!そこの顔面真っ青!」

 

背後から双天牙月を構えた鈴音が向かってきたすかさずビームを鈴音に向けて放つゼロワン。

瞬間鈴音は双天牙月をゼロワンの頭の上ギリギリに向けて投擲し、

背部装甲を解除しながらゼロワンの股をすり抜けた。

 

「背中が、お留守よ!」

 

ジャンプしてキャッチした双天牙月がゼロワンの胴体を袈裟斬りに斬りつけた。

地面とぐちゃぐちゃにミックスされたゼロワンが黒煙を上げて機能を停止した。

 

「あんた大丈夫?」

 

「…………。」

 

「ちょっと?」

 

「!……うん。平気。じゃ。」

 

<FREEZE VENT>

 

鈴音の制止を無視して作った氷の鏡を使いベンタラにダイブした。

 

 

3

ベンタラに突入したドラゴンナイトとウイングナイトはすぐさま来たのとは別の鏡を地球に繋げた。

 

「蓮、ベンタラ来たはいいけどどうやってアリーナに入る?」

 

「変身してる時はウイングナイトって呼ぶかISの個人通信(プライベートチャンネル)以外で話しかけるな。

あと出口に関しては問題ない。

光の反射によっちゃ鏡になりそうなボディしてる奴が6体もいるだろ?」

 

「ゼロワンの背中から出るのか?」

 

「逆にそこぐらいしか出れそうな場所が無い。

50、50の賭けだがそれしか無いぞ。」

 

「……なら仕方ねーか、シャッ!行くぜ!」

 

鏡に、地球側にダイブする。

どうやら賭けに勝ったらしい。

ドラゴンナイトの目にゼロワンと戦うアックスと鈴音の姿が見えた。

どうやら一足先に来ていたらしい。

 

《我々も負けてられんな。後ろだ。》

 

振り返ると三春と戦っていたゼロワンのうち一体がこちらに向かって来ていた。

 

(来やがれ安物のバッタもんが!

お前なんか本家本元イチローどころか俺の足元にも及ばねえ!)

 

繰り出された拳を掻い潜り当身を浴びせるふらつきながら吹っ飛ばされたゼロワン。

追撃すべくドラゴンナイトはハイキックの構えを取る。

しかしAIは一手先を読む。直ぐに顔面をガードするだろう。

 

(セブン!エアークラフト、前進!)

 

《任せろ!》

 

一気に距離を詰め、ハイキックをかかと落としに変えた。

流石に予想できなかったらしい。

脳天から強化ガラスを叩き割られ、そこから太陽電池と電子頭脳を圧縮されたゼロワンはエラー音を鳴らしながら背中から倒れた。

 

(よし!見たかセブン!スーパーファインプレーだぜ!)

 

《この調子で行くぞ!》

 

蓮と三春の方を見る。

最初にダメージを受けていた三春はやや不利だが、

蓮の方は互角に戦えているようだ。

 

(加勢するなら三春か。)

 

《本気で言ってるのか?》

 

(何が?)

 

《気付いてなかったとはいえ鳳鈴音が激怒するような事を一夏や君たちに散々したような奴だぞ?君に助ける理由があるのか?》

 

(……正直言って一生許す気は無いけど、

街の悪党を裁くのは神様でも法律でもなくて、

街を愛する人間だ。

一方的な言われない私刑と言われりゃそれまでだけど俺は仮面ライダーとしてじゃなくて網島ケイタとして三春を裁く。だからこの場は助ける。

どんなに文句言っても付き合って貰うぜセブン。)

 

《全く、君というやつはめんどくさいな。なら手短かに済まそう。》

 

「シャッ!」

 

ファイティングスタイルを取ると助走をつけて三春と戦っていたゼロワンに飛び蹴りを食らわせた。

「な!新手か!?」

雪片弐型を構える三春。

せっかく助けてやったのに薄情な奴だ。

喋れないから仕方ないが。

 

<SWORD VENT>

 

斬りかかってくる三春をドラグセイバーで受ける、受ける、受ける。

 

「クッソ!ケイタみたいな臆病な戦いしやがって!」

 

《そりゃあ当人だからな。》

 

(たく、猪武者が。)

 

ガムシャラなのは三春の良いところだが戦闘においてはどうもマイナスに働くことが多い気がする。

 

(よし、このまま適当にいなして)

 

ゼロワンを倒してさっさと帰ろう。

そう思った時だった。

 

『そんなんでどうする三春!

男ならその程度の敵倒せなくてどうする!』

 

アリーナのスピーカーから箒の声が聞こえる。

ゼロワンが放送席を見上げた。

 

(まずい!)

 

「行かせないぞ!」

 

しかしそれに気付いていない三春はドラゴンナイトの行く手を阻んだ。

 

(こいつ!相手してる場合じゃ無いのに!)

 

《本当に間の悪い男だなこいつは!》

 

もうゼロワンがサン・ライズ・ビームを放つのに何秒もない。

 

ドラグレッターは攻撃力だけならサン・ライズ・ビームを上回るだろうが照射され続ければ撃破される恐れがある。

だとすれば可能性があるのは本音の持っていたサバイブのカードと一度も使ったことの無いリフレクオーツのカードしかない。

 

(仕方ない、なる様になれ!セブン!筋力アシスト!)

 

《ドラグセイバーを投げるのか?

そんな物であのビームは止まらんぞ!》

 

(いいから!やらなきゃあの人が死ぬ!)

 

わかってる!とセブンが返事したのと同時にドラゴンナイトは自身の筋力が上がったのを感じた。

斬りかかる雪片弐型をドラグセイバーで弾くと、

パッとそこにテーブルがあるかの様に捨てると全力で固めた拳を胃にめり込ませた。

流石に効いたらしい。バックステップを取りバイザーのカバーを開けカードをベントインする。

 

<REFLEQUARTZ VENT>

 

バッ!と手をかざした先でドラゴンナイトのライダーズクレストの形をしたエネルギーの結晶が現れ、サン・ライズ・ビームを吸収、反射し、ゼロワンの胴体をごっそり消しとばした。

 

(なんだあれ、、強。)

 

《恐らくビーム、レーザー系限定だろうがそれを差し引いても強力だな。》

 

転がってきたゼロワンの頭部を拾い上げる。

 

(ごめんな。悪いのはお前を動かしてた奴らなのに。)

 

《我々と違いって、いや逆だな。

我々を例外に機械は命令者の言う事はなんでも聞く。善悪問わずな。》

 

不意に千冬が授業のどこかでISを兵器と断言したのを思い出した。

 

(じゃあなんで篠ノ之博士はISコアに人格なんて残したんだ?)

 

涙の跡の様になっていたオイルを拭って近くにあった右手と一緒に置いた。

 

(帰るか。)

 

《ああ。》

 

ウイングナイトの方を見る。

間も無く決着が着くだろう。

彼と対峙するゼロワンは右手をもがれ、

頭の右半分を破られ、

両足の特殊カーボン製アーマーもヒビだらけだ。

 

「安らかに眠れ。仮想生命未満の木偶人形。」

 

<FINAL VENT>

 

ウイングナイトの影の中から出現したダークウイングが背中に合体し、あらかじめ装備していたウイングランサーを構えて、跳ぶ。

黒い繭と化したウイングナイトがゼロワンを貫く。

飛翔斬が決まった。あちこちにパーツが飛び散る。

 

「れ、、ウイングナイト!」

 

お互い小さく頷きあうと、ゼロワンの残骸から流れ出たオイルの水溜りにダイブした。

 

「チクショウ。」

 

残された三春は殴られた腹を抑えながら水溜りを覗き込んだ。

 

「出てこいよ。」

 

水溜りを踏む。転がって来たゼロワンの頭部と、

どこまでも無機質な、温かみのカケラもない目と目が合った。

 

「戻ってこいよ!戻ってこい怪しい奴らが!

俺が、俺が皆を守るんだ!だから来い!

かかって来い逃げるなァ!」

 

地団駄を踏み、ゼロワンの頭をたちまち金属塊に変える。

それでも三春の気は治らなかった。

 

「面は覚えたぞ仮面野郎。必ず思い知らせてやる。

守ることを!」

 

その慟哭を氷の鏡を見つめる鈴音だけが聞いていた。

 

 

 

4

その夜、羽田空港国際線ターミナルに一人の少女が降り立った背丈は鈴音と同じぐらいだろうか。

不似合いな軍服に身を包み長い銀髪をなびかせている。

 

(ようやく日本か。まさか一ヶ月も遅れてとは。

米国海兵隊IS師団破壊部隊め、

レン・アキヤマを筆頭にエキスパート揃いという噂は本当だったか。)

 

だがその借りもこれより必ず返す。

眼帯に隠された左目と赤みがかった右目が怨嗟と闘志で燃えていた。

 

(織斑三春、織斑一夏、レン・アキヤマ。

首を洗って待っていろ。この私が必ず倒す!)




ケイタ「いかがだったでしょうか?」

一夏「ほぼキカイダー02じゃん。」

ゼロワン『仮面ライダーキカイが出てから一人でどハマりだったからな。』

ケイタ「なお、次回からちゃんと元に戻るんでご安心を。」

(ED ゴーゴー・キカイダー 人造人間キカイダー)

一夏「………本当に?」

ケイタ「多分。」

ゼロワン『じ、次回。Fake number Four その2』

一夏「これで決まりだ。」

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